日本学術会議会則

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日本学術会議法(昭和二十三年法律第百二十一号)第二十八条の規定に基づき、日本学術会議会則(昭和二十四年日本学術会議規則第一号)の全部を改正する規則を次のように定める。

平成十七年十月二十四日

日本学術会議会長  黒川    清

日本学術会議会則

目次

附則

第一章  総則

(総則)

第一条  日本学術会議(以下「学術会議」という。)の運営に関する事項は、この会則の定めるところによる。

第二章  職務

(意思の表出)

第二条  学術会議は、日本学術会議法(以下「法」という。)第四条に定める諮問に対する答申及び法第五条に定める勧告のほか、法第三条第一号の職務として、次に掲げる意思の表出をすることとし、その表出主体及び定義は別表のとおりとする。

  要望

  声明

  対外報告

  回答

(国際活動)

第三条  学術会議は、法第六条の二に定める国際団体への加入のほか、法第三条第二号の職務として、次に掲げる国際活動を行うことができる。

  学術に関する国際会議等への代表の派遣

  学術に関する国際会議の主催及び後援

  二国間学術交流

  アジア学術会議に関すること。

  その他会長が必要と認めるもの

  国際活動に関し必要な事項は、幹事会が定める。

第三章  組織

(会長の互選等)

第四条  法第八条第二項の会長の互選は、他の案件に先立って総会で行うものとする。

  前項に規定するもののほか、会長の互選に関する事項は、総会が定める。

(副会長の職務)

第五条  副会長は、会長が定めるところにより、次に掲げる事項をつかさどる。

  学術会議の組織運営及び科学者間の連携に関すること。

  学術会議と政府、社会及び国民等との関係に関すること。

  学術会議の国際活動に関すること。

(部への所属)

第六条  法第十一条第四項に規定する会員の部への所属は、会員からの申出に基づき総会が定める。

第四章  会員及び連携会員の選考等

(連携会員の任期の例外)

第七条  日本学術会議法施行令(平成十七年政令第二百九十九号、以下「令」という。)第一条ただし書の規定に基づき、国際業務又は臨時の委員会の審議に参画するため三年以下の必要な期間を定めて日本学術会議連携会員(以下「連携会員」という。)を任命することができる。

  前項に定めるもののほか、令第一条ただし書の規定に基づき、学術会議の活動に参画させるため、必要な期間を定めて連携会員を任命することができる。

(会員及び連携会員の選考の手続)

第八条  会員及び連携会員(前条第一項に基づき任命された連携会員を除く。)は、幹事会が定めるところにより、会員及び連携会員の候補者を、別に総会が定める委員会に推薦することができる。

  前項の委員会は、前項の推薦その他の情報に基づき、会員及び連携会員の候補者の名簿を作成し、幹事会に提出する。

  幹事会は、前項の会員の候補者の名簿に基づき、総会の承認を得て、会員の候補者を内閣総理大臣に推薦することを会長に求めるものとする。

  幹事会は、第二項の連携会員の候補者の名簿に基づき、連携会員の候補者を決定し、その任命を会長に求めるものとする。

  その他選考の手続に関し必要な事項は、幹事会が定める。

(会員の辞職)

第九条  幹事会は、会員から辞職の申出があったときは、法第二十五条に定める同意を得ることにつき、総会に議決を求めなければならない。ただし、当該会員の辞職の申出理由が、総会の議決を待つことが適当でないものと認められる場合は、幹事会の議決をもって同意とすることができる。

  前項ただし書の場合、幹事会は、議決の後に開催される最初の総会に報告しなければならない。

  幹事会は、第一項ただし書の同意を得るに当たり、別に総会が定める委員会の意見を求めることができる。

(会員の退職)

第十条  幹事会は、会員に会員として不適当な行為があると認めるときは、法第二十六条に規定する申出をすることにつき、総会に議決を求めることができる。

  前項において、幹事会は、別に総会が定める委員会の意見を聴かなければならない。

  前項において、前項の委員会は、当該会員に弁明の機会を与えなければならない。

(連携会員の補欠の者の任期)

第十一条  連携会員の補欠の者の任期は、前任者の残任期間とする。

(連携会員の再任)

第十二条  連携会員の再任の回数は、二回を限度とする。ただし、任命の時点で七十歳以上であるときは、当該任期限りとする。

  前項の再任の回数には、会員に任命された場合を連携会員として任命されたものとみなして、これに含める。

  第一項の規定は、第七条第一項に基づき任命された連携会員には適用しない。

(連携会員の辞職)

第十三条  令第二条の辞職の申出があったときは、会長は、その承認について、幹事会の同意を得なければならない。

  幹事会は、前項の同意をするに当たり、第九条第三項の委員会の意見を求めることができる。

(連携会員の退職)

第十四条  幹事会は、連携会員に連携会員として不適当な行為があると認めるときは、令第三条に基づき当該連携会員を退職させることを、会長に求めることができる。

  前項において、幹事会は、第十条第二項の委員会の意見を聴かなければならない。

  前項において、第十条第二項の委員会は、当該連携会員に弁明の機会を与えなければならない。

(連携会員の手当)

第十五条  連携会員には、別に定める手当を支給する。

第五章  会議

(学術会議の会議)

第十六条  学術会議の会議は、総会、部会及び連合部会のほか、幹事会並びに法第十五条の二の規定により置かれる常置の委員会として、機能別委員会及び分野別委員会並びに臨時の委員会として、課題別委員会及びその他幹事会の議決により置かれる委員会とする。

  常置の委員会は、総会が定めるところにより置く。

  臨時の委員会に関し必要な事項は、幹事会が定める。

第六章  総会

(総会の招集)

第十七条  総会は、原則として毎年四月及び十月に会長が招集する。

  前項のほか、会長は、幹事会の議決に基づいて、臨時の総会を招集することができる。

  前二項の規定にかかわらず、三十人以上の会員から招集の目的及び議案を示して請求がある場合、会長は、総会を招集しなければならない。

(総会の議長等)

第十八条  会長は、総会の議長として議事を整理する。

  総会における議決の際、可否同数の場合は、会長がこれを決定する。

  会長は、必要と認められる者の出席を求め、意見を聞くことができる。

  総会は、これを公開する。ただし、必要があると認められる場合、会長は、議決を経て非公開とすることができる。

  会長は、総会の会議録を作成し、閲覧の用に供するものとする。ただし、学術会議の運営上支障があると認める場合、閲覧の用に供しないことができる。

(幹事会への委任事項)

第十九条  法第十四条第三項の規定に基づき、次に掲げる事項に関する権限を幹事会に委任する。

  法第三条第一号に規定する職務のうち、第二条の意思の表出に関する事項

  法第三条第二号に規定する職務のうち、第三条の国際活動に関する事項

  法第四条の諮問に対する答申に関する事項

  法第五条の勧告に関する事項

  法第六条及び法第六条の二の規定に関する事項

第七章  部会

(部会及び連合部会の招集)

第二十条  部会は、部長が招集する。ただし、会長(補欠の者を除く。)の任期における最初の部会は、会長が招集する。

  部長は、当該部に属する三分の一以上の会員から招集の目的及び議案を示して請求がある場合、部会を招集しなければならない。

  連合部会は、二以上の部門に関連する事項を審議し、関係する部の部長が、共同してこれを招集する。

  二以上の部において、当該部に属する三分の一以上の会員から招集の目的及び議案を示して請求がある場合、これらの部の部長は、共同して連合部会を招集しなければならない。

(部会及び連合部会の議長等)

第二十一条  部長は、部会の議長となり、議事を整理する。

  連合部会の議長は、開催の都度、連合部会を構成する部の部長の協議により定められ、連合部会の議事を整理する。

  部会及び連合部会の会議については、第十八 条第一項及び第五項を除く。)の規定を準用する。

(部会における議決方法の特例)

第二十二条  部会及び連合部会においては、法第二十四条第三項が準用する同条第一項及び第二項の規定にかかわらず、部長が各会員の賛否を確認した上で、部会又は連合部会の議決とすることができる。

第八章  幹事会

(幹事会の招集)

第二十三条  幹事会は、原則として毎月一回会長が招集する。

  会長は、必要があると認められるときは、臨時に幹事会を招集することができる。

(幹事会の議長等)

第二十四条  会長は、幹事会の議長となり、議事を整理する。

(幹事会の附置委員会)

第二十五条  幹事会は、その任務の遂行上必要な委員会を附置することができる。

  前項の委員会には、幹事会の了承を得て、分科会又は小分科会を置くことができる。

(幹事会の会議)

第二十六条  幹事会の会議については、法第二十四条第一項及び第二項並びに第十八条(第一項及び第五項を除く。)及び第二十二条の規定を準用する。

第九章  委員会

(委員会に置かれる分科会、小分科会又は小委員会)

第二十七条  第十六条第一項の委員会(以下「委員会」という。)には、幹事会の定めるところにより、分科会、小分科会又は小委員会を置くことができる。

  委員会は、その定めるところにより、分科会の議決をもって委員会の議決とすることができる。ただし、法第四条の諮問に対する答申及び法第五条の勧告並びに第二条に規定する意思の表出に関してはこの限りでない。

(委員会の委員及び役員)

第二十八条  委員は、会長が委嘱する。

  委員は、委員会の承認を得て辞任することができる。

  委員会には、委員長一名、副委員長一名及び幹事二名を置く。

  委員長は、委員の互選により選出する。ただし、機能別委員会の委員長は、総会が定める。

  副委員長及び幹事は、委員会の同意を得て、委員長が指名する。

(委員会の招集)

第二十九条  委員会は、委員長が招集する。ただし、初回の委員会は会長が招集する。

(委員会の議長等)

第三十条  委員長は委員会の議長となり、議事を整理する。

(委員会の会議)

第三十一条  委員会の会議については、法第二十四条第一項及び第二項並びに第十八条(第一項及び第五項を除く。)及び第二十二条の規定を準用する。

(委員会に関する事項の幹事会への委任)

第三十二条  前五条に定めるもののほか、委員会に関し必要な事項は幹事会が定める。

第十章  地区会議

(地区会議)

第三十三条  学術会議に、地域社会の学術の振興に寄与することを目的として、会員又は連携会員をもって組織する地区会議を置く。

  地区会議に関し必要な事項は、幹事会が定める。

第十一章  日本学術会議協力学術研究団体

(日本学術会議協力学術研究団体)

第三十四条  学術研究団体及び学術研究団体の連合体のうち、学術会議の活動に協力することを申し出、幹事会で承認されたものに日本学術会議協力学術研究団体(以下「協力学術研究団体」という。)の称号を付与する。

  学術会議は、協力学術研究団体と緊密な協力関係を持つものとする。

  協力学術研究団体は、学術会議の求めに応じ、学術会議の活動に協力することができる。

  協力学術研究団体は、学術会議の求めに応じ、会員又は連携会員の候補者に関する情報等を提供することができる。

  学術研究団体の連合体たる協力学術研究団体は、学術会議と各学術研究団体との連絡調整を行うとともに、学術会議の各委員会の審議に協力することができる。

  前各項に定めるもののほか、協力学術研究団体に関する事項は、幹事会が定める。

第十二章  雑則

(外部評価)

第三十五条  学術会議の活動を充実させるため、幹事会の定めるところにより、有識者による外部評価を定期的に実施することとする。

(幹事会への委任)

第三十六条  総会に関する事項及びこの会則において総会で定めるとされているもののほか、会則の施行に関し必要な事項は、幹事会が定める。

(会則の改正)

第三十七条  この会則の改正は、総会において出席会員の三分の二以上の賛成がなければ、これを行うことができない。

(施行期日)

第一条  この会則は、公布の日より施行し、平成十七年十月四日から適用する。

(経過措置)

第二条  令第一条の連携会員のうち、平成十七年十月四日から平成十八年六月三十日までに任命される者の任期の終期は、平成二十三年九月三十日までの間で会長が指定する。

  前項の連携会員のうち、半数の者の任期は、平成二十年九月三十日までとするよう努めるものとする。

第三条  会長は、平成十七年十二月三十一日までの間、委員会又は地区会議の活動のため特に必要があると認める場合、第八条の規定にかかわらず、平成十八年六月三十日までの必要な期間を定め、連携会員を任命することができる。

  前項に基づき任命された連携会員は、第八条第一項の推薦をすることはできない。

  第十二条第一項の規定は、第一項に基づき任命された連携会員には適用しない。

別表第二条関係)

種類
表出主体
定義
要望
学術会議
法第五条各号に掲げる事項に関し、政府及び関係機関等に実現を望む意思表示をすること。
声明
学術会議
法第五条各号に掲げる事項のうち、学術会議の目的を遂行するために特に必要と考えられる事項について、意見等を発表すること。
対外報告
部、委員会又は分科会
法第五条各号に掲げる事項に関し、審議の結果を発表すること(意見等の発表を含む。)。
回答
学術会議
関係機関からの審議依頼法第四条の諮問を除く。)事項に対し、回答すること。

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