昭和56年11月17日厚生省社会局保護課長・監査指導課長通知 社保第123号「生活保護の適正実施の推進について」

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生活保護の適正実施の推進について

(昭和 56 年 11 月 17 日 社保第 123 号 厚生省社会局保護課長・監査指導課長通知)

標記については,平素格別の御配意を煩わしているところであるが,近時,暴力団関係者等による生活保護の不正受給事件が再三発生し,このため生活保護行政のあり方についての批判すら招いていることはまことに遺憾である.このような事件の発生は,大多数の善意の被保護者に多大な迷惑をかけるばかりでなく,生活保護制度そのものに対する国民の信頼を失わせるおそれがあり,その社会的影響は極めて大きいものがある.これらの事件の中には,保護の実施機関等関係者の努力だけではその発生を未然に防止することが困難なものもあるが,他方,保護適用者の資産及び収入の把握が適切でなかったために生じたと思料されるものも見受けられる状況にある.かかる事態にかんがみ,ごく限られた一部の者によるとはいえ厳に不正受給の防止を図り,一方,真に生活に困窮する者に対しては必要な保護を確保するため,保護の決定又は実施に当たっては,福祉事務所の組織的な対応の強化を図るとともに特に次の点に留意のうえ適正に行うよう,貴管下実施機関に対し指導の徹底を図られたい.

1 新規申請の場合

(1)保護の新規申請時における資産の保有状況及び収入状況の調査把握をより確実にするため,申請者等に対し次の措置を講ずること.

ア 資産の保有状況については,土地,建物,預貯金,自動車等の保有状況,生命保険の加入状況等資産の種類ごとに克明に記入したうえ,当該記入内容が事実に相違ない旨附記し署名捺印した書面及び保護の実施機関が行う資産の保有状況に関する関係先照会に同意する旨を記し署名捺印した書面を申請者等から提出させたうえ,訪問調査等により事実の的確な把握に努めること.

イ 収入状況については,勤労収入,年金,仕送り,保険金等その収入の種類ごとに克明に記入したうえ,当該記入内容が事実に相違ない旨附記し署名捺印した書面,当該記入内容を証明するに足る資料及び保護の実施機関が行う収入状況に関する関係先照会に同意する旨を記し署名捺印した書面を申請者から提出させたうえ,訪問調査等により事実の的確な把握に努めること.

ウ 訪問調査及び提出資料によってもなお資産の保有状況又は収入状況に不明な点が残る場合には,必要に応じ雇用主等の関係先に照会を行うとともに関係官署と連携を図ることにより,事実の的確な把握に努めること.

(2) (1)のア,イによる書面及び(1)のイによる記入内容を証明するに足る資料の提出並びにこれらに関する調査を拒む等の者に対しては,生活保護法(以下「法」という.)第二八条の規定により保護申請を却下することについて検討すること.

2 保護受給中の場合

(1) 収入申告書等の提出書類の検討及び訪問調査等の結果,不明な点がある場合には,当該受給者に対し次の措置を講ずること.

ア 収入状況については,勤労収入,年金,仕送り,保険金,相続等による資産の取得等収入の種類ごとに克明に記入したうえ,当該記入内容が事実に相違ない旨附記し署名捺印した書面,当該記入内容を証明するに足る資料及び保護の実施機関が行う収入状況に関する関係先照会に同意する旨を署名捺印した書面を被保護者から提出させたうえ,訪問調査等により事実の的確な把握に努めること.

イ 訪問調査及び提出資料によっても収入状況に不明な点が残る場合は,必要に応じ関係先照会を行うとともに関係官署と連携を図ることにより,事実の的確な把握に努めること.

(2) 以上の結果 不正受給が確認できた場合には,法第七八条に基づき給与した保護費を徴収するほか,更に法第八五条又は刑法の規定に係る告発について検討すること.

(3) (1)のアによる書面及びその内容を証明するに足る資料の提出並びにこれらに関する調査を拒む等の者に対しては,文書による指導指示を行い,これに従わない場合には指導指示違反として法第六二条の規定に基づく保護の停止等の措置を行うこと,又は法第二八条の規定に基づく保護の停止等の措置を行うことについて検討すること.

(4) 福祉事務所長が(2)による告発又は(3)による措置を講じた場合に,都道府県・指定都市の主管部(局)に報告すること.

(5) 刑事事件及び新聞,議会等で問題になることが予想される等の不正受給事件については,その概要,対応方針等について速やかに本職あて報告すること.

出典[編集]