創世記2 (文語訳ルビ付)

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舊新約聖書 [文語]』日本聖書協会、1953年
明治元訳聖書
創世記

第11章[編集]

26テラ七十さいおよびてアブラム、ナホルおよびハランをうめ27テラのでんこれなりテラ、アブラム、ナホルおよびハランをうみハラン、ロトをうめ

28ハランはそのちちテラにさきだちてその生處うまれどころなるカルデアのウルにてしにたり 29アブラムとナホルとつまめとれりアブラムのつまをサライといひナホルのつまをミルカといひてハランのむすめなりハランはミルカのちちにしてまたイスカのちちなりき

30サライは石女うまずめにしてなかりき 31テラ、カナンのゆかんとてそのアブラムとハランのなるそのまごロトおよびそのアブラムのつまなるそのよめサライをひきつれともにカルデアのウルをいでたりしがハランにいと其處そこすめ

32テラのよはいは二百五さいなりきテラはハランにてしね

第12章[編集]

1ここにヱホバ、アブラムにいひたまひけるはなんぢくになんぢしんぞくわかなんぢちちいへはなれてなんぢしめさんそのいた

2われなんぢおほいなる國民たみなんぢめぐなんぢおほいならしめんなんぢ祉福さいはいもととなるべし

3われなんぢしゆくするものしゆくなんぢのろもののろはんてんもろもろ宗族やからなんぢによりて福禔さいはいえん

4アブラムすなはちヱホバの自己おのれいひたまひしことしたがひいでたりロトかれともゆけりアブラムはハランをいでたるとき七十五さいなりき

5アブラムそのつまサライとそのおとうとロトおよびそのあつめたるすべて所有もちものとハランにてたる人衆ひとびとたづさへてカナンのゆかんとてつひにカナンのいたれり

6アブラムその經過とほりてシケムのところおよびモレの橡樹かしのきいたれり其時そのときにカナンびとそのすめ

7ここにヱホバ、アブラムに顯現あらはれてわれなんぢ苗裔すゑ此地このちあたへんといひたまへり彼處かしこにてかれおのれ顯現あらはれたまひしヱホバにだんきづけり

8かれ其處そこよりベテルのひがしやまうつりてそのてんまくはれ西にしにベテルひがしにアイありき彼處かしこにてかれヱホバにだんきづきヱホバのよべ

9アブラムなほすすみみなみうつれり 10ここ饑饉ききんそのにありければアブラム、エジプトに寄寓とどまらんとて彼處かしこくだれり饑饉ききんそのはなはだしかりければなり

11かれちかきたりてエジプトにいらんとするときそのつまサライにいひけるはわれなんぢ美麗うつくし婦人をんななるを

12是故このゆえにエジプトびとなんぢときこれかれつまなりといひわれころさんされなんぢをば生存いかしおかん

13なんぢわがいもうとなりとしからわれなんぢゆゑによりてやすらかにしてわがいのちなんぢのために生存いき

14アブラム、エジプトにいたりしときエジプトびとこのをんなはなは美麗うつくしとなせり 15またパロの大臣だいじんかれかれをパロのまへめければをんなつひにパロのいへめしれられたり

16ここおいてパロかれのためにあつくアブラムをあつかひてアブラムつひひつじうししもべしもめ牝牡めを驢馬ろばおよび駱駝らくだおほるにいたれり

17ときにヱホバ、アブラムのつまサライのゆゑによりておほいなるわざはひてパロとそのいへなやましたまへり

18パロ、アブラムをめしいひけるはなんぢわれになしたる此事このことなんぞやなんぢ何故なにゆゑかれなんぢつまなるをわれつげざりしや

19なんぢ何故なにゆゑかれはわがいもうとなりといひしやわれほとんどかれをわがつまにめとらんとせりされなんぢつまここにあり挈去つれさるべしと

20パロすなはかれこと人々ひとびとめいじければかれそのつまおよびそのもてすべてものおくりさらしめたり

第13章[編集]

1アブラムそのつまおよびそのもてすべてものともにエジプトをいでみなみのぼれりロトかれともにありき

2アブラムはなはだ家畜けもの金銀きんぎんとめ3かれみなみよりそのたびすすみてベテルにいたりベテルとアイのあひだなるその以前さきてんまくはりたるところいたれり

4すなはかれはじめ其處そこきづきたるだんのあるところなり彼處かしこにアブラム、ヱホバのよべ

5アブラムとともゆきしロトもひつじうしおよびてんまくもて6その彼等かれらのせともをらしむることあたはざりき彼等かれらその所有もちものおほかりしによりともることをざりしなり

7斯有かかりしかばアブラムの家畜かちく牧者ぼくしやとロトの家畜かちく牧者ぼくしやあひだ競爭あらそひありきカナンびととペリジびと此時このときその居住すめ

8アブラム、ロトにいひけるは我等われら兄弟きやうだいひとなればわれなんぢあひだおよびわが牧者ぼくしやなんぢ牧者ぼくしやあひだ競爭あらそひあらしむるなか

9みななんぢまへにあるにあらずやわれはなれよなんぢもしひだりにゆかばわれみぎにゆかんまたなんぢみぎにゆかばわれひだりにゆかんと

10ここおいてロトあげてヨルダンのすべての低地くぼち瞻望のぞみけるにヱホバ、ソドムとゴモラとをほろぼたまはざりしさきなりければゾアルにいたるまであまねく潤澤うるほひてヱホバのそのごとくエジプトのごとくなりき

11ロトすなはちヨルダンの低地くぼちことごとえらみとりてひがしうつれりかく彼等かれら彼此たがひわかれたり

12アブラムはカナンのすめまたロトは低地くぼち諸邑まちまちそのてんまくうつしてソドムにいたれり

13ソドムのひとあしくしてヱホバのまへおほいなる罪人つみびとなりき 14ロトのアブラムにほかれしのちヱホバ、アブラムにいひたまひけるはなんぢあげなんぢところより西東にしひがしきたみなみ瞻望のぞ

15おほよなんぢところわれこれながなんぢなんぢすゑあたふべし

16われなんぢ後裔すゑ塵沙すなごとくなさんもしひと塵沙すなかぞふることをなんぢ後裔すゑかぞへらるべし

17なんぢたちたてよこそのめぐるべしわれこれなんぢあたへんと

18アブラムつひてんまくうつしてきたりヘブロンのマムレのかしばやし彼處かしこにてヱホバにだんきづけり

第14章[編集]

1當時そのときシナルのわうアムラペル、エラサルのわうアリオク、エラムのわうケダラオメルおよびゴイムのわうテダル 2ソドムのわうベラ、ゴモルのわうビルシア、アデマのわうシナブ、ゼボイムのわうセメベルおよびベラ(すなはいまのゾアル)のわうたたかひをなせり

3是等これらの五にんわうみな結合むすびあひてシデムのたにいたれり其處そこいま鹽海しほうみなり

4彼等かれらは十二ねんケダラオメルにつか第十三年じふさんねんめそむけり 5第十四年じふよねんめにケダラオメルおよびかれともなる王等わうたちきたりてアシタロテカルナイムのレパイムびと、ハムのズジびと、シヤベキリアタイムのエミびと

6およびセイルざんのホリびとうち曠野あらのほとりなるエルパランにいたれ7彼等かれらかへりてエンミシパテ(すなはいまのカデシ)にいたりアマレクびとくにことごとうちまたハザゾンタマルにすめるアモリびとうて

8ここにソドムのわうゴモラのわうアデマのわうゼボイムのわうおよびベラ(すなはいまのゾアル)のわういでてシデムのたににて彼等かれらたたかひをまじへたり

9すなはかのにん王等わうたちエラムのわうケダラオメル、ゴイムのわうテダル、シナルのわうアムラペル、エラサルのわうアリオクのにんたたかへり

10シデムのたにには地瀝靑ちやんあなおほかりしがソドムとゴモラの王等わうたちにげ其處そこおちいりぬ其餘そのほかものやま遁逃のがれたり

11ここおい彼等かれらソドムとゴモラのすべてものそのすべてしよくれうとりれり

12彼等かれらアブラムのをひロトとそのものとりされかれソドムにすみたればなり

13ここ遁逃者のがれたるものきたりてヘブルびとアブラムにこれつげたりときにアブラムはアモリびとマムレのかしばやしすめりマムレはエシコルの兄弟きやうだいまたアネルの兄弟きやうだいなり是等これらはアブラムと契約けいやくむすべるものなりき

14アブラムその兄弟きやうだいとりこにせられしをききしかばそのじゆくれんしたるいへ三百十八にんひきゐてダンまでおひいたり

15その家臣けらいわかちてじやうじて彼等かれら彼等かれら撃破うちやぶりてダマスコのひだりなるホバまで彼等かれらおひゆけり

16アブラムかくすべてもの奪回とりかへまたその兄弟きやうだいロトとそのものおよび婦人をんな人民たみ取回とりかへせり

17アブラム、ケダラオメルおよびかれともなる王等わうら撃破うちやぶりてかへれるときソドムのわうシヤベのたに(すなはいまわうたに)にてかれむかへたり

18ときにサレムのわうメルキゼデク、パンとさけ携出もちいだせりかれ至高いとたかかみ祭司さいしなりき

19かれアブラムをしゆくしていひけるはねがはくは天地てんちぬしなる至高いとたかきかみアブラムを祝福めぐみたまへ

20ねがはくはなんぢてきなんぢわたしたまひし至高いとたかきかみ稱譽ほまれあれとアブラムすなはかれそのすべてもの什分じふぶんの一をおくれり

21ここにソドムのわうアブラムにいひけるはひとわれあたものなんぢれと

22アブラム、ソドムのわういひけるはわれ天地てんちぬしなる至高いとたかかみヱホバをさし

23一本ひとすじいとにても鞋帶くつひもにてもすべなんぢ所屬ものわれとらざるべしおそらくはなんぢわれアブラムをとましめたりといは

24ただ少者わかものすでくらひたるものおよびわれともゆきひとアネル、エシコルおよびマムレのぶんのぞくべし彼等かれらには彼等かれらぶんとらしめよ

第15章[編集]

1是等これらことのちヱホバのことば異象まぼろしうちにアブラムにのぞみいはくアブラムよおそるるなかれわれなんぢ干櫓たてなりなんぢたまものはなはだおほいなるべし

2アブラムいひけるはしゆヱホバよなにわれあたへんとしたまふやわれなくしてこのダマスコのエリエゼルいへ相續人あとつぎなり

3アブラムまたいひけるはなんぢたねわれにたまはずわれいへわが嗣子よつぎとならんとすと

4ヱホバのことばかれにのぞみていはこのものなんぢ嗣子よつぎとなるべからずなんぢよりいづものなんぢ嗣子よつぎとなるべしと

5かくてヱホバかれそとたづさいだしていひたまひけるはてんのぞみてほしかずるかをよとまたかれいひたまひけるはなんぢ子孫しそんかくのごとくなるべしと

6アブラム、ヱホバをしんずヱホバこれをかれとなしたまへり 7またかれいひたまひけるはわれ此地このちなんぢあたへてこれたもたしめんとてなんぢをカルデアのウルよりみちびいだせるヱホバなり

8かれいひけるはしゆヱホバよわれいかにしてわれこれたもつことをるべきや 9ヱホバかれいひたまひけるはさんさいうしさんさい山羊やぎさんさい牡羊をひつじやまばとおよびわか鴿いへばとわれためにれと

10かれすなは是等これらみなとりこれうちよりそのさきたるものおのおの相對あひむかはしめておけただとりさかざりき

11鷙鳥あらきとりその死體しかばねうへくだときはアブラムこれおひはらへり 12かくころアブラムふかねむりしがそのおほいくらきをおぼえておそれたり

13ときにヱホバ、アブラムにいひたまひけるはなんぢたしかるべしなんぢ子孫しそん他人ひとくに旅人たびびととなりてその人々ひとびと服事つかへん彼等かれら四百ねんのあひだこれなやまさん

14またその服事つかへたる國民くにたみわれこれさばかんそののち彼等かれらおほいなる財貨たからたづさへていで

15なんぢ安然やすらかなんぢ父祖せんぞところにゆかんなんぢ遐齡よきよはひいたりてはうむらるべし

16だいおよびて彼等かれらここかへりきたらんはアモリびとあくいま貫盈みたざればなり

17かくいり黑暗くらやみとなりしときけむり火焔ほのほいづかまどその切剖きりさきたるものなか通過とほれ

18このにヱホバ、アブラムと契約けいやくをなしていひたまひけるはわれ此地このちをエジプトのかはよりかの大河おほかはすなはちユフラテかはまでなんぢ子孫しそんあた

19すなはちケニびとケナズびとカデモニびと 20ヘテびとペリジびとレパイムびと 21アモリびとカナンびとギルガシびとヱブスびとこれなり

第16章[編集]

1アブラムのつまサライ子女こどもうまざりきかれ一人ひとり侍女つかへめありしがエジプトびとにしてそのをハガルといへ

2サライ、アブラムにいひけるはよヱホバわがむことをとどめたまひければ侍女つかへめところわれかれよりして子女こどもることあらんとアブラム、サライのことばききいれたり

3アブラムのつまサライその侍女つかへめなるエジプトびとハガルをとりこれそのをつとアブラムにあたへてつまとなさしめたりこれはアブラムがカナンのじふねんみたるのちなりき

4ここにおいてアブラム、ハガルのところるハガルつひはらみければおのれはらめるをその女主によしゆ藐視みさげたり

5サライ、アブラムにいひけるはわがかうむれるがいなんぢすべしわれわが侍女つかへめなんぢふところあたへたるにかれおのれはらめるをわれ藐視みさねがはくはヱホバわれなんぢあひだことさばきたまへ

6アブラム、サライにいひけるはなんぢ侍女つかへめなんぢうちにありなんぢよしゆるところかれすべしサライすなはかれくるしめければかれサライのかほさけにげたり

7ヱホバの使者つかひ曠野あらのいづみかたはらすなはちシユルのみちにあるいづみかたはらにてかれひて

8いひけるはサライの侍女つかへめハガルよなんぢ何處いずこよりきたれるやまた何處いずこゆくかれいひけるはわれ女主によしゆサライのかほをさけてにぐるなり

9ヱホバの使者つかひかれいひけるはなんぢ女主によしゆもとかへそのまかすべし

10ヱホバの使者つかひまたかれひけるはわれおほいなんぢ子孫しそんそのかず衆多おほくしてかぞふることあたはざらしめん

11ヱホバの使者つかひまたかれいひけるはなんぢはらめり男子をとこのこまんそのをイシマエル(神聽知かみきこしめす)となづくべしヱホバなんぢ艱難くるしみ聽知きこしめしたまへばなり

12かれ野驢馬のろばごとひととならんそのすべてひとてきすべてひとはこれにてきすべしかれそのすべて兄弟きやうだいひがしすまんと

13ハガルおのれさとしたまへるヱホバのをアタエルロイ(なんぢたまふかみなり)とよべりかれいふわれたるのちなほいくるやと

14ここをもてそのゐどはベエルラハイロイ(われいくもの)とばるこれはカデシとベレデのあひだにあり

15ハガル、アブラムの男子をのこめりアブラム、ハガルのめるそのをイシマエルとづけたり 16ハガル、イシマエルをアブラムにめるときアブラムは八十六さいなりき

第17章[編集]

1アブラム九十九さいときヱホバ、アブラムにあらはれてこれいひたまひけるはわれぜんのうかみなりなんぢわがまへあゆみて完全まつたかれよ

2われわが契約けいやくわれなんぢあひだおほいなんぢ子孫しそんまさ

3アブラムすなは俯伏ふしたりかみまたかれつげいひたまひけるは 4われなんぢとわが契約けいやくなんぢ衆多おほく國民くにたみちちとなるべし

5なんぢこののちアブラムとぶべからずなんぢをアブラハム(衆多おほくひとちち)とよぶべしわれなんぢ衆多おほく國民くにたみちちなせばなり

6われなんぢをして衆多おほく子孫しそんせしめ國々くにぐにたみなんぢよりおこさん王等わうたちなんぢよりいづべし

7われわが契約けいやくわれなんぢおよびなんぢのち世々よよ子孫しそんとのあひだたて永久とこしなへ契約けいやくとなしなんぢおよびなんぢのち子孫しそんかみとなるべし

8われなんぢなんぢのち子孫しそんこのなんぢ寄寓やどれすなはちカナンの全地ぜんちあたへて永久とこしなへ產業もちものとなさんしかしてわれ彼等かれらかみとなるべし

9かみまたアブラハムにいひたまひけるはされなんぢなんぢのち世々よよ子孫しそんわが契約けいやくまもるべし

10汝等なんぢらうち男子をとこのこみな割禮かつれいうくべしこれわれ汝等なんぢらおよびなんぢのち子孫しそんあひだ契約けいやくにして汝等なんぢらまもるべきものなり

11汝等なんぢらそのやうかはきるべしこれわれ汝等なんぢらあひだ契約けいやくしるしなり

12汝等なんぢら代々よよ男子をとこのこいへうまれたるもの異邦人ことくにびとよりかねにてかひたるなんぢ子孫しそんならざるものみなうまれて八日やうかいたらば割禮かつれいうくべし

13なんぢいへうまれたるものなんぢかねにてかひたるもの割禮かつれいうけざるべからずかくわれ契約けいやく汝等なんぢらにありて永久とこしなへ契約けいやくとなるべし

14割禮かつれいうけざる男兒をのこすなはそのやうかはきらざるものわが契約けいやくやぶるによりて其人そのひとそのたみうちよりたたるべし

15かみまたアブラハムのいひたまひけるはなんぢつまサライはそのをサライとぶべからずそのをサラとなすべし

16われかれめぐかれよりしてまたなんぢ一人ひとり男子をとこのこさづけんわれかれめぐかれをして諸邦くにぐにたみははとならしむべしもろもろたみ王等わうたちかれよりいづべし

17アブラハム俯伏ふしわら其心そのこころいひけるは百さいひといかうまるることあらんやまたサラは九十さいなればいかうむことをなさんやと

18アブラハムつひかみにむかひてねがはくはイシマエルのなんぢのまへに生存いきながらへんことをと19かみいひたまひけるはなんぢつまサラかならうまなんぢそのをイサクとなづくべしわれかれおよびそののち子孫しそん契約けいやくたて永久とこしなへ契約けいやくとなさん

20またイシマエルのことつきてはわれなんぢねがひききたりわれかれめぐみて多衆おほく子孫しそんさしめおほいかれ子孫しそんすべしかれ十二の君王きみうまわれかれおほいなる國民くにたみとなすべし

21されどわが契約けいやくわれ翌年あくるとしいまごろサラがなんぢうまところのイサクとこれたつべし

22かみアブラハムとものいふことをかれはなれてのぼたまへり 23ここおいてアブラハムかみおのれいひたまへるごとこのそのイシマエルとすべそのいへうまれたるものおよびすべそのかねにてかひたるものすなはちアブラハムのいへひとうちなるすべてをとこひききたりてそのやうかはきりたり

24アブラハムはそのやうかはきられたるとき九十九さい 25そのイシマエルはそのやうかはきられたるとき十三さいなりき

26このアブラハムとそのイシマエル割禮かつれいうけたり 27またそのいへひといへうまれたるものかねにて異邦人ことくにびとよりかひたるものみなかれとともに割禮かつれいうけたり

第18章[編集]

1ヱホバ、マムレのかしばやしにてアブラハムに顯現あらはれたまへりかれあつ時刻ころてんまくいりくちしゐたりしが

2あげたるにさんにんひとそのまへたてかれてんまくいりくちよりはしゆきこれむか

3かがめていひけるはしゆわれもしなんぢのまへにめぐみたるならばしもべとほすごすなかれ

4少許すこしみづとりきたらしめ汝等なんぢらあしあらひてした休憇やすみたまへ

5われひとくちのパンをとりきたらん汝等なんぢらこころなぐさめてしかのちすぎゆくべし汝等なんぢらしもべところきたればなり彼等かれらなんぢいへるごとく

6ここにおいてアブラハムてんまくいそぎいりてサラのもといたりていひけるはすみやかこまかきこなさんセヤをこねてパンをつくるべしと

7しかしてアブラハムうしむれはせゆきこうしやはらかにしてものりきたりて少者わかものわたしければいそぎてこれ調理ととの

8かくてアブラハム牛酪ぎうらく牛乳ちちおよびその調理ととのへたるこうしとり彼等かれらのまへにそなしたにてそのかたはらたて彼等かれらすなはくらへり

9彼等かれらアブラハムにいひけるはなんぢつまサラは何處いずくにあるやかれてんまくにあり

10その一人ひとり明年あくるとしいまごろわれかならなんぢかへるべしなんぢつまサラに男子をとこのこあらんサラそのうしろなるてんまくいりくちにありてききゐたり

11そもそもアブラハムとサラは年邁としすすおいいたるものにしてサラには婦人をんなつねことすでやみたり

12是故このゆえにサラこころわらひていひけるはわれ老衰おとろわがしゆまたおいたるのちなればわれたのしみあるべけんや

13ヱホバ、アブラハムにいひたまひけるは何故なにゆゑにサラはわらひてわれおいたればはたしてうむことあらんとふや

14ヱホバにあにがたことあらんやときいたらばわれさだめたるときなんぢかへるべしサラに男子をとこのこあらんと

15サラおそれたればうけがはずしてわれわらはずとへりヱホバいひたまひけるはいなやなんぢわらへるなり

16かくその人々ひとびと彼處かしこよりたちてソドムのかたのぞみければアブラハム彼等かれらおくらんとてともゆけ

17ヱホバたまひけるはわれなさんとすることをアブラハムにかくすべけんや 18アブラハムはかならおほいなるつよ國民くにたみとなりててんたみみなかれよりさひはいうるいたるべきにあらずや

19われかれをしてそののち兒孫こどもら家族かぞくとにめいじヱホバのみちまもりて公儀ただしき公道おほやけおこなはしめんためかれをしれりこれヱホバ、アブラハムにそのかつかれつきいひことおこなはんためなり

20ヱホバまたいひたまふソドムとゴモラの號呼さけびおほいなるにまたそのつみはなはおもきより

21われいまくだりてその號呼さけびわれいたれるごとくかれらまつたおこなひたりしやをんとすもししからずばわれるにいたらんと

22その人々ひとびと其處そこよりかへしてソドムにおもむけりアブラハムはなほほヱホバのまへにたて23アブラハムちかよりていひけるはなんぢ義者ただしきものをも惡者あしきものともほろぼしたまふや

24もしまちうちに五十にん義者ただしきものあるもなんぢ其處そのところほろぼしそのうちの五十にん義者ただしきもののためにこれをゆるしたまはざるや

25なんぢかくごとなし義者ただしきもの惡者あしきものともころすがごときはこれあるまじきことなりまた義者ただしきもの惡者あしきもの均等ひとしくするがごときもあるまじきことなりてんさばもの公儀ただしきおこなべきにあらずや

26ヱホバいひたまひけるはわれもしソドムにおいまちうちに五十にん義者ただしきものその人々ひとびとのために其處そのところことごとゆるさん

27アブラハムこたへていひけるはわれちりはひなれどもあへわがしゆ言上まう

28もし五十にん義者ただしきものうちにんかけたらんになんぢにんかけたるためにまちことごとほろぼしたまふやヱホバいひたまひけるはわれもし彼處かしこに四十五にんほろぼさざるべし

29アブラハムまたかさねてヱホバに言上まうしていひけるはもし彼處かしこに四十にんえなば如何いかんヱホバいひたまふわれ四十にんのためにこれをなさじ

30アブラハムひけるはふわがしゆいからずしていはしめたまへもし彼處かしこに三十にんえなば如何いかんヱホバいひたまふわれ三十にん彼處かしここれなさ

31アブラハムわれあへてわがしゆ言上まうもし彼處かしこに二十にんえなば如何いかんヱホバいひたまふわれ二十にんのためにほろぼさじ

32アブラハムふわがしゆいからずしていま一度ひとたびいはしめたまへもしかしこに十にんえなば如何いかんヱホバいひたまふわれにんのためにほろぼさじ

33ヱホバ、アブラハムとものいふことををへてゆきたまへりアブラハムおのれのところにかへりぬ

第19章[編集]

1その二個ふたり天使てんのつかひ黄昏ゆふぐれにソドムにいたるロトときにソドムのもんたりしがこれをたちむかかうべにさげて

2いひけるはわがしゆしもべいへのぞあしあらひて宿やどりつとにおきみち遄征すすみたまへ彼等かれらいな我等われら街衢ちまた宿やどらんと

3されかたしひければつひかれところのぞみてそのいへるロトすなは彼等かれらのためにふるまひまうたねいれぬパンをやきくらはしめたり

4かくいまいねざるまへまち人々ひとびとすなはちソドムのひとおいたるもわかきも諸共もろとも四方八方よもやもよりきたたれるたみみなそのいへかこ

5ロトをよびこれいひけるは今夕このゆふべなんぢつきたるひと何處いずくにをるや彼等かれら我等われらところたづさいだ我等われらこれらん

6ロトいりくちいでそのうしろ彼等かれらもといたりて

7いひけるは兄弟きやうだいあしことすなかれ 8われいまをとこしら二人ふたりむすめありわれこれたづさいで爾等なんぢらよしゆるごとこれになせよただこの人等ひとたちすでわがいへかげいりたればなにをもこれになすなかれ

9彼等かれらなんぢ退しりぞまたいひけるは此人このひときたやどれるなるにつね士師さばきびととならんとすされ我等われら彼等かれらくはふるよりもおほくのがいなんぢくはへんとつひ彼等かれらはげしく其人そのひとロトにせますすみよりてそのやぶらんとせしに

10かの二人ふたりそののばしロトをいへうちひきいれてその

11いへいりくちにをる人衆ひとびとをしておほいなるもちひさきともくらましめければ彼等かれらつひいりくちたづぬるに困憊つかれたり

12かく二人ふたりロトにいひけるはほかなんぢぞくするものありやなんぢ婿むこむすこむすめおよびすべまちにをりてなんぢぞくするものこのところよりたづさいづべし

13此處このところ號呼さけびヱホバのまへおほいになりたるにより我等われらこれほろぼさんとすヱホバ我等われらつかはしてこれほろぼさしめたまふ

14ロトいでそのむすめめと婿むこつげいひけるはヱホバがまちほろぼしたまふべければ爾等なんぢらたち此處このところいでよとされ婿むここれ戲言たはふれごと視爲みなせ

15あかつきおよび天使てんのつかひロトをうながしていひけるはたちここなるなんぢつま二人ふたりむすめたづさへよおそらくはなんぢまちあくとともにほろぼされん

16しかるにかれ遲延ためらひしかば二人ふたりそのそのつまその二人ふたりむすめとりこれみちびいだまちそとおけりヱホバかくかれ仁慈あはれみくはへたまふ

17すでこれみちびいだしてその一人ひとりいひけるは逃遁のがれなんぢ生命いのちすくうしろ回顧かへりみるなかれ低地くぼちうちとどまるなかれやまのがれよしからずばなんぢほろぼされん

18ロト彼等かれらいひけるはわがしゆかくしたまふなかれ 19しもべなんぢのまへにめぐみたりなんぢおほいなる仁慈あはれみわれほどこしてわが生命いのちすくひたまふわれやまのがるあたはずおそらくは災害わざはいおよびてしぬるにいたらん

20このまちにげゆくにちかくしてかつちいさわれをして彼處かしこのがれしめよしからばわが生命いのちまつたからんこれちいさまちなるにあらずや

21天使てんのつかひこれにいひけるはわれ此事このことつきてもまたなんぢねがひいれたればなんぢふところのまちほろぼさじ

22いそぎて彼處かしこのがれよなんぢ彼處かしこいたるまではわれ何事なにごとをもなすずとこれよりそのまちはゾアル(ちいさし)とよば

23ロト、ゾアルにいたれるときうへのぼれり 24ヱホバ硫黄いわうをヱホバのところよりすなはてんよりソドムとゴモラにふらしめ

25そのまち低地くぼちそのまち居民ひとおよびおふるところのものことごとほろぼしたまへり

26ロトのつまうしろ回顧かへりみたればしほはしらとなりぬ 27アブラハムそのあさつとおきそのかつてヱホバのまへたちたるところいた

28ソドム、ゴモラおよび低地くぼち全面おもてのぞるにその烟燄けむりかまけむりのごとくに騰上たちのぼれり

29かみ低地くぼちまちほろぼしたまふときすなはちロトのすめまちほろぼしたまふときあたかみアブラハムを眷念おもひかくその滅亡ほろびうちよりロトをいだしたまへり

30かくてロト、ゾアルにることをおそれたればその二人ふたりむすめともにゾアルをいでのぼりてやまその二人ふたり女子むすめとともに巖穴いはやすめ

31ここ長女あね季女いもとにいひけるは我等われらちちいたりまた此地このちには我等われらあひみちなさひとあらず

32され我等われらちちさけのませてともちちよりんと

33つひそのよるちちさけのま長女あねむすめいりそのちちともいねたりしかるにロトはむすめ起臥おきふししらざりき

34翌日あくるひ長女あねむすめ季女おとむすめいひけるはわれ昨夜きのふのよわがちちいねたり我等われらこのまたちちさけをのませんなんぢいりともいねよわれらのちちよりることをえんと

35すなはそのよるまたちちさけをのませ季女おとむすめたちちちともいねたりロトまたむすめ起臥おきふししらざりき

36かくロトの二人ふたりむすめそのちちによりてはらみたり 37長女あねむすめそのをモアブとなづすなはいまのモアブびと先祖せんぞなり

38季女おとむすめまたそのをベニアンミとなづすなはいまのアンモニびと先祖せんぞなり

第20章[編集]

1アブラハム彼處かしこよりうつりてみなみいたりカデシとシユルのあひだりゲラルに寄留とどまれ

2アブラハムそのつまサラをわがいもうとなりといひしかばゲラルのわうアビメレクひとつかはしてサラをめしいれたり

3しかるにかみよるゆめにアビメレクにのぞみてこれいひたまひけるはなんぢそのめしいれたる婦人をんなのためにしぬるなるべしかれをつとあるものなればなり

4アビメレクいまかれちかづかざりしかばしゆなんぢただしたみをもころしたまふや

5かれわれこれはわがいもうとなりといひしにあらずやまたをんなみずからかれはわがあになりといひたりわれまつたこころいさぎよをもてこれをなせり

6かみまたゆめこれいひたまひけるはしかわれなんぢまつたこころをもてこれをなせるをりたればわれなんぢとどめてつみわれをかさしめざりきかれふるるをゆるさざりしはこれがためなり

7されかれつまかへかれ預言者よげんしやなればなんぢのためにいのなんぢをして生命いのちたもたしめんなんぢもしかへさずばなんぢなんぢぞくするものみなかならずしぬるべきをるべし

8ここおいてアビメレクそのあさつとおき臣僕しもべことごと此事このことみなかたきかせければ人々ひとびといたおそれたり

9かくてアビメレク、アブラハムをめしこれいひけるはなんぢ我等われらなにすやわれなにあしことなんぢになしたればなんぢおほいなるつみわれとわがくにかうむらしめんとせしかなんぢなすべからざる所爲わざわれしたり

10アビメレクまたアブラハムにいひけるはなんぢなに此事このことなしたるや 11アブラハムいひけるはわれ此處このところはかならずかみおそれざるべければわがつまのためにひとわれころさんとおもひたるなり

12またわれまことにわがいもうとなりかれはわがちちにしてわがははにあらざるがつひわがつまとなりたるなり

13かみわれをしてわがちちいへはなれて周遊ゆきめぐらしめたまへるときあたりてわれかれなんぢ我等われらいたところにてわれなんぢあになりとこれなんぢわれほどこめぐみなりといひたり

14アビメレクすなはひつじうししもべしもめとりてアブラハムにあたそのつまサラこれかへせり

15しかしてアビメレクいひけるはわがなんぢのまへにありなんぢこのむところに

16またサラにいひけるはわれなんぢあにぎんせんまいあたへたりこれなんぢおよびすべてひとにありし事等ことどもにつきてなんぢおほものなりかくなんぢ償贖つくのひたり

17ここおいてアブラハムかみいのりければかみアビメレクとそのつまおよびしもめいやしたまひて彼等かれらむにいたる

18ヱホバさきにはアブラハムのつまサラのゆゑをもてアビメレクのいへものたいをことごとくとぢたまへり

第21章[編集]

1ヱホバそのいひごとくサラを眷顧かへりみたまふすなはちヱホバそのつげしごとくサラにおこなひたまひしかば

2サラつひはらかみのアブラハムにつげたまひし期日きにちおよびてとしおいたるアブラハムに男子をとこのこうめ

3アブラハムそのうまれたるすなはちサラがおのれうめをイサクとなづけたり

4アブラハムかみめいじたまひしごと八日やうかそのイサクに割禮かつれいおこなへり

5アブラハムはそのイサクのうまれたるときひやくさいなりき 6サラいひけるはかみわれわらはしめたまふものみなわれとともにわらはん

7またいひけるはたれかアブラハムにサラ子女こどもちちのましむるにいたらんといひしものあらんしかるかれとしおゆるにおよびて男子をとこのこうみたりと

8さてその長育そだちてつひはなるイサクのはなるるにアブラハムおほいなる饗宴ふるまひまうけたり

9ときにサラ、エジプトびとハガルがアブラハムにうみたるわらふを10アブラハムにいひけるはこのしもめその遂出おひいだこのしもめわがイサクととも嗣子よつぎとなるべからざるなりと

11アブラハムそののためにいた此事このことうれへたり 12かみアブラハムにいひたまひけるは童兒わらべのためまたなんぢしもめのためにこれうれふるなかれサラがなんぢいふところのことばことごとこれはイサクよりいづものなんぢすゑとなへらるべければなり

13またしもめなんぢたねなればわれこれひとつくにとなさん

14アブラハムあさつとおきてパンとみづ革嚢かはぶくろとをりハガルにあたへてこれそのかたおはそのたづさへてさらしめければかれゆきてベエルシバの曠野あらの躑躅さまよひしが

15革嚢かはぶくろみづつひつきたれば灌木した16わがしぬるをるにしのびずといひてはるかに箭逹やごろへだててこれむかしぬかく相嚮あひむかひてこゑをあげて

17かみその童兒わらべこゑききたまふかみ使つかひすなはてんよりハガルをよびこれいひけるはハガルよ何事なにごとぞやおそるるなかれかみ彼處かしこにをる童兒わらべこゑききたまへり

18たち童兒わらべおここれなんぢいだくべしわれこれおほいなるくにとなさんと

19かみハガルのひらきたまひければみづゐどあるをゆきて革嚢かはぶくろみづみた童兒わらべのましめたり

20かみ童兒わらべともいまかれつひ成長ひととな曠野あらのりて射者ゆみいるものとなり

21パランの曠野あらのすめそのははかれのためにエジプトのくによりつまむかへたり 22當時このときアビメレクとその軍勢ぐんぜいかしらピコル、アブラハムにかたりいひけるはなんぢ何事なにごとなすにもかみなんぢとともにいま

23されなんぢわれとわがとわがまごいつはりをなさざらんことをいまここかみをさしてわれちか厚情あつきこころをもてなんぢをあつかふごとくなんぢわれこのなんぢ寄留とどまとになすべし

24アブラハムわれちかはん 25アブラハム、アビメレクの臣僕しもべみづゐどうばひたることにつきてアビメレクをせめければ

26アビメレクわれたれ此事このことなせしをしらなんぢわれつげしことまたわれ今日けふまでききしことなし

27アブラハムすなはひつじうしとりこれをアビメレクにあたかく二人ふたり契約けいやくむすべり

28アブラハムこひつじななつわかおきければ 29アビメレク、アブラハムになんぢこのななつこひつじわかちおくはなんのためなるや

30アブラハムいひけるはなんぢわがよりこのななつこひつじりてこれゐどほりたる證據あかしとならしめよと彼等かれら二人ふたり彼處かしこちかひしによりて

31其處そのところをベエルシバ(盟約ちかひゐど)となづけたり 32かく彼等かれらベエルシバにて契約けいやくむすびアビメレクとその軍勢ぐんぜいかしらピコルはたちてペリシテびとくにかへりぬ

33アブラハム、ベエルシバにやなぎ永遠とこしなへいまかみヱホバの彼處かしこよべ

34かくしてアブラハムひさしくペリシテびと留寄とどまりぬ

第22章[編集]

1是等これらことのちかみアブラハムをこころみんとてこれをアブラハムよとよびたまふかれわれここにあり

2ヱホバいひたまひけるはなんぢなんぢあいする獨子ひとりごすなはちイサクをたづさへてモリアのいたりわがなんぢしめさんとする彼所かしこやまおいかれ燔祭はんさいとしてささぐべし

3アブラハムあさつとおきその驢馬ろばくらおき二人ふたり少者わかものそのイサクをたづさかつ燔祭はんさい柴薪たきぎりてたちかみおのれしめしたまへるところにおもむきけるが

4三日みつかにおよびてアブラハムあげはるかそのところたり 5ここおいてアブラハムその少者わかものいひけるはなんぢ驢馬ろばとともにこことどまわれ童子わらべ彼處かしこにゆきて崇拜をがみまたなんぢかへら

6アブラハムすなは燔祭はんさい柴薪たきぎとりそのイサクにおはかたなとり二人ふたりともにゆけ

7イサクちちアブラハムにかたりちちよとかれこたへわれここにありといひければイサクすなは柴薪たきぎされ燔祭はんさいこひつじ何處いづくにあるや

8アブラハムいひけるはかみみづか燔祭はんさいこひつじそなへたまはんと二人ふたりともすすみゆきて

9つひかみかれしめしたまへるところいたれりここにおいてアブラハム彼處かしこだんきづけ柴薪たきぎ臚列ならそのイサクをしばりてこれだん柴薪たきぎうへせたり

10かくしてアブラハムかたなりてそのころさんとす 11ときにヱホバの使者つかひてんよりかれよびてアブラハムよアブラハムよとへりかれわれここにあり

12使者つかひいひけるはなんぢ童子わらべつくるなかれまたなにをもかれなすべからずなんぢすなはなんぢ獨子ひとりごをもわれためにをしまざればわれいまなんぢかみおそるるをると

13ここにアブラハムあげればうしろ牡綿羊をひつじありてそのつの林叢やぶかかりたりアブラハムすなはゆきその牡綿羊をひつじとらこれそのかはり燔祭はんさいとしてささげたり

14アブラハムそのところをヱホバエレ(ヱホバ預備そなへたまはん)となづここより今日こんにちもなほ人々ひとびとやまにヱホバ預備そなへたまはんといふ

15ヱホバの使者つかひふたたびてんよりアブラハムをよび16いひけるはヱホバさとしたまふわれおのれさしちかなんぢこのことなんぢすなはなんぢ獨子ひとりごをしまざりしにより

17われおほいなんぢめぐまたおほいなんぢ子孫しそんしてそらほしごとはまいさごごとくならしむべしなんぢ子孫しそんそのてきもんとら

18またなんぢ子孫しそんによりててんたみみな福祉さいはひべしなんぢわがことばしたがひたるによりてなりと

19かくてアブラハムその少者わかものところかへみなたちてともにベエルシバにいたれりアブラハムはベエルシバにすめ20是等これらことのちアブラハムにつぐものありてふミルカまたなんぢ兄弟きやうだいナホルにしたがひてうめ

21長子あにはウヅそのおとうとはブヅそのつぎはケムエルこれはアラムのちちなり 22そのつぎはケセデ、ハゾ、ピルダシ、ヱデラフ、ベトエル

23ベトエルはリベカをうめこのはちにんはミルカがアブラハムの兄弟きやうだいナホルにうみたるものなり 24ナホルの妾名そばめなはルマといふものまたテバ、ガハム、タハシおよびマアカをうめ

第23章[編集]

1サラ百二十七さいなりきこれすなはちサラのよはいとしなり 2サラ、キリアテアルバにてしねこれはカナンののヘブロンなりアブラハムいたりてサラのためにかなしかつなけ

3かくてアブラハムにんまへよりいでてヘテの子孫ひとびとかたりていひけるは

4われ汝等なんぢらうち賓旅たびびとなり寄居者やどれるものなり汝等なんぢらうちにてわれ墓地はかどころあたへて所有もちものとなしわれをしてにんいだはうむることをせしめよ

5ヘテの子孫ひとびとアブラハムにこたへこれ6わがしゆ我等われらききたまへ我等われらうちにありてなんぢかみごときみなり我等われら墓地はかどころ佳者よきものえらみてなんぢにんはうむ我等われらうち一人ひとりその墓地はかどころなんぢにをしみてなんぢをしてそのにんはうむらしめざるものなかるべし

7ここおいてアブラハムそのたみヘテの子孫ひとびとむかひかが

8しかして彼等かれらかたらひていひけるはもしわれをしてわがにんいだはうむるをせしむること汝等なんぢらこころならばわれききわがためにゾハルのエフロンにもと

9かれをしてその極端はしもてるマクペラの洞穴ほらあなわれあたへしめよかれその十分じふぶんあたひとりこれわれあた汝等なんぢらうちにてわが所有もちものなる墓地はかどころとなさば

10ときにエフロン、ヘテの子孫ひとびとうちしゐたりヘテびとエフロン、ヘテの子孫ひとびとすなはすべそのまちもんものきけまへにてアブラハムにこたへていひけるは

11わがしゆわれききたまへそのわれなんぢあたまたそのうち洞穴ほらあなわれこれなんぢあたわれわがたみなる衆人ひとびとまへにてこれなんぢにあたふなんぢにんはうむ

12ここおいてアブラハムそのたみまへかがめたり 13しかしてかれそのたみきけまへにてエフロンにかたりていひけるはなんぢもしこれうけがはばわれわれそのあたひなんぢつぐのはんなんぢこれわれよりわれわがにん彼處かしこはうむらん

14エフロン、アブラハムにこたへいひけるは 15わがしゆわれききたまへかのぎん四百シケルにあたこれわれなんぢあひだあにいふたらんやされなんぢにんはうむ

16アブラハム、エフロンのことばしたがひエフロンがヘテの子孫ひとびときけまへにていひたるところぎんはか商買あきうどうち通用つうようぎん四百シケルをこれあたへたり

17マムレのまへなるマクペラにるエフロンのそのなか洞穴ほらあななかその四周まはりさかひにあるみな

18ヘテの子孫ひとびとまへすなはすべそのまちものまへにてアブラハムの所有もちものさだまりぬ

19厥後そののちアブラハムそのつまサラをマムレのまへなるマクペラの洞穴ほらあなはうむれりこれすなはちカナンののヘブロンなり

20かくそのそのうち洞穴ほらあなはヘテの子孫ひとびとこれをアブラハムの所有もちものなる墓地はかどころさだめたり

第24章[編集]

1アブラハムとしすすみおいたりヱホバすべてことおいてアブラハムをめぐみたまへり

2ここにアブラハムそのすべて所有もちものつかさどそのいへ年邁としよりなるしもべいひけるはなんぢわがももしたいれ

3われなんぢをしててんかみかみヱホバをさしちかはしめんすなはなんぢわがともむカナンびとむすめうちよりわがつまめとるなかれ

4なんぢわが故國くにわがしんぞくいたりてわがイサクのためにつまめと

5しもべかれいひけるはもしをんなわれしたがひて此地このちきたることをこのまざることあらんときわれなんぢかのなんぢ出來いできたりしみちびかへるべきか

6アブラハムかれいひけるはなんぢつつしみてわが彼處かしこたづさかへるなかれ 7てんかみヱホバわれみちびきてわがちちいへとわがしんぞくはなれしめわれかたわれちかひてなんぢ子孫しそん此地このちあたへんといひたまひしものその使つかひつかはしてなんぢさきだたしめたまはんなんぢ彼處かしこよりわがつまめとるべし

8もしをんななんぢしたがきたことこのまざるときなんぢわがこのちかひとかるべしただわが彼處かしこたづさへかへるなかれ

9ここおいしもべその主人あるじアブラハムのももしたいれ此事このことについてかれちかへり

10かくしもべその主人しゆじん駱駝らくだうちより十頭とを駱駝らくだりていでたてりすなはその主人しゆじんもろもろ佳物よきものにとりてたちてメソポタミアにきナホルのまちいた

11その駱駝らくだまちそとにてゐどかたはら跪伏ふさしめたり其時そのとき黄昏ゆふぐれにて婦女等をんなども水汲みづくみにいづるときなりき

12かくしてかれいひけるはわが主人しゆじんアブラハムのかみヱホバよねがはくは今日けふわれにそのものあはしめわが主人しゆじんアブラハムに恩惠めぐみほどこたま

13われこの水井みづゐどかたはらまちひとむすめみづくみ

14われ童女むすめむかひてなんぢかめをかたむけてわれのましめよといはんにかれこたへてわれまたなんぢ駱駝らくだにものましめんといはかれなんぢしもべイサクのためさだたまひしものなるべしさすればわれなんぢわが主人しゆじん恩惠めぐみほどこたまふをらん

15かれものいふことををふるまへによリベカかめかたにのせていできたるかれはアブラハムの兄弟きやうだいナホルのつまミルカのベトエルにうまれたるものなり

16その童女むすめみるはなはうつくしくかつ處女をとめにしていまひとゆきしことあらずかれゐどくだそのかめみづみてのぼりしかば

17しもべはせゆきてこれにあひわれをしてなんぢかめより少許すこしみづのましめよといひけるに

18かれしゆのみたまへといひてすなはいそそのかめにおろしてこれにのましめたりしが

19のませをはりてなんぢ駱駝らくだのためにもそののみをはるまでみづくみあかしめん

20いそぎてそのかめみづばちにあけまたくまんとてゐどにはせゆきそのすべて駱駝らくだのためにみたり

21其人そのひとこれつめヱホバがそのみち幸福さいはひをくだしたまふやいなややをしらんとしてもくたり

22ここ駱駝らくだのみをはりしかば其人そのひとおもさはんシケルのきんはな一箇ひとつおもさじふシケルのきん手釧うでわ二箇ふたつをとりて

23いひけるはなんぢたれむすめなるやわれつげなんぢちちいへ我等われら宿やど隙地ところありや

24をんなかれいひけるはわれはミルカがナホルにみたるベトエルのむすめなり 25またかれにいひけるはいへにはわら飼草かひばおほくありかつ宿やど隙地ところもあり

26ここおい其人そのひとふしてヱホバををが27いひけるはわが主人しゆじんアブラハムのかみヱホバは讃美ほむべきかなわが主人しゆじん慈惠みめぐみ眞實まこととをきたまはずわれみちにありしにヱホバわれわが主人しゆじん兄弟きやうだいいへにみちびきたまへり

28ここ童女むすめはせゆきそのははいへこれことつげたり

29リベカに一人ひとりあにありそのをラバンといふラバンはせいでゐどにゆきて其人そのひともとにつく 30すなはちかれはなおよびそのいもうと手釧うでわまたそのいもうとリベカが其人そのひとかくわれいへりといふをきき其人そのひともといたるにゐどかたはらにて駱駝らくだわきにたちゐたれば

31これいひけるはなんぢヱホバにめぐまるるものなんそとにたつやわれいへそなかつ駱駝らくだのためにところをそなへたり

32ここおい其人そのひといへにいりぬラバンすなはその駱駝らくだわら飼草かひば駱駝らくだにあたへまたみづをあたへて其人そのひとあしその從者ともびとあしをあらはしめ

33かくしてかれまへしよくをそなへたるにかれわれはわがことをのぶるまではくらはじとラバンかたれといひければ

34かれふわれはアブラハムのしもべなり 35ヱホバおほいにわが主人しゆじんをめぐみたまひておほいなるものとならしめまたひつじうし金銀きんぎんしもべしもめ駱駝らくだ驢馬ろばをこれにたまへり

36わが主人しゆじんつまサラとしおいてのちわが主人しゆじん男子なんしをうみければ主人しゆじんその所有もちものことごとこれあた

37わが主人しゆじんわれちかひせてわがすめるカナンのひと女子むすめうちよりわがつまめとるなかれ

38なんぢわがちちいへにゆきわがしん`ぞくにいたりわがのためにつまをめとれと 39われわが主人しゆじんにいひけるはもしをんなわれにしたがひてきたらずば如何いかん

40かれわれにいひけるはわがつかふるところのヱホバその使者つかひなんぢとともにつかはしてなんぢみち幸福さいはひくだしたまはんなんぢわがしんぞくわがちちいへよりわがつまをめとるべし

41なんぢわがしんぞくいたれるときはわがちかひとかさるべしもし彼等かれらなんぢにあたへずばなんぢはわがちかひをゆるさるべしと

42われ今日けふゐどいたりていひけらくわが主人しゆじんアブラハムのかみヱホバねがはくはわがゆくみち幸福さいはひくだしたまへ

43われはこの井水ゐみずかたはらみづくみにいづる處女をとめあらんときわれかれにむかひてなんぢかめより少許すこしみづわれにのましめよといはんに

44もしわれこたへてなんぢわれまたなんぢ駱駝らくだのためにもくまんといはこれヱホバがわが主人しゆじんのためにさだまたまひしをんななるべし

45われこころうちものいふことををふるまへにリベカそのかめかたにのせて出來いできたゐどにくだりてみづみたるによりわれかれわれにのましめよといひければ

46かれいそそのかめかたよりおろしていひけるはめまたなんぢ駱駝らくだにものましめんとここおいわれのみしがかれまた駱駝らくだにものましめたり

47われかれとふなんぢたれむすめなるやといひければミルカがナホルにうみたるベトエルのむすめなりといふここおいわれそのはなをつけその手釧うでわをつけたり

48しかしてわれふしてヱホバををがわが主人しゆじんアブラハムのかみヱホバを頌美ほめたりヱホバわれただしみちみちびきてわが主人しゆじん兄弟きやうだいむすめそののためにめとしめんとしたまへばなり

49されば汝等なんぢらもしわが主人しゆじんにむかひて慈惠めぐみ眞誠まことをもてことをなさんとおもはばわれつげしからざるもまたわれつげされわれみぎひだりにおもむくをえん

50ラバンとベトエルこたへいひけるは此事このことはヱホバより我等われらなんぢ善惡よしあしふあたはず

51よリベカなんぢまへにをるたづさへてゆきかれをしてヱホバのいひたまひしごとなんぢ主人しゆじんつまとならしめよ

52アブラハムのしもべ彼等かれらことばききふしてヱホバををがめり 53ここおいしもべぎん飾品かざりきん飾品かざりおよび衣服ころもをとりいだしてリベカにあたまたそのあにはは寶物たからものをあたへたり

54ここおいかれおよびその從者ともびと食飮くひのみして宿やどりしがあさおきたるときかれいふわれをしてわが主人しゆじんかへらしめよ

55リベカのあにははいひけるは童女むすめすうじつあひだすくなくもとを我等われらともにをらしめよしかるのちかれゆくべし

56彼人かのひとこれいふヱホバわがみち福祉さいはひをくだしたまひたるなればわれとどむるなかれわれかへしてわが主人しゆじんゆかしめよ

57彼等かれらいひけるは童女むすめをよびてそのことばとはんと 58すなはちリベカをよびこれいひけるはなんぢ此人このひとともゆくかれゆか

59ここおい彼等かれらいもうとリベカとその乳媼うばおよびアブラハムのしもべその從者ともびとおくさらしめたり

60すなは彼等かれらリベカをしゆくしてこれにいひけるはわれらのいもうとなんぢ千萬ちよろずひとははとなれなんぢ子孫しそんをしてそのあたもんとらしめよ

61ここおいてリベカたちその童女等めのわらはどもとともに駱駝らくだにのりて其人そのひとにしたがひしもべすなはちリベカをみちびきてさりぬ

62ここにイサク、ラハイロイのゐどみちよりきたれりみなみくに住居すみゐたればなり 63しかしてイサク黄昏ゆふぐれいで默想おもひはかりをなしたりしがあげしに駱駝らくだきたるあり

64リベカをあげてイサクを駱駝らくだをおりて 65しもべにいひけるはをあゆみて我等われらにむかひもの何人なにびとなるぞしもべわが主人しゆじんなりといひければリベカ覆衣かつぎをとりてをおほへり

66ここしもべそのすべてなしたることをイサクに67イサク、リベカをそのははサラのてんまく携至つれいたりリベカをめとりてそのつまとなしてこれをあいしたりイサクはははにわかれてのちここ慰籍なぐさめたり

第25章[編集]

1アブラハムふたたびつまめとそのをケトラといふ 2かれジムラン、ヨクシヤン、メダン、ミデアン、イシバク、シユワをうめ

3ヨクシヤン、シバとデダンをむデダンのはアッシユリびとレトシびとリウミびとなり 4ミデアンのはエパ、エペル、ヘノク、アビダ、エルダアなり是等これらみなケトラの子孫しそんなり

5アブラハムその所有もちものことごとくイサクにあたへたり 6アブラハムの妾等そばめたちにはアブラハムそのいけうちものをあたへてこれをしてそのイサクをはなれてひがしにさりてひがしくにいたらしむ

7アブラハムの生存いきながらへたるよはいすなはち百七十五ねんなりき 8アブラハムよきよはひおよ老人としよりとなりとし滿みちいきたえしにそのたみくはは

9そのイサクとイシマエルこれをヘテびとゾハルのエフロンのなるマクペラの洞穴ほらあなはうむれりこれはマムレのまへにあり

10すなはちアブラハムがヘテの子孫ひとびとよりかひたるなり彼處かしこにアブラハムとそのつまサラはうむらる 11アブラハムのしにたるのちかみそのイサクをめぐみたまふイサクはベエルラハイロイのほとりすめ

12サラの侍婢こしもとなるエジプトびとハガルがアブラハムにうみたるイシマエルのでんのごとし 13イシマエルの其名氏そのな其世代そのよしたがひていへかくのごとしイシマエルの長子うひごはネバヨテなりそのつぎはケダル、アデビエル、ミブサム

14ミシマ、ドマ、マツサ 15ハダデ、テマ、ヱトル、ネフシ、ケデマ 16是等これらはイシマエルのなり是等これらその郷黨さとそのえいにしたがひていへものにしてそのくにしたがひていへば十二の牧伯きみなり

17イシマエルのよはひは百三十七さいなりきかれいきたえしにそのたみにくははる 18イシマエルの子等こらはハビラよりエジプトのまへなるシユルまでのあひだ居住すみてアッスリヤまでにおよべりイシマエルはそのすべての兄弟きやうだいたちのまへにすめり