国際連合安全保障理事会決議825

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決議第825号(1993年)
1993年5月11日に開催された安全保障理事会第3212回会合において採択された。

安全保障理事会は、

北朝鮮政府が核兵器の不拡散に関する条約(以下「条約」という)からの離脱する意向だとする朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」という)外務大臣から安全保障理事会議長へ宛てられた1993年3月12日付書簡(S/25405)と国際原子力機関(以下「IAEA」という)事務局長の報告(S/25556)に対して懸念を持ち、

全ての理事国がこの状況の解決を目指すあらゆる努力を歓迎し、特に、IAEAが引き続き北朝鮮と検証可能な北朝鮮の核問題の解決を協議することを奨励するとの1993年4月8日の安全保障理事会議事長声明(S/25562)を想起し、

このような状況における条約の非常な重要性に留意し、条約の実施と核エネルギーの平和利用を確保することを守るIAEAの不可欠な役割を強調し、国際平和と安全保障を維持することを再確認し、

信頼できる効果的な二国間査察体制の確立と、核再処理及びウラン濃縮施設を保持しないことを含む朝鮮半島の非核化に関する北朝鮮と大韓民国(以下「韓国」という)との共同宣言を想起し、

北朝鮮が条約の締結国であり、条約により要求されている全面的な保障措置協定の締結国であることに留意し、

また、北朝鮮がIAEA・北朝鮮間の保障措置協定(INFCIRC/403)の下での義務を遵守しておらず、IAEA・北朝鮮間の保障措置協定の条項の下で、核兵器または核爆発装置に対する保障の必要な核物質の流用が行われていないことを検証することができないというIAEA理事会の1993年4月1日の決議に遺憾と懸念を持ち、

北朝鮮が明らかにした条約離脱の理由が、条約の内容に関連する異常な事態に一致するかどうか疑問があるという、1993年4月1日の条約の寄託国であるロシア連邦、イギリス及びアメリカ合衆国の声明(S/25515)に留意し、

IAEA事務局長に対する北朝鮮による1993年4月22付の返答書に留意し、とりわけ、事務局長が保障措置協定の実施について北朝鮮と協議を持つことを奨励し、要請し、また北朝鮮がこの問題の解決に対する交渉を模索する意欲を示していることに留意し、

北朝鮮とIAEAとの間の協力改善の最近の兆候と、北朝鮮と他の加盟国との接触の見通しに歓迎を表明し、

1.北朝鮮に対して、1993年3月12日の書簡における発表の再考し、条約への参加の再確認を行うことを求める。

2.更に北朝鮮に対して、条約の下での不拡散の義務を尊重し、IAEA理事会で1993年2月25日に決議されたIAEAとの保障措置協定に応じるよう求める。

3.IAEA事務局長に対して、理事会の調査結果の対象となる問題の解決と、安全保障理事会へ追って彼の努力について報告するため、北朝鮮と引き続き協議することを要請する。

4.全ての加盟国に対して、この決議に積極的に対処するよう北朝鮮に促し、解決を促進するよう強く求める。

5.この問題に引き続き関与し、必要に応じて安全保障理事会が更なる措置の検討をすることを決定する。

訳注[編集]

  • 便宜上、原文にあるDPRKは北朝鮮とした。
  • 便宜上、原文にあるROKは韓国とした。
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原文:

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翻訳文:

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