国際連合安全保障理事会決議第千九百三号(リベリアに対する制裁措置等の延長等に関する決議)に関する件

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○外務省告示第五十九号

平成二十一年十二月十七日、国際連合安全保障理事会において、リベリア情勢に関し、リベリア政府に対する武器禁輸が今後十二箇月間は適用されないことを決定すること等を内容とする次の決議が採択された。

平成二十二年二月十五日

外務大臣 岡田 克也

(訳文)

二千九年十二月十七日に安全保障理事会がその第六千二百四十六回会合において採択した決議第千九百三号(二千九年)

安全保障理事会は、

リベリア及び西アフリカにおける情勢に関する従前の決議及び議長声明を想起し、

二千六年一月以降、リベリア政府が、国際社会の支援を得て、すべてのリベリア国民の利益のためのリベリアの再建において達成してきた持続的な進展を歓迎し、

リベリアを原産地とする丸太及び木材製品に関する決議第千五百二十一号(二千三年)10の措置を更新しないとの決定を想起し、リベリアの木材部門における進展は、二千六年十月五日に署名され法律となった国家森林改革法、並びに歳入の透明性(リベリア採取産業透明性イニシアティブ令)並びに土地及び保有権の解決(森林地に関するコミュニティ権利法及び土地委員会令)に関連するその他の新たな法令の効果的な実施及び執行に関して継続しなければならないことを強調し、

ダイヤモンドに関する決議第千五百二十一号(二千三年)6の措置を終了する決定を想起し、リベリア政府によるキンバリー・プロセスへの参加並びに及び地域的及び国際的な主導的役割を歓迎し、ダイヤモンドに関して決議第千八百五十四号(二千八年)に基づき再設置された専門家パネルの調査結果、特にキンバリー・プロセス証明制度の国内での実施に関する調査結果に留意し、リベリアによるキンバリー・プロセス証明制度において必要な国内管理及びその他の要件の最小限の実施に留意し、これらの管理の実行性を確保するためのリベリア政府による一層の関与及び努力の必要性を強調し、

二千七年六月二十五日の議長声明(S/二〇〇七/二二)を想起し、採取産業透明性イニシアティブ(EITI)のような歳入の透明性を改善することを目的とする自発的活動の役割を認識し、産業の透明性の強化に関する総会決議第六十二/二百七十四号に留意し、リベリアによるEITI遵守の地位の達成を認識し、リベリアによるその他の採取産業の透明性に関する自発的活動に参加するとの決定を支持し、歳入の透明性の改善におけるリベリアの継続的な進展を慫慂し、

リベリア全域、特にダイヤモンド、木材及びその他の天然資源を生産する地域並びに国境地帯において、治安を改善し、政府が権限を確立することを支援する上で、国際連合リベリア・ミッション(UNMIL)が引き続き重要であることを強調し、

ダイヤモンド、木材、対象を特定した制裁、並びに武器及び治安の問題を含む、二千九年十二月十一日付国際連合リベリア専門家パネルの報告(S/二〇〇九/六四〇)に留意し、

決議第千五百二十一号(二千三年)2及び4並びに決議第千五百三十二号(二千四年)1により課せられた措置、並びに決議千五百二十一号(二千三年)5に規定された条件を満たすことに向けた進展を見直し、リベリア政府による武器の標示に係るUNMILとの協力に留意し、かかる目的に向け十分な進展がなされなかったと結論付け、

リベリア政府による決議第千五百二十一号(二千三年)の条件を満たすための努力を支援する決意を強調し、支援国を含むすべての利害関係者に対し、リベリア政府が係る努力をすることを支援するよう慫慂し、

平和維持活動局による国際連合平和維持活動と安全保障理事会制裁委員会の専門家パネルの間の協力と情報共有に関する暫定的な指針についての発表を歓迎し、

リベリアにおいて著しい進展があったにもかかわらず、同国における情勢がこの地域において国際の平和と安全に対する脅威を構成し続けていることを認定し、

国際連合憲章第七章の下に行動して、

1 決議第千五百二十一号(二千三年)4により課された渡航上の措置をこの決議の採択の日から十二箇月間延長することを決定する。

2 決議第千五百三十二号(二千四年)1により課された措置が引き続き効力を有することを想起し、決議第千五百三十二号(二千四年)1により課される金融上の措置の実施に関する進展の欠如についての専門家パネルの調査結果を深刻な懸念をもって留意し、リベリア政府に対しその義務を果たすためにすべての必要な努力を継続することを要求する。

3 決議千五百二十一号(二千三年)2により従前に課され、決議千六百八十三号(二千六年)1及び2並びに決議第千七百三十一号(二千六年)1⒝により修正された武器に関する措置は下記4のとおり改められ、また、下記4に定める期間、リベリア政府に対する武器及び関連物資の供給、販売又は移転並びに軍事活動に関連するあらゆる援助、助言又は訓練の提供には適用されないことを決定する。

4 この決議の採択の日から十二箇月間、すべての国は、リベリアの領域において活動するすべての非政府組織及び個人に対する自国の領域からのまたは自国民による若しくは自国の旗を掲げる船舶若しくは航空機の使用による武器及びあらゆる関連物資並びに軍事活動に関連するあらゆる援助、助言又は訓練の提供(資金提供及び資金援助を含む。)の直接又は間接の供給、販売又は移転を防止するための必要な措置をとることを決定する。

5 上記4の規定にいう措置は次のものには適用しないことを決定する。

⒜ 国際連合リベリア・ミッション(UNMIL)の支援又は同ミッションによる使用のみを目的とする武器及び関連物資並びに技術訓練及び援助の提供。

⒝ 国際連合職員、メディアの代表並びに人道及び開発関連職員並びにこれらの関係者が個人的使用に限ってリベリアに一時的に輸出する防護服(防弾チョッキ及び軍事用ヘルメットを含む。)。

⒞ 人道的な又は防護的な使用のみを目的とする非殺生的な軍用装備の供給並びに関連する技術援助及び訓練であって、下記6の規定に従い、決議第千五百二十一号(二千三年)21により設立された委員会(以下、「委員会」という。)に対して事前に通知されたもの。

6 上記4に定める期間、すべての国が、リベリア政府に向けたあらゆる武器及び関連物資の運搬又はリベリア政府のための軍事活動に関連するあらゆる援助、助言又は訓練の提供(上記5⒜及び⒝に規定するものを除く。)につき委員会に対して事前に通知することを決定し、そのような通知がすべての関連する情報(適当な場合には、供給される武器及び弾薬の種類及び量、最終使用者、配達予定日及び運搬の日程を含む。)を含むことの重要性を強調し、リベリア政府が、その後武器及び弾薬に標示を付し、それらの登録を保管し、委員会に対し、それらの措置を執ったことを正式に通知しなければならないことを改めて表明する。

7 決議第千五百三十二号(二千四年)1により課された措置を少なくとも一年に一度再検討する意図を再確認し、委員会に対し、リストへの掲載を求める関係国と調整し及び専門家パネルの支援を受け、必要に応じて、渡航禁止及び資産凍結リストへの掲載についての公に入手可能な理由、並びに委員会の指針を更新することを指示する。

8 リベリア政府が、同理事会に対し、決議第千五百二十一号(二千三年)に定める措置を終了させるための条件が満たされたことを報告し、その評価を正当化する情報を同理事会に提供した場合には、リベリア政府の要請により上記の措置を再検討することを決定する。

9 以下の業務を遂行するため、二千十年十二月二十日までの更なる期間、決議第千八百五十四号(二千八年)4に従い任命された専門家パネルの任務を延長する。

⒜ 上記4及び6並びに決議第千五百二十一号(二千三年)により課され、上記3及び4で改められた措置の実施及び違反(決議第千五百二十一号(二千三年)4⒜及び決議千五百三十二号(二千四年)1に規定する委員会による個人の指定に関連する情報を含み、また、天然資源等からの資金源のような武器の不法な取引のための様々な資金源を含む)を調査し、それらについての中間報告及び最終報告を作成するために、リベリア及び近隣諸国への二回の事後評価ミッションを実施すること。

⒝ 特にチャールズ・テイラー元大統領の資産に関することを含め、決議第千五百三十二号(二千四年)1により課される措置の影響及び有効性を評価すること。

⒞ 決議第千五百二十一号(二千三年)4及び決議第千五百三十二号(二千四年)1により課された措置の実施を促進するために、リベリア及び地域の国の能力が強化され得る分野を特定し、それらに関する勧告を行うこと。

⒟ リベリアの発展しつつある法的枠組みの文脈において、森林及びその他の天然資源が、不安定ではなく、平和、安全及び開発に貢献している程度、及び関連する法令(国家森林改革法、土地委員会令、森林地に関するコミュニティ権利法、及びリベリア採取産業透明性イニシアティブ令)がこの移行に貢献している程度を評価すること。

⒠ リベリア政府のキンバリー・プロセス証明制度の遵守について評価し、遵守について評価するにあたり、キンバリー・プロセスと調整すること。

⒡ この項に掲げるすべての事項に関し、二千十年六月一日までに委員会を通じ同理事会に対し中間報告を提出し、二千十年十二月二十日までに委員会を通じ同理事会に対し最終報告を提出すること、また、特に決議第千五百二十一号(二千三年)10の二千六年六月の解除以降の木材部門、及び決議第千五百二十一号(二千三年)6の二千七年四月の解除以降のダイヤモンド部門の進展状況について、これらの日以前に適切な場合には、委員会に対し非公式に最新の状況を提供すること。

⒢ 他の関連する専門家グループ(特に決議第千八百九十三号(二千九年)10によりコートジボワールに関して再設立されたもの)、及びキンバリー・プロセス証明制度と積極的に協力すること。

⒣ 渡航禁止及び資産凍結に関するリストへの掲載のために公に入手可能な理由の更新について、委員会を支援すること。

⒤ 上記3及び4の影響、特にリベリアの安定と治安に与える影響を評価すること。

10 事務総長に対し、専門家パネルを再任命し、パネルの業務を支援するため、必要な財政上及び安全上の措置をとるよう要請する。

11 すべての国及びリベリア政府に対し、その任務のすべての側面において、専門家パネルと完全に協力するよう要請する。

12 UNMILがその能力及び展開する地域の範囲内でリベリア政府、委員会、専門家パネルに対して継続している支援が重要であることを改めて表明し、その任務を予断することなく、決議第千六百八十三号(二千六年)を含む従前の決議で定める業務の実施を継続する。

13 リベリア政府に対し、二千九年のキンバリー・プロセス再検討チームによるダイヤモンド採掘と輸出に関する国内管理を強化するための勧告を実施するよう要請する。

14 キンバリー・プロセスに対し、専門家パネルとの協力を継続し、リベリアによるキンバリー・プロセス証明制度の実施に関する進展について報告することを慫慂する。

15 この問題に引き続き積極的に関与することを決定する。


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