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新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針/令和2年5月25日改正

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新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針

令和2年3月28日(令和2年5月25日変更)

新型コロナウイルス感染症対策本部決定

政府は、新型コロナウイルス感染症への対策は危機管理上重大な課題であるとの認識の下、国民の生命を守るため、これまで水際での対策、まん延防止、医療の提供等について総力を挙げて講じてきた。国内において、感染経路の不明な患者の増加している地域が散発的に発生し、一部の地域で感染拡大が見られてきたため、令和2年3月26日、新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号。以下「法」という。)附則第1条の2第1項及び第2項の規定により読み替えて適用する法第14条に基づき、新型コロナウイルス感染症のまん延のおそれが高いことが、厚生労働大臣から内閣総理大臣に報告され、同日に、法第15条第1項に基づく政府対策本部が設置された。
国民の生命を守るためには、感染者数を抑えること及び医療提供体制や社会機能を維持することが重要である。
そのうえで、まずは、後述する「三つの密」を徹底的に避ける、「人と人との距離の確保」「マスクの着用」「手洗いなどの手指衛生」などの基本的な感染対策を行うことをより一層推進し、さらに、積極的疫学調査等によりクラスター(患者間の関連が認められた集団。以下「クラスター」という。)の発生を抑えることが、いわゆるオーバーシュートと呼ばれる爆発的な感染拡大(以下「オーバーシュート」という。)の発生を防止し、感染者、重症者及び死亡者の発生を最小限に食い止めるためには重要である。
また、必要に応じ、外出自粛の要請等の接触機会の低減を組み合わせて実施することにより、感染拡大の速度を可能な限り抑制することが、上記の封じ込めを図るためにも、また、医療提供体制を崩壊させないためにも、重要である。
あわせて、今後、国内で感染者数が急増した場合に備え、重症者等への対応を中心とした医療提供体制等の必要な体制を整えるよう準備することも必要である。
既に国内で感染が見られる新型コロナウイルス感染症に関しては、
  •  肺炎の発生頻度が、季節性インフルエンザにかかった場合に比して相当程度高く、国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあること
  •  感染経路が特定できない症例が多数に上り、かつ、急速な増加が確認されており、医療提供体制もひっ迫してきていることから、全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある状況であること
が、総合的に判断されている。
このようなことを踏まえて、令和2年4月7日に、新型コロナウイルス感染症対策本部長(以下「政府対策本部長」という。)は法第32条第1項に基づき、緊急事態宣言を行った。緊急事態措置を実施すべき期間は令和2年4月7日から令和2年5月6日までの29日間であり、緊急事態措置を実施すべき区域は埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県及び福岡県とした。また、4月16日に、上記7都府県と同程度に感染拡大が進んでいる道府県として北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府について緊急事態措置を実施すべき区域に加えるとともに、それ以外の県においても都市部からの人の移動等によりクラスターが各地で発生し、感染が拡大傾向に見られることなどから、人の移動を最小化する観点等より、全都道府県について緊急事態措置を実施すべき区域とすることとした。これらの区域において緊急事態措置を実施すべき期間は、令和2年4月16日から令和2年5月6日までとした。
令和2年5月4日に、感染状況の変化等について分析・評価を行ったところ、政府や地方公共団体、医療関係者、専門家、事業者を含む国民の一丸となった取組により、全国の実効再生産数は1を下回っており、新規報告数は、オーバーシュートを免れ、減少傾向に転じるという一定の成果が現れはじめる一方、引き続き医療提供体制がひっ迫している地域も見られ、当面、新規感染者を減少させる取組を継続する必要があったことから、同日、法第32条第3項に基づき、引き続き全都道府県について緊急事態措置を実施すべき区域とし、これらの区域において緊急事態措置を実施すべき期間を令和2年5月31日まで延長することとした。
令和2年5月14日には、その時点での感染状況の変化等について分析・評価を行い、後述する緊急事態措置を実施すべき区域の判断にあたっての考え方(以下「区域判断にあたっての考え方」という。)を踏まえて総合的に判断し、同日、法第32条第3項に基づき、緊急事態措置を実施すべき区域を北海道、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、京都府、大阪府及び兵庫県とする変更を行った。
また、令和2年5月21日には、同様に、分析・評価を行い、総合的に判断し、法第32条第3項に基づき、緊急事態措置を実施すべき区域を北海道、埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県とする変更を行った。
その後、令和2年5月25日に改めて感染状況の変化等について分析・評価を行い、「区域判断にあたっての考え方」を踏まえて総合的に判断したところ、全ての都道府県が緊急事態措置を実施すべき区域に該当しないこととなった。そのため、同日、政府対策本部長は、緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認められることから、法第32条第5項に基づき、緊急事態解除宣言を行うこととする。
緊急事態宣言が解除された後は、一定の移行期間を設け、外出の自粛や施設の使用制限の要請等を緩和しつつ、段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていくこととなる。その場合において、後述する感染拡大を予防する「新しい生活様式」の定着や、業種ごとに策定される感染拡大予防ガイドライン等の実践が前提となる。また、再度、感染の拡大が認められた場合には、的確な経済・雇用対策を講じつつ、速やかに強い感染拡大防止対策等を講じる必要がある。
そのため、引き続き、政府及び都道府県は感染の状況等を継続的に監視するとともに、政府や地方公共団体、医療関係者、専門家、事業者を含む国民が相互に連携しながら、「三つの密」の回避や「人と人との距離の確保」「マスクの着用」「手洗いなどの手指衛生」をはじめとした基本的な感染対策の継続など、感染拡大を予防する「新しい生活様式」を社会経済全体に定着させていく必要がある。事業者において、業種ごとに策定される感染拡大予防ガイドライン等が実践されることも重要である。
また、再度、感染が拡大する場合に備える必要がある。新規感染者数の増大に十分対応することができるよう、医療提供体制の維持に向けて万全の準備を進めておく必要があるほか、検査体制の強化、保健所の体制強化及びクラスター対策の強化等に取り組むことが重要である。
こうした取組を実施することにより、感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を持続的に可能としていく。
本指針は、国民の生命を守るため、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況を的確に把握し、政府や地方公共団体、医療関係者、専門家、事業者を含む国民が一丸となって、新型コロナウイルス感染症対策をさらに進めていくため、今後講じるべき対策を現時点で整理し、対策を実施するにあたって準拠となるべき統一的指針を示すものである。

一 新型コロナウイルス感染症発生の状況に関する事実

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我が国においては、令和2年1月15日に最初の感染者が確認された後、5月23日までに、合計46都道府県において合計16,375人の感染者、820人の死亡者が確認されている。
都道府県別の動向としては、東京都及び大阪府、北海道、茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府、兵庫県、福岡県の13都道府県については、累積患者数が100人を超えるとともに、感染経路が不明な感染者数が半数程度以上に及んでおり、また直近1週間の倍加時間が10日未満であったことなどから、特に重点的に感染拡大の防止に向けた取組を進めていく必要がある都道府県として、本対処方針において特定都道府県(緊急事態宣言の対象区域に属する都道府県)の中でも「特定警戒都道府県」と位置付けて対策を促してきた。
また、これら特定警戒都道府県以外の県についても、都市部からの人の移動等によりクラスターが都市部以外の地域でも発生し、感染拡大の傾向が見られ、そのような地域においては、医療提供体制が十分に整っていない場合も多く、感染が拡大すれば、医療が機能不全に陥る可能性が高いことや、政府、地方公共団体、医療関係者、専門家、事業者を含む国民が一丸となって感染拡大の防止に取り組むためには、全都道府県が足並みをそろえた取組が行われる必要があることなどから、全ての都道府県について緊急事態措置を実施すべき区域として感染拡大の防止に向けた対策を促してきた。
その後、令和2年5月1日及び4日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(以下「専門家会議」という。)の見解を踏まえ、5月上旬には、未だ全国的に、相当数の新規報告数が確認されており、今後の急激な感染拡大を抑止できる程度にまで、新規感染者を減少させるための取組を継続する必要があったことなどから、引き続き、それまでの枠組みを維持し、全ての都道府県について緊急事態措置を実施すべき区域(特定警戒都道府県は前記の13都道府県とする。)として感染拡大の防止に向けた取組を進めてきた。
その後、全国的に新規報告数の減少が見られ、また、新型コロナウイルス感染症に係る重症者数も減少傾向にあることが確認され、さらに、病床等の確保も進み、医療提供体制のひっ迫の状況も改善されてきた。
緊急事態措置を実施すべき区域の判断にあたっては、これまで基本的対処方針においても示してきたとおり、以下の三点に特に着目した上で、総合的に判断する必要がある。

①感染の状況(疫学的状況)

オーバーシュートの兆候は見られず、クラスター対策が十分に実施可能な水準の新規報告数であるか否か。

②医療提供体制

感染者、特に重症者が増えた場合でも、十分に対応できる医療提供体制が整えられているか否か。

③監視体制

感染が拡大する傾向を早期に発見し、直ちに対応するための体制が整えられているか否か。
これらの点を踏まえ、各区域について、緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認めるにあたっても、新型コロナウイルス感染症の感染の状況、医療提供体制、監視体制等を踏まえて総合的に判断する(区域の判断にあたっての考え方)。
感染の状況については、1週間単位で見て新規報告数が減少傾向にあること、及び、3月上中旬頃の新規報告数である、クラスター対策が十分に実施可能な水準にまで新規報告数が減少しており、現在のPCR検査の実施状況等を踏まえ、直近1週間の累積報告数が10万人あたり0.5人程度以下であることを目安とする。直近1週間の10万人あたり累積報告数が、1人程度以下の場合には、減少傾向を確認し、特定のクラスターや院内感染の発生状況、感染経路不明の症例の発生状況についても考慮して、総合的に判断する。
医療提供体制については、新型コロナウイルス感染症の重症者数が持続的に減少しており、病床の状況に加え、都道府県新型コロナウイルス対策調整本部、協議会の設置等により患者急増に対応可能な体制が確保されていることとする。
監視体制については、医師が必要とするPCR検査等が遅滞なく行える体制が整備されていることとする。
令和2年5月14日には、以上の「区域判断にあたっての考え方」を踏まえて総合的に判断したところ、北海道、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、京都府、大阪府及び兵庫県の8都道府県については、直近1週間の累積報告数が10万人あたり0.5人以上であることなどから、引き続き特定警戒都道府県として、特に重点的に感染拡大の防止に向けた取組を進めていくこととなった。
また、令和2年5月21日には、同様に、分析・評価を行い、総合的に判断したところ、北海道、埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県の5都道県については、直近1週間の累積報告数が10万人あたり0.5人以上であることなどから、引き続き特定警戒都道府県として、特に重点的に感染拡大の防止に向けた取組を進めていく必要があった。
その後、令和2年5月25日に改めて感染状況の変化等について分析・評価を行い、「区域判断にあたっての考え方」を踏まえて総合的に判断したところ、全ての都道府県が緊急事態措置を実施すべき区域に該当しないこととなったため、同日、緊急事態解除宣言が発出された。
緊急事態宣言が解除された後も、全ての都道府県において、後述する「(3)まん延防止6)緊急事態宣言解除後の都道府県における取組等」を踏まえ、基本的な感染防止策の徹底等を継続する必要があるとともに、感染の状況等を継続的に監視し、その変化に応じて、迅速かつ適切に感染拡大防止の取組を行う必要がある。
また、再度、感染が拡大し、まん延のおそれがあると認められ、緊急事態措置を実施すべき区域とするにあたっては、4月7日時点の感染の状況も踏まえて、令和2年4月7日変更の基本的対処方針で示してきた考え方と基本的には同様の考え方に立ち、オーバーシュートの予兆が見られる場合には迅速に対応することとし、直近の報告数や倍加時間、感染経路の不明な症例の割合等を踏まえて、総合的に判断する。
新型コロナウイルス感染症については、下記のような特徴がある。
  •  一般的な状況における感染経路の中心は飛沫感染及び接触感染であるが、閉鎖空間において近距離で多くの人と会話する等の一定の環境下であれば、咳やくしゃみ等の症状がなくても感染を拡大させるリスクがあるとされている。また、発症前2日の者や無症候の者からの感染の可能性も指摘されている。一方、人と人との距離を確保することにより、大幅に感染リスクが下がるとされている。
  •  集団感染が生じた場の共通点を踏まえると、特に①密閉空間(換気の悪い密閉空間である)、②密集場所(多くの人が密集している)、③密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる)という3つの条件(以下「三つの密」という。)のある場では、感染を拡大させるリスクが高いと考えられる。また、これ以外の場であっても、人混みや近距離での会話、特に大きな声を出すことや歌うことにはリスクが存在すると考えられる。激しい呼気や大きな声を伴う運動についても感染リスクがある可能性が指摘されている。
  •  これまで、繁華街の接待を伴う飲食店等、ライブハウス、バー、スポーツジムや運動教室等の屋内施設においてクラスターが確認されてきたが、現在では医療機関及び福祉施設等での集団感染が見受けられる状況であり、限定的に日常生活の中での感染のリスクが生じてきているものの、広く市中で感染が拡大しているわけではないと考えられる。
  •  世界保健機関(World Health Organization: WHO)によると、現時点において潜伏期間は1-14日(一般的には約5-6日)とされており、また、厚生労働省では、これまでの新型コロナウイルス感染症の情報なども踏まえて、濃厚接触者については14日間にわたり健康状態を観察することとしている。
  •  新型コロナウイルスに感染すると、発熱や呼吸器症状が1週間前後持続することが多く、強いだるさ(倦怠感)や強い味覚・嗅覚障害を訴える人が多いことが報告されている。
  •  中国における報告(令和2年3月9日公表)では、新型コロナウイルス感染症の入院期間の中央値は11日間と、季節性インフルエンザの3日間よりも、長くなることが報告されている。
  •  罹患しても約8割は軽症で経過し、また、感染者の8割は人への感染はないと報告されている。さらに入院例も含めて治癒する例も多いことが報告されている。
  •  重症度としては、季節性インフルエンザと比べて死亡リスクが高いことが報告されている。中国における報告(令和2年2月28日公表)では、確定患者での致死率は2.3%、中等度以上の肺炎の割合は18.5%であることが報告されている。季節性インフルエンザに関しては、致死率は0.00016%-0.001%程度、肺炎の割合は1.1%-4.0%、累積推計患者数に対する超過死亡者数の比は約0.1%であることが報告されている。このように新型コロナウイルス感染症における致死率及び肺炎の割合は、季節性インフルエンザに比べて、相当程度高いと考えられる。また、特に、高齢者・基礎疾患を有する者では重症化するリスクが高いことも報告されており、医療機関や介護施設等での院内感染対策、施設内感染対策が重要となる。上記の中国における報告では、年齢ごとの死亡者の割合は、60歳以上の者では6%であったのに対して、30歳未満の者では0.2%であったとされている。
  •  日本における報告(令和2年4月30日公表)では、症例の大部分は20歳以上、重症化の割合は7.7%、致死率は2.5%であり、60歳以上の者及び男性における重症化する割合及び致死率が高いと報告されている。
  •  日本国内におけるウイルスの遺伝子的な特徴を調べた研究によると、令和2年1月から2月にかけて、中国武漢から日本国内に侵入した新型コロナウイルスは3月末から4月中旬に封じ込められた(第一波)一方で、その後欧米経由で侵入した新型コロナウイルスが日本国内に拡散したものと考えられている(第二波)。
  •  感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)第12条に基づき、令和2年3月31日までに報告された患者における、発症日から報告日までの平均期間は9.0日であった。
  •  新型コロナウイルス感染症の感染力を調べた台湾の研究では、新型コロナウイルス感染症は、発症前から発症直後の時期に最も感染力が高く、発症6日目以降は感染力が大きく低下することが示されている。
  •  現時点では、対症療法が中心であるが、5月7日、レムデシビルが、重症患者に対する治療薬として特例承認された。これ以外のいくつかの既存の候補薬についても、患者の観察研究等が進められている。また、5月13日に、迅速診断用の抗原検査キットが承認されている。
     なお、現時点ではワクチンが存在しないことから、新型インフルエンザ等対策政府行動計画に記載されている施策のうち、予防接種に係る施策については、本基本的対処方針には記載していない。
  •  新型コロナウイルス感染症による日本での経済的な影響を調べた研究では、クレジットカードの支出額によれば、人との接触が多い業態や在宅勤務(テレワーク)の実施が困難な業態は、3月以降、売り上げがより大きく減少しており、影響を受けやすい業態であったことが示されている。
  •  現時点では、新型コロナウイルス感染症は未だ不明な点が多い感染症である。

二 新型コロナウイルス感染症の対処に関する全般的な方針

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① 緊急事態宣言が解除された後は、感染拡大を予防する「新しい生活様式」の定着等を前提として、地域の感染状況や医療提供体制の確保状況等を踏まえながら、一定の移行期間を設け、外出の自粛や施設の使用制限の要請等を緩和しつつ、段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていく。その際、感染状況は地域によって異なることから、各都道府県知事が適切に判断する必要があるとともに、人の移動があることから、隣県など社会経済的につながりのある地域の感染状況に留意する必要がある。
② 感染拡大を予防する「新しい生活様式」を社会経済全体に定着させていくとともに、事業者に対して業種ごとに策定される感染拡大予防ガイドライン等の実践を促していく。
③ 新型コロナウイルス感染症は、今後も、感染拡大のリスクが存在するため、監視体制の整備及び的確な情報提供・共有により、感染状況等を継続的に監視する。また、感染が拡大する場合に備え、医療提供体制の維持に向けて万全の準備を進めるほか、検査機能の強化、保健所の体制強化及びクラスター対策の強化等に取り組む。
④ 的確な感染拡大防止策及び経済・雇用対策により、感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を持続的に可能としていく。
⑤ 再度、感染の拡大が認められた場合には、速やかに強い感染拡大防止対策等を講じる。

三 新型コロナウイルス感染症対策の実施に関する重要事項

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(1)情報提供・共有

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① 政府は、以下のような、国民に対する正確で分かりやすく、かつ状況の変化に即応した情報提供や呼びかけを行い、行動変容に資する啓発を進めるとともに、冷静な対応をお願いする。

  •  発生状況や患者の病態等の臨床情報等の正確な情報提供。
  •  国民にわかりやすい疫学解析情報の提供。
  •  医療提供体制及び検査体制に関するわかりやすい形での情報の提供。
  •  「三つの密」の回避や、「人と人との距離の確保」「マスクの着用」「手洗いなどの手指衛生」をはじめとした基本的な感染対策の継続など、感染拡大を予防する「新しい生活様式」の定着に向けた周知。
  •  室内で「三つの密」を避ける。特に、日常生活及び職場において、人混みや近距離での会話、多数の者が集まり室内において大きな声を出すことや歌うこと、呼気が激しくなるような運動を行うことを避けるように強く促す。飲食店等においても「三つの密」のある場面は避けること。
  •  業種ごとに策定される感染拡大予防ガイドライン等の実践。
  •  風邪症状など体調不良が見られる場合の休暇取得、学校の欠席、外出自粛等の呼びかけ。
  •  感染リスクを下げるため、医療機関を受診する時は、予め電話で相談することが望ましいことの呼びかけ。
  •  「新しい生活様式」の在り方の周知。
  •  室内で「三つの密」を避ける。特に、日常生活及び職場において、人混みや近距離での会話、多数の者が集まり室内において大きな声を出すことや歌うこと、呼気が激しくなるような運動を行うことを避けるように強く促す。飲食店等においても「三つの密」のある場面は避けること。
  •  業種ごとに策定される感染拡大予防ガイドライン等の実践。
  •  風邪症状など体調不良が見られる場合の休暇取得、学校の欠席、外出自粛等の呼びかけ。
  •  感染リスクを下げるため、医療機関を受診する時は、予め電話で相談することが望ましいことの呼びかけ。
  •  新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の考え方をわかりやすく周知。
  •  感染者・濃厚接触者や、診療に携わった医療機関・医療関係者その他の対策に携わった方々に対する誤解や偏見に基づく差別を行わないことの呼びかけ。
  •  従業員及び学生の健康管理や感染対策の徹底についての周知。
  •  家族以外の多人数での会食を避けること。
  •  今回の対策では、「ロックダウン」(都市封鎖)のような施策は政府として実施しないことを周知し、国民の落ち着いた対応(不要不急の帰省や旅行など都道府県をまたいだ移動の自粛等や商店への殺到の回避及び買い占めの防止)の呼びかけ。

② 政府は、広報担当官を中心に、官邸のウェブサイトにおいて厚生労働省等の関係省庁のウェブサイトへのリンクを紹介するなどして有機的に連携させ、かつ、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)等の媒体も積極的に活用することで、迅速かつ積極的に国民等への情報発信を行う。
③ 政府は、民間企業等とも協力して、情報が必ずしも届いていない層に十分な情報が行き届くよう、丁寧な情報発信を行う。
④ 厚生労働省は、感染症の発生状況やクラスターの発生場所、規模等について迅速に情報を公開する。
⑤ 外務省は、全世界で感染が拡大していることを踏まえ、各国に滞在する邦人等への適切な情報提供、支援を行う。
⑥ 政府は、検疫所からの情報提供に加え、企業等の海外出張又は長期の海外滞在のある事業所、留学や旅行機会の多い大学等においても、帰国者への適切な情報提供を行い、渡航の是非の判断・確認や、帰国者に対する2週間の外出自粛の要請等の必要な対策を講じるよう周知を図る。
⑦ 政府は、国民、在留外国人、外国人旅行者及び外国政府への適切かつ迅速な情報提供を行い、国内でのまん延防止と風評対策につなげる。また、政府は、日本の感染対策や感染状況の十分な理解を醸成するよう、諸外国に対して情報発信に努める。
⑧ 地方公共団体は、政府との緊密な情報連携により、様々な手段により住民に対して地域の感染状況に応じたメッセージや注意喚起を行う。
⑨ 都道府県等は、厚生労働省や専門家と連携しつつ、積極的疫学調査により得られた情報を分析し、今後の対策に資する知見をまとめて、国民に還元するよう努める。
⑩ 政府は、今般の新型コロナウイルス感染症に係る事態が行政文書の管理に関するガイドライン(平成23年4月1日内閣総理大臣決定)に基づく「歴史的緊急事態」と判断されたことを踏まえた対応を行う。地方公共団体も、これに準じた対応に努める。

(2)サーベイランス・情報収集

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① 感染症法第12条に基づく医師の届出により疑似症患者を把握し、医師が必要と認める検査を実施する。
② 厚生労働省及び都道府県、保健所設置市、特別区(以下「都道府県等」という。)は、感染が拡大する傾向が見られる場合はそれを迅速に察知して的確に対応できるよう、戦略的サーベイランス体制を整えておく必要がある。また、社会経済活動と感染症予防の両立を進めるためにも感染状況を的確に把握できる体制を持つことが重要であるとの認識の下、地方衛生研究所や民間の検査機関等の関係機関における検査体制の一層の強化、地域の関係団体と連携した地域外来・検査センターの設置等を迅速に進めるとともに、新しい検査技術についても医療現場に迅速に導入する。都道府県は、医療機関等の関係機関により構成される会議体を設けること等により、民間の検査機関等の活用促進を含め、PCR等検査の実施体制の把握・調整等を図る。さらに、厚生労働省は、PCR検査及び抗原検査の役割分担について検討・評価を行う。また、これらを踏まえ、検査が必要な者に、より迅速・円滑に検査を行い、医療従事者はもとよりその他の濃厚接触者に対するPCR等検査の拡大に向けて取組を進めるとともに、院内・施設内感染対策の強化を図る。国と都道府県等で協働して今後の感染拡大局面も見据えた準備を進めるため、厚生労働省は、相談・検体採取・検査の一連のプロセスを通じた対策強化について都道府県等に指針を示すとともに、これらの対策の促進のため、財政的な支援をはじめ必要な支援を行い、都道府県等は、各プロセスを点検し、対策を実施する。
③ 厚生労働省は、感染症法第12条に基づく医師の届出とは別に、市中での感染状況を含め国内の流行状況等を把握するため、抗体保有状況に関する調査など有効なサーベイランスの仕組みを構築する。仕組みの構築にあたっては現場が混乱しないように留意する。また、インフルエンザ・肺炎死亡における、いわゆる超過死亡についても、現行システムの改善も含め、適切に把握できるよう、早急に体制を整える。
④ 厚生労働省は、医療機関や保健所の事務負担の軽減を図りつつ、患者等に関する情報を関係者で迅速に共有するための情報把握・管理支援システム(Health Center Real-time Information-sharing System on COVID-19. HER-SYS)を早急に全国展開する。また、本システムを活用し、都道府県別の陽性者数やPCR等検査の実施状況などの統計データの収集・分析を行い、適宜公表し、より効果的・効率的な対策に活用していく。 ⑤ 政府は、医療機関の空床状況や人工呼吸器・ECMOの保有・稼働状況等を迅速に把握する医療機関等情報支援システム(Gathering Medical Information System. G-MIS)を構築・運営し、医療提供状況を一元的かつ即座に把握するとともに、都道府県等にも提供し、迅速な患者の受入調整等にも活用する。
⑥ 文部科学省及び厚生労働省は、学校等での集団発生の把握の強化を図る。
⑦ 政府は、迅速診断用の簡易検査キット等の開発の支援を引き続き進め、可及的速やかに国内での供給体制を整備する。
⑧ 都道府県は、自治体間での迅速な情報共有に努めるとともに、県下の感染状況について、リスク評価を行う。

(3)まん延防止

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1)外出の自粛(後述する職場への出勤を除く)

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① 特定警戒都道府県は、引き続き、「最低7割、極力8割程度の接触機会の低減」を目指して、法第45条第1項に基づく外出の自粛について協力の要請を行うものとする。その際、不要不急の帰省や旅行など、都道府県をまたいで人が移動することは、感染拡大防止の観点から極力避けるよう住民に促す。また、これまでにクラスターが発生している、繁華街の接待を伴う飲食店等については、年齢等を問わず、外出を自粛するよう促す。
 一方、医療機関への通院、食料・医薬品・生活必需品の買い出し、必要な職場への出勤、屋外での運動や散歩など、生活や健康の維持のために必要なものについては外出の自粛要請の対象外とする。
 また、「三つの密」を徹底的に避けるとともに、「人と人との距離の確保」「マスクの着用」「手洗いなどの手指衛生」等の基本的な感染対策の徹底は当然として、接触機会の8割低減を目指し、あらゆる機会を捉えて、4月22日の専門家会議で示された「10のポイント」、5月4日の専門家会議で示された「新しい生活様式の実践例」等を活用して住民に周知を行うものとする。
② 特定警戒都道府県以外の特定都道府県は、法第24条第9項等に基づき、不要不急の帰省や旅行など、都道府県をまたいで人が移動することは、感染拡大防止の観点から極力避けるよう住民に促すともに、これまでにクラスターが発生している、繁華街の接待を伴う飲食店等については、年齢等を問わず、外出を自粛するよう促す。
 このほか、これまでにクラスターが発生しているような場や、「三つの密」のある場については、これまでと同様、外出を自粛するよう促すものとする。
 一方で、これら以外の外出については、5月1日及び4日の専門家会議の提言を踏まえ、「三つの密」の回避や、「人と人との距離の確保」「マスクの着用」「手洗いなどの手指衛生」をはじめとした基本的な感染対策の継続など、感染拡大を予防する「新しい生活様式」の徹底を住民に求めていくものとする。
 その際、今後、持続的な対策が必要になると見込まれることを踏まえ、こうした新しい生活様式を定着していくことの趣旨や必要性について、あらゆる機会を捉えて、4月22日の専門家会議で示された「10のポイント」、5月4日の専門家会議で示された「新しい生活様式の実践例」等を活用して住民に周知を行うものとする。
 なお、仮に、再度、感染の拡大傾向が認められる地域については、必要に応じて、上記①と同様の行動制限を求めることを検討する。

2)催物(イベント等)の開催制限

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特定警戒都道府県及び特定警戒都道府県以外の特定都道府県は、クラスターが発生するおそれがある催物(イベント等)や「三つの密」のある集まりについては、法第24条第9項及び法第45条第2項等に基づき、開催の自粛の要請等を行うものとする。特に、全国的かつ大規模な催物等の開催については、感染リスクへの対応が整わない場合は中止又は延期するよう、主催者に慎重な対応を求める。なお、特定警戒都道府県以外の特定都道府県は、感染防止策を講じた上での比較的少人数のイベント等については、適切に対応する。ただし、感染拡大リスクの態様に十分留意する。
また、スマートフォンを活用した接触確認アプリについては、世界各国の公衆衛生当局において開発と導入が進められているところ、我が国においても導入が検討されており、接触率の低減、感染の拡大防止に寄与すること等を周知する。

3)施設の使用制限等(前述した催物(イベント等)の開催制限、後述する学校等を除く)

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① 特定警戒都道府県は、法第24条第9項及び法第45条第2項等に基づき、感染の拡大につながるおそれのある施設の使用制限の要請等を行うものとする。これらの場合における要請等にあたっては、第1段階として法第24条第9項による協力の要請を行うこととし、それに正当な理由がないにもかかわらず応じない場合に、第2段階として法第45条第2項に基づく要請、次いで同条第3項に基づく指示を行い、これらの要請及び指示の公表を行うものとする。
 特定警戒都道府県は、法第24条第9項に基づく施設の使用制限等の要請を行い、また、法第45条第2項から第4項までに基づく施設の使用制限等の要請、指示を行うにあたっては、国に協議の上、外出の自粛等の協力の要請の効果を見極め、専門家の意見も聴きつつ行うものとする。政府は、新型コロナウイルス感染症の特性及び感染の状況を踏まえ、施設の使用制限等の要請、指示の対象となる施設等の所要の規定の整備を行うものとする。
 なお、施設の使用制限の要請等を検討するにあたっては、これまでの対策に係る施設の種別ごとの効果や感染拡大リスクの態様、対策が長く続くことによる社会経済や住民の生活・健康等への影響について留意し、地域の感染状況等に応じて、各都道府県知事が適切に判断するものとする。例えば、博物館、美術館、図書館などについては、住民の健康的な生活を維持するため、感染リスクも踏まえた上で、人が密集しないことなど感染防止策を講じることを前提に開放することなどが考えられる。また、屋外公園を閉鎖している場合にも、同様に対応していくことが考えられる。
また、特定警戒都道府県は、特定の施設等に人が集中するおそれがあるときは、当該施設に対して入場者の制限等の適切な対応を求めることとする。
② 特定警戒都道府県以外の特定都道府県は、法第24条第9項等に基づく施設の使用制限の要請等については、感染拡大の防止及び社会経済活動の維持の観点から、地域の実情に応じて判断を行うものとする。その際、クラスター発生の状況が一定程度、明らかになった中で、これまでにクラスターが発生しているような施設や、「三つの密」のある施設については、地域の感染状況等を踏まえ、施設の使用制限の要請等を行うことを検討する。一方で、クラスターの発生が見られない施設については、「入場者の制限や誘導」「手洗いの徹底や手指の消毒設備の設置」「マスクの着用」等の要請を行うことを含め、「三つの密」を徹底的に避けること、室内の換気や人と人との距離を適切にとることなどをはじめとして基本的な感染対策の徹底等を行うことについて施設管理者に対して強く働きかけを行うものとする。また、感染拡大の防止にあたっては、早期の導入に向けて検討を進めている接触確認アプリを活用して、施設利用者に係る感染状況等の把握を行うことも有効であることを周知する。
 特定警戒都道府県以外の特定都道府県は、法第24条第9項に基づく施設の使用制限等の要請を行い、また、法第45条第2項から第4項までに基づく施設の使用制限等の要請、指示を行うにあたっては、国に協議の上、外出の自粛等の協力の要請の効果を見極め、専門家の意見も聴きつつ行うものとする。
 なお、特定警戒都道府県以外の特定都道府県は、特定の施設等に人が集中するおそれがあるときは、当該施設に対して入場者の制限等の適切な対応を求める。
③ 事業者及び関係団体は、今後の持続的な対策を見据え、業種ごとに策定される感染拡大予防ガイドライン等を実践するなど、自主的な感染防止のための取組を進める。その際、政府は、専門家の知見を踏まえ、関係団体等に必要な情報提供や助言等を行う。

4)職場への出勤等

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① 特定警戒都道府県は、事業者に対して、以下の取組を行うよう働きかけを行うものとする。

  •  職場への出勤は、外出自粛等の要請の対象から除かれるものであるが、引き続き、「出勤者数の7割削減」を目指すことも含め接触機会の低減に向け、在宅勤務(テレワーク)や、出勤が必要となる職場でもローテーション勤務等を強力に推進すること。
  •  職場に出勤する場合でも、時差出勤、自転車通勤等の人との接触を低減する取組を引き続き強力に推進すること。
  •  職場においては、感染防止のための取組(手洗いや手指消毒、咳エチケット、職員同士の距離確保、事業場の換気励行、複数人が触る箇所の消毒、発熱等の症状が見られる従業員の出勤自粛、出張による従業員の移動を減らすためのテレビ会議の活用等)を促すとともに、「三つの密」を避ける行動を徹底するよう促すこと。
  •  別添に例示する国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な業務を行う事業者及びこれらの業務を支援する事業者においては、「三つの密」を避けるために必要な対策を含め、十分な感染拡大防止対策を講じつつ、事業の特性を踏まえ、業務を継続すること。

② 特定警戒都道府県以外の特定都道府県は、今後、持続的な対策が必要になると見込まれることを踏まえ、事業者に対して、以下の取組を行うよう働きかけを行うものとする。

  •  引き続き、在宅勤務(テレワーク)を推進するとともに、職場に出勤する場合でも、ローテーション勤務、時差出勤、自転車通勤等の人との接触を低減する取組を推進すること。
  •  職場においては、感染防止のための取組(手洗いや手指消毒、咳エチケット、職員同士の距離確保、事業場の換気励行、複数人が触る箇所の消毒、発熱等の症状が見られる従業員の出勤自粛、出張による従業員の移動を減らすためのテレビ会議の活用等)を促すとともに、「三つの密」を避ける行動を徹底するよう促すこと。
  •  別添に例示する国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な業務を行う事業者及びこれらの業務を支援する事業者においては、「三つの密」を避けるために必要な対策を含め、十分な感染拡大防止対策を講じつつ、事業の特性を踏まえ、業務を継続すること。

③ 政府及び地方公共団体は、在宅勤務(テレワーク)、ローテーション勤務、時差出勤、自転車通勤等、人との接触を低減する取組を自ら進めるとともに、事業者に対して必要な支援等を行う。

5)学校等の取扱い

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① 文部科学省は、「新しい生活様式」を踏まえ、「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」等において示した学校の行動基準や具体的な感染症予防対策について周知を行うとともに、地域の感染状況に応じて、感染予防に最大限配慮した上で、児童生徒等の学びを保障するための総合的な対策を早急に取りまとめる。都道府県は、学校設置者に対し、保健管理等の感染症対策について指導するとともに、地域の感染状況や学校関係者の感染者情報について速やかに情報共有を行うものとする。
② 厚生労働省は、保育所や放課後児童クラブ等について、保育の縮小や臨時休園等についての考え方を示す。その際、可能な保護者に登園を控えるようお願いするなど保育等の提供を縮小して実施することや、医療従事者や社会の機能を維持するために就業継続が必要な者、ひとり親などで仕事を休むことが困難な者の子ども等の保育等を確保しつつ臨時休園することの考え方を示す。

6)緊急事態措置の対象とならない都道府県における取組等

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① 都道府県は、今後、持続的な対策が必要になると見込まれることを踏まえ、住民や事業者に対して、以下の取組を行うものとする。その際、「新しい生活様式」が社会経済全体に定着するまで、一定の移行期間を設けることとし、概ね3週間ごと(例えば、①6月18日までの3週間程度、②その後の3週間程度、③②の後の3週間程度)に地域の感染状況や感染拡大リスク等について評価を行いながら、外出の自粛、催物(イベント等)の開催制限、施設の使用制限の要請等を段階的に緩和するものとする。
(外出の自粛等)

  •  「三つの密」の回避や、「人と人との距離の確保」「マスクの着用」「手洗いなどの手指衛生」をはじめとした基本的な感染対策の継続など、感染拡大を予防する「新しい生活様式」の定着が図られるよう、あらゆる機会を捉えて、4月22日の専門家会議で示された「10のポイント」、5月4日の専門家会議で示された「新しい生活様式の実践例」等について住民や事業者に周知を行うこと。
  •  不要不急の帰省や旅行など、都道府県をまたぐ移動は、5月末までは、感染拡大防止の観点から避けるよう促すこと。
     その後、①の段階においては、5月25日の緊急事態宣言解除の際に特定警戒都道県であった地域との間の移動は、慎重に対応するよう促すこと。
     また、観光振興の観点からの人の移動については、まずは県内観光の振興から取り組むこととし(①の段階からが想定される)、その状況を踏まえつつ、県外からの人の呼び込みを実施すること(②の段階からが想定される)。
  •  これまでにクラスターが発生しているような施設への外出は、5月末までは、感染拡大防止の観点から避けるよう促すこと。
     その後、施設や業態の特性等による感染拡大リスクを考慮し、業種ごとに策定される感染拡大予防ガイドライン等が実践されるなど感染防止策が徹底されれば一定の安全性が確保できると考えられる業種については、ガイドラインの徹底等を前提として、①の段階からの外出の自粛要請等の緩和を検討すること。
     一方、現段階において一定の安全性を確保することが難しいと考えられる業種については、①の段階において、施設や業態の特性等に応じた感染防止策に関して、専門家の意見を聴きつつ更に検討された結果を踏まえ、感染防止策の徹底等により一定の安全性が確保されると考えられる場合には、②の段階からの外出の自粛要請等の緩和を検討すること。
  •  感染拡大の兆候や施設等におけるクラスターの発生があった場合、国と連携して、外出の自粛に関して速やかに住民に対して必要な協力の要請等を行うこと。

(催物(イベント等)の開催)

  •  催物等の開催に対する中止又は延期要請等については、「新しい生活様式」や業種ごとに策定されるガイドラインに基づく適切な感染防止策が講じられることを前提に、①~③の概ね3週間ごとに、地域の感染状況や感染拡大リスク等について評価を行いながら、段階的に規模要件(人数上限)を緩和すること。その際、屋内で開催される催物等については、収容定員に対する参加人数の割合を半分程度以内とする要件を付すこと。
     また、催物等の態様(屋内であるか、屋外であるか、また、全国的なものであるか、地域的なものであるか等)や種別(コンサート、展示会、スポーツの試合や大会、お祭りなどの行事等)に応じて、開催の要件や主催者において講じるべき感染防止策を検討すること。
     なお、全国的な人の移動を伴うような規模の大きなイベント(スポーツの試合等)については、段階的な緩和を図っていく中で(②の段階が想定される)、まずは無観客での開催を求めること。
     上記の移行期間において、各段階の一定規模以上の催物等の開催については、リスクへの対応が整わない場合は中止又は延期するよう、主催者に慎重な対応を求めること。
     催物等の開催にあたっては、その規模に関わらず、「三つの密」が発生しない席配置や「人と人との距離の確保」、「マスクの着用」、催物の開催中や前後における選手、出演者や参加者等に係る主催者による行動管理等、基本的な感染防止策が講じられるよう、主催者に対して強く働きかけるとともに、参加者名簿を作成して連絡先等を把握しておくことや、導入が検討されている接触確認アプリの活用等について、主催者に周知すること。
  •  感染拡大の兆候や催物等におけるクラスターの発生があった場合、国と連携して、催物等の無観客化、中止又は延期等を含めて、速やかに主催者に対して必要な協力の要請等を行うこと。

(職場への出勤等)

  •  事業者に対して、引き続き、在宅勤務(テレワーク)、時差出勤、自転車通勤等、人との接触を低減する取組を働きかけるとともに、職場や店舗等に関して、業種ごとに策定される感染拡大予防ガイドライン等の実践をはじめとして、感染拡大防止のための取組が適切に行われるよう働きかけること。

(施設の使用制限等)

  •  これまでにクラスターが発生しているような施設や、「三つの密」のある施設については、引き続き、地域の感染状況等を踏まえ、施設管理者等に対して必要な協力を依頼すること。その際、前述した「外出の自粛等」に関する「これまでにクラスターが発生しているような施設」に係る取扱いと同様に対応するよう検討すること。
  •  感染拡大の兆候や施設等におけるクラスターの発生があった場合、国と連携して、施設の使用制限等を含めて、速やかに施設管理者等に対して必要な協力の要請等を行うこと。

② 都道府県は、感染の状況等を継続的に監視し、その変化が認められた場合、住民に適切に情報提供を行い、感染拡大への警戒を呼びかけるものとする。
③ 都道府県は、感染拡大の傾向が見られる場合には、本対処方針における「特定警戒都道府県以外の特定都道府県における取組(前記の1)②、2)、3)②、4)②)」に準じて、迅速かつ適切に法第24条第9項に基づく措置等を講じるものとする。都道府県は、できる限りその判断基準や考え方をあらかじめ設けておくこととし、その際は、令和2年5月14日の専門家会議提言において、「特定(警戒)都道府県の指定基準等を踏まえつつ、その半分程度の新規報告者数等で判断することが考えられる」とされていることを参考とする。
④ 都道府県は、①③の取組を行うにあたっては、あらかじめ国と迅速に情報共有を行う。

7)水際対策

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① 政府は、水際対策について、国内への感染者の流入及び国内での感染拡大を防止する観点から、入国制限、渡航中止勧告、帰国者のチェック・健康観察等の検疫の強化、査証の制限等の措置等を引き続き実施する。なお、厚生労働省は、関係省庁と連携し、健康観察について、保健所の業務負担の軽減や体制強化等を支援する。
② 諸外国での新型コロナウイルス感染症の発生の状況を踏まえて、必要に応じ、国土交通省は、航空機の到着空港の限定の要請等を行うとともに、厚生労働省は、特定検疫港等の指定を検討する。
③ 厚生労働省は、停留に利用する施設が不足する場合には、法第29条の適用も念頭に置きつつも、必要に応じ、関係省庁と連携して、停留に利用可能な施設の管理者に対して丁寧な説明を行うことで停留施設の確保に努める。

8)クラスター対策の強化

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① 都道府県等は、厚生労働省や専門家と連携しつつ、積極的疫学調査により、個々の濃厚接触者を把握し、健康観察、外出自粛の要請等を行うとともに、感染拡大の規模を適確に把握し、適切な感染対策を行う。
② 政府は、関係機関と協力して、クラスター対策にあたる専門家の確保及び育成を行う。
③ 厚生労働省及び都道府県等は、関係機関と協力して、特に、感染拡大の兆しが見られた場合には、専門家やその他人員を確保し、その地域への派遣を行う。
④ 政府及び都道府県等は、クラスター対策を抜本強化するという観点から、保健所の体制強化に迅速に取り組む。これに関連し、特定都道府県は、管内の市町村と迅速な情報共有を行い、また、対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、法第24条に基づく総合調整を行う。さらに、都道府県等は、クラスターの発見に資するよう、自治体間の迅速な情報共有に努めるとともに、政府は、対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、法第20条に基づく総合調整を行う。
⑤ 政府は、個人情報の保護及びプライバシーに十分配慮しながら、スマートフォン開発会社が開発しているアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を活用した接触確認アプリについて、接触率の低減及び感染の拡大防止に寄与すること等の国民理解を得つつ、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)及び保健所等と連携することにより、より効果的なクラスター対策につなげていく。

9)その他共通的事項等

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① 特定都道府県は、地域の特性に応じた実効性のある緊急事態措置を講じる。特定都道府県は、緊急事態措置を講じるにあたっては、法第5条を踏まえ、必要最小限の措置とするとともに、講じる措置の内容及び必要性等について、住民に対し丁寧に説明する。特定都道府県は、緊急事態措置を実施するにあたっては、法第20条に基づき国と密接に情報共有を行う。国は、専門家の意見を聴きながら、必要に応じ、特定都道府県と総合調整を行う。
② 政府及び地方公共団体は、今後、持続的な対策が必要になると見込まれることから、緊急事態措置を講じるにあたっては、感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を図ることに留意する。
③ 地方公共団体は、緊急事態措置について、罰則を伴う外出禁止の措置や都市間の交通の遮断等、諸外国で行われている「ロックダウン」(都市封鎖)のような施策とは異なるものであることを、政府と協力しつつ、住民に対し周知する。加えて、緊急事態措置を講じること等に伴い、食料・医薬品や生活必需品の買い占め等の混乱が生じないよう、住民に冷静な対応を促す。
④ 政府及び地方公共団体は、緊急事態措置の実施にあたっては、事業者の円滑な活動を支援するため、事業者からの相談窓口の設置、物流体制の確保、ライフラインの万全の体制の確保等に努める。
⑤ 政府は、関係機関と協力して、公共交通機関その他の多数の人が集まる施設における感染対策を徹底する。

(4)医療等

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① 重症者等に対する医療提供に重点を置いた入院医療の提供体制の確保を進めるため、厚生労働省と都道府県等は、関係機関と協力して、次のような対策を講じる。

  •  重症者等に対する医療提供に重点を置くべき地域では、入院治療が必要ない無症状病原体保有者及び軽症患者(以下「軽症者等」という。)は、宿泊施設等での療養とすることで、入院治療が必要な患者への医療提供体制の確保を図ること。
     特に、家庭内での感染防止や症状急変時の対応のため、宿泊施設が十分に確保されているような地域では、軽症者等は宿泊療養を基本とする。そのため、都道府県は、ホテルなどの一時的な宿泊療養施設及び運営体制の確保に努めるとともに、国は、都道府県と密接に連携し、その取組を支援すること。
     子育て等の事情によりやむを得ず自宅療養を行う際には、都道府県等は電話等情報通信機器を用いて遠隔で健康状態を把握していくとともに、医師が必要とした場合には電話等情報通信機器を用いて診療を行う体制を整備すること。
  •  都道府県は、患者が入院、宿泊療養、自宅療養をする場合に、その家族に要介護者や障害者、子ども等がいる場合は、市町村福祉部門の協力を得て、ケアマネージャー、相談支援専門員、児童相談所等と連携し、必要なサービスや支援を行うこと。
  •  病床の確保について、都道府県は、関係機関の協力を得て、新型コロナウイルス感染症の患者を集約して優先的に受け入れる医療機関の指定など、地域の医療機関の役割分担を行うとともに、結核病床や一般の医療機関の一般病床等を活用して、ピーク時の入院患者の受入れを踏まえて、必要な病床を確保すること。
     また、医療機関は、BCPも踏まえ、必要に応じ、医師の判断により延期が可能と考えられる予定手術や予定入院の延期を検討し、空床確保に努めること。
     さらに、都道府県は、仮設の診療所や病棟の設置、非稼働病床の利用、法第48条に基づく臨時の医療施設の開設について検討すること。厚生労働省は、その検討にあたって、必要な支援を行うこと。
  •  都道府県は、患者受入調整や移送調整を行う体制を整備するとともに、医療機関等情報支援システム(G-MIS)も活用し、患者受入調整に必要な医療機関の情報の見える化を行っておくこと。また、厚生労働省は、都道府県が患者搬送コーディネーターの配置を行うことについて、必要な支援を行うこと。
  •  さらに、感染拡大に伴う患者の急増に備え、都道府県は、都道府県域を越える場合も含めた広域的な患者の受入れ体制を確保すること。

② 新型コロナウイルス感染症が疑われる患者への外来診療・検査体制の確保のため、厚生労働省と都道府県等は、関係機関と協力して、次のような対策を講じる。

  •  帰国者・接触者相談センターを通じて、帰国者・接触者外来を受診することにより、適切な感染管理を行った上で、新型コロナウイルス感染症が疑われる患者への外来医療を提供すること。
  •  都道府県等は、関係機関と協力して、集中的に検査を実施する機関(地域外来・検査センター)の設置や、帰国者・接触者外来への医療従事者の派遣を行うこと。
     また、大型テントやプレハブ、いわゆるドライブスルー方式やウォークスルー方式による診療を行うことで、効率的な診療・検査体制を確保すること。あわせて、検査結果を踏まえて、患者の振り分けや、受け入れが適切に行われるようにすること。
  •  さらに患者が増加し、増設した帰国者・接触者外来や地域外来・検査センターでの医療提供の限度を超えるおそれがあると判断する都道府県では、厚生労働省に相談の上、必要な感染予防策を講じた上で、一般の医療機関での外来診療を行うこと。
     こうした状況では、感染への不安から安易に医療機関を受診することでかえって感染するリスクを高める可能性があることも踏まえ、症状が軽度である場合は、自宅での安静・療養を原則とし、肺炎が疑われるような強いだるさや息苦しさがあるなど状態が変化した場合は、すぐにでもかかりつけ医等に相談した上で、受診するよう周知すること。
  •  都道府県は、重症化しやすい方が来院するがんセンター、透析医療機関及び産科医療機関などは、必要に応じ、新型コロナウイルス感染症への感染が疑われる方への外来診療を原則行わない医療機関として設定すること。
  •  夏ごろまでを目途に、冬季のインフルエンザの流行を踏まえた外来医療の在り方を検討すること。

③ 新型コロナウイルス感染症患者のみならず、他の疾患等の患者への対応も踏まえて地域全体の医療提供体制を整備するため、厚生労働省と都道府県は、関係機関と協力して、次のような対策を講じる。

  •  都道府県は、地域の医療機能を維持する観点から、新型コロナウイルス感染症以外の疾患等の患者受入れも含めて、地域の医療機関の役割分担を推進すること。
  •  患者と医療従事者双方の新型コロナウイルス感染症の予防の観点から、初診を含めて、電話等情報通信機器を用いた診療体制の整備を推進すること。

④ 医療従事者の確保のため、厚生労働省と都道府県等は、関係機関と協力して、次のような対策を講じる。

  •  都道府県等は、現場で従事している医療従事者の休職・離職防止策や、潜在有資格者の現場復帰、医療現場の人材配置の転換等を推進すること。また、検査を含め、直接の医療行為以外に対しては、有資格者以外の民間の人材の活用を進めること。
  •  厚生労働省は、都道府県が法第31条に基づく医療等の実施の要請等を行うにあたって、必要な支援を実施すること。

⑤ 医療物資の確保のため、政府と都道府県等、関係機関は協力して、次のような対策を講じる。

  •  政府及び都道府県は、医療提供体制を支える医薬品や医療機器、医療資材の製造体制を確保し、医療機関等情報支援システム(G-MIS)も活用し、必要な医療機関に迅速かつ円滑に提供できる体制を確保するとともに、専門性を有する医療従事者や人工呼吸器等の必要な医療機器・物資・感染防御に必要な資材等を迅速に確保し、適切な感染対策の下での医療提供体制を整備すること。
  •  政府及び都道府県は、特に新型コロナウイルス感染症を疑う患者にPCR検査や入院の受入れを行う医療機関等に対しては、マスク等の個人防護具を優先的に確保する。

⑥ 医療機関及び高齢者施設等における施設内感染を徹底的に防止するため、厚生労働省と地方公共団体は、関係機関と協力して、次の事項について周知徹底を図る。

  •  医療機関及び高齢者施設等の設置者において、
    •  従事者等が感染源とならないよう、「三つの密」が生じる場を徹底して避けるとともに、
    •  症状がなくても患者や利用者と接する際にはマスクを着用する、
    •  手洗い・手指消毒の徹底、
    •  パソコンやエレベーターのボタンなど複数の従事者が共有するものは定期的に消毒する、
    •  食堂や詰め所でマスクをはずして飲食をする場合、他の従事者と一定の距離を保つ、
    •  日々の体調を把握して少しでも調子が悪ければ自宅待機する、
などの対策に万全を期すこと。
  •  医療機関及び高齢者施設等において、面会者からの感染を防ぐため、面会は緊急の場合を除き一時中止すべきこと。
  •  医療機関及び高齢者施設等において、患者、利用者からの感染を防ぐため、感染が流行している地域では、施設での通所サービスなどの一時利用を中止又は制限する、入院患者、利用者の外出、外泊を制限する等の対応を検討すべきであること。
  •  医療機関及び高齢者施設等において、入院患者、利用者等について、新型コロナウイルス感染症を疑った場合は、早急に個室隔離し、保健所の指導の下、感染対策を実施し、標準予防策、接触予防策、飛沫感染予防策を実施すること。

⑦ 都道府県は、感染者と非感染者の空間を分けるなどを含む感染防御策の更なる徹底などを通して、医療機関及び施設内での感染の拡大に特に注意を払う。
 また、特に感染が疑われる医療、施設従事者及び入院患者等については、率先してPCR検査等を受けさせるようにする。加えて、手術や医療的処置前などにおいて、当該患者について医師の判断により、PCR検査等が実施できる体制をとる。
⑧ この他、適切な医療提供・感染管理の観点で、厚生労働省と都道府県は、関係機関と協力して、次の事項に取り組む。

  •  外来での感染を防ぐため、関係機関と協力して、医療機関の外来において、一般の患者も含め、混雑を生じさせないよう、予約による診療や動線が適切に確保された休日夜間急患センターの施設活用などを推進すること。
  •  妊産婦に対する感染を防止する観点から、医療機関における動線分離等の感染対策を徹底するとともに、妊産婦が感染した場合であっても、安心して出産し、産後の生活が送れるよう、関係機関との協力体制を構築し、適切な支援を実施すること。また、関係機関と協力して、感染が疑われる妊産婦への早めの相談の呼びかけや、妊娠中の女性労働者に配慮した休みやすい環境整備などの取組を推進すること。
  •  小児医療について、関係学会等の意見を聞きながら、診療体制を検討し、地方公共団体と協力して体制整備を進めること。
  •  関係機関と協力して、外国人が医療を適切に受けることができるよう、医療通訳の整備などを、引き続き、強化すること。
  •  5月7日に特例承認されたレムデシビルの円滑な供給を図るとともに、関係省庁・関係機関とも連携し、有効な治療薬等の開発を加速すること。特に、他の治療で使用されている薬剤のうち、効果が期待されるものについて、その効果を検証するための臨床研究・治験等を速やかに実施すること。
  •  ワクチンについて、関係省庁・関係機関と連携し、迅速に開発等を進め、できるだけ早期に実用化し、国民に供給することを目指すこと。
  •  法令に基づく健康診断及び予防接種については、適切な感染対策の下で実施されるよう、時期や時間等に配慮すること。

⑨ 政府は、令和2年度第1次補正予算も活用し、地方公共団体等に対する必要な支援を行うとともに、医療提供体制の更なる強化に向け、第2次補正予算の編成などを含め、対策に万全を期す。

(5)経済・雇用対策

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引き続き、感染症対策とバランスをとりつつ、地域の感染状況や医療提供体制の確保状況等を踏まえながら、段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていく。政府は、令和2年度第1次補正予算を含む「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(令和2年4月20日閣議決定)の各施策を、国・地方を挙げて迅速かつ着実に実行することにより、今後の感染拡大を防止するとともに、雇用の維持、事業の継続、生活の下支えに万全を期す。さらに、令和2年度第1次補正予算を強化するため、第2次補正予算を速やかに編成し、早期の成立を目指す。引き続き、内外における事態の収束までの期間と拡がり、経済や国民生活への影響を注意深く見極め、必要に応じて、時機を逸することなく臨機応変かつ果断に対応する。

(6)その他重要な留意事項

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1)人権への配慮等

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① 新型コロナウイルス感染症への感染は誰にでも生じ得るものであり、感染状況に関する情報が特定の個人や地域にネガティブなイメージを生まないようにすることが極めて重要である。特に、患者・感染者、その家族や治療・対策に携わった方々等の人権が侵害されている事案が見られていることから、こうした事態が生じないよう政府は適切に取り組む。
② 政府は、海外から一時帰国した児童生徒等への学校の受け入れ支援やいじめ防止等の必要な取組を実施する。
③ 政府及び関係機関は、各種対策を実施する場合においては、国民の自由と権利の制限は必要最小限のものとするとともに、女性や障害者などに与える影響を十分配慮して実施するものとする。
④ 政府は、新型コロナウイルス感染症対策に従事する医療関係者が風評被害を受けないよう、国民への普及啓発等、必要な取組を実施する。
⑤ 政府及び地方公共団体は、マスク及び個人防護具、医薬品、医薬部外品、食料品等に係る物価の高騰及び買占め、売り惜しみを未然に回避し又は沈静化するため、必要な措置を講じる。
⑥ 政府は、地方公共団体と連携し、対策が長期化する中で生ずる様々な社会課題に対応するため、適切な支援を行う。

  •  長期間にわたる外出自粛等によるメンタルヘルスへの影響、配偶者暴力や児童虐待。
  •  情報公開と人権との協調への配慮。
  •  営業自粛等による倒産、失業、自殺等。
  •  社会的に孤立しがちな一人暮らしの高齢者、休業中のひとり親家庭等の生活。
  •  外出自粛等の下での高齢者等の健康維持・介護サービス確保。

⑦ 政府及び地方公共団体は、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方に対して尊厳を持ってお別れ、火葬等が行われるための適切な方法について、周知を行う。

2)物資・資材等の供給

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① 政府は、国民や地方公共団体の要望に応じ、マスク、個人防護具や消毒薬、食料品等の増産や円滑な供給を関連事業者に要請する。また、政府は、感染防止や医療提供体制の確保のため、マスク、個人防護具、人工呼吸器等の必要な物資を国の責任で確保する。例えば、マスク等を国で購入し、必要な医療機関や介護施設等に優先配布することや、感染拡大防止策が特に必要と考えられる地域において必要な配布を行う。
② 政府は、マスクや消毒薬等の国民が必要とする物資を確保するため、国民生活安定緊急措置法(昭和48年法律第121号)第26条第1項を適用し、マスクや消毒薬の転売行為を禁止するとともに、過剰な在庫を抱えることのないよう消費者や事業者に冷静な対応を呼びかける。また、政府は、繰り返し使用可能な布製マスクの普及を進める。
③ 政府は、事態の長期化も念頭に、マスクや抗菌薬の原薬を含む医薬品、医療機器等の医療の維持に必要な資材の安定確保に努めるとともに、国産化の検討を進める。

3)関係機関との連携の推進

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① 政府は、地方公共団体を含む関係機関等との双方向の情報共有を強化し、対策の方針の迅速な伝達と、対策の現場における状況の把握を行う。
② 政府は、対策の推進にあたっては、地方公共団体、経済団体等の関係者の意見を十分聴きながら進める。
③ 地方公共団体は、保健部局のみならず、危機管理部局も含めすべての部局が協力して対策にあたる。
④ 政府は、国際的な連携を密にし、WHOや諸外国・地域の対応状況等に関する情報収集に努める。また、日本で得られた知見を積極的にWHO等の関係機関や諸外国・地域と共有し、今後の対策に活かしていくとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を受ける国・地域に対する国際社会全体としての対策に貢献する。
⑤ 政府は、基礎医学研究及び臨床医学研究、疫学研究を含む社会医学研究等の研究体制に対する支援を通して、新型コロナウイルス感染症への対策の推進を図る。
⑥ 都道府県等は、近隣の都道府県等が感染拡大防止に向けた様々な措置や取組を行うにあたり、相互に連携するとともに、その要請に応じ、必要な支援を行う。
⑦ 特定都道府県等は、緊急事態措置等を実施するにあたっては、あらかじめ国と協議し、迅速な情報共有を行う。政府対策本部長は、特定都道府県が適切に緊急事態措置を講じることができるよう、専門家の意見を踏まえつつ、特定都道府県と総合調整を行う。
⑧ 緊急事態宣言の期間中に様々な措置を実施した際には、特定都道府県知事及び指定行政機関の長は政府対策本部長に、特定市町村長及び指定地方公共機関の長はその所在する特定都道府県知事に、指定公共機関の長は所管の指定行政機関に、その旨及びその理由を報告する。政府対策本部長は国会に、特定都道府県知事及び指定行政機関の長は政府対策本部長に、報告を受けた事項を報告する。

4)社会機能の維持

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① 政府、地方公共団体、指定公共機関及び指定地方公共機関は、職員における感染を防ぐよう万全を尽くすとともに、万が一職員において感染者又は濃厚接触者が確認された場合にも、職務が遅滞なく行えるように対策をあらかじめ講じる。特に、テレビ会議及びテレワークの活用に努める。
② 地方公共団体、指定公共機関及び指定地方公共機関は、電気、ガス、水道、公共交通、通信、金融業等の維持を通して、国民生活及び国民経済への影響が最小となるよう公益的事業を継続する。
③ 政府は、指定公共機関の公益的事業の継続に支障が生じることがないよう、必要な支援を行う。
④ 国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な業務を行う事業者は、国民生活及び国民経済安定のため、事業の継続を図る。
⑤ 政府は、事業者のサービス提供水準に係る状況の把握に努め、必要に応じ、国民への周知を図る。
⑥ 政府は、空港、港湾、医療機関等におけるトラブルなどを防止するため、必要に応じ、警戒警備を実施する。
⑦ 警察は、混乱に乗じた各種犯罪を抑止するとともに、取締りを徹底する。

5)緊急事態宣言後の取組

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政府は、緊急事態宣言の解除を行った後も、都道府県等や基本的対処方針等諮問委員会等との定期的な情報交換を通じ、国内外の感染状況の変化、施策の実施状況等を定期的に分析・評価・検証を行う。その上で、最新の情報に基づいて適切に、国民や関係者へ情報発信を行うとともに、それまでの知見に基づき、より有効な対策を実施する。

6)その他

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① 政府は、必要に応じ、他法令に基づく対応についても、講じることとする。
② 今後の状況が、緊急事態宣言の要件等に該当するか否かについては、海外での感染者の発生状況とともに、感染経路の不明な患者やクラスターの発生状況等の国内での感染拡大及び医療提供体制のひっ迫の状況を踏まえて、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあるか否かについて、政府対策本部長が基本的対処方針等諮問委員会の意見を十分踏まえた上で総合的に判断することとする。
③ 政府は、基本的対処方針を変更し、又は、緊急事態を宣言、継続若しくは終了するにあたっては、新たな科学的知見、感染状況、施策の実行状況等を考慮した上で、基本的対処方針等諮問委員会の意見を十分踏まえた上で臨機応変に対応する。

(別添)緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者

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以下事業者等については、「三つの密」を避けるための取組を講じていただきつつ、事業の継続を求める。

1.医療体制の維持

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  •  新型コロナウイルス感染症の治療はもちろん、その他の重要疾患への対応もあるため、すべての医療関係者の事業継続を要請する。
  •  医療関係者には、病院・薬局等のほか、医薬品・医療機器の輸入・製造・販売、献血を実施する採血業、入院者への食事提供など、患者の治療に必要なすべての物資・サービスに関わる製造業、サービス業を含む。

2.支援が必要な方々の保護の継続

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  •  高齢者、障害者など特に支援が必要な方々の居住や支援に関するすべての関係者(生活支援関係事業者)の事業継続を要請する。
  •  生活支援関係事業者には、介護老人福祉施設、障害者支援施設等の運営関係者のほか、施設入所者への食事提供など、高齢者、障害者などが生活する上で必要な物資・サービスに関わるすべての製造業、サービス業を含む。

3.国民の安定的な生活の確保

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  •  自宅等で過ごす国民が、必要最低限の生活を送るために不可欠なサービスを提供する関係事業者の事業継続を要請する。

① インフラ運営関係(電力、ガス、石油・石油化学・LPガス、上下水道、通信・データセンター等)
② 飲食料品供給関係(農業・林業・漁業、飲食料品の輸入・製造・加工・流通・ネット通販等)
③ 生活必需物資供給関係(家庭用品の輸入・製造・加工・流通・ネット通販等)
④ 食堂、レストラン、喫茶店、宅配・テークアウト、生活必需物資の小売関係(百貨店・スーパー、コンビニ、ドラッグストア、ホームセンター等)
⑤ 家庭用品のメンテナンス関係(配管工・電気技師等)
⑥ 生活必需サービス(ホテル・宿泊、銭湯、理美容、ランドリー、獣医等)
⑦ ごみ処理関係(廃棄物収集・運搬、処分等)
⑧ 冠婚葬祭業関係(火葬の実施や遺体の死後処置に係る事業者等)
⑨ メディア(テレビ、ラジオ、新聞、ネット関係者等)
⑩ 個人向けサービス(ネット配信、遠隔教育、ネット環境維持に係る設備・サービス、自家用車等の整備等)

4.社会の安定の維持

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  •  社会の安定の維持の観点から、緊急事態措置の期間中にも、企業の活動を維持するために不可欠なサービスを提供する関係事業者の最低限の事業継続を要請する。

① 金融サービス(銀行、信金・信組、証券、保険、クレジットカードその他決済サービス等)
② 物流・運送サービス(鉄道、バス・タクシー・トラック、海運・港湾管理、航空・空港管理、郵便等)
③ 国防に必要な製造業・サービス業の維持(航空機、潜水艦等)
④ 企業活動・治安の維持に必要なサービス(ビルメンテナンス、セキュリティ関係等)
⑤ 安全安心に必要な社会基盤(河川や道路などの公物管理、公共工事、廃棄物処理、個別法に基づく危険物管理等)
⑥ 行政サービス等(警察、消防、その他行政サービス)
⑦ 育児サービス(託児所等)

5.その他

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医療、製造業のうち、設備の特性上、生産停止が困難なもの(高炉や半導体工場など)、医療・支援が必要な人の保護・社会基盤の維持等に不可欠なもの(サプライチェーン上の重要物を含む。)を製造しているものについては、感染防止に配慮しつつ、継続する。また、医療、国民生活・国民経済維持の業務を支援する事業者等にも、事業継続を要請する。

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  1. 憲法その他の法令
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