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全国戦没者追悼式内閣総理大臣式辞 (2016年)

提供:Wikisource


 本日ここに、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、全国戦没者追悼式を挙行するにあたり、政府を代表し、慎んで式辞を申し述べます。

 あの、苛烈を極めた先の大戦において、祖国を思い、家族を案じつつ、戦場に斃れられた御霊、戦禍に遭われ、あるいは戦後、遥かな異郷に亡くなられた御霊、皆様の尊い犠牲の上に、私たちが享受する平和と繁栄があることを、片時たりとも忘れません。衷心より、哀悼の誠を捧げるとともに、改めて、敬意と感謝の念を申し上げます。

 未だ、帰還を果たされていない多くの御遺骨のことも、脳裡から離れることはありません。おひとりでも多くの方々が、ふるさとに戻っていただけるよう、全力を尽くします。

 我が国は、戦後一貫して、戦争を憎み、平和を重んじる国として、孜々として歩んでまいりました。世界をよりよい場とするため、惜しみない支援、平和への取り組みを、積み重ねてまいりました。

 戦争の惨禍を決して繰り返さない。

 これからも、この決然たる誓いを貫き、歴史と謙虚に向き合い、世界の平和と繁栄に貢献し、万人が心豊かに暮らせる世の中の実現に、全力を尽くしてまいります。明日を生きる世代のために、希望に満ちた国の未来を切り拓いてまいります。そのことが、御霊に報いる途であると信じて疑いません。

 終わりに、いま一度、戦没者の御霊に永久の安らぎと、御遺族の皆様には、御多幸を、心よりお祈りし、式辞といたします。

平成二十八年八月十五日

内閣総理大臣 安倍晋三