後見登記等に関する政令

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制定文[編集]

内閣は、後見登記等に関する法律(平成十一年法律第百五十二号)第四条第一項第九号及び第二項、第五条第九号、第六条、第十条第一項第四号、第二項第一号及び第三号、第三項第三号並びに第四項並びに第十六条並びに附則第二条第一項及び第二項の規定に基づき、この政令を制定する。

第一章 総則[編集]

(目的)

第一条
この政令は、後見登記等に関する法律 (以下「法」という。)第一条に規定する後見登記等に関し、登記申請の方式その他必要な細目を定めることを目的とする。

(事務の停止)

第二条
登記所においてその事務を停止しなければならない事故が生じたときは、法務大臣は、期間を定めて、その停止を命ずることができる。

第二章 後見登記等ファイル等[編集]

(後見登記等ファイル等の記録の滅失と回復)

第三条
後見登記等ファイル又は閉鎖登記ファイルの記録の全部又は一部が滅失したときは、法務大臣は、登記官に対し一定の期間を定めて、登記の回復に必要な処分を命ずることができる。

第三章 保全処分に係る登記事項等[編集]

(後見等に係る登記記録に記録すべき保全処分)

第四条
法第四条第一項第九号 に規定する保全処分に関する事項のうち政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 家事審判規則(昭和二十二年最高裁判所規則第十五号)第八十六条、第九十二条第二項又は第九十三条第三項において準用する第七十四条第一項の規定に基づき成年後見人等(成年後見人、保佐人又は補助人をいう。以下同じ。)又は成年後見監督人等(成年後見監督人、保佐監督人又は補助監督人をいう。以下同じ。)の職務の執行を停止する保全処分がされたときは、その旨
二 前号に規定する規定に基づき成年後見人等又は成年後見監督人等の職務代行者を選任する保全処分がされたときは、その氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)

(後見命令等の登記)

第五条
  1. 法第四条第二項及び第六条の政令で定める保全処分は、次に掲げる審判(これらの審判に代わる家事審判法(昭和二十二年法律第百五十二号)第十五条の三第五項の裁判を含む。以下「後見命令等」と総称する。)とする。
    一 家事審判規則第二十三条第二項の規定による審判
    二 家事審判規則第三十条第二項の規定による審判
    三 家事審判規則第三十条の八第二項の規定による審判
  2. 法第四条第二項の政令で定める事項は、次に掲げるものとする。
    一 後見命令等の種別、審判をした裁判所、その審判の事件の表示及び発効の年月日
    二 財産の管理者の後見、保佐又は補助を受けるべきことを命ぜられた者(以下「後見命令等の本人」と総称する。)の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍
    三 財産の管理者の氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)
    四 前項第三号の審判において、財産の管理者の同意を得ることを要するものと定められた行為
    五 後見命令等が効力を失ったときは、その事由及び年月日
    六 登記番号

(任意後見契約に係る登記記録に記録すべき保全処分)

第六条
法第五条第九号に規定する保全処分に関する事項のうち政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 特別家事審判規則(昭和二十二年最高裁判所規則第十六号)第三条の九第三項又は第三条の十において準用する家事審判規則第七十四条第一項の規定に基づき任意後見人又は任意後見監督人の職務の執行を停止する保全処分がされたときは、その旨
二 特別家事審判規則第三条の九第三項において準用する家事審判規則第七十四条第一項の規定に基づき任意後見監督人の職務代行者を選任する保全処分がされたときは、その氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)

(保全処分に係る変更の登記)

第七条
  1. 登記記録に記録されている次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める事項に変更が生じたことを知ったときは、嘱託による登記がされる場合を除き、変更の登記を申請しなければならない。
    一 法第四条第一項第二号から第四号までに規定する者又は第四条第二号に規定する職務代行者 同号に掲げる事項
    二 第五条第二項第二号又は第三号に規定する者 同項各号に掲げる事項
    三 法第五条第二号、第三号若しくは第六号に規定する者又は第六条第二号に規定する職務代行者 同号に掲げる事項
  2. 成年被後見人、被保佐人又は被補助人の親族、後見命令等の本人の親族、任意後見契約の本人の親族その他の利害関係人は、前項各号に定める事項に変更を生じたときは、嘱託による登記がされる場合を除き、変更の登記を申請することができる。

第四章 登記手続[編集]

(嘱託又は申請による登記)

第八条
  1. 登記は、法令に別段の定めがある場合を除くほか、嘱託又は申請がなければ、することができない。
  2. 嘱託による登記の手続については、法令に別段の定めがある場合を除くほか、申請による登記に関する規定を準用する。

(登記申請の方式)

第九条
  1. 登記の申請は、書面でしなければならない。
  2. 前項の書面(以下「登記申請書」という。)には、次に掲げる事項を記載し、申請人又はその代表者若しくは代理人が記名押印しなければならない。
    一 申請人の氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店並びに代表者の氏名及び住所)並びに申請人の資格
    二 代理人によって申請するときは、その氏名及び住所
    三 登記の事由
    四 登記すべき事項
    五 変更又は終了の登記の申請にあっては、当該変更又は終了に係る登記記録を特定するために必要な事項で法務省令で定めるもの
    六 手数料の額
    七 年月日
    八 登記所の表示

(登記申請書の添付書面)

第十条
登記申請書には、次に掲げる書面を添付しなければならない。
一 申請人が法人であるときは、代表者の資格を証する書面
二 代理人によって申請するときは、その権限を証する書面
三 登記の事由を証する書面

(登記申請の却下)

第十一条
登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、申請を却下しなければならない。
一 事件が登記すべきものでないとき。
二 事件が既に登記されているとき。
三 申請の権限を有しない者の申請によるとき。
四 登記申請書が方式に適合しないとき。
五 登記申請書に必要な書面を添付しないとき。
六 登記申請書又はその添付書面の記載が登記申請書の添付書面の記載又は登記記録の記録と抵触するとき。
七 手数料を納付しないとき。

(職権による登記の更正)

第十二条
登記官は、登記に錯誤又は遺漏があることを発見したときは、監督法務局又は地方法務局の長の許可を得て、登記の更正をしなければならない。

(職権による登記の抹消)

第十三条
  1. 登記官は、登記が次の各号のいずれかの事由に該当することを発見したときは、その登記の申請をした者に、一月を超えない一定の期間内に書面で異議を述べないときは登記を抹消すべき旨を通知しなければならない。
    一 第十一条第一号又は第二号に掲げる事由があること。
    二 登記された事項につき無効の原因があること。
  2. 登記官は、前項の申請をした者の住所又は居所が知れないときは、法務省令の定めるところにより、同項の通知に代えて通知すべき内容を公告しなければならない。
  3. 登記官は、異議を述べた者があるときは、その異議につき決定をしなければならない。
  4. 登記官は、異議を述べた者がないとき、又は異議を却下したときは、第一項の通知又は第二項の公告に係る登記を抹消しなければならない。

(登記の抹消による登記記録の閉鎖)

第十四条
登記官は、登記の全部を抹消したときは、登記記録を閉鎖し、これを閉鎖登記記録として、閉鎖登記ファイルに記録しなければならない。

第五章 登記事項の証明[編集]

(登記事項証明書の交付を請求することができる登記記録等)

第十五条
  1. 法第十条第一項第四号の政令で定める登記記録は、次に掲げるものとする。
    一 自己を成年後見人等、成年後見監督人等又は任意後見監督人の職務代行者(退任したこれらの者を含む。)とする登記記録
    二 自己を後見命令等の本人とする登記記録
    三 自己を財産の管理者(退任した者を含む。)とする登記記録
    四 自己の配偶者又は四親等内の親族を後見命令等の本人とする登記記録
  2. 法第十条第二項第一号の政令で定める登記記録は、同号に規定する未成年被後見人を後見命令等の本人とする登記記録とし、同項第三号の政令で定める登記記録は、同号に規定する任意後見契約の本人を後見命令等の本人とする登記記録とする。
  3. 法第十条第三項第三号の政令で定める閉鎖登記記録は、次に掲げるものとする。
    一 自己が成年後見人等、成年後見監督人等又は任意後見監督人の職務代行者であった閉鎖登記記録
    二 自己が後見命令等の本人であった閉鎖登記記録
    三 自己が財産の管理者であった閉鎖登記記録
  4. 法第十条第四項の政令で定める閉鎖登記記録は、被相続人その他の被承継人が後見命令等の本人であった閉鎖登記記録とする。

(登記事項証明書の送付請求等)

第十六条
登記事項証明書又は閉鎖登記事項証明書の交付を請求する場合において、その送付を求めるときは、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第三条第一項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用して請求する場合を除き、法務省令で定めるところにより、送付に要する費用を納付しなければならない。

第六章 補則[編集]

(登記申請書等の閲覧)

第十七条
  1. 登記事項証明書又は閉鎖登記事項証明書の交付を請求することができる者は、特別の事由がある場合に限り、手数料を納付して、当該登記事項証明書又は閉鎖登記事項証明書に係る登記の登記申請書若しくは登記の嘱託書又はその添付書面(以下「登記申請書等」と総称する。)の閲覧を請求することができる。
  2. 前項の請求は、書面でしなければならない。
  3. 前項の書面には、次に掲げる事項を記載し、申請人又はその代表者若しくは代理人が記名押印しなければならない。
    一 閲覧を請求する登記申請書等
    二 特別の事由
    三 第九条第二項第六号から第八号までに掲げる事項
  4. 第一項の手数料の納付は、登記印紙をもってしなければならない。

行政機関の保有する情報の公開に関する法律の適用除外)

第十八条
登記申請書等については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。

行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の適用除外)

第十九条
登記申請書等に記録されている保有個人情報(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)第二条第三項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第四章の規定は、適用しない。

(法務省令への委任)

第二十条
この政令の実施のため必要な事項は、法務省令で定める。

附則[編集]

附則(平成一二年一月二八日政令第二四号、後見登記等に関する政令)

(施行期日)
第一条
この政令は、平成十二年四月一日から施行する。

(後見又は保佐の登記の申請)

第二条
  1. 法附則第二条第一項の規定による後見の登記の登記申請書には、第十条第一号及び第二号に掲げる書面のほか、当該後見の登記に係る成年被後見人とみなされる者の戸籍の謄本又は抄本(いずれも当該者が禁治産の宣告を受けている旨の記載のあるものに限る。)その他法務省令で定める書面を添付しなければならない。
  2. 前項の規定は、法附則第二条第二項の規定による保佐の登記の登記申請書に準用する。


附則(平成一三年三月二八日政令第八三号、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行に伴う法務省関係政令の整備に関する政令)

この政令は、平成十三年四月一日から施行する。


附則(平成一四年一二月一八日政令第三八六号、民間事業者による信書の送達に関する法律及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令)抄

(施行期日)
第一条
この政令は、平成十五年四月一日から施行する。


附則(平成一五年一二月二五日政令第五五一号、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令)抄

この政令は、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の施行の日(平成十七年四月一日)から施行する。


附則(平成一六年三月二六日政令第六九号、後見登記等に関する政令及び登記手数料令の一部を改正する政令)

この政令は、平成十六年三月二十九日から施行する。

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