コンテンツにスキップ

明治大学女子部設立趣意書

提供:Wikisource

女子部設立趣意書

[編集]

我国に於ける女子教育良妻賢母を造るは勿論であるけれども漸次時代の変遷に伴ひ女子も亦家庭のみに在ることを許さず或は官公吏となり或は会社員となり其他諸般の事業に従事することとなり又従事しなければならぬことゝなり其家庭に在る女子の為めには旧来の教育にて足れるも家庭外広く諸般の事業に従事する女子の為には良妻賢母を造る教育以外其職業に必要なる基礎智識特に法律経済商業等の学識を授くるは実に時代の要求であると謂はなければならぬ然るに各種の職業に従事する女子は其基礎智識を欠くが為め向上発展することを得ず其前途を思ふときは真に同情に堪へざるものがあるばかりでなく社会問題としても亦之が対策を講ずるの必要がある加之近く女子にも弁護士資格を与へ衆議院議員選挙資格被選挙資格を与へられることとなるべく又文官高等試験令に禁止がないから遠からず其試験を受くることを許されるものと信ず欧米の文化国に於ては女子の幸福を増進する為め其必要なる教育の準備を為さざるものはない然るに我国に於ては何等の準備なきは女子の不幸は勿論、国家発展上真に遺憾なることである茲に於て我が明治大学は率先して女子部を新設し大に女子の天稟の才能を啓発し其向上発展を図り天与の幸福に浴せしめて国家社会に貢献せんとするのである

この著作物は、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(回復期日を参照)の時点で著作権の保護期間が著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)50年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。


この著作物は、アメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。