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国際捕鯨取締条約の付表の修正に関する件 (昭和51年外務省告示第17号)

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○外務省告示第十七号

昭和五十年六月二十三日から同年六月二十七日までロンドンで開催された国際捕鯨委員会第二十七回会合において国際捕鯨取締条約の付表について採択された次の修正は、同条約第五条3の規定に従い、同年十月三日にすべての締約政府について効力を生じた。

付表の修正は、次のとおりである。

1に次の定義を加える。

「乳を分泌中の鯨」とは、⒜ひげ鯨については、現に乳腺に乳を有する雌鯨をいい、⒝まつこう鯨については、現に乳腺に乳を有しており、かつ、乳腺の最大の厚さ(深さ)が十センチメ―トル以上である雌鯨をいう。この測定は、腹部中央部の乳腺の個所で体軸に垂直に行うものとし、寸法は、最近値のセンチメ―トル単位で記入する。すなわち、九・五センチメートルと十・五センチメートルとの間の乳腺は、十センチメートルと記入する。乳腺の寸法の端数が丁度〇・五センチメートルである場合には、切り上げる。例えば、十・五センチメートルは十一センチメートルと記入する。ただし、これらの基準にかかわらず、当該鯨が乳を摂取する稚鯨を連れていることがその成長過程の時点においてあり得ないという科学的(組織学的又は生物学的)証拠が当該国の当局に提出される場合には、当該鯨は、乳を分泌中の鯨とはみなさない。

2⒞中「一解禁期で」を「一又は二以上の解禁期であつて」に改め、「継続的な」を削る。

3⒞の第二文を削る。

Ⅲ「捕獲」の次の「禁止及び区域」を「区域及び区分の分類」に改める。

5から7までを次のように改める。

5 6及び11において、南半球の区域は、氷縁辺と南緯四十度との間の水域であつて次の経度の間にあるものとする。ただし、いわし鯨(にたり鯨を含む。)及びミンク鯨については、赤道までの水域とする。

第一区域 西経百二十度―西経 六十度

第二区域 西経 六十度― 零度

第三区域  零度   ―東経 七十度

第四区域 東経 七十度―東経百三十度

第五区域 東経百三十度―西経百七十度

第六区域 西経百七十度―西経百二十度

6及び15において、南半球のまつこう鯨の捕獲制限に係る区分は、氷縁辺と赤道との間の水域であつて次の経度の間にあるものとする。

第一区分 西経 六十度―西経 三十度

第二区分 西経 三十度―東経 二十度

第三区分 東経 二十度―東経 六十度

第四区分 東経 六十度―東経 九十度

第五区分 東経 九十度―東経百三十度

第六区分 東経百三十度―東経百六十度

第七区分 東経百六十度―西経百七十度

第八区分 西経百七十度―西経百度

第九区分 西経百度  ―西経 六十度

資源の分類

6 すべての鯨資源は、科学小委員会の助言に従つて、次の三の種類のうちのいずれか一に分類する。

⒜ 維持管理資源は、最大の持続的生産量(以下MSYという。)を達成する資源水準を十パーセント以上下回らず、かつ、二十パーセント以上上回らない資源とする。MSYは、鯨の数を基にして決定する。

いずれかの資源は、ほぼ一定した捕獲により相当の期間にわたつて安定した水準を維持している場合において、他の種類に分類する積極的な証拠がない限り、維持管理資源に分類する。

商業的捕鯨は、科学小委員会の助言に従つて、維持管理資源について許可する。

南半球における千九百七十五年から千九百七十六年までの母船による捕鯨の解禁期及び千九百七十六年の鯨体処理場による捕鯨の解禁期並びに他のすべての区域における千九百七十六年の解禁期において、MSYを達成する資源水準とこの水準を十パーセント下回る水準との間にある資源について許容される捕獲頭数は、南半球におけるいわし鯨(にたり鯨を含む。)を除くほか、当該資源がMSYを達成する資源水準を一パーセント下回るごとにMSYの九十パーセントの頭数からこの頭数の十パーセントを減じた頭数を超えてはならない。MSYを達成する資源水準以上の資源について許容される捕獲頭数は、MSYの九十パーセントの頭数を越えてはならない。

南半球における千九百七十五年から千九百七十六年までの母船による捕鯨の解禁期及び千九百七十六年の鯨体処理場による捕鯨の解禁期におけるいわし鯨(にたり鯨を含む。)に関し、MSYを達成する資源水準を下回る維持管理資源について許容される捕獲頭数は、当該資源が維持管理段階の初期においてMSYを達成する資源水準を一パーセント下回るごとにMSYの九十パーセントの頭数からこの頭数の五パーセントを減じた頭数を超えてはならない。

次の資源は、南半球における千九百七十五年から千九百七十六年までの母船による捕鯨の解禁期及び千九百七十六年の鯨体処理場による捕鯨の解禁期並びに他のすべての区域における千九百七十六年の解禁期においては、維持管理資源に分類する。

ながす鯨 南半球の第一区域

ながす鯨 北大西洋(アイスランド資源)

〃    北大西洋(ニューファウンドランド資源)

いわし鯨(にたり鯨を含む。) 南半球の第一区域、第二区域及び第四区域から第六区域まで

ミンク鯨 南半球の第四区域及び北大西洋(フェアウエル岬東資源及びグリーンランド資源)

まつこう鯨―雄 南半球の第一区分から第四区分まで、第七区分及び第九区分

まつこう鯨―雌 南半球の第三区分、第四区分、第七区分及び第九区分

⒝ 初期管理資源は、MSYを達成する資源水準を二十パーセント以上上回る資源とする。商業的捕鯨は、効果的な方法により及び適性な水準以下に減少させることなく初期管理資源をMSYを達成する資源水準に引き下げた後に適正な水準に維持するための必要な措置に関する科学小委員会の助言に従い、初期管理資源について許可する。この資源について許容される捕獲頭数は、MSYが判明している場合には、MSYの九十パーセントの頭数を超えてはならない。一層適切な場合には、捕獲努力は、MSYを達成する資源水準にある資源についてMSYの九十パーセントの頭数を捕獲するものに制限する。

継続的な高い比率による捕獲が資源をMSYを達成する資源水準以下に減少させることがないという積極的な証拠がない場合には、推定された開発可能な初期資源の五パーセントを越える頭数を毎年捕獲してはならない。開発は、科学小委員会が満足する推定資源量が得られるまで、開始してはならない。

次の資源は、南半球における千九百七十五年から千九百七十六年までの母船による捕鯨の解禁期及び千九百七十六年の鯨体処理場による捕鯨の解禁期並びに他のすべての区域における千九百七十六年の解禁期においては、初期管理資源に分類する。

ミンク鯨 南半球の第一区域から第三区域まで、第五区域及び第六区域

ミンク鯨 北大西洋(フェアウエル岬西資源及びグリーンランド資源)

にたり鯨 北太平洋

まつこう鯨―雄 南半球の第五区分及び第八区分

まつこう鯨―雌 南半球の第一区分、第二区分、第五区分、第六区分及び第八区分

まつこう鯨―雄 北太平洋

まつこう鯨―雌 北太平洋

⒞ 保護資源は、MSYを達成する資源水準を十パーセント以上下回る資源とする。

商業的捕鯨は、保護資源に分類されている間は、その鯨種及び資源について、禁止する。次の資源は、南半球における千九百七十五年から千九百七十六年までの母船による捕鯨の解禁期及び千九百七十六年の鯨体処理場による捕鯨の解禁期並びに他のすべての区域における千九百七十六年の解禁期においては、保護資源に分類する。

しろながす鯨 全海洋

ざとう鯨 全海洋

せみ鯨 全海洋

こく鯨 全海洋

ながす鯨 南半球の第二区域から第六区域まで

ながす鯨 北太平洋

ながす鯨 北大西洋(ファロー資源及び西ノールウェー資源)

ながす鯨 北大西洋(ノヴァ・スコシャ資源)

いわし鯨 南半球の第三区域

いわし鯨 北太平洋

まつこう鯨―雄 南半球の第六区分

7 6の規定にかかわらず、グリーンランド水域においては、年間、長さが三十五フィート(十・七メートル)以上のざとう鯨十頭を捕獲することは、許可する。ただし、この目的のためには、登録総トン数五十トンに達しない捕鯨船を使用する。また、土民又は土民に代わつて行動する締約政府がこく鯨又はせみ鯨の肉及び生産物を土民の地方的消費にのみ用いるためにこれらの鯨を捕獲することは、許可する

8を次のように改める。

稚鯨を伴う雌鯨又は乳飲稚鯨を捕獲し又は殺すことは、禁止する。

11を次のように改める。

締約政府の管轄下にある母船又はこれに附属する捕鯨船によつて解禁期に南緯四十度以南の水域において捕獲されるながす鯨の数は、千九百七十五年から千九百七十六年までの解禁期において、二百二十頭を超えてはならない。ながす鯨の捕獲は、千九百七十六年六月三十日までに停止する。締約政府の管轄下にある母船、鯨体処理場又はこれらに附属する捕鯨船によつて解禁期に南半球において捕獲されるひげ鯨に属する他の鯨の数は、千九百七十五年から千九百七十六年までの母船による捕鯨の解禁期及び千九百七十六年の鯨体処理場による捕鯨の解禁期において、いわし鯨(にたり鯨を含む。)は二千二百三十頭を、ミンク鯨は六千八百十頭を超えてはならない。第一区域から第六区域までのうちのいずれかの区域における総捕獲頭数は、次の限度を超えてはならない。ただし、いかなる場合においても、区域別捕獲頭数の合計は、各鯨種ごとの総割当頭数を超えてはならない。

ながす鯨
いわし鯨(にたり鯨を含む。)
ミンク鯨
第一区域 二二〇頭 一九八頭 一、二〇〇頭
第二区域 〇頭 五六七頭 二、一六〇頭
第三区域 〇頭 〇頭 二、四〇〇頭
第四区域 〇頭 六七一頭 八九一頭
第五区域 〇頭 六九三頭 八四〇頭
第六区域 〇頭 二九七頭 六〇〇頭

12を次のように改める。

北太平洋及びその附属水域において捕獲される鯨の数は、千九百七十六年においては、次の限度を超えてはならない。

まつこう鯨―雄
五、二〇〇頭
まつこう鯨―雌 三、一〇〇頭
にたり鯨 一、三六三頭

13を次のように改める。

北大西洋で捕獲されるながす鯨及びミンク鯨の数は、千九百七十六年においては、次の限度を超えてはならない。

ながす鯨―ニューファウンドランド水域
九〇頭
ながす鯨―アイスランド水域 二七五頭
ミンク鯨―フェアウエル岬の東 二、〇〇〇頭
ミンク鯨―フェアウエル岬の西 五五〇頭

14を次のように改める。

14 削除

15を次のように改める。

南半球において捕獲されるまつこう鯨の数は、千九百七十五年から千九百七十六年までの母船による捕鯨の解禁期及び千九百七十六年の鯨体処理場による捕鯨の解禁期において、雄は五千八百七十頭を、雌は四千八百七十頭を超えてはならない。第一区分から第九区分までのうちのいずれかの区分における総捕獲頭数は、次の限度を超えてはならない。ただし、いかなる場合においても、区分別捕獲頭数の合計は、総割当頭数を超えてはならない。

第三区分及び第四区分 一、五六二頭 一、三六八頭
第五区分 一、〇八〇頭 七五六頭
第六区分 〇頭 三二四頭
第七区分 四九五頭 三九六頭
第八区分 一、五一二頭 九七二頭
第九区分、第一区分及び第二区分 二、〇二四頭 一、九九二頭

17⒜を次のように改める。

6の保護資源に分類される鯨又は締約政府の管轄下にある捕鯨船により2、3、9、11から13まで及び15の規定に違反して捕獲される鯨(締約政府の管轄下にある捕鯨船が捕獲したものであるかどうかを問わない。)を処理するために母船又は鯨体処理場を使用することは禁止する。

20の第二文を次のように改める。

乳を分泌中の鯨の捕獲については、捕鯨船の砲手又は乗組員に賞与又は他の報酬を支払つてはならない。

22⒝㈣を次のように改める。

雌のときは、乳を分泌中かどうか。

(昭和五十年十月六日付国際捕鯨委員会書記長回章)

昭和五十一年一月二十六日 外務大臣 宮澤 喜一

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