建國主旨宣示ノ件

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滿                       

想フニ我カ滿蒙各地ハ邊陲ニ屬在シ開國綿遠ナリ。諸レヲ往籍ニ徵シテ分倂稽フヘシ。地質膏膄、民風樸茂、開放ヲ經ルニ迨ンテ生聚日ニ繁ク、物產豐饒實ニ奧府トナル。乃チ辛亥革命自リ共和民國成立以來、東省ノ軍閥ハ中原變亂ノ機ニ乘シテ、政權ヲ攫取シ、三省ニ據リテ己カ有トナシ、貅貔相繼キ、竟ニ將ニ廿年ナラントス。狼厲貪婪、驕奢淫佚、民生ノ休戚ヲ顧ミルコトナク一ニ惟レ私利ヲノミ是レ圖ル。

內ハ則チ暴欲橫征、恣意揮霍、以テ幣制紊亂、百業凋零ヲ致セリ。且復時ニ野心ヲ逞ウシテ兵ヲ關內ニ進メ、地方ヲ擾害シ、民命ヲ傷殘ス。一再敗衂スルモ尙ホ悛セス。外ハ則チ信義ヲ晊棄シ、釁ヲ隣邦ニ開キ、夙ニ親仁ノ規ヲ昧マシ、專ラ取ツテ排外ヲ事ト爲ス。加フルニ警政修マラサルヲ以テ、盜匪ノ橫行四境ニ遍ク、至ル處、擊掠焚殺シテ村里一空、老弱溝壑、餓莩途ニ載ス。我カ滿蒙三千萬民衆、命ヲ此ノ殘暴無法ノ區域內ニ託スルハ死ヲ待ツノミ、何ソ能ク自ラ脱センヤ。今ヤ何ノ幸ソ、手ヲ隣師ニ假リテ茲ニ醜類ヲ驅リ、積年軍閥盤踞シ、秕政萃聚セル地ヲ舉ケ一旦ニシテ之ヲ廓淸ス。此レ天我カ滿蒙ノ民ニ蘇息ノ良機ヲ豫ヘシナリ。吾人ノ當ニ奮然トシテ興起シ邁往無前、以テ更始ヲ圖ルヘキノミ。

是ヲ惟フニ內、中原ヲ顧ミレハ改革自リ以還、初メハ則チ群雄角逐シテ爭戰年、近クハ則チ一黨專橫ニシテ國政ヲ把持ス、何ヲカ民生ト云フ、實ニ之ヲ死ニ置クナリ。何ヲカ民權ト云フ、惟利ヲ是レ專ラニスルナリ。何ヲカ民族ト云フ。但タ黨アルヲ知ルノミ。ニ曰ク天下ヲ公ト爲スト。又曰ク黨ヲ以テ國ヲ治ムト。矛盾乖謬。自ラ欺キ、人ヲ欺ク。種々ノ詐僞ハ究詰スルニ勝ヘス。此來內閧迭々起リ、疆土分崩シ、黨且自ラ存スル能ハス、國何ソ能ク顧ミラレン。是ニ於テ赤匪橫行シ、災祲薦リニ吿ク毒、內ヲ痛マシメ、民怨沸騰シ政體ノ不良ヲ痛心疾首セサルハ無シ。而シテ曩昔ノ政治淸明ノ會ヲ追思ス、直ニ唐虞三代ノ遠キ如キハ幾及スヘカラス。此レ我カ各友邦ノ共ニ目睹シ、而シテ同シク感ヲ深ウスル所ナリ。夫レ二十年試險ノ得ル所ヲ以テスレハ、其ノ結果一ニ此ニ至ル。亦廢然トシテ返ルヘシ矣。乃チ猶疾ヲ諱ミ、醫ヲ忌ミ、其ノ舊惡ヲ怙ミ、詞ヲ民意ノ從新未タ遏抑スヘカラサルニ藉ランカ、然ラハ則チ其ノ之ク所ヲ縱ニセハ、浸ク共產ニ至ルノミニ非ス、自ラ亡國滅種ノ地ニ陷リテ已マサラン。

今、我カ滿蒙民衆ハ天賦ノ機緣ヲ以テ、力メテ振拔ヲ求メ、自ラ政治萬惡國家ノ範圍外ニ脱セサレハ、勢必ス胥ヒ戴セテ溺ニ及ヒ、同盡ニ歸サンノミ。數月來幾度カ奉天、吉林、黑龍江、熱河、東省特別區、蒙古各盟旗ノ官紳士民ノ集合ヲ經テ、詳ニ硏討ヲ加ヘ、意志ニ一致ニ趨ク、以爲ヘラク爲政ハ多言ヲ取ラス、只實行如何ヲルノミ。政體ハ何等ヲ分タス、只安集ヲ以テ主ト爲ス。滿蒙ハ舊時本ト別ニ一國ヲ爲ス。今ヤ時局ノ必要ヲ以テ自ラ樹立ヲ謀ラサルヲ能ハスト。應ニ即チ三千萬民衆ノ意向ヲ以テ即日宣吿シテ中華民國ト關係ヲ脱離シ、滿洲國ヲ創立ス。茲ニ特ニ建設綱要ヲ將テ中外ニ昭布シ、咸ク聞知セシム。

竊ニ惟フニ政ハ道ニ本ツキ、道ハ天ニ本ツク。新國家建設ノ旨ハ一ニ以テ順天安民ヲ主ト爲ス。施政ハ必ス眞正ノ民意ニ徇ヒ、私見ノ或存ヲ容サス。凡ソ新國家領土內ニ在リテ居住スルハ皆種族ノ岐尊卑ノ分別ナシ。原有ノ族、滿族、蒙族及日本、朝鮮ノ各族ヲ除クノ外、即チ其他ノ國人ニシテ長久ニ居留ヲ願フモ亦平等ノ待遇ヲ享クルコトヲ得。其ノ應ニ得ヘキ權利ヲ保障シ、其ヲシテ絲毫モ侵損アラシメス。竝ニ力ヲ竭クシテ往日黑暗ノ政治ヲ鏟除シ、法律ノ改良ヲ求メ、地方自治ヲ勵行シ、廣ク人材ヲ收メテ賢俊ヲ登用シ、實業ヲ奬勵シ、金融ヲ統一シ、富源ヲ開闢シ、生計ヲ維持シ、警兵ヲ調シ、匪ヲ肅淸セム、更ニ進ンテ敎育ノ普及ヲ言ヘハ、當ニ禮敎ヲ是レ崇フヘシ。王道主義ヲ實行シ、必ス境內一切ノ民族ヲシテ熙熙皥皥トシテ春臺ニ登ルカ如クナラシメ、東亞永久ノ光榮ヲ保チテ世界政治ノ模型ト爲サム。其ノ對外政策ハ則チ信義ヲ尊重シテ、力メテ親睦ヲ求メ、凡ソ國際間ノ舊有ノ通例ハ遵守ヲ敬セサルコトナシ。其ノ中華民國以前各國ト定ムル所ノ條約、債務ノ滿蒙新國領土以內ニ屬スルモノハ、皆國際慣例ニ照シ繼續承認シ、其ノ自ラ我カ新國境內ニ投資シテ商業ヲ創興シ利源ヲ開拓スルコトヲ願フモノ有ラハ、何國ニ論ナク一律ニ歡迎シ、以テ門戶開放機會均等ノ實際ヲ達セム、

以上宣布セル各ハ新國家立國主要ノ大綱タリ。新國家成立ノ日ヨリ起リ、即チ當ニ新組織ノ政府ニ由リテ其ノ責任ヲ負フヘシ極メテ誠懇ナル表示ヲ以テ、三千萬民衆ノ前ニ向ヒ實行ヲ宣誓ス。

天地照鑑、此ノ言ヲ渝フルコトナシ。

大同元年三月一日

滿    

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