坂本龍馬の手紙/幕閣要人宛か 推定、慶応2年3月

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幕の為に論ずれバ、近日要路に内乱起り、
相疑相そしり益不可通と言勢となるべし。
当時実に歎ずべきハ伏水にとりのがしし浪
人の取落セし書面を以て、朝廷にもぢいて
論にかけ、ついに会津人陽明家をなじり此郷
御立腹など在之候よし、したしく聞申たり。
是幕中内乱を生じ申べき根本たるべし。
当時ニ在りて幕府をうらみ奉るもの在れバ、
天幸の反間と申べし。 彼浪人「其人」 ハ伏水の事
位ニてハ決して幕をうらみ申よしなし。
然レ共万一うらむが如きハ幕府目下の
うれいとなるべし。故ハ浪人ハ関以西強国と聞へ
し君主、及要路のものと信を通じ有る
事、彼飛川先生が天下人物と信を通ず
るが如し。彼長の芸州の事の如きハ今時
ハ不絶聞事なり。長の方へハ幕情不通なり。
長ハ唯だまされぬ心積計也。此情を通セ
ンと思が如きハ、右浪人ニ命セバ唯一日ニして
事をわらんのミ。今幕の勢を見る
に兼而論ずるが如きよふニ長をうつニ
力なく又引取らんニハよしなき也。其論且
所置を見て天下皆是を笑ハざる
なく、是必近日の事今より可見、実に
不可言。
幕為ニ今の勢を以て論ゼンにハ幕府ハ一
決断を以て浪輩を引取り、江戸に
おいて政を大ニ改メ、将軍自ら兵士に
下り、日〻胆をなめはぢを忘れたる
やの古事さへ忘れずバ、今十年間八州
を以て又天下をたなごゝろとすべし。目
今大不幸、官吏皆因修、是又天下の不幸――
  三月――