ルカ聖福音書2 (ラゲ訳)

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<聖書<我主イエズスキリストの新約聖書

『公敎宣敎師ラゲ譯 我主イエズスキリストの新約聖書』公敎會、

1910年発行

〔ローマ・カトリック訳〕

ラゲ訳新約聖書エミール・ラゲ(Emile Raguet,MEP)

ルカ聖福音書2

第7章[編集]

1イエズスそのすべてのことば人民じんみんかせをはりて、カファルナウムにたまひしが、 2ある百夫ひやくふちやうおのおもんぜるしもべみてするばかりなれば、 3イエズスのことくや、ユデアじん長老ちやうらうつかはし、きたりてそのしもべいやたまはんことはしめたり。 4彼等かれらイエズスのもといたりてせつねがひ、かのひとこれたまふにへたるものなり、 5國民こくみんあいし、われためみづか會堂くわいどうてたればなり、とひければ、 6イエズス彼等かれらともたまひ、すでそのいへとほからずなりたまへるとき百夫ひやくふちやう朋輩ともだちつかはしてはしめけるは、しゆよ、みづかわづらはしたまふことなかれ、われ不肖ふせうにして、しゆわが屋根やねしたたまふにらざればなり。 7ゆゑわが御前みまへいたるにへずとおもへり。りながらただ一言ひとことばにてめいたまへ、らばわがしもべえん。 8けだしわれひとけんものながら、部下ぶか兵卒へいそつありて、このけとへばき、かれきたれとへばきたり、またわがしもべこれせとへばすなり、と。 9イエズスこれきて感嘆かんたんし、したがへる群衆ぐんしゆうかへりみてのたまひけるは、われまことなんぢぐ、イスラエルのうちにても、ほど信仰しんかうひしことなし、と。 10かくつかはされし人々ひとびといへかへりてれば、みたりししもべすでえたりき。 11そののちイエズスナイムとへるまちたまふに、弟子でしたちおびただしき群衆ぐんしゆうともきてありしが、 12まちもんちかづきたまときをりしもかきいださるる死人しにんあり。そのはは獨子ひとりごにて、はは寡婦やもめなり、まちひとおびただしくこれともなたり。 13しゆこの寡婦やもめたまふやあわれをかんたまひて、くことなかれ、とのたまひつつ、 14ちかづきてくわんたまひしかば、ける人々ひとびとたちとどまれり。 15イエズス、若者わかものよ、われなんぢめいず、きよ、とのたまふや、したるものおきかへりてものいはじめけるを、そのははあたたまひしかば、 16人々ひとびとみなおそれいだき、光榮くわうえいかみしてひけるは、おほいなる預言よげんしやわれうちおこれり、かみそのたみかへりたまへるなり、と。 17かくこのうはさユデア一般いつぱんおよびすべその周圍めぐり地方ちはうひろまれり。 18ヨハネの弟子でしたちこの一切いつさいことおのげしかば、 19ヨハネその弟子でし二人ふたりびて、きたるべきものなんぢなるか、あるひわれものなほほかるか、とひてイエズスにつかはしければ、 20彼等かれらイエズスのもといたりてひけるは、洗者せんしやヨハネわれなんぢつかはして、きたるべきものなんぢなるかあるひわれものなほほかるかとふ、と。 21當時たうじイエズスは、おほくのひとやまひきず惡鬼あくきとよりいやし、かつおほくの瞽者めしひ視力しりよくあたたまひしが、 22こたへて使つかひのたまひけるは、なんぢ見聞みききせしことを、きてヨハネにげよ、すなは瞽者めしひえ、跛者あしなへあゆみ、らい病者びやうしやきより、聾者みみしひきこえ、死者ししやよみがへり、貧者ひんしや福音ふくいんかせらる、 23すべわれきてつまづかざるひとさいはひなり、と。 24ヨハネの使つかひりてのち、イエズスヨハネのこと群衆ぐんしゆうかたりたまひけるは、なんぢなにんとて荒野あれのでしぞ、かぜうごかさるるよしか、 25らばなにんとてでしぞ、やわらか衣服いふくたるひとか、よ、あたひたか衣服いふくたのしくくら人々ひとびとは、帝王ていわういへり、 26らばなにんとてでしぞ、預言よげんしやか、われなんぢぐ、しか預言よげんしやよりもまされるものなり、 27かきしるして「よ、わが使つかひなんぢ面前めんぜんつかははさん、かれなんぢさきだちてなんぢみちそなふべし」とあるはかれことなり。 28すなはわれなんぢぐ、をんなよりうまれたるものうちに、洗者せんしやヨハネよりおほいなる預言よげんしやはあらず、れどかみくににてもつともちひさひとかのよりおほいなり。 29かれけるすべての人民じんみん稅吏みつぎとりまでも、ヨハネの洗禮せんれいけてかみただしとせり、 30れどファリザイじん律法りつぱふ學士がくしかれせんせられずして、おのれおけかみ御旨みむねかろんぜり、と。 31しゆまたのたまひけるは、ればわれ現代げんだいひとたれにかなぞらへん、彼等かれらは、たれたるぞや、 32あたかもわらべちまたしてかたりひ、われなんぢため笛吹ふえふきたれども、なんぢをどらず、なんぢためなげきたれども、なんぢかざりき、とへるにたり。 33すなは洗者せんしやヨハネきたりて、ぱんしよくせずさけまざれば、なんぢかれ惡魔あくまかれたりとひ、 34ひときたりて飲食いんしよくすれば、かれしよくたしさけみ、稅吏みつぎとり罪人つみびととのともたり、とふ。 35りながら、智惠ちゑそのすべてのただしとせられたり、と。 36ここ一人ひとりのファリザイじん、イエズスに會食くわいしよくせんことひければ、そのファリザイじんいへりて、食卓しよくたくたまひしが、 37をりしもそのまち罪人つみびとなる一個ひとりをんなありて、イエズスがファリザイじんいへにて食卓しよくたくたまへるをくや、香油かうゆりたるうつはもちきたり、 38イエズスの足下あしもとにてそのうしろち、おんあし次第しだいなみだにてうるほし、おのかみのにてこれぬぐひ、かつおんあし接吻せつぷんかつ香油かうゆそそぎければ、 39イエズスをまねきたるファリザイじんこれこころうちひけるは、かれはたして預言よげんしやならば、おのれるるをんなたれにして如何いかなるひとなるかを、れるならん、かのをんな罪人ざいにんなるものを、と。 40イエズスこたへて、シモンよ、われなんぢことあり、とのたまひければ、かれよ、おおせられよ、とふに、 41[のたまひけるは]、あるさいしゆ二人ふたり負債ふさいしやあり、一人ひとりは五百デナリオ、一人ひとりは五十デナリオの負債ふさいあるを、 42かへすべきよしなければ、さいしゆ二人ふたりともゆるせり、かくさいしゆもつとあいせんものいづれれなるぞ、と。 43シモンこたへて、われおもふにおほくをゆるされたるものならん、とひしに、イエズス、なんぢ判斷はんだんせり、とのたまひ、 44をんなかへりみてシモンにのたまひけるは、このをんなるか、われなんぢいへりしに、なんぢわがあしみづあたへざりしを、このをんななみだもつわがあしうるほし、おのかみのもつこれぬぐへり。 45なんぢわれ接吻せつぷんせざりしに、このをんな入來いりきたりてよりえずわがあし接吻せつぷんせり。 46なんぢあぶらわがかうべそそがざりしに、このをんな香油かうゆわがあしそそげり。 47このゆゑわれなんぢぐ、このをんなおほあいしたるがゆゑに、おほくのつみゆるさるるなり、ゆるさるることすくなひとあいすることすこなし、と。 48かくかのをんなむかひ、なんぢつみゆるさる、とのたまひしかば、 49食卓しよくたくともにせる人々ひとびとこころうちいひでけるは、かれ何人なにびとなればつみをもゆるすぞ、と。 50イエズスをんなむかひて、なんぢ信仰しんかうなんぢすくへり、やすんじてけ、とのたまへり。

第8章[編集]

1そののちイエズス、說敎せつけうかつかみくに福音ふくいんべつつ、町々まちまち村々むらむら巡廻じゆんくわいたまひければ、十二使徒しとこれともなひ、 2またかつ惡鬼あくき逐拂おひはらはれ、やまひいやされたる數人すにん婦人ふじんすなはななつ惡魔あくまそのよりでたる、マグダレナとばるるマリア、 3ヘロデの家令かれいクサのつまヨハンナおよびスザンナ、其他そのたおほくの婦人ふじんありて、おの財産ざいさんもつ彼等かれら供給きようきふたり。 4おびただしきひと町々まちまちよりイエズスのもとはせあつまりければ、イエズスたとへもつかたたまひけるは、 5たねひとそのたねきにでしが、ときあるもの路傍みちばたちしかば、ふみけられ、そらとりこれついばめり。 6あるものいしうへちしかば、はえいでたれど、うるほひなきにりてれたり。 7あるものいばらうちちしかば、いばらともそだちてこれ蔽塞おほひふさげり。 8あるものよきつちちしかば、生出はえいでてひやくばいむすべり、と。イエズスこのことのたまひて、みみてるひとけ、とよばはりたまへり。 9弟子でしたちこのたとへ如何いかにとひしに、 10のたまひけるは、なんぢかみくに奧義おくぎことたまはりたれど、ひとたとへもつてせらる、彼等かれらつつえず、きつつさとらざらんためなり。 11このたとへかくごとし、たねかみ御言おんことばなり、 12路傍みちばたもの人々ひとびとにして、彼等かれらしんじてすくはれざらんためのち惡魔あくまきたりてことばそのこころよりうばふなり。 13いしうへものは、ときよろこびてことばくれど、おのれく、しばらしんじて、いざなひときには退しりぞ人々ひとびとなり。 14いばらうちちしは、きたるのちこころづかひとみ快樂くわいらくとに蔽塞おほひふさがれて、むすばざる人々ひとびとなり。 15しかるによきつちちしは、善良ぜんりやうなるこころにて、ことばきてこれたもち、忍耐にんたいもつむす人々ひとびとなり。 16たれともしびともして、うつはもつこれおほひ、あるひ寢臺ねだいしたものはあらず、入來いりくものあかりせんために、これ燭臺しよくだいうへく。 17けだししてあらはれざるはなく、かくれてつひれずおほやけにならざるはなし。 18このゆゑなんぢ聞方ききかた注意ちゆういせよ。てるひとなほあたへられ、たぬひとそのてりとおもものをもうばはるべければなり、と。 19てイエズスのはは兄弟きやうだいはんとてきたりしかど、群衆ぐんしゆうためちかづくことあたはざりしかば、 20なんぢはは兄弟きやうだいなんぢはんとてそとてり、とぐるものありしに、 21イエズスこたへて人々ひとびとのたまひけるは、かみ御言おんことばかつおこなひとこれわがはは兄弟きやうだいなり、と。 22いちじつイエズス、弟子でしたちとも小舟こぶねたまひしに、われうみ彼方かなたわたらん、とのたまひてやが乘出のりいだせり。 23かくわたあひだにイエズスねむたまひしが、暴風ばうふううみふきおろきたり、みづふねちてあやふかりければ、 24弟子でしたちちかづきて、よ、われほろぶ、とひつつイエズスをましたるに、きてかぜ怒涛あらなみとをいましたまひしかば、波風なみかぜやすみてなぎとなれり。 25て、なんぢ信仰しんかう何處いづこる、とのたまひければ、彼等かれらかつおそかつ感嘆かんたんして、これたれおもふぞ、かぜうみも、めいたまへばこれしたがふよ、といひへり。 26またガリレアにむかへるゲラサじん地方ちはうわたりて、 27上陸じやうりくたまひしに、一箇ひとりひとありてこれむかへたり。かれ惡魔あくまかれたることすでひさしくして、衣服いふくをもいへにもまず、はかにのみりしが、 28イエズスをるや御前みまへ平伏ひれふし、こゑたかさけびて、いとたかかみ御子みこイエズスよ、われなんぢなん關係かかはりかあらん。ねがはくはわれくるしむることなかれ、とへり。 29これイエズス惡鬼あくきに、このひとよりでよ、とめいたまへばなり。けだしかの惡鬼あくきとらへらるることすでひさしく、くさりにてしばられ、あしかせにてまもらるるも、つなぎやぶり、惡魔あくまられて、荒野あれのたりき。 30イエズスこれひて、なんぢなんぞ、とのたまひしにかれ軍團ぐんだんなり、とへり、これりたる惡魔あくまおほければなり。 31てイエズスのめいじてそこなきふちかしめたまはざらんことひたりしが、 32其處そこおほくのぶたむれやまにてくさしかば、惡魔あくまどもそのぶたるをゆるされんことひけるに、イエズスこれゆるたまひければ、 33惡魔あくまどもそのひとよりでてぶたり、そのむれ周章あはただしくがけよりみづうみ飛入とびいりて溺死おぼれしせり。 34牧者ぼくしやどもその成行なりゆきるやにげきて、まちむら吹聽ふいちやうせしかば、 35人々ひとびとことやうんとてでしが、イエズスのもときたり、かの惡魔あくまでたりしひとの、すで衣服いふくまとこころたしかにして、イエズスの足下あしもとせるをおそれたり。 36かく人々ひとびとまた惡魔あくまつきすくはれし次第しだい誰彼たれかれげしかば、 37ゲラサ地方ちはう人民じんみんこぞりて、おのれより立去たちさたまはんことをイエズスにへり、これおほいにおそれたればなり。てイエズスふねりてかへたまひしに、 38惡魔あくまはなれしをとこともなはんことねがひしかど、イエズスこれらしてのたまひけるは、 39おのいへかへりて、かみ如何いかんばかりおほいなることなんぢたまひしかをげよ、と。くてかれあまねまちめぐりて、イエズスの如何いかんばかりおほいなることおのれたまひしか言弘いひひろめたり。 40イエズスかへたまひしに、ひとみなまちたりければ、群衆ぐんしゆうこれ歡迎くわんげいせり。 41をりしもをヤイロとえるひときたり、會堂くわいどうつかさなりしが、イエズスの足下あしもと平伏ひれふして、おのいへたまはんことへり、 42おのれに十二さいばかりのひとりむすめありて、まさなんとすればなり。イエズスたまみちにて、群衆ぐんしゆうおしせまられたまへるうちに、 43十二ねんらい血漏ちろうわづらへる一人ひとりをんなかつ醫者いしやためことごとその財産ざいさんつひやしたれども、たれにもいやされざりしが、 44うしろよりちかづきてイエズスの衣服いふくふされしかば、出血しゆつけつたちまちとまれり。 45イエズス、われれしものたれぞ、とのたまへばみないなめるを、ペトロおよこれともなひたる人々ひとびとひけるは、よ、群衆ぐんしゆうおしせまりてなんぢわづらはすに、なほたれわれれし、とのたまふか。 46イエズスのたまひけるは、われれしものあり、われれいのうわがよりでたるをおぼゆればなり、と。 47をんなそのかくれざりしををののきつつ、きたりてイエズスの足下あしもと平伏ひれふし、そのれし理由りいうただちえたる次第しだいとを公衆こうしゆうまへあかしければ、 48イエズスこれのたまひけるは、むすめなんぢ信仰しんかうなんぢすくへり、やすんじてけ、と。 49ことばいまだをはらざるに、ひと會堂くわいどうつかさもときたり、なんぢむすめせり、わづらわすことなかれ、とひしに、 50イエズスこのことばきてむすめちちこたたまひけるは、おそるることなかれ、ただしんぜよ、らばかれたすかるべし、と。 51かくそのいへいたたまひて、ペトロ、ヤコボ、ヨハネおよむすめ父母ちちははほかともことたれにもゆるたまはず、 52ひとみなむすめためかつなげれるを、なかれ、むすめしたるにあらず、ねたるなり、とのたまひしに、 53人々ひとびとかれしたるをりて、これ嘲笑あざわらたり。 54しかるにイエズス、むすめり、よばはりて、むすめきよ、とのたまへば、 55そのれいかへりてむすめただちきしかば、これ食物しょくもつあたふることめいたまへり。 56兩親ふたおやいたおどろきしが、りしことたれにもかたるな、とイエズスいましたまへり。

第9章[編集]

1かくて十二使徒しと呼集よびあつめて、もろもろ惡魔あくまやまひいや能力のうりよく權利けんりとをさづたまひ、 2かみくにことべ、かつ病者びやうしやいやためつかはさんとして、 3のたまひけるは、なんぢみちりてなにものをもたづさふることなかれ、つゑふくろぱんかねおよびまい下衣したぎつことなかれ。 4いづれのいへるもこれとどまりて、其處そこより出去いでさることなかれ。 5すべなんぢけざるひとあらば、そのまちり、彼等かれらたいする證據しようことして、おのあしちりまでもはらえ、と。 6かくて十二使徒しと出立しゆつたつして村々むらむら巡廻じゆんくわいし、いたるところ福音ふくいんべ、病者びやうしやいやたり。 7ときぶんこくわうヘロデ、イエズスによりておこなはるるすべてのこときてうたがひまどへり。ある人々ひとびとはヨハネ死者ししやうちより復活ふくくわつしたりとひ、 8ある人々ひとびとはエリアあらはれたりとひ、ある人々ひとびといにしへ預言よげんしや一人ひとり復活ふくくわつしたりとへばなり。 9かくてヘロデひけるは、ヨハネはわれすでくびきりしものを、かかこときこゆるかのひとたれなるぞ、とてイエズスをこともとたり。 10使途しとたちかへりて、面々めんめんおこなひし一切いつさいことげければ、イエズス彼等かれらしたがへて、べつにベッサイダ附近ふきんなるさびしきところ退しりぞたまひしに、 11群衆ぐんしゆうこれりてそのあとしたひしかば、イエズスこれけてかみくにことかたり、治療ちれうえうするひといやたまへり。 12すでかたぶきしかば、十二[使徒しと]ちかづきてひけるは、われかかさびしきところるなれば、群衆ぐんしゆう解散かいさんして、周圍めぐりむらおよ田家ゐなかや宿やどらせ、かつ食物しょくもつもとめしめたまへ、と。 13しかるにイエズス彼等かれらむかひ、なんぢこれ食物しょくもつあたへよ、とのたまひしかば、彼等かれらひけるは、われいつつぱんふたつさかなとあるのみ。あるひきてこのすべての群衆ぐんしゆうため食物しょくもつはんか、と。 14居合ゐあはせたる男子だんし五千にんばかりなりしが、イエズス、人々ひとびとを五十にんづつ組々くみぐみせしめよ、と弟子でしたちのたまひければ、 15彼等かれらそのごとくにして、ことごとせしめたり。 16イエズスいつつぱんふたつさかなとをり、てんあふぎてこれしゆくし、きて弟子でしたちわかち、群衆ぐんしゆうまへかしめたまひしかば、 17みなしよくしてあきりしが、しよくあましたるものひろひてくず十二かごありき。 18イエズスひとりいのたまひけるに、弟子でしたちともりしが、ひてのたまひけるは、群衆ぐんしゆうわれたれふぞ、と。 19彼等かれらこたへてひけるは、人々ひとびとあるひ洗者せんしやヨハネなりとひ、あるひはエリアなりとひ、あるひいにしへ預言よげんしや一人ひとり復活ふくくわつしたるなりとふ、と。 20イエズス彼等かれらのたまひけるは、なんぢわれたれふか、と。シモン、ペトロこたへて、かみのキリストなり、とひしかば、 21イエズスきびしく彼等かれらいましめ、たれにもこれかたらざるやうめいじて、 22のたまひけるは、ひと樣々さまざまくるしめられ、かつ長老ちやうらう司祭しさいちやう律法りつぱふ學士がくし排斥はいせきせられ、ころされ、しかして三日みつか復活ふくくわつすべし、と。 23また一同いちどうむかひてのたまひけるは、ひともしわがあときたらんとほつせば、おのれて、日々にちにちおの十字架じふじかりてわれしたがふべし。 24おの生命せいめいすくはんとほつするひとこれうしなひ、わがため生命せいめいうしなひとこれすくふべければなり。 25すなはひと假令たとひぜん世界せかいまうくとも、もしおのれうしなおのれがいせば、なんえきかあらん。 26けだしわれわがことばとをづるひとをば、ひとまたおのれちちせい使たちとの威光ゐくわうもつきたらんときかれづべし。 27れどわれまことなんぢぐ、此處ここてるものうちに、かみくにるまであぢははざらん人々ひとびとあり、と。 28これ御言おんことばのち八日やうかばかりをて、イエズスペトロとヤコボとヨハネとをしたがへ、いのらんとてやまのぼたまひしに、 29いのたまあひだに、御顏おんかほかたちかはり、衣服いふくしろくなりてかがやけり。 30をりしも二個ふたりひとありてイエズスとともかたりしが、これモイゼとエリアとにして、 31威光ゐくわうびてあらはれつつ、イエズスがまさにエルザレムにおいげんとしたま逝去せいきよことかたれり。 32ペトロおよとも人々ひとびとへずしてねむりたりしに、そのむるや、イエズスの榮光えいくわうと、ともてる二人ふたりとをたり。 33その二人ふたりイエズスをはなれければ、ペトロところらずして、イエズスにひけるは、よ、よいかなわれ此處ここことわれみついほりつくり、ひとつなんぢためひとつはモイゼのためひとつはエリアのためにせん、と。 34かたほどに、一叢ひとむらくもおこりて彼等かれらおほひしかば、弟子でしたちくもときおそれいだけり。 35かくこゑくもうちよりひびきていはく、「これわが愛子あいしなる、これけ」と。 36このこゑひびけるときただイエズスひとりのみたまひしが、弟子でしたちもくして、そのたりしこと當時そのころたれにもかたらざりき。 37翌日よくじつ彼等かれらやまくだとき群衆ぐんしゆうおびただしくきたりむかへしが、 38をりしも一個ひとりひと群衆ぐんしゆううちよりよばはりてひけるは、よ、こいねがわくはわがかへりたまへ、われ獨子ひとりごなるものを、 39あはれや惡鬼あくきこれけば、にはかさけびてなげたふし、かつあわかせ*攣ひきつけさせ、くだくるばかりにしてやうやくに立去たちさる。 40われなんぢ弟子でしたちに、これ逐拂おひはらことひしかど、あたはざりき。 41イエズスこたえてのたまひけるは、信仰しんかうなきよこしまだいなるかなわれ何時いつまでなんぢともりてなんぢしのばんや。その此處ここつれきたれ、と。 42かくかれちかづきけるに、惡魔あくまこれたふして*攣ひきつけさせしかば、 43イエズス汚鬼をきしかり、いやしてそのちちかへたまへり。 44ここおいひとみなかみ大能たいのうおどろき、イエズスのたまへるすべてのこと感嘆かんたんしければ、イエズス弟子でしたちむかひ、なんぢこのことばみみをさめよ、けだしひと人々ひとびとわたさるることあらん、とのたまひしが、 45彼等かれらこのことばかいせず、しか彼等かれらさとらざらんために、これたいしてかくされしかば、このことばきてイエズスに[事ことおそたり。 46ここに、おのれいづれもつともおほいなるか、とのかんがへ彼等かれらうちおこりしかば、 47イエズスそのこころおもんぱかところたまひ、一人ひとり孩兒をさなごりておのかたはらたせ、 48彼等かれらのたまひけるは、たれにてもあれ、わがためこの孩兒をさなごくるひとは、われくるなり、またわれくるひとは、われつかはしたまひしものをくるなり、すなはなんぢ一同いちどううちおいもつともちひさものは、これもつともおほいなるものなり、と。 49ヨハネこたへて、よ、なんぢもつ惡魔あくまおひはらものあるをしが、われともしたがはざるものなれば、われこれきんじたり、とひければ、 50イエズスこれのたまひけるは、きんずることなかれ、なんぢはんせざるひとなんぢためにするものなればなり、と。 51イエズスがこのよりられたまふべき日數ひかず滿ちんとしければ、エルザレムにくべく御顏おんかほかため、 52まづ數人すにん使つかひつかはしたまひしかば、彼等かれらきてイエズスのため準備じゆんびせんとて、サマリアのあるまちりしかど、 53イエズスの御顏おんかほエルザレムにむかへるによりて、人々ひとびとこれけざりき。 54ればヤコボとヨハネと二人ふたり弟子でしこれて、しゆよ、われいまめいじててんよりくだし、彼等かれらやきほろぼさしめば如何いかに、とひければ、 55イエズスかへりみて、しかりてのたまひけるは、なんぢ如何いかなる精神せいしんなるかをみづからざるなり、 56ひときたりしは、たましひほろぼさんためあらず、これすくはんがためなり、と。かく一同いちどうむらけり。 57一行いつこうみちあゆめるときあるひとイエズスにむかひ、何處いづこにもあれ、たまところわれしたがはん、とひしかば、 58イエズスこれのたまひけるは、きつねあなあり、そらとりあり、れどひとまくらするところなし、と。 59しかるにまた一人ひとりむかひて、われしたがへ、とのたまひしかばかれしゆよ、まづきてちちはうむことわれゆるたまへとひけるに、 60イエズスのたまひけるは、死人しにんをしてその死人しにんはうむらしめ、なんぢきてかみくにげよ、と。 61また一人ひとりひけるは、しゆよ、われなんぢしたがはん、れどまづ我家わがいへもの處置しよちすることゆるたまへ。 62イエズスのたまひけるは、すきけてなほうしろかへりみるひとは、かみくにてきせざるものなり、と。

第10章[編集]

1そののちしゆまた七十二にん指名しめいして、おのいたらんとする町々まちまち處々ところどころに、まづ二人ふたりづつつかはさんとして、 2のたまひけるは、收穫かりいれおほけれどもはたらものすくなし、ゆゑはたらものその收穫かりいれつかはさんことを、收穫かりいれしゆねがへ。 3け、なんぢつかはすは、こひつじおほかみなかるるがごとし、 4なんぢ財布さいふたびぶくろはきものたづさふることなかれ、途中とちゆうにてたれにも挨拶あいさつすことなかれ。 5いずれのいへるも、まづこのいへ平安へいあんあれかしとへ、 6其處そこ平安へいあんあらば、なんぢいの平安へいあんそのうへとどまらん、しからずばなんぢかへらん。 7おないへとどまりて、そのうちありはするもの飲食いんしよくせよ、これはたらものそのむくいくるにあたひすればなり。いへよりいへうつることなかれ、 8またいずれのまちるとも、人々ひとびとなんぢけなば、なんぢきようせらるるものしよくし、 9其處そこにある病人びやうにんいやし、人々ひとびとむかひて、かみくになんぢちかづけり、とへ。 10いずれのまちるとも、人々ひとびとなんぢけずば、そのちまたでてへ、 11なんぢまちにてわれきしちりまでも、われなんぢむかひてはらうぞ、りながらかみくにちかづきたるをれ、と。 12われなんぢぐ、かのには、ソドマはかのまちよりもゆるさるることあらん。 13わざはひなるかななんぢコロザイン、わざはひなるかななんぢベッサイダ、もしなんぢうちおこなはれし奇蹟きせき、チロとシドンとのうちおこなはれしならば、彼等かれらはや改心かいしんして、あらごろもまとひてはひせしならん。 14れば審判しんぱんあたりて、チロとシドンとはなんぢよりもゆるさるることあらん。 15またカファルナウムよ、なんぢ地獄ぢごくにまでしづめらるべし、てんにまでもげられたるものを。 16そもそもなんぢひとわれき、なんぢかろんずるひとわれかろんじ、われかろんずるひとわれつかはしたまひしものをかろんずるなり、と。 17かくて七十二にんよろこびつつかへりきたり、しゆよ、なんぢりて、惡魔あくますらもわれ歸服きふくす、とひしかば、 18イエズス彼等かれらのたまひけるは、われサタンが電光いなづまごとてんよりつるをつつありき。 19われなんぢに、へびさそりならびてき一切いつさい勢力いきほひ蹂躙ふみにじるべき權能けんのうさづけたれば、なんぢがいするものはあらじ、 20りながら、鬼神きしんなんぢふくするをよろこぶことなかれ、むしろなんぢてんかきしるされたるをよろこべ、と。 21そのときイエズス、聖靈せいれいによりて喜悦きえつしてのたまひけるは、天地てんちしゆなるちちよ、われなんぢ稱贊しようさんす、これこと學者がくしや智者ちしやかくして、ちひさ人々ひとびとあらはたまひたればなり。しかちちよ、かくごときは御意みこころかなひしゆゑなり。 22一切いつさいものわがちちよりわれたまはりたり、ちちほかに、たれなるかをものなく、およあへしめしたらんものほかに、ちちたれなるかをものなし、と。 23かく弟子でしたちかへりみてのたまひけるは、なんぢところさいはひなるかな24けだしわれなんぢぐ、おほくの預言よげんしやおよ帝王ていわうは、なんぢところんとほつせしかどることをず、なんぢところかんとほつせしかどくことをざりき、と。 25をりしも一人ひとり律法りつぱふ學士がくし立上たちあがり、イエズスをこころみんとしてひけるは、よ、われなにしてか永遠えいえん生命せいめいべき。 26イエズスこれのたまひけるは、律法りつぱふなんかきしるしたるぞ、なんぢなんむぞ、と。 27かれこたへて、なんぢこころつくし、たましひつくし、ちからつくし、精神せいしんつくしてなんぢかみたるしゆあいし、またなんぢちかものおのれごとあいすべし、とひしに、 28なんぢこたへただし、これおこなへ、しからばなんぢくることをん、とのたまへり。 29しかるにかれみづかべんぜんとほつしてイエズスにむかひ、わがちかものとはたれぞ、とひしかば、 30イエズスこたへて、あるひとエルザレムよりエリコにくだとき强盜がうとうおちいりしが、彼等かれらこれぎてきずはせ、半死はんし半生はんしやようにしてすてれり。 31たまたま一人ひとり司祭しさいおなみちくだれるに、これすぎき、 32また一人ひとりのレヴィじんも、そのところ來合きあはせてこれしかど、おなやうすぎけり。 33しかるに一人ひとりのサマリアじん旅路たびじ辿たどりつつかれかたはらきたりけるが、これあはれもよおし、 34ちかづきてあぶら葡萄ぶだうしゆとをそそぎ、そのきず繃帶ほうたいしておのうませ、宿やどともなひて看護かんごせり。 35翌日よくじつデナリオ銀貨ぎんかまいいだして宿主やどぬしあたへ、このひと看護かんごせよ、このうへつひやしたらんところは、われかへときなんぢつぐのふべし、とへり。 36このにんうちかの强盜がうとうおちいりたるひとちかかりしとなんぢゆるものいづれぞ、とのたまひけるに、 37律法りつぱふ學士がくしかのひとあはれみくはへたるものこれなり、とひしかばイエズス、なんぢきてかくごとくせよ、とのたまへり。 38かくみなきけるに、イエズスあるむらたまひしを、マルタとなづくるをんな自宅じたくにて接待せつたいせり。 39かのをんなにマリアとなづくる姉妹しまいありて、これしゆ足下あしもとして御言おんことばたるに、 40マルタは饗應もてなしいそがしさに取紛とりまぎれたりしが、たちとどまりてひけるは、しゆよ、わが姉妹しまいわれ一人ひとりのこして饗應もてなさしむるをとしたまはざるか、ればめいじてわれたすけしめたまへ、と。 41しゆこたへてのたまひけるは、マルタマルタ、なんぢ樣々さまざまこときておもひわづらこころさわがすれども、 42必要ひつえうなるはただひとつ、マリアは最良さいりやう部分ぶぶんえらめり、これうばはるまじきなり、と。

第11章[編集]

1かくてイエズス、あるところにていのたまへるに、そのをはたまふや、弟子でし一人ひとりひけるは、しゆよ、ヨハネもその弟子でしをしへしごとく、われいのことをしたまへ、と。 2イエズス彼等かれらのたまひけるは、なんぢいのときへ、ちちよ、ねがはくは御名みなせいとせられんことを、御國みくにきたらんことを、 3われ日用にちようかてを、日々ひびわれあたたまへ、 4われすべおのれ負債おひめあるひとゆるすにり、われつみゆるたまへ、われこころみたまふことなかれ、と。 5またのたまひけるは、なんぢうちともてるもの夜中よなかそのもとき、ともよ、われみつぱんせ、 6わが一個ひとり友人いうじん旅路たびじわがもときたれるに、これきようすべきものなければ、とはんに、 7かれうちよりこたへて、われわづらはすことなかれ、すでぢ、わが子等こどもわれともとこれば、きてなんぢあたふることをず、とことあらんか、 8るをなほたたきてまざるときは、われなんぢぐ、かのひと假令たとひおのともなればとてはきてあたへざるも、そのわづらはしさのためきて、えうするほどものあたふるならん。 9われなんぢぐ、ねがへ、らばあたへられん、さがせ、らば見出みいださん、たたけ、らば[を]ひらかれん、 10すべねがひとけ、さがひと見出みいだし、たたひとは[を]ひらかるべければなり。 11なんぢうちたれちちぱんはんにそのちちいしあたへんや、あるひさかなを[はんに]そのかはりへびあたへんや、 12あるひたまごはんにさそりあたへんや、 13ればなんぢあしものながらも、たまものそのどもあたふるをれば、いはんてんましまなんぢちちは、おのれねが人々ひとびと善良ぜんりやうなるれいたまふべきをや、と。 14イエズス惡魔あくま逐出おひいだたまふに、そのひとおしなりしが、すで惡魔あくま逐出おひいだたまふやおしものいひしかば、群衆ぐんしゆう感嘆かんたんせり。 15れどそのうちある人々ひとびとは、かれ惡魔あくま逐出おひいだすは惡魔あくまかしらベエルゼブブにるなり、とひ、 16またひとは、イエズスをこころみんとて、てんよりのしるしこれもとたり。 17イエズスそのこころ見拔みぬきて彼等かれらのたまひけるは、すべみづかわかあらそくにほろび、[わかあらそふ]いへいへともまたたふるべし、 18サタンもしみづかわかあらそはば、そのくに如何いかにしてかつべき、けだしなんぢふ、われベエルゼブブにりて惡魔あくま逐出おひいだすと。 19われもしベエルゼブブにりて惡魔あくま逐出おひいだすならば、なんぢ子等こどもたれりてこれ逐出おひいだすぞ、らば彼等かれらなんぢ審判しんぱんしやとなるべし。 20れどわれもしかみゆびもつ惡魔あくま逐出おひいだすならば、かみくにまことなんぢきたれるなり。 21つよもの武裝ぶさうしてその住所すみかまもときは、そのてるもの安全あんぜんなりといへども22もしかれよりつよものおそひきたりてかれたば、ことごとそのたのめる武器ぶきうばひて、その捕獲物ぶんどりものわかたん。 23われともらざるひとわれはんし、われともあつめざるひとらすなり。 24汚鬼をきひとよりでしときれたるところめぐりて安息やすみもとむれどもず、いはく、でし我家わがいへかへらん、と。 25すなはきたりてそのいへはききよめられかざられたるをるや、 26きておのれよりもあしななつ惡鬼あくきたづさへ、ともりて此處ここむ、かくそのひとすゑまへよりもさらあしくなるなり、と。 27このことどもことのたまへるに、あるをんな群衆ぐんしゆううちよりこゑげて、さいはひなるかななんぢやどししたいよ、なんぢひし乳房ちぶさよ、とひしかば、 28イエズスのたまひけるは、むしさいはひなるかなかみことばきてこれまも人々ひとびとよ、と。 29群衆ぐんしゆうはせあつまりければ、イエズスかたりたまひけるは、現代げんだい邪惡じやあくにして、しるしもとむれども、預言よげんしやヨナのしるしほかしるしあたへられじ、 30すなはちヨナがニニヴひとしるしとなりしごとく、ひと現代げんだいおけるもまたしかり。 31南方なんぽう女王によわうは、審判しんぱんあたりて、現代げんだいひとともちてこれつみさだめん、かれはてより、サロモンの智惠ちゑかんとてきたりたればなり、よ、サロモンにまされるものここり。 32ニニヴひと審判しんぱんあたりて現代げんだいひとともちてこれつみさだめん、彼等かれらはヨナの說敎せつけうによりて改心かいしんしたればなり、よ、ヨナにまされるものここり。 33ともしびともして、かくれたるところまたますしたものはあらず、入來いりくひとあかりせんためこれ燭臺しよくだいうへく。 34なんぢともしびなり、そのにしてくば、全身ぜんしんあきらかなるべく、もししくばそのまたくらかるべし。 35このゆゑに、なんぢあかりやみにならざるやうこころせよ、 36なんぢ全身ぜんしんあきらかにしてやみところなくば、全體ぜんたいあきらかにしてかがやけるともしびらさるるごとくならん、と[かたたまへり]。 37イエズスかたたまへるうちに、一人ひとりのファリザイじんおのいへにてしよくたまはんことをひしかば、りてしよくたまひしが、 38イエズス食前しよくぜんあらたまはざりしを、このひといぶかりければ、 39しゆこれのたまひけるは、さてなんぢファリザイじんは、さかづきさらとの外部そときよむれど、なんぢ内部うちぬすみ不義ふぎとに滿てり。 40おろかなるものどもよ、外部そとつくたまひしものは、また内部うちをもつくたまひしにあらずや。 41りながらあまれるものほどこせ、しからば一切いつさいものただちなんぢためきよめらるべし。 42れどわざはひなるかななんぢファリザイじん薄荷はつか**ヘンルド其他そのほか一切いつさい野菜やさいの十ぶんの一をおさむれど、かみあいすることとをさしおけばなり、これしてこそ彼等かれらをもおこたらざるべかりしなれ。 43わざはひいなるかななんぢファリザイじん會堂くわいどうにては上座じやうざを、ちまたにては敬禮けいれいこのめばなり。 44わざはひなるかななんぢけだしあらはれざるはかて、うへあゆ人々ひとびとこれらざるなり、と。 45律法りつぱふ學士がくし一人ひとりこれこたへて、よ、ひては、われにも侮辱ぶじよくくはふるなり、とひしかば、 46イエズスのたまひけるは、なんぢわざはひなるかな律法りつぱふ學士がくし人々ひとびとにはになざるはすれど、みづからはゆびひとつだもそのれざればなり。 47わざはひなるかななんぢ預言よげんしやたち墓標はかじるしつるものこれころししはなんぢ先祖せんぞにして、 48なんぢみづかその先祖せんぞ所爲しわざ同意どういすることしようす、彼等かれらこれころしたるになんぢそのはかつればなり。 49これによりてまたかみ智惠ちゑのたまはく、「われ彼等かれら預言よげんしやおよ使徒しとたちつかはさんに、彼等かれらそのうちものころし、また迫害はくがいせん」と。 50れば世界せかい開闢かいびやく以來いらいながされたるすべての預言よげんしや51すなはちアベルのより祭壇さいだん神殿しんでんとのあひだたふれしザカリアのいたるまで、現代げんだいそのつみはれん、われまことなんぢぐ、現代げんだいかくごとつみはるべし。 52わざはひいなるかななんぢ律法りつぱふ學士がくし知識ちしきかぎうばひりて、みづからもらず、らんとする人々ひとびとをもこばみたればなり、と。 53これことのたまうちに、ファリザイじん律法りつぱふ學士がくしはなはだしくいきどほりでて、樣々さまざまこともつ閉口へいこうせしめんとし、 54イエズスをうつたへんとして陰謀いんぼうめぐらし、そのくちより何事なにごとをかとらへんとせり。

第12章[編集]

1そのときおびただしき群衆ぐんしゆう周圍めぐりふみばかりなるに、イエズス弟子でしたちかたりたまひけるは、ファリザイじん麪酵ぱんだね用心ようじんせよ、これ僞善ぎぜんなり。 2おほはれたることあらはれざるべきはなく、かくれたることれざるべきはなし、 3なんぢ暗黑くらやみにてひしこと光明あかるみはれ、室内へやにてささやきしこと屋根やねにてべらるべければなり。 4ればわれわがともたるなんぢぐ、肉體にくたいころしてそののちなにをもざるものおそるることなかれ。 5ここなんぢおそるべきものしめさん、すなはころしたるのち地獄ぢごく投入なげいるる權能けんのうあるものおそれよ、しかり、われなんぢぐ、これおそれよ。 6すずめせんにてるにあらずや、しかるにそのいちも、かみ御前みまへわすれらるることなし。 7なんぢかみのすらみなかぞへられたり、ゆゑおそるることなかれ、なんぢおほくのすずめまされり。 8われなんぢぐ、すべ人々ひとびとまへにてわれ宣言せんげんするものは、ひとまたかみ使つかひたちまへにてこれ宣言せんげんせん。 9れど人々ひとびとまへにてわれいなものは、かみ使つかひたちまへにていなまるべし。 10またすべひとそしひとゆるされん、れど聖靈せいれいたいして冒涜ばうとくしたるひとゆるされじ。 11人々ひとびとなんぢ會堂くわいどうに、あるひ官吏くわんり權力けんりよくしやまへかんとき如何いかまたなにこたへ、またなにはんかとおもひわづらふことなかれ、 12ふべきことは、そのときあたりて、聖靈せいれいなんぢをしたまふべければなり、と。 13かく群衆ぐんしゆううちより、あるひとイエズスにむかひ、よ、わが兄弟きやうだいめいじて、家督かとくわれともわかたしめたまへ、とひしかば、 14イエズスこれのたまひけるは、ひとよ、なんぢうへ判事はんじまた分配ぶんぱいしやとして、たれわれさだめしぞ、と。 15かく人々ひとびとのたまひけるは、つつしみてすべての貪欲どんよく用心ようじんせよ、ひと生命せいめい所有物もちものゆたかなるにらざればなり、と。 16また彼等かれらたとへかたりてのたまひけるは、ある富者ふしやはたゆたかにみのりければ、 17そのひとこころうちかんがへけるは、われ産物さんぶつむべきところなきを如何いかにせんと。 18ついへらく、われかくべし、すなはわがくらこぼち、さらおほいなるものてて、其處そこわが産物さんぶつ財貨ざいうわとをまん、 19しかしてわがたましひむかひ、たましひよ、多年たねん用意よういたくはへたる財産ざいさん數多あまたあれば、こころやすんじ、飲食いんしよくしてたのしめ、とはん、と。 20れどかみかれのたまはく、愚者おろかものよ、なんぢたましひ今夜こんやよびかへされんとす、らばそなへたるものたれものるべきぞ、と。 21おのれためたからみて、かみ御前みまへまざるひとかくごとものなり、と。 22また弟子でしたちのたまひけるは、ればわれなんぢぐ、生命いのちためなにをかためなにをかん、とおもひわづらふことなかれ、 23生命いのち食物くひものまさり、衣服いふくまされり。 24からすかんがみよ、ことなくことなく、くらをも納屋なやをもたざれども、かみこれやしなたまふなり、なんぢからすまさること幾何いくばくぞや。 25なんぢうちたれ工夫くふうしておの壽命じゆみやういつちうだもくはふることをんや、 26ればいとちひさことすらもあたはざるに、なん其他そのたことおもひわづらふや。 27百合ゆり如何いかそだつかをかんがみよ。はたらことなくつむことなし、れどもわれなんぢう、サロモンだもその榮華えいぐわきはみおいて、かの百合ゆりひとつほどによそほはざりき。 28今日けふりて明日あす投入なげいれらるるくさをさへ、かみよそほはせたまへば、いはんなんぢをや、信仰しんかううすものどもかな29なんぢも、なにをかなにをかまんともとむることなかれ、また大望たいまうおこすことなかれ、 30けだし異邦いはうじんは、この一切いつさいものもとむれども、なんぢちちなんぢこれえうすることをたまへばなり。 31ればまづかみくにと、そのとをもとめよ、らばこの一切いつさいものなんぢくはへらるべし。 32ちひさむれよ、おそるることなかれ、なんぢくにたまことは、なんぢちち御意みこころかなひたればなり。 33なんぢ所有物もちものりてほどこしおこなへ、おのれためふるびざるかねぶくろつくり、きざるたからてんたくはへよ、彼處かしこには盜人ぬすびとちかづかず、しみそこなはざるなり。 34これなんぢたからところには、こころまたるべければなり。 35なんぢこしおびしてともしびあるべし。 36またあたかも、主人しゆじん婚莚こんえんよりかへりきたりてもんたたかばただちひらかん、とまちくるひとごとくによ。 37主人しゆじんきたときめさめたるをらるるしもべさいはひなり、われまことなんぢぐ、主人しゆじんみづかおびしてこのしもべしよくかせ、かよひて彼等かれら給仕きふじせん。 38主人しゆじん十二までにきたるも三までにきたるも、しもべかくごときをば、彼等かれらさいはひなり。 39なんぢるべし、家父かふもし盜人ぬすびときたるべきときらばかなら警戒けいかいしてそのいへ穿うがたしめじ。 40なんぢまた用意よういしてあれ、ひとなんぢおもはざるとききたるべければなり、と。 41ペトロ、イエズスにむかひ、しゆよ、このたとへのたまふは、われためにか、すべてのひとためにもか、とひしかば、 42しゆのたまひけるは、ときおうじて家族かぞくむぎほどよくわけあたへしめんとて、戶主こしゆその家族かぞくうへつる、忠義ちゆうぎにしてさと執事しつじたれなるか、 43主人しゆじんきたときおこなへるをらるるしもべさいはひなり。 44われまことなんぢぐ、主人しゆじんおのてる一切いつさいものこれつかさどらしめん。 45もしかのしもべこころうちに、我主わがしゆひときたことおそしとひて、下男げなん下女げぢよ打擲うちたたき、飲食のみくひしてゑひはじめんか、 46せざるらざるときに、かのしもべ主人しゆじんきたりてこればつし、そのむくい不忠ふちゆうものおなじくせん。 47またその主人しゆじんりて用意よういせず、主人しゆじんしたがひておこなはざるしもべは、むちうたるることおほからん。 48しかれども、らずしてむちうたるべきことしたるものは、たるることすくなかるべし、すべおほあたへられたるひとおほもとめられ、委托いたくしたることおほければ催促さいそくすることおほかるべし。 49われ地上ちじやうはなたんとてきたれり、そのゆるほかにはなにをかのぞまん。 50しかるにわれにはくべき洗禮せんれいあり、爲遂しとげらるるまで、おもひせまれること如何許いかばかりぞや。 51なんぢは、われ地上ちじやう平和へいわもちきたれりとおもふか、われなんぢぐ、いなかへつて分離ぶんりなり。 52けだしいまよりのち一家いつかに五にんあらば、三にんは二にんに、二にんは三にんたいしてわかれん、 53すなはちちに、ちちに、ははむすめに、むすめははに、しうとめよめに、よめしうとめたいしてわかるることあらん、と。 54イエズスまた群衆ぐんしゆうのたまひけるは、なんぢ西にしよりくもおこるをればただちあめきたらんとふ、すでにしてはたしてしかり。 55また南風みなみかぜくをればあつくなるべしとふ、すでにしてはたしてしかり。 56僞善ぎぜんしやよ、なんぢ天地てんち有樣ありさまくることれるに、如何いかんいまとき見分みわけざる、 57如何いかんただしきことみづか見定みさだめざる。 58なんぢ敵手あひてとも官吏くわんりもととき途中とちうにてかれゆるされんことつとめよ。おそらくはなんぢ判事はんじもとき、判事はんじ下役したやくわたし、下役したやく監獄かんごくれん、 59われなんぢぐ、最終さいしゆうの一りんまでもかへさざるうちは、なんぢ其處そこでざるべし、と。