娼区ノ設定、 南昌市政府ニ於ケル楽土（遊郭）公娼ノ取締及営業税徴収暫行規定
武漢 3. 娼区の設定
漢口在住ノ娼婦ハ現在ノ登記人員二百数十人ニ過キサルモ、実数ハ優ニ3,000人以上ニ達シアルモノト思考セラル。是等ハ市街ノ随所ニ散在シ、風紀ヲ害スル一面又汎ク病毒ヲ伝播シ、延テハ皇軍ノ衛生上ニモ累ヲ及ホスヲ顧慮シ、統制、取締、衛生上ノ見地ヨリ全市ニ２０箇所ノ娼区ヲ設定シ、６月末日迄ニ該区域ニ収容シ、妓女ノ登記、等級ノ区分ヲナシ衛生局ノ検病施設ト相俟ツテ花柳界ノ改善ヲ図るルコトトナレリ。而シテ武昌、漢陽方面モ逐次漢口ニ準スル方針ナリ。
５ 楽戸（遊郭）公娼ノ施設
風紀衛生公安ノ維持ノタメ楽戸公娼ノ取締及営業税徴暫行規定ヲ設ケ特定地区第三市場付近ノ一廓ヲ限リ営業ヲ許可スルコトトセリ。現在許可シタルモノ３戸ニシテ下記ノ如シ
南昌市政府簿備処ニ於ケル楽戸（遊郭）公娼ノ取締及営業税徴収暫行規定
第１条 本処ハ娼妓ヲ取締リ社会ヲ改進センカタメ楽戸公娼芸妓ニ属スルモノ均シク本規定ニヨリ営業免許証ヲ発給シ営業セシム
第２条 楽戸開設ヲ希望スルモノハ本処医務科ニ於テ登記ヲ申請シ免許証ヲ領得シタル後営業スルコトヲ得
第３条 楽戸営業者ハ下列ノ手続ヲナス
1. 戸主、氏名、年齢、本籍、現住所
2. 楽戸ノ屋号
3. 楽戸ノ所在地
4. 公娼ノ名数
5. 楽戸ノ等級
6. 保証人
第４条 楽戸ハ毎月営業ヲ納メル以外免許証を３ｹ月毎ニ更換シ免許証及手数料ハ下記三種ニ分ク
甲種ハ免許費 ２円、毎月営業税 １７円
乙種ハ免許費 １円、毎月営業税 １０円
丙種ハ免許費 ５０銭、毎月営業税 ７円
第５条 各楽戸ノ所有公娼ハ１０名未満トス
第６条 楽戸ハ屋号規定下ノ如シ
甲種は〇〇「掌」ト称シ
乙種ハ〇〇「班」ト称シ
丙種ハ〇〇「居」ト称ス
第７条 各種遊郭ハ本処医務科ヨリ灯（硝子製）ヲ領得シ玄関ノ上ニ釣リテ識別ニ資ス（灯代3円）
第８条 公娼ヲ希望スルモノハ下記の届出ヲ為ス
1. 姓名、年齢、本籍、現住所
2. 本家ノ職業
3. 親類ノ有無
4. 公娼ニ希望スル理由
5. 志願スル娼妓ノ種類
6. 保証人
第９条 公娼ハ１，２，３、種ニ分ケ各種楽戸ニ於テ営業シ毎月営業税ヲ納メル以外免許証ヲ領有シ３ヶ月毎ニ交換シ免許費及営業税ノ1回分ハ下ノ如シ
１種、免許費 １円 毎月営業税 ５円
２種、免許費８０銭、毎月営業税 ４円
３種、免許費６０餞、毎月営業税 ３円
第１０条 娼妓トシテ免許申請ノ時ハ４寸半ノ写真２枚ヲ添付シテ1枚ハ医務科ニ保管シ１枚は免許証ニ貼付ス、又３ヵ月毎ニ写真貼替交換申請ス
第１１条 芸妓ハ毎月営業税ヲ納メル以外免許証ハ６ヶ月毎に交換シ営業税及免許費ハ下ノ如シ
免許費 １円、毎月営業税 ３円
第１２条 各娼妓ノ花代並ニ出局（宴会応召）金ハ下記の規定ヲ超過スルコト得ス
１種ハ一晩１０円、２種ハ一晩８円、３種ハ一晩６円、出局１回１円
第１３条 楽戸ノ公娼トシテ営業ヲ停止シ出稼スル者アル時ハ免許証取消ヲ申請スルコト
第１４条 各種娼妓ハ毎週一回医務所ニ赴キ検査ヲ受ク、若シ疾病アル時ハ治療期間ニ於テハ営業ヲ停止スルコト
第１５条 出局娼妓ハ必ス局標ヲ携帯シ局標ハ一枚ニ付２０銭トシテ本処医務科ヨリ購入ス
第１６条 楽戸トシテ下列ノ一ヲ有する時ハ本処ヨリ適当に処罰ス
１. 楽戸免許証を故意ニ訂正セルモノ
２. 収容者年齢１６歳未満又ハ１６歳ノモノニシテ発育健全ナラサルモノ
３. 原配偶者ヲ有シ娼妓生活ヲ後悔セルモノ
４. 良家婦女ヲ誘致セルモノ
５. 娼妓ノ人数ヲ隠瞞スルモノ
６. 娼妓ノ出局ニ不事実ヲ記入シ又故意ニ訂正セシモノ
７. 娼妓トシテ出稼セントスルモノヲ故意ニ留メタルモノ
８. 其ノ他一切本規定ヲ違反セルモノ
第１７条 娼妓トシテ下列ニ一ツヲ有スル者ハ本処ヨリ適当処罰ス
１. 免許証ヲ故意ニ訂正セシモノ
２. 出局票ニ記入セシ妓名、時日、場所カ符号セヌモノ
３. 娼妓トシテ楽戸ニ入ラス私自ニ営業スルモノ
４. 花柳病ヲ有シナカラ隠瞞スルモノ
５. 其ノ他一切本規定ヲ違反セルモノ
第１８条 本規定ハ参事会ニ於テ随時訂正スルコトヲ得
第１９条 公布日ヨリ施行ス