日用文字便覽

日用文字便覽
作者：高井運吉
1918年

日用文字便覧

序

近時（きんじ）、靑年（せいねん）學生（がくせい）の手（て）に成（な）れる作文（さくぶん）や、世間（せけん）一般（ぱん）に行（おこな）はれて居（ゐ）る日用文（にちようぶん）や、其（そ）の他（た）廣告（くわうこく）引札（ひきふだ）類（るゐ）の文章（ぶんしやう）を見（み）ると、餘（あま）りに此（こ）の道具（だうぐ）しらべが疎（おろそ）かにされて居（ゐ）るのに驚（おどろ）くのである。敢（あへ）て大（おほ）きく文章（ぶんしやう）とは言（い）はない、せめて漢字（かんじ）の字畫（じくわく）の誤（あやまり）や、字義（じぎ）の間違（まちがひ）や、假名遣（かなづかひ）の亂雜（らんざつ）やに今（いま）少（すこ）し注意（ちゆうい）を拂（はら）つて疵（きず）の無（な）いやうにして貰（もは）ひたいのである。併（しか）し多種多樣（たしゆたやう）の知識（ちしき）技能（ぎのう）を習得（しふとく）せねばならぬ現代（げんだい）にあつては、專門家（せんもんか）以外（いぐわい）、文字（もじ）に多（おほ）くの苦勞（くらう）をする暇（いとま）は無（な）い。そこで、本書（ほんしよ）には、其（そ）の實際的（じつさいてき）方面（はうめん）の大要（たいえう）を纒（まと）めて、日用（にちよう）の便（べん）に供（きよう）することにした。

大正六年十二月編者識す

凡例

本（ほん）叢書（そうしよ）は、國民（こくみん）敎育（けういく）に根柢（こんてい）を置（お）き學校科外（がくかうくわぐわい）に於（お）ける無上（むじやう）の良敎科書（りやうけうくわしよ）、靑少年（せいせうねん）に對（たい）する絕好（ぜつかう）の良友（りやういう）たらしめんとして發行（はつかう）したものである。
本（ほん）叢書（そうしよ）は、有益（いうえき）にして趣味（しゆみ）ある材料（ざいれう）をあらゆる方面（はうめん）に採（と）り內容（ないよう）の精選（せいせん）充實（じゆうじつ）に努（つと）め、知（し）らず識（し）らずの裡（うち）に智能（ちのう）を啓發（けいはつ）し、德器（とくき）を成就（じやうじゆ）し、賢實（けんじつ）善美（ぜんび）なる性情（せいじやう）を涵養（かんやう）せしめんことを期（き）した。
本（ほん）叢書（そうしよ）は讀者（どくしや）の自學自習（じがくじしふ）に適（てき）せしむべく、其（そ）の行文（かうぶん）を平易（へいい）簡明（かんめい）にし、又（また）槪（おほむ）ね繪畫（くわいぐわ）をも挿入（さふにふ）することにした。
本書（ほんしよ）「日用（にちよう）文字（もんじ）便覧（べんらん）」は高井（たかゐ）運古（うんきち）氏（し）の執筆（しつぴつ）されたものである。

右代表者並發行者: 大葉久吉
東京市神田區錦町三丁目十七番地
印刷者: 靑柳十一郞
東京市牛込區市谷加賀町一丁目十二番地
印刷所: 株式會社秀英舍第一工場
東京市牛込區市谷加賀町一丁目十二番地
發行所: 科外敎育叢書刊行會
東京市神田區錦町三丁目
振替東京六三八四番; 科外敎育叢書刊行會支部
大阪市西區靱下通二丁目
振替大阪一八四五九番

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