交通費救済行為に対する報償金取扱要綱

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このたび、交通費に窮している者に対し、その利便供与を図るため、公務中の警察職員が交通費を私費で救済したが返済されない場合に当該警察職員に報償金を支給するため、別記のとおり交通費救済行為に対する報償金取扱要綱を制定し、平成16年4月1日から実施することとしたので、誤りのないようにされたい。

なお、交通費救済金事務取扱要綱の制定(昭和54年総会・ら勤発甲第25号)は廃止する。

別記[編集]

第1 趣旨[編集]

この要綱は、所持金がないため居住地までの帰宅に要する交通費等に困窮している者からの救済を求める申出に対して、公務中の警察職員が、私費により交通費の救済行為を行ったが当該職員に返済がなされない場合に、当該職員の行為に対して報償金を支出するために必要な事項を定めるものとする。

第2 定義[編集]

この要綱における用語の意義は、次のとおりとする。

(1) 困窮者 所持金を所持していないため居住地までの帰宅等に要する交通費等に窮する者(県内における遺失、盗難等による所持金の紛失、親族等の入院等に対する急きょの旅行等に際して所持金がなく交通費の手当てがつかないなど、その事由が社会通念上やむを得ないと認められるものをいう。)のうち公務中の警察職員に居住地までの帰宅等に要する交通費相当額の借受けを申し出た者をいう。
(2) 交通費救済行為 困窮者からの申出に基づいて、警察職員が私費により交通費相当額を貸し付けることをいう。
(3) 救済職員 公務中に交通費救済行為を行った警察職員をいう。
(4) 被救済者 救済職員から交通費救済行為を受けた者をいう。
(5) 報償金 救済職員が救済した交通費相当額の返済を受けられない場合に、当該救済行為に報いるために支出する報償費をいう。
(6) 返済額 被救済者から返済された金額をいう。
(7) 救済額 救済職員が私費により救済した交通費相当額をいう。
(8) 取扱者 報償金に関する事務を取り扱う総務部会計課長、運転免許試験場長、東三河運転免許センター所長及び警察署長をいう。
(9) 会計課長等 運転免許試験場及び東三河運転免許センターを除く警察本部の所属(警察学校を含む。以下同じ。)にあっては総務部会計課出納担当の課長補佐を、運転免許試験場及び東三河運転免許センターにあっては会計を担当する場長補佐及び所長補佐を、警察署にあっては会計課長をいう。
(10) 課長補佐等 警察本部の所属にあっては庶務、総務又は企画を担当する課長補佐又は係長(同相当職を含む。)を、警察署にあっては救済職員が所属する課の課長をいう。

第3 報償金の支給[編集]

救済職員が、交通費救済行為をした日から30日後の日において被救済者から救済額が返済されないとき又は返済額が救済額に満たないときは、当該救済職員に対して報償金を支給するものとする。

第4 報償金の限度額[編集]

報償金の額は、救済職員が救済した救済額のうち返済されない額とし、1件1名につき3,000円を限度とする。

第5 申出時の対応措置及び留意事項[編集]

交通費等に窮する者から交通費等の救済を求める申出を受けた警察職員は、次により対応するとともに、困窮者の心情等に配慮し、慎重な応接に努めるものとする。

(1) 近隣の親族等への連絡を図る、自治体での救済を求める、公共交通機関の着払等の取扱いを説明するなど、できる限りの便宜を図るように努める。
(2) 交通費救済行為を行う場合には、救済を必要とする理由、困窮者の身元、必要とする金額等を聴取し、前記第2の(1)の要件に該当するかの確認を行う。
(3) 救済した交通費相当額が、生活費など他の使途に使用されるおそれがあると認められるときには、親族等に身元、申出理由等の確認を行うなどの措置を執る。
(4) 交通費救済行為ができない場合には、申出者に対して「交通費救済行為がやむを得ない事情により帰宅等の交通費に窮した場合にのみ貸与できる。」旨の説明をし、救済できないことへの理解に努める。
(5) 報償金の限度額を超える救済の申出を受けた場合は、報償金の金額が愛知県内における移動を前提に、県内の公共交通機関の運賃を勘案して定めたものであるので、救済職員は、限度額を超える救済額には、報償金は支給されないことを理解するとともに、救済できないときは、困窮者に対して制度の趣旨への理解に努める。

第6 交通費救済行為等の手続[編集]

1 救済職員は、交通費救済行為を行い、後に報償金の支給を受けようとする場合は、次の手続を執るものとする。

(1) 被救済者から受領書(様式第1)を徴するとともに、依頼書(様式第2)に所要事項を記載して当該被救済者に交付し、速やかに返済されるよう依頼する。
(2) 救済後、速やかに交通費困窮者救済行為実施報告書(様式第1。以下「救済報告書」という。)(表)の課(係)、階級(職)、氏名(押印しないこと。)及び救済日時を記載するものとする。
(3) 警察本部本庁舎の所属に勤務する救済職員にあっては総務部会計課出納係(不在時は総合当直)に、警察本部分庁舎の所属及び警察署の本署に勤務する救済職員にあっては総務若しくは庶務を担当する係又は会計課(不在時は当直等)に備付けの簿冊に(2)の救済報告書の原本をとじて、(5)の規定により取扱者に提出するまでの間、会計課長等に、その保管を依頼するものとする。
(4) 交番又は駐在所に勤務する救済職員は、照会等に対応するため、速やかに(2)の救済報告書(表)の写しを会計課長等又は当直長等に送付するとともに、交番又は駐在所に備付けの簿冊に(2)の救済報告書の原本をとじて、取扱者に提出するまで、保管するものとする。
(5) 被救済者から救済額全額の返済を受けた場合、返済を受けたが返済額が救済額に満たない場合又は交通費救済行為をした日から30日後の日において被救済者から救済額が返済されない場合は、救済報告書(表)の報告年月日を記載して氏名印を押印し、救済報告書(裏)の返済状況欄に所要事項を記載し、速やかに課長補佐等を経由して取扱者に提出しなければならない。
(6) 被救済者からの返済額が救済額を超える場合は、当該被救済者に「職務に伴う行為であり、受け取ることができない。」旨を説明し、速やかに返送の措置を講じ、その旨を救済報告書の備考欄に記載するものとする。この場合において、被救済者が返送を了解しないときは、課長補佐等にその旨を報告し、指示を受けるものとする。

2 課長補佐等は、救済職員の交通費救済行為について次により取り扱うものとする。

(1) 救済職員から1(5)の規定により救済報告書の提出を受けた場合は、内容を確認し、取扱者に提出する。
(2) 前記1(6)の場合において、救済職員から、被救済者が返送を了解しない旨の報告を受けたときは、取扱者にその内容を報告し、指示を受けるものとする。

3 被救済者が救済職員が不在の場合に返済してきたときは、対応する職員は、次により取り扱うものとする。

(1) 返済依頼書及び返済金額を確認し、これらを受領するものとする。
(2) 受領した職員は、速やかに当該救済職員に連絡するとともに、返済された現金等を引き渡さなければならない。
(3) 返済依頼書が同封されていないなどにより救済職員が判らない場合は、取扱者に現金等を交付するとともに、その旨を報告するものとする。

4 取扱者は、救済職員の交通費救済行為について次により取り扱うものとする。

(1) 前記1(5)の救済報告書の提出を受けた場合は、報告内容を確認後、会計課長等に当該報告書の保管をさせ、返済を受けたが返済額が救済額に満たないとき又は交通費救済行為をした日から30日後の日において被救済者から救済額が返済されないときは、報償費の支出手続を執らせるものとする。
(2) 前記2(2)の報告を受けた場合は、会計課長等を通じて総務部会計課長とその取扱いについて協議するものとする。
(3) 前記3(3)の現金等の交付を受けた場合は、速やかに救済職員を確認の上、返済された現金等を当該救済職員に引き渡すものとする。

5 会計課長等(不在時は当直司令又は当直長等)は、救済職員の交通費救済行為について次により取り扱うものとする。

(1) 前記1(3)により救済報告書の原本の保管依頼を受けたとき又は前記1(4)により救済報告書(表)の写しの提出を受けたときは、これを備付けの簿冊にとじ、前記4(1)により取扱者に救済報告書が提出されるまで保管するものとする。
(2) 4の(1)により報償費の支出手続を命じられた場合は、救済報告書を提出した救済職員に返済の有無を再確認し、返済されていないときは、当該救済職員の預貯金の口座に振り込むために必要な手続(以下「振込手続」という。)を執るものとする。
(3) 報償費の振込手続が終了した場合は、救済報告書の報償費支給状況欄に所要事項を記載するものとする。
(4) 救済報告書の原本については、支出等の証拠書類と同様の期間、これを保管しなければならない。

第7 報償金支給後の返済[編集]

1 救済職員は、報償金の支給を受けた後に被救済者から返済を受けた場合は、速やかに課長補佐等を経由して取扱者にその旨を報告し、指示を受ける。

2 前記1の報告を受けた取扱者は、会計課長等に救済報告書の返済状況欄に所要事項を記載させるとともに、当該救済職員に対する報償金の戻入手続を速やかに執らせるものとする。ただし、返納が新年度になるときは、戻入手続に替えて、歳入手続を執らせるものとする。

3 会計課長等は、前記2により返納が終了した場合には、救済報告書の返納状況欄に所要事項を記載するものとする。

4 救済職員の異動等があった場合の戻入手続又は歳入手続は、報償費の支出手続を執った取扱者が行うものとする。 〔平19務警発甲118号平21総会発甲13号平25総会発甲47号・本別記一部改正〕

様式第1[編集]

(略)

様式第2[編集]

(略)

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