国際連合安全保障理事会決議1874に対する日本の実施報告
決議1718(2006)に従って設立された安全保障理事会委員会
2009年7月27日付国際連合日本政府代表部から委員会委員長に宛てられた口上書
国際連合日本政府代表部は決議1718(2006)に従って設立された安全保障理事会委員会委員長に敬意を表し、2009年6月12日に採択された決議1874(2009)決議第22項に従って報告を理事会に提出する光栄を有する(附属書参照)。
2009年7月27日付国際連合日本政府代表部から委員会委員長に宛てられた口上書の附属書
国際連合安全保障理事会決議1874(2006)第22項に従う安全保障理事会への報告
1. 日本の基本的立場
5月25日に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が実施した核実験に対する日本政府の立場は、同日に発表された麻生太郎内閣総理大臣による声明において明確に表されている。声明で内閣総理大臣は、北朝鮮による核実験は、北朝鮮による弾道ミサイル能力の開発と併せ考えれば、日本の安全に対する重大な脅威であり、北東アジア及び国際社会の平和と安全を著しく害するものとして断じて容認できないと強調した。
日本政府は、国際連合安全保障理事会決議1718(2006)及び1874(2009)を実施するために必要な措置を積極的に行っている。
決議1874は、国際社会の核実験に対する強い非難と深い憂慮を具現化するため非常に重要である。日本は、決議の早期かつ完全な実施が極めて重要であり、加盟国が可能な限り協調して実施する必要があることを繰り返し、決議が効果的に実施されるようにする。日本は、決議1718第12項に従って設立された安全保障理事会委員会(1718委員会)と緊密に協力する。
2. 決議1718第8項ならびに決議1874第9項、第10項、第18項、第19項及び第20項に関する措置
以下の措置は、決議1718第8項ならびに決議1874第9項、第10項、第18項、第19項及び第20項に関して日本政府が講じたものである。これらの措置は、安全保障理事会(S/AC.49/2006/10)及び本報告書第4項に含まれる措置を含む。
(1) 1718委員会による団体、個人及び品目の指定に基づく措置:
- 日本政府は、北朝鮮の核関係、弾道ミサイル関連、その他大量破壊兵器関連の計画に関わったとして委員会が指定した8つの団体と5人の個人のいかなる金融資産の移転の防止を行うため、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)に基づく措置を導入した(2009年4月24日に1718委員会によって指定された3つの団体については2009年5月22日、2009年7月24日に1718委員会が追加指定した5つの団体と5人の個人については2009年7月24日に施行)。
- 日本政府は、委員会が核関係、弾道ミサイル関連、その他大量破壊兵器関連の計画に関わったとして委員会が指定した5人の個人の日本への入国または通過を防止するため、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)に基づく措置を導入した。(注記:2006年10月11日以降、既に原則として全ての北朝鮮国民の入国は禁止されている。)
- 1718委員会によって指定された2つの品目の輸出入を防止するための措置は、外国為替及び外国貿易法に基づき日本政府によって行われている。(注記:北朝鮮からの輸入と北朝鮮への輸出はそれぞれ2006年10月14日、2009年6月18日から既に禁止している。)
(2) 決議1874第9項及び第10項に関する措置:
- 日本政府は、決議1874第9項及び第10項に規定されているような、北朝鮮に対する全ての武器及び関連物資の輸出入と同様に金融取引及び技術訓練等を防止するための措置を、全ての武器の輸出入を禁止する日本政府の基本方針及び北朝鮮に対する全ての輸出入を禁止する外国為替及び外国貿易法に基づく措置を長年維持してきた(それぞれ2006年10月14日、2009年6月18日に導入された)。
(3) 決議1874第18項に関する措置:
- 日本政府は、外国為替及び外国貿易法に基づく、北朝鮮の核関連、弾道ミサイル関連またはその他大量破壊兵器関連の計画または活動に貢献し得る支払い、支払いのための輸出入、資本取引または関連サービスの提供の制限を通して、金融サービスの提供またはいかなる金融資産、資産の移転を防止するための措置を導入した(2009年7月7日施行)。加えて、日本政府は、日本の金融機関に対して、金融資産またはその他資産や資源の移転を確認し、外国為替及び外国貿易法に基づく要件を満たすことを確実にすることを要請している(2009年7月7日要請)。
- 日本政府は、日本の金融機関に対して、北朝鮮関連資産の移転に関して特別な注意を払い、犯罪による収益の移転防止に関する法律に基づき、本人確認義務と疑わしい取引の報告の徹底を図ることを要請した(2009年7月7日要請)。
(4) 決議1874第19項及び第20項に関する措置:
- 日本政府は、決議1874第19項及び第20項に規定されているものも含めて、北朝鮮に対していかなる財政支援または支援も提供していない。
3. 決議1718のその他規定に関する措置
(1) 決議1874第11項から第16項に関する措置:
- 日本政府は、既存の法的枠組みの下で可能な限り貨物の検査を実施する。これら措置に加えて、日本政府は、決議1718及び1874の対象となる貨物の検査、押収及び処分する権限を海上保安庁及び税関に与えるための立法に必要な作業を現在行っている。
(2) 決議1874第17項に関する措置:
- 日本政府は、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法に基づき、日本の港への北朝鮮籍の船舶の入港の全面禁止を実施している。加えて、領海等における外国船舶の航行に関する法律は、人道上の目的等以外では外国船舶が日本の領海内に停泊することを認めていない。これらの理由及びその他理由により、日本国民による、または日本領土において北朝鮮の船舶に対してバンカリングサービスを提供する状況は想定されていない。
(3) 決議1874第28項に関する措置:
- 日本政府は、出入国管理及び難民認定法に基づき、全ての北朝鮮国民の日本への原則入国禁止を引き続き厳格に実施している(2009年7月10日施行)。
- 日本政府は、第28項に規定されている専門教育や訓練の提供に対して大学やその他研究機関に対して警告を発した(2009年7月10日通達)。
4. 北朝鮮に関する日本政府の最近の措置
日本政府は、最近のミサイル発射や核実験等、北朝鮮を取り巻く現状を踏まえて、日本国民の拉致事件に対する怠慢と同様に以下のような措置を講じている。これらの措置は、安全保障理事会への以前の報告(S/AC.49/2006/10)に含まれる措置に追加している。
(1) 2009年5月22日以降に導入された措置:
⒜ 北朝鮮に対する支払い等の手段の輸出に関して、日本政府は、関連当局へ届出を必要とする最低額を100万円から30万円に引き下げた。
⒝ 北朝鮮に所在する個人または団体への送金に関して、日本政府は、関係当局へ報告を必要とする最低金額を3000万円から1000万円に引き下げた。
(2) 2009年6月16日以降に導入された措置:
- 日本政府は、(i)北朝鮮に対する貿易及び金融措置に違反した外国船員の上陸、(ii)そのような違反を犯した在日外国人の北朝鮮を渡航先とした再入国を拒否する。
(3) 2009年6月18日以降に導入された措置:
- 日本政府は、北朝鮮に対する全ての輸出を禁止する。
訳注
[編集]- 便宜上、原文にあるDPRKは北朝鮮とした。
この文書は翻訳文であり、原文から独立した著作物としての地位を有します。翻訳文のためのライセンスは、この版のみに適用されます。 | |
原文: |
この文書は、国際連合の公式文書であり、パブリックドメインの状態にあります。次の文書は、国際連合のAdministrative Instruction ST/AI/189/Add.9/Rev.2により、世界中でパブリックドメインの状態に置かれています(これは参考要旨です)。
|
---|---|
翻訳文: |
原文の著作権・ライセンスは別添タグの通りですが、訳文はクリエイティブ・コモンズ 表示-継承ライセンスのもとで利用できます。追加の条件が適用される場合があります。詳細については利用規約を参照してください。 |