坂本龍馬の手紙/慶応元年9月?坂本乙女宛

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私がいぜんもつていました、かくなじでかいた烈女伝を、あれをひらがなになほしてゑ入にて、そのゑと申は、本の烈女伝のゑのとふりなり。
誠におもしろし。私がかなになをそふと兼ねてをもいしが、夫を見てやめてしもふたり。夫を おまへさ;んになり おくにへおくりたさにたづね候。けして今時の本やにはなきもの也。故にある女にたのみてかきうつさせより申候。其女と申はげにもめづらしき人、名は御聞しりの人なり。
どうぞ/\たのしみたまへ。その本のうつしたるれいとして、私しがうちでならひよりた、いしずりのかくなじのおりでほん これはお前さんにあげておま;へさんもならいよりた本なり。 夫を御こしなされ度、兄さんまでひきやくに御おくりなされ度候。またまた色〻のものさし上候へども、夫はおい/\なり。此龍がおにおふさまの御身をかしこみたふとむ所よくよくに思たまへ。
   乙大姉 をにおふさま                      龍馬
皆火中なり。此よふな文、なきあとにのこるははぢなり。