朝鮮語文法/第七章

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私たちの言語行為は,決して個別的語音の機械的結合ではない。語音は,それ自体連続体をなし,相互関連,相互制約をする有機的な関係を結んでいる。その結果,ある母音又は子音の形成のための条件が,そのときごと前後にある語音の影響を受け,少しずつ変わることとなる。これを語音の結合的変化と言い,そこに同化と異化の相反する現象が見られる。

第1節 同化[編集]

同化とは,ある音が隣にある音の影響を受けて,その音と近い音又は同じ音に変化することをいう。

同化は,子音と子音の間,母音と母音の間又は子音と母音の間で起こり,その方向によって順行同化,逆行同化及び相互同化が区別できる。

順行同化とは,「감자」[kam-tʃa]において[kam]の末音[m](有声音)が[tʃa]の頭音[tʃ](無声音)を有声化して[kam-dʒa]に変化させるのと同じように,前にある音が後にある音に影響を与え,これを同化させることをいう。

逆行同化とは,これと反対に,「국물」[kuk-mul]において,[kuk]の末音[k](無声音)が[mul]の頭音[m](有声音)の影響で有声化し,[kug-mul]に変わるのと同じように,前にある音が後にある音の影響を受けて,これに同化することをいう。

相互同化とは,「감기」[kam-gi]において,[kam]の末音[m](有声音)が[ki]の頭音[k](無声音)を有声化し,[kam-gi]に変化させた後,[gi]の頭音[g](軟口蓋音)が[kam]の末音[m]を軟口蓋音化して[kaŋ-gi]に変化させるのと同じように,2個の音が相互間に影響を与え,同化されることをいう。

また,同化の結果によって,完全同化と部分同化を区別することができ,相互作用する音の距離によって隣接同化と隔離同化を区別することができる。

完全同化とは,「천리」(千里)[tʃʽon-ri]が[tʃʽol-li]に変化するのと同じように,同化の結果互いに全く同じ音になることをいい,部分同化とは,「국내」(國內)[kuk-næ]が[kug-næ]に変化するのと同じように,互いに似た音になることをいう。

隣接同化とは,