国際連合総会決議ES-11/2

提供:Wikisource
第11回緊急特別総会
議題5
2014年2月28日付国際連合ウクライナ常駐代表より安全保障理事会議長に宛てた書簡(S/2014/136
2022年3月24日に総会において採択された決議
主要委員会(A/ES-11/L.2 and A/ES-11/L.2/Ad.1)には言及しない。
ES-11/2. ウクライナに対する侵略がもたらした人道的結果
総会は、
戦争の惨禍から後世の人々を救う決意を再確認し、
1991年12月19日の決議46/182及び2021年12月10日の決議76/124を再確認し、
全ての国の義務は憲章第2条に基づき、その国際関係において、武力による威嚇または武力の行使を、いかなる国の領土保全または政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎み、かつ、その国際紛争を平和的手段により解決することであることを想起し、
ウクライナの主権、独立、統一及び領土保全に対するコミットメントを、その領海に及ぶ国際的に認められた国境内において再確認し、
ウクライナ主権領域内におけるロシア連邦の軍事行動は、国際社会がこの数十年間ヨーロッパにおいて見たことにない規模であることを認識し、
事務総長がロシア連邦に対して軍事行動を止めることを要請し、また彼が停戦の確立及び対話と交渉の道に戻ることを要請することを繰り返し、
ロシア連邦が国際的に承認された国境のウクライナ領内から、直ちに完全かつ無条件に全ての軍を撤退させる要求を想起し、
ウクライナの人口密集都市、特にマリウポリにおける包囲、砲撃及び空爆、同様にジャーナリストを含む民間人、及び民間のオブジェクト特に学校やその他教育機関、水や衛生システム、医療施設やその運送手段や設備への攻撃、及び地方公務員の拉致、同様に外交施設や文化施設への攻撃を含む、ロシア連邦によるウクライナに対する敵対行為の悲惨な人道的結果に遺憾の意を表明し、
ウクライナとその周囲の人道的状況、特に女性や子供を含む民間人の死傷者の多さ、また人道支援を必要とする国内避難民や難民の増加に重大な懸念を表明し、
全てのコミュニティの安全と繁栄を促進しつつ、紛争と暴力を逃れてきた人々の安全、尊厳、人権及び基本的自由を、いかなる差別もなくその地位に関わらず保護する必要性を再確認し、難民を含む移動中の人々に対する人種主義、人種差別、外国人嫌悪及び関連の不寛容ないかなる行為、表明及び表現も避難し、
民間の避難隊列を含む、民間人及びその他の保護対象者または民間人に対して向けられたあらゆる攻撃、並びに無差別砲撃及び無差別な爆発性兵器の使用を含む無差別かつ不均衡な攻撃を強く非難し、更に民間インフラへの被害と不発弾が民間人へもたらす長期的リスクについて懸念を表明し、
武力紛争が難民や国内避難民を含む女性や子供、障害者や高齢者を含む特定のニーズを持つその他の民間人に与える特別な影響を強調し、また影響を受ける全ての民間人に対し、保護や援助と同様に安全な通行を確保する必要性も強調し、
難民を受け入れるために近隣諸国が行っている重要かつ賞賛に値する努力に深い感謝の意を表明し、
世界のいくつかの地域で何百万人もの人々が飢餓または差し迫った飢餓のリスクに直面若しくは深刻な食糧不安に陥っている中、ウクライナとその地域は穀物と農産物輸出にとって世界で最も重要な地域の一つであることから、この紛争が世界的な食糧不安の増大、特に発展途上国に与える影響について、また同様にエネルギー安全保障についても懸念を表明し、
武力紛争と暴力、紛争による食糧不安と飢饉の脅威との関連を想起し、またこれに関して武力紛争、国際人道法及び国際人権法違反並びに食糧不安は強制移住の要因になりうること、逆に言えば武力紛争下での強制移住は農業生産と生計に壊滅的影響を与えうることを強調し、
ウクライナの核インフラへの爆撃や砲撃の結果起こりうる事故の重大な人道的影響に懸念を表明し、全ての核インフラの安全とセキュリティを確保する義務を改めて表明し、また紛争が環境に与える影響に懸念を表明し、
全ての国及び紛争当事者は、国際人道法、特に区別及び比例原則並びに民間人に対する危害及び民間の物品に対する損害を回避し、いかなる場合にもこれを最小限にするために実行可能な全ての予防措置を取る義務を完全に尊重することを想起し、民間人を飢えさせることを目的とした包囲は国際人道法に違反することを重ねて述べ、全ての国及び紛争当事者に対し、強制移住者及びノン・ルフールマン原則に関するものを含め、人権を尊重することを強く要請し、
武力紛争の全ての当事者に対し、民間人及び民間の物品並びに環境の保護に関する国際人道法の下での義務を遵守し、民間人への必要不可欠なサービスの提供に重要なものを含む民間の物品に危害を与えず、民間人の生存に不可欠な物品に対する攻撃、破壊、除去または使用を控え、人道支援活動に使われる人道支援職員及び委託品を尊重し保護することを重ねて要請し、
人道支援の提供における人道性、中立性、公平性、独立性の原則を再確認し、また複雑な緊急事態における人道支援の提供に携わる全ての主体がこれらの原則を促進し、かつ完全に尊重する必要性も再確認し、
1. 「ウクライナに対する侵略」と題された2022年3月2日の決議ES-11/1を完全に履行することの必要性を改めて表明する。
2. ロシア連邦によるウクライナに対する敵対行為、特に民間人及び民間の物品に対するあらゆる攻撃の即時停止を要求する。
3. また、人道支援要員、ジャーナリスト、女性や子供を含む脆弱な状況にある人を含む民間人が完全に保護されることを要求する。
4. さらに、医療業務に専従する全ての医療関係者及び人道支援要員、その輸送手段及び装備並びに病院及びその他の医療施設に対する十分な尊重と保護を要求する。
5. 武力紛争下において、民間人の生存に不可欠な物品及び不可欠なサービスの提供に欠かせない民間インフラを完全に尊重し、保護することを要求する。
6. また、全ての締結国に対し、武力紛争や暴力から逃れた外国人、特に学生を含む民間人を差別することなく保護し、自発的で安全かつ妨げられない通行を可能とすることを要求する。
7. さらに当事者は、ウクライナ及びその近隣諸国で困窮している人々に対して、人道的要員並びにその輸送手段、物資及び設備の安全かつ妨げられない人道的アクセスを確保する義務を遵守することを要求する。
8. ウクライナの都市、特にマリウポリ市の包囲は民間人の人道的状況を更に悪化させ、避難の努力を妨げていることを強調し、したがって、これらの包囲を終わらせることを要求する。
9. 全ての国際人道法違反と人権の侵害・冒瀆を非難し、武力紛争の全ての当事者に対し、1949年のジュネーヴ条約及び1977年のその追加第一議定書を含む国際人道法の関連規定を厳格に尊重し、適用される場合にはノン・ルフールマン原則を含む国際人権法及び国際難民法を尊重することを要求する。
10. 加盟国に対し、2022年国連人道対応計画、ウクライナの人道対応のために国際連合が立ち上げたフラッシュ・アピール、同様にウクライナとその近隣諸国に対する地域難民対応計画に全額資金を提供するよう求め、また2022年2月に更新した2022年世界人道概況の調査結果に懸念を抱いていることに留意する。
11. 事務総長、加盟国、国際連合システムの諸機関及び国際社会が人道支援並びに難民の支援と保護を実現するため継続的に取り組んでいることを歓迎し、また勧告するとともに、事務総長がウクライナ担当の国際連合危機調整官を任命したことを歓迎する。
12. 緊急援助調整官に対し、決議ES-11/1に基づき、ウクライナの人道的状況及び人道的対応に関する報告書を提出するよう改めて要請するとともに、事務総長に対して本決議の実施状況について定期的に総会で説明するよう要請する。
13. 全ての当事者間の交渉の継続を強く奨励し、国際法に従った政治的対話、交渉、調停及びその他の平和的手段によるロシア連邦とウクライナの間の紛争の即時平和的解決を再度勧告する。
14. 第11回緊急特別総会を一時的に閉会し、加盟国の要請があれば総会議長に会議を開催する権限を与えることを決定する。
2022年3月24日 第9回全体会議
この文書は翻訳文であり、原文から独立した著作物としての地位を有します。翻訳文のためのライセンスは、この版のみに適用されます。
原文:

この文書は、国際連合の公式文書であり、パブリックドメインの状態にあります。次の文書は、国際連合のAdministrative Instruction ST/AI/189/Add.9/Rev.2により、世界中でパブリックドメインの状態に置かれています(これは参考要旨です)。

  1. 国際連合の機関又は会議の手続に関する公式記録(議事録、付属機関・関連機関への報告書、決議集等)
  2. シンボルマークを付して公式に発表された国際連合の文書
  3. 国際連合の広報資料(主に国際連合の活動を周知するために作成された出版物、定期刊行物、パンフレット、プレスリリース、カタログ等。ただし販売されているものを除く。)
翻訳文:

原文の著作権・ライセンスは別添タグの通りですが、訳文はクリエイティブ・コモンズ 表示-継承ライセンスのもとで利用できます。追加の条件が適用される場合があります。詳細については利用規約を参照してください。