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幽霊人口、配給受けて詐欺罪

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幽霊人口 配給受けて詐欺罪 懲役八月、大審院で判例

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問題の幽霊人口、さきにはこれを黙認した町会長が詐欺幇助で処断されたが、こんどは幽霊人口で配給を受けると詐欺罪に問われるという新判例が大審院から公示された

横浜市中区西仲町1-22清掃ーーーーー(59)は昭和16年4月1日から18年5月2日まで2カ年余にわたり自家世帯員数5名なのを、このほか同居世帯人が3名ないし5名あるごとく虚偽の登録記載した家庭用米穀通 帳ほか味噌、醤油など購入票を提示して同区前里町1-17神奈川県食料営団横浜地区嘉支部第一共販所から精米合計1964キロの不正配給を受けて騙取したほか味噌、醤油などは同町1-14井上清次郎から8名ないし13名の世帯員数に応じた不正配給を受けたことが発覚、詐欺罪で横浜地方裁判所で懲役8月の判決を言渡された

被告はこれに対し「配給所の店員は町会長および隣組長の認印ある通帳または購入票に対しその正否については何らの審査権がないのだから店員を欺罔して物資を騙取したといういうのは違法だ」とて大審院に上告した、大審院では久保田裁判長係で審理中先ごろ「配給所の店員などは通帳、購入票の記載世帯員数の真偽については審査権限なしとするも、もし世帯員数に偽りあるを知れば配給を拒絶し得る、よって店員を錯誤に陥れて食料品の配給を受けた場合は詐欺罪が成立する」と裁断して上告を棄却し判例審議会にかけたうえ右要旨を判例として公示した

この著作物は、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(回復期日を参照)の時点で著作権の保護期間が著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)50年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。


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