ルカ聖福音書1 (ラゲ訳)

提供: Wikisource
ナビゲーションに移動 検索に移動

<聖書<我主イエズスキリストの新約聖書

『公敎宣敎師ラゲ譯 我主イエズスキリストの新約聖書』公敎會、

1910年発行

〔ローマ・カトリック訳〕

ラゲ訳新約聖書エミール・ラゲ(Emile Raguet,MEP)

ルカ聖福音書

第1章[編集]

1われうちなりたちしことものがたりを、はじめよりしたしくもくげきしてをしへえきしやたりしひとびと2われいひつたへしごとかきつらねんとて、おほくのひとすでちやくしゆせるがゆゑに、 3たふときテオフィロよ、われすべてのことさいしよよりくはしくとりしらべて、じゆんじよよくなんぢかきおくるをよしおもへり。 4これなんぢをしてをしへられしをしへかくじつなるをさとらしめんためなり。 5そもそもユデアのわうヘロデのとき、アビアのくみにザカリアとへるしさいあり。そのつまはアアロンのすゑなるむすめにて、をエリザベトとへり。 6ふたりながらかみみまへただしきひとにして、しゆすべてのきんれいきりつとをあやまちなくふみおこなたりしが、 7エリザベトはうまずめなれば、かれらなくして、ふたりともとしおいたりき。 8しかるにザカリアそのくみじゆんによりて、かみみまへしさいつとめおこなひけるに、 9しさいしよくかんれいしたがひ、くじきて、しゆでんり、かうことたり。 10かうときあたり、じんみんぐんしふして、みなそとにていのけるに、 11しゆつかひかうだいみぎちてザカリアにあらはれしかば、 12ザカリアこれこころさわぎ、かつおそろしさにたれたり。 13てんしこれひけるは、おそるることなかれザカリア、けだしなんぢいのりききれられたり。つまエリザベトなんぢいつしまん、なんぢそのをヨハネとなづくべし。 14しかしてなんぢにはよろこびへざることとなり、おほくのひとまたそのたんじやうりてよろこばん。 15すなはかれしゆみまへゐだいにして、ぶだうしゆものとをまず、ははたいないよりすでせいれいたされん。 16またイスラエルのおほくのを、しゆたるそのかみかへらしめ、 17エリアのせいしんのうりよくとをもつしゆさきかん、これしゆためくわんぜんなるじんみんそなへんとて、せんぞこころしそんたちかへらせ、しんじやぎじんちしきたちかへらせんためなり、と。 18ザカリア、てんしひけるは、われなにりてかこのことあるをるべき。けだしわれらうじんにして、つままたとしおいたればなり。 19てんしこたへてひけるは、われかみみまへつガブリエルにして、つかはされたるは、なんぢかたりてこれふくいんげんためなり。 20よ、じきいたりてじやうじゆすべきわがことばしんぜざりしにより、なんぢおしとなりて、このことまでふことあたはじ、と。 21じんみんはザカリアをちつつ、そのでんないとどこほるをあやしみたりしが、 22づるにおよびてものいあたはざれば、ひとびとかれでんないにてまぼろしことさとれり。かれてまねするのみにて、おしそのままなりしが、 23ついそのつとめひかずちておのいへかへりしに、 24ならずしてつまエリザベトくわいたいせしかば、かくるることかげつにして、 25へらく、しゆひとびとあひだはじすすがしめんとて、われかへりたまひたるかくわれたまひしなり、と。 26むつきあたり、てんしガブリエルガリレアのナザレトとへるまちに、 27ダヴィドのヨゼフとなづくひといひなづけせしどうていぢよかみよりつかはされしが、そのどうていぢよをマリアとへり。 28てんしかれもといりきたりてひけるは、めでたし、おんちようてるものよ、しゆなんぢともまします。なんぢをんなうちにてしゆくせられたるものなり、と。 29マリアこれそのことばりておほいにこころさわこのしゆくじいかなるものぞ、とあんるを、 30てんしひけるは、おそるることなかれマリア、なんぢかみみまへおんちようたればなり、 31なんぢくわいたいしていつしまん、そのをイエズスとなづくべし。 32かれゐだいにして、いとたかものとなへられん。またしゆなるかみこれそのちちダヴィドのぎよくざたまひて、 33ヤコブのいへかぎりなくをさめ、そのちせいをはりなかるべし、と。 34マリアてんしひけるは、われをつとらざるに、いかにしてかこのことあるべき。 35てんしこたへていはく、せいれいなんぢのぞたまひ、いとたかもののうりよくかげなんぢおほはん、ゆゑなんぢよりうまるべきせいなるものはかみとなへらるべし。 36それなんぢしんぞくエリザベトすら、らうねんながらいつしくわいたいせり、かくうまずめばれたるものいますでむつきなり。 37けだしなにごとかみにはあたはざるところあらじ、と。 38マリアひけるは、われしゆおんめしつかひなり、なんぢことばごとわれれかし、と。ここおいてんしかれれり。 39ならずして、マリアちてやまぢなるユダのまちいそぎきしが、 40ザカリアのいへりて、エリザベトにあいさつせしに、 41エリザベト、マリアのあいさつくや、そのたいないにておどり、エリザベトはせいれいたされ、 42こゑたかよばはりてひけるは、なんぢをんなうちにてしゆくせられたり、たいないおんこしゆくせられたまふ。 43われなにによりてわがしゆははらいりんかたじけなうしたるぞ。 44そもそもなんぢあいさつこゑわがみみひびくや、よろこびてわがたいないおどれり。 45さいはひなるかなしんぜしものこれしゆよりはれしことかならじやうじゆすべければなり、と。 46マリアひけるは、わがたましひしゆあがめたてまつり、 47わがせいしんわがすくひぬしにてましまかみよりよろこびにへず、 48そのおんめしつかひいやしきをかへりたまひたればなり。けだしいまよりよろずよまでも、ひとわれさいはひなるものとなへん、 49ぜんのうにてましまものわれだいじたまひたればなり。せいなるかなそのみな50そのあはれみよよこれおそれるるひとびとうへり。 51みづかおんうでけんのうあらはし、おのこころおもひおごれるひとびとうちらし、 52けんりよくあるものそのよりおろし、いやしきものをばたかめ、 53ゑたるものよきものかせ、めるものをばむなしうしてらしめたまへり。 54おんあはれみわすれず、そのしもべイスラエルをひきうたまひ、 55われせんぞのたまひしごとく、アブラハムにもそのしそんにも、よよかぎりなくおよぼしたまはん、と。 56かくてマリア、エリザベトとともとどまことおよそつきにして、おのいへかへれり。 57てエリザベト、さんちてだんしみしが、 58りんじんしんせきしゆこれおほいなるめぐみたまひしこときて、しゆくがたり。 59やうかいたり、ひとびとそのかつれいほどこさんとてきたり、ちちによりてザカリアとなづけんとせしに、 60ははこたへて、しかるべからず、ヨハネとくべし、とひしかば、 61ひとびとなんぢしんせきうちに、このけられたるものなしとて、 62ちちてまねして、なんづけんとほつするぞ、とひけるに、 63ザカリアかきいたもとめて、そのはヨハネなりとしるしたれば、みなかんたんしたりしが、 64やがてザカリアのくちひらけ、したけ、ものいひてかみしゆくたてまつれり。 65かくりんじんみなおそれいだき、このすべてのことユデアのやまざとあまねいひひろめられしかば、 66ひとみなこれきおくとどめて、このいかなるものらんとおもふか、といひへり、けだししゆみてかれともりき。 67かくそのちちザカリアせいれいたされ、よげんしてひけるは、 68しゆくすべきかな、イスラエルのかみましましゆみづかのぞみそのたみあがなひし、 69そのしもべダヴィドのいへおいて、すくひつのわれためおこたまひたればなり。 70これいにしへよりせいなるよげんしやたちくちりてかたたまひしごとく、 71われてきより、またすべてのわれにくものよりわれすくたまひ、 72われせんぞあはれみれて、そのせいやくきおくたまはんためなり。 73しかしてこれわれたまはんと、わがちちアブラハムにちかたまひしちかひなり。 74ればわれてきよりすくはれて、おそれなくしゆつかまつり、 75せいとにおいしやうがいしゆみまへはべらん。 76をさなごよ、なんぢいとたかものよげんしやとなへられん。しゆめんぜんさきだちてそのみちそなへ、 77そのたみつみゆるさるべきたすかりちしきあたふべければなり。これわがかみじひはらわたれり。 78これためあさひうへよりわれのぞたまひて、 79くらやみおよびかげせるひとびとらし、われあしへいあんみちみちびかんとしたまふ、と。 80かくをさなごせいちやうし、せいしんいよいよすこやかにして、イスラエルにあらはるるまであれのれり。

第2章[編集]

1そのころてんかこせきとりしらぶべしとのみことのり、セザル、オグストよりいでしが、 2このこせきしらべは、シリノがシリアのそうとくたりしときはじめたるものなり。 3かくひとみなとどけんとて、おのおのそのこきやういたりけるに、 4ヨゼフもダヴィドぞくかつそのちすぢなれば、 5すでくわいたいせるいひなづけつまマリアとともとどけんとて、ガリレアのナザレトまちよりユデアのベトレヘムとへるダヴィドのまちのぼれり。 6そこりしほどに、マリアさんときちて、 7うひみ、ぬのつつみてうまぶねさせきたり。これはたごやかれらところなかりしゆゑなり。 8しかるにこのちはうぼくしやありて、やちゆうかうたいしておのむれまもりしが、 9をりしもしゆつかひそのかたはらちて、かみえいくわうかれらめぐりらしたれば、かれらおほいにおそれたり。 10てんしかれらひけるは、おそるることなかれ、われじんみんいつぱんおよぶべきおほいなるよろこびふくいんなんぢぐればなり。 11けだしけふダヴィドのまちおいて、なんぢためすくひぬしうまたまへり、これしゆたるキリストなり。 12なんぢこれもつしるしとせよ、すなはぬのにてつつまれ、うまぶねかれたるみどりごるべし、と。 13たちまおびただしきてんぐんてんしくははりて、かみさんびし、 14いとたかところにはかみくわうえいにはごかういひとびとへいあん」ととなへたり。 15てんしたちてんりてのちぼくしやひけるは、いざわれベトレヘムまでき、しゆわれしめたまへることしだいん、と。 16すなはいそいたりて、マリアとヨゼフとうまぶねかれたるをさなごとにへり。 17まのあたりにて、このをさなごきてはれしことらせければ、 18けるひとみなぼくしやよりはるることふしぎおもひしが、 19マリアはこれことことごとこころおさめてかんがへあわたり。 20かくぼくしやは、おのれはれしにたがはず、みききせしいつさいこときて、かみくわうえいし、かつさんびたてまつりつつかへれり。 21をさなごかつれいさづかるべきやうかいたりて、いまだたいないやどらざるまへてんしよりはれしごとく、をイエズスとばれたまへり。 22てモイゼのりつぱふままに、マリアがきよめひかずちてのち、[ふたおや]をさなごしゆささげんためたづさへてエルザレムにけり。 23これしゆりつぱふかきしるして「すべはじめうまるるだんしは、しゆためせいなるものとなへらるべし」とあるがゆゑにして、 24またしゆりつぱふはれたるごとく、やまばとひとつがひか、はとひなかをいけにへささげんためなりき。 25をりしもエルザレムに、シメオンとへるひとあり。ぎじんにしてかみゐけいし、イスラエル[のたみ]のなぐさめられんことちて、せいれいたまところとなり、 26せいれいより、しゆのキリストをざるうちは、せざることしめされたりしが、 27[せい]れいによりて、[しん]でんいたりしに、あたかかのふたおやをさなごイエズスをたづさへ、これためりつぱふならはししたがひておこなはんとてきたりければ、 28シメオンをさなごいだき、かみしゆくたてまつりてひけるは、 29しゆよ、いまこそみことばしたがひてしもべあんらくかしめたまふなれ、 30わがしゆすくひたればなり。 31これしゆばんみんまへそなたまひしものにして、 32いはうじんらすべきひかりしゆたみたるイスラエルのくわうえいなる、と。 33イエズスのちちははは、をさなごきてはれたることきやうたんしたりしが、 34シメオンかれらしゆくして、ははマリアにひけるは、このは、これイスラエルにおいて、おほくのひとだらくふくくわつとのためかれ、かつさからひくるしるしてられたり、 35なんぢたましひつるぎにてさしつらぬかるべく、しかしておほくのこころおもひあらはるべし、と。 36またアゼルぞくなるファヌエルのむすめに、はアンナ[とひて]、すでしごくらうねんおよべるをんなよげんしやあり。をとめときより七ねんあひだをつとともりしに、 37やもめとなりて、よはひ八十四にいたり、[しん]でんはなれず、だんじききたうとをもつちうやほうじりしが、 38これどうじきたりて、しゆしようさんし、エルザレムにおいて、あがなひてるひとびとをさなごことかたたりき。 39[ふたおやは]しゆりつぱふままなにごとをもはたし、ガリレアのナザレトなるおのまちかへりしが、 40をさなごやうやせいちやうして、ちゑち、せいしんちからいやまたまひ、かみおんちようそのうへりき。 41すぎこしだいしゆくじつには、ふたおやとしごとにエルザレムにりしが、 42イエズス十二さいになりたまひしときふたおやしゆくじつならはしままにエルザレムにのぼりしに、 43しゆくじつぎてかへときおさなきイエズスはエルザレムにとどまたまへり。ふたおやこれらず、 44みちづれうちらんとおもひつつ、いちにちき、しんぞくちきうちもとめたれども、はざりしかば、 45たずねつつエルザレムにたちかへりしに、 46みつかに、イエズスが[しん]でんにてがくしやなかし、かれらかつたまへるをみつけたり。 47ひとみなそのちゑこたへとにおどろたりしが、 48ふたおやこれかんたんせり。かくはははイエズスにむかひ、よ、なにゆゑわれかかことししぞ。よ、なんぢちちわれとはうれひつつなんぢたずたり、とひければ、 49イエズスのたまひけるは、なんわれたずねたるや。われわがちちことつとむべきをらざりしか、と。 50ふたおやこのかたりたまひしおんことばさとらざりき。 51てイエズスかれらともくだり、ナザレトにいたりてかれらしたがたまひしが、ははこのすべてのことこころおさたりき。 52かくてイエズスちゑよはひも、かみひととにおけちようあいしだいいやまたまへり。

第3章[編集]

1チベリオ、セザルのざいゐの十五ねん、ポンシオ、ピラトはユデアのそうとくたり、ヘロデはガリレアぶんこくわうたり、そのきやうだいフィリッポはイチュレアおよびトラコニトちはうぶんこくわうたり、リサニアはアビリナぶんこくわうたり、 2アンナとカイファとはしさいちやうたりしとき、ザカリアのヨハネ、あれのりてしゆおんことばかうむり、 3ヨルダン[がは]のぜんちはうめぐりて、つみゆるしさせんために、かいしんせんれいのべつたへたり。 4よげんしやイザヤのことばしよかきしるして「あれのよばはるものこゑありていはく、なんぢしゆみちそなへ、そのこみちなほくせよ。 5すべてのたにうづめられ、すべてのやまおかならされ、まがれるはなほくせられ、けわしきところたいらなるみちとなり、 6ひとみなかみすくひん」とあるにたがはず。 7てヨハネ、おのれせんせられんとていできたれるぐんしゆうひけるは、まむしすゑよ、きたるべきいかりのがるることを、たれなんぢをしへしぞ。 8ればかいしんそうたうなるむすべよ。またわれちちにアブラハムりとはんとすることなかれ。けだしわれなんぢぐ、かみこれいしよりアブラハムのためこどもおこすことをたまふ。 9すでおのかれたり。ゆゑすべむすばざるは、られてなげいれらるべし、と。 10ぐんしゆうヨハネにひて、らばわれなにすべきぞ、とひければ、 11かれこたへて、二まいはだぎてるひとたぬひとあたへよ、しょくもつてるひとおなやうにせよ、とたり。 12またみつぎとりありて、せんせられんとてきたり、よ、われなにすべきぞ、とひしかば、 13ヨハネかれらむかひ、なんぢさだまりたるものほかなにをもることなかれ、とへり。 14へいそつまたこれひて、われなにすべきぞ、とへば、ヨハネかれらむかひ、なんぢは、たれをもなやますことなかれ、またざんそすることなかれ、おのきふれうもつれりとせよ、とへり。 15じんみんまちびて、ヨハネをあるひはキリストならんと、みなこころおしはかりつつありければ、 16ヨハネこたへてひとびとひけるは、われみづにてなんぢせんす、れどわれまさりてちからあるものまさきたらんとす、われそのはきものひもくにもらず。かれせいれいとにてなんぢせんたまふべし。 17かれありてそのうちばきよめ、むぎくらをさめ、からえざるにてたまふべし、と。 18ヨハネなほおほくのことひとをしへて、ふくいんたり。 19れどぶんこくわうヘロデ、そのきやうだいつまヘロヂァデのことき、またみづかせるすべてのあくじきてヨハネにいさめられければ、 20もろもろあくじいまひとつくはへてヨハネをかんごくとじこめたりき。 21じんみんこぞりてせんせらるるとき、イエズスもせんせられていのたまふに、てんひらけ、 22せいれいかたちあらはれて、はとごとくイエズスのうへくだたまひ、またてんよりこゑして、なんぢわがあいしなり、われなんぢによりてこころやすんぜり、とのたまへり。 23イエズスよはひおよそ三十にして[せいえきを]はじたまひ、ひとにはヨセフのおもはれたまひしが、ヨセフのちちはヘリ、そのちちはマタト、 24そのちちはレヴィ、そのちちはメルキ、そのちちはヤンネ、そのちちはヨゼフ、 25そのちちはマタチヤ、そのちちはアモス、そのちちはナホム、そのちちはヘスリ、そのちちはナッゲ、 26そのちちはマハト、そのちちはマタチヤ、そのちちはセメイ、そのちちはヨゼフ、そのちちはユダ、 27そのちちはヨハンナ、そのちちはレサ、そのちちはゾロバベル、そのちちはサラチエル、そのちちはネリ、 28そのちちはメルキ、そのちちはアッヂ、そのちちはコサン、そのちちはエルマダン、そのちちはヘル、 29そのちちはイエズ、そのちちはエリエゼル、そのちちはヨリム、そのちちはマタト、そのちちはレヴィ、 30そのちちはシメオン、そのちちはユダ、そのちちはヨセフ、そのちちはヨナ、そのちちはエリヤキム、 31そのちちはメレヤ、そのちちはメンナ、そのちちはマタタ、そのちちはナタン、そのちちはダヴィド、 32そのちちはイエッセ、そのちちはオベド、そのちちはボオズ、そのちちはサルモン、そのちちはナアッソン、 33そのちちはアミナダブ、そのちちはアラム、そのちちはエスロン、そのちちはファレス、そのちちはユダ、 34そのちちはヤコブ、そのちちはイザアク、そのちちはアブラハム、そのちちはタレ、そのちちはナコル、 35そのちちはサルグ、そのちちはラガウ、そのちちはファレグ、そのちちはヘベル、そのちちはサレ、 36そのちちはカイナン、そのちちはアルファクサド、そのちちはセム、そのちちはノエ、そのちちはラメク、 37そのちちはマチュサレ、そのちちはエノク、そのちちはヤレド、そのちちはマラレエル、そのちちはカイナン、 38そのちちはヘノス、そのちちはセト、そのちちはアダム、そのちちかみなり。

第4章[編集]

1イエズス、せいれいちてヨルダン[がは]よりかへり、せいれいによりてあれのみちびかれ、 2四十にちあひだ[とどまりて]あくまこころみられたまひしが、このあひだなにをもしよくたまはず、ひかずちてたまへり。 3あくまイエズスにむかひ、なんぢもしかみならば、このいしめいじてぱんとならしめよ、とひしかば、 4イエズスこたたまひけるは、かきしるして「ひとくるは、ぱんのみにらず、またかみすべてのことばる」とあり、と。 5あくまこれたかやまたづさき、すんじせかいくにぐにしめして、 6ひけるは、われこのあらゆるけんりよくくにぐにえいぐわとをなんぢあたへん。けだしこれのものわれまかせられて、われこのものこれあたふ。 7ゆゑなんぢもしわがまへれいはいせば、これことごとなんぢものるべし。 8イエズスこたへてのたまひけるは、かきしるして「なんぢかみたるしゆはいし、これにのみつかへよ」とあり、と。 9あくままたイエズスをエルサレムにたづさへ、[しん]でんいただきたせてひけるは、なんぢもしかみならば、ここよりげよ、 10かきしるして「かみそのつかひたちめいじて、なんぢまもらせたまひ、 11なんぢあしいしつきあたらざるやうかれらにてなんぢささへん」とあればなり。 12イエズスこたたまひけるは、かきしるして「なんぢかみたるしゆこころむべからず」とあり、と。 13すべてのこころみをはりて、あくまイエズスをはなれたり。 14イエズス[せい]れいのうりよくによりてガリレアにかへたまひしに、そのめいせいぜんちはうひろまり、 15しよしよくわいどうにてをしたまひ、すべてのひとあがめられたまひつつありき。 16かつそだてられたまひしナザレトのいたり、あんそくじつあたりてれいごとくわいどうり、まんとてたまひしに、 17よげんしやイザヤのしよわたされ、これひらきてつぎごとかきしるされたるところあたたまへり。 18しゆれいわれうへましませば、われちゆうゆしてつかはしたまひ、ひんしやふくいんべしめ、こころくだけたるたるひといやさしめ、 19とりこにはゆるしを、めしひにはゆることげしめ、おさへられたるひときてじいうならしめ、しゆよろこばしきとしおよびむくいげしめたまふ」と。 20イエズスしよきてやくゐんかへし、たまひしかば、だうないひとみなこれちゆうもくたり。 21イエズスまずかれらむかひて、このしよけふなんぢみみじやうじゆせり、とときいだたまひしかば、 22ひとみなかれしようめいし、そのくちよりづるうるはしきことばおどろきて、これヨゼフのあらずや、とひければ、 23イエズスかれらのたまひけるは、なんぢかならわれに、いしやみづからをいやせとのことわざきて、なんぢがカファルナウムにてせりとわれけるほどことを、おのこきやうなるここにもせ、とはん、と。 24またのたまひけるは、われまことなんぢぐ、よげんしやにして、そのこきやうくわんげいせらるるものはあらず。 25われまことなんぢぐ、エリアのとき、三ねんかげつあひだてんぢてぜんちじやうだいききんありしに、イスラエルのうちおほくのやもめありしかど、 26エリアはそのうちひとりにもつかはされず、ただシドンのサレプタのひとりやもめにのみつかはされたり、 27またよげんしやエリゼオのとき、イスラエルのうちおほくのらいびやうしやありしかど、シリアひとナアマンのほかは、そのうちひとりきよくせられざりき、と。 28だうないひとびとこれきて、みないかりへず、 29ちてイエズスをまちよりおひいだし、そのまちてるやまきりきしつれゆき、なげおとさんとせしかども、 30イエズスはかれらなかとほりてあゆたまへり。 31かくてガリレアのまちなるカファルナウムにくだり、あんそくじつごとをしたまひけるに、 32そのかたたまところけんゐびたるにより、ひとびとそのをしへおどろたり。 33ここくわいどううちをきかれたるひとありて、こゑたかさけびてひけるは、 34ナザレトのイエズスよ、われさしおけ、われなんぢなんかかはりかあらん。われほろぼさんとてきたたまへるか。われなんぢたれなるかをれり、すなはちかみせいなるものなり、と。 35イエズスこれめて、もくせよ、このひとよりでよ、とのたまひしかば、あくきそのひとまんなかなげたふし、すこしもがいくはへずしてかれよりでたり。 36ここおいひとびとおほいおどろおそれ、なにごとぞ、かれけんゐのうりよくとをもつをきめいたまへば、すなはづるよ、とかたりひ、 37イエズスのめいせいかのちはういたるところひろまりきたり。 38イエズスくわいどうたちでて、シモンのいへたまひしに、シモンのしうとめおもねつわづらりしを、 39ひとびとかれためねがひければ、イエズスそのかたはらちてねつめいたまふや、ねつりて、かれただちきてかれらきふじしたり。 40りてのちさまざまくわんじやてるひとびとみなこれをイエズスのもとつれきたりければ、いちいちあんしゆしてこれいやたまへり。 41またあくまおほくのひとよりでて、さけびつつ、なんぢかみなり、とひければ、イエズスこれいましめて、ものいことゆるたまはざりき、けだしあくまそのキリストたることればなり。 42よあけてのち、イエズスでてさびしきところたまひしに、ぐんしゆうたずねてそのもといたり、おのれはなれざらしめんとてひきとどめければ、 43イエズスかれらのたまひけるは、われまたまちにもかみくにふくいんのべつたへざるべからず、われこれためつかはされたればなり、と。 44かくてガリレアのしよくわいどうにてせつけうしつつたまへり。

第5章[編集]

1ぐんしゆうかみおんことばかんとておしせまりければ、イエズスゲネザレトのうみほとりたまへるに、 2さうふねきしかかれるをたまへり。れふしすでりて、あみあらりしが、 3イエズス、シモンのふねなるいつさうり、ひてすこしくきしはなれしめ、してせんちゆうよりぐんしゆうをしたまひき。 4かたりたまひて、シモンにむかひ、おきのりいだあみおろしてすなどれ、とのたまひしかば、 5シモンこたへてひけるは、よ、われよもすがらはたらきてなにをもざりき、れどおおせによりてわれあみおろさん、とて、 6そのごとしたるに、とりめたるうをはなはおほく、あみまさけんとしければ、 7きたたすけしめんとて、ふねなるなかまさしまねきしかば、かれらきたりてさうふねうをまんさいし、ほとんどしづまんばかりになれり。 8シモン、ペトロこれて、イエズスのあしもとひれふし、しゆよ、われつみびとなれば、われよりとほざかりたまへ、とへり。 9は、かれともものみなすなどりたるうをおびただしきにおどろきたればなり。 10シモンのともなる、ゼベデオのヤコボとヨハネともまたそのうちりき。かくてイエズス、シモンにむかひ、おそるることなかれ、なんぢいまよりひといけものとならん、とのたまひしかば、 11かれらふねきしせ、いつさいさしおきてイエズスにしたがへり。 12イエズスあるまちたまへるときぜんしんらいめるひとありて、イエズスをるよ、ひれふしてねがひ、しゆよ、おぼしめしならばわれきよくすることをたまふ、とひしに、 13イエズス、べてこれたまひ、わがいなりきよくなれ、とのたまふや、らいただちそのれり。 14イエズスこれたれにもかたらざるよういましめて、て、[のたまひけるは]ただしきておのれしさいせ、きよくなりたるために、かれらへのしようことして、モイゼのめいぜしごとささげものせ、と。 15しかるにイエズスのめいせいますますひろがりて、ぐんしゆうおびただしくこれき、かつやまひいやされんとて、つどきたりければ、 16あれのけていのたまへり。 17いちじつイエズスしてをしたまひけるに、ガリレア、ユデアのすべてのそんらくおよびエルザレムよりきたりしファリザイじんりつぱふがくしたりしが、しゆのうりよくひといやためあらはれつつありき。 18をりしもひとびとちゆうぶめるひととこにてかききたり、うちれてイエズスのみまへおかんとつとむれども、 19ぐんしゆうためるべきみちず、やねのぼかはらぎて、そのひととこまま、イエズスのみまへまんなかつりおろせり。 20イエズス、かれらしんかうて。ひとよ、なんぢつみゆるさる、とのたまひしかば、 21りつぱふがくしファリザイじんかんがへはじめて、ひけるは、このばうとくことばいだすはたれぞ。かみひとりのほかたれつみゆるすことをんや、と。 22イエズスかれらおもところり、こたへてのたまひけるは、なんぢこころなにかんがふるぞ。 23なんぢつみゆるさるとふと、きてあゆめとふと、いづれやすき。 24ひとおいつみゆるすのけんあることなんぢらしめん、とてちゆうぶひとむかひ、われなんぢめいず、きよ、とこりておのいへかへれ、とのたまひしかば、 25そのひとただちかれらまへおこあがり、おのふしたりしとこりて、かみくわうえいしつつ、いへかへりしが。 26ひとみなおどろきりて、かみくわうえいたてまつり、またおそかしこみて、われけふまことふしぎなることたり、とたり。 27そののちイエズスでて、レヴィとなづくるみつぎとりしうぜいしよせるをて、われしたがへ、とのたまひしかば、 28かれいつさいさしおき、ちてしたがへり。 29かくてレヴィじたくおいてイエズスのためおほいなるふるまひまうけしに、みつぎとりなどおびただしくかれらせきおなじうしければ、 30ファリザイじんおよそのともがらなるりつぱふがくしつぶやきて、イエズスのでしたちむかひ、なんぢなにゆゑみつぎとりつみびといんしよくともにするぞ、とひけるに、 31イエズスこたへてのたまひけるは、いしやえうするは、さうけんなるひとあらずしてめるひとなり、 32きたりしはぎじんためあらず、つみびとびてかいしんせしめんためなり、と。 33かれらイエズスにひけるは、ヨハネのでしたちしばしばだんじきまたきたうし、ファリザイじんのもまたしかするに、なんぢものどもなにゆゑいんしよくするぞ、と。 34イエズスかれらのたまひけるは、なんぢあにはなむこともだちをして、そのはなむこともあひだだんじきせしむるをんや。 35れどはなむこかれらよりうばはるるきたるべく、そのにはだんじきすべし、と。 36イエズスまたかれらたとへかたたまひけるは、あたらしきいふくさきりて、ふるいふくひとはあらず、もししかするときは、あたらしきものやぶり、かつあたらしきいふくよりれるきれふるものにあはず。 37またあたらしきさけふるかわぶくろひとはあらず、もししかせば、あたらしきさけふるかわぶくろき、かつながれいでてかわぶくろまたすたらん。 38あたらしきさけあたらしきかわぶくろるべく、てこそふたつながらたもつなれ。 39またふるさけみながらただちあたらしきさけのぞひとはあらず、たれふるきをしとへばなり、と。

第6章[編集]

1すぎこしのまつりふつかのちはじめあんそくじつに、イエズスむぎばたけよぎたまときでしたちみ、みてしよくしければ、 2ファリザイのあるひとびとかれらひけるは、なんあんそくじつすべからざることせるや。 3イエズスこたへてのたまひけるは、ダヴィドがおのれおよびともなへるひとびとゑしときししことを、なんぢまざりしか。 4すなはちかれかみいへり、しさいたちほかしよくすべからざるそなへぱんりてしよくし、ともなへるひとびとにもあたへしなり、と。 5またかれらのたまひけるは、ひとまたあんそくじつしゆたるなり、と。 6またあんそくじつあたり、イエズスくわいどうりてをしたまへるに、みぎえたるひとそこりければ、 7りつぱふがくし、ファリザイじん、イエズスをうつたふるかどみいださんために、かれあんそくじついやすやとうかがりしが、 8イエズスそのこころりて、えたるひとに、きてまんなかて、とのたまひければ、かれきててり。 9イエズスかれらむかひ、われなんぢはん、あんそくじつゆるさるるはぜんことか、あくことか、いのちすくことか、これほろぼすことか、とのたまひて、 10いちどうめぐらしたまひ、かのひとに、べよ、とのたまひしかば、かれべてそのえたり。 11しかるにかれらきはめたるや、いかにしてイエズスをしよぶんせんかとかたりたり。 12そのころイエズスいのらんとてやまのぼり、よもすがらきたうたまひしが、 13よあけいたりてでしたちび、そのうちより十二にんえらみて、さらこれしとなづたまへり。 14すなはちペトロとなづたまへるシモンとそのきやうだいアンデレア、ヤコボとヨハネ、フィリッポとバルトロメオ、 15マテオとトマ、アルフェオのヤコボとゼロテとへるシモン、 16ヤコボのきやうだいユダとむほんにんとなりしイスカリオテのユダとなり。 17イエズス、これともくだりてたひらかなるところたまひしが、でしいちぐんともまたおびただしきぐんしゆうあり。これイエズスにかつやまひいやされんとて、ユデアのぜんちはう、エルザレムおよびチロとシドンとのうみべよりきたれるものなり。 18かくをきなやまさるるひとびといやされ、 19ぐんしゆうみなイエズスにれんとつとたり、れいのうかれよりでて、すべてのひといやせばなり。 20イエズスでしたちかたげてのたまひけるは、さいはひなるかななんぢまづしきひとかみくになんぢものなればなり。 21さいはひなるかななんぢいまうるひとかさるべければなり。さいはひなるかななんぢいまひとわらふべければなり。 22さいはひなるかななんぢひとためにくまれ、とほざけられ、ののしられ、そのしとしてはいせきせらるるとき23そのにはよろこをどれ、なんぢむくいてんおいおほいなればなり。すなはかれらせんぞよげんしやたちしたりき。 24しかれども、なんぢめるひとわざはひなるかないまおのなぐさめいうすればなり。 25なんぢあきれるひとわざはひなるかなうべければなり。なんぢいまわらひとわざはひなるかななげかつくべければなり。 26なんぢひとびとしゆくせらるるときわざはひなるかなすなはかれらせんぞよげんしやどもしたりき。 27ればわれちやうもんするなんぢぐ、なんぢてきあいし、なんぢにくひとめぐみ、 28なんぢのろひとしゆくし、なんぢざんするひとためいのれ、 29ひとなんぢほほたば、これほほをもけよ。またなんぢうはぎうばひとには、したぎをもこばむことなかれ。 30すべなんぢもとむるひとあたへよ、またなんぢものうばひとよりとりもどすことなかれ。 31なんぢひとられんとほつするところを、なんぢそのままひとおこなへ、 32おのれあいするひとあいすればとて、なんぢなんむくいかあらん、けだしつみびとなほおのれあいするひとあいするなり。 33またなんぢめぐひとめぐめばとて、なんぢなんむくいかあらん、けだしつみびとなほこれすなり。 34またくるところあらんことをしてひとせばとて、なんぢなんむくいかあらん、けだしつみびとなほひとしきものけんとて、つみびとすなり。 35れどなんぢおのてきあいし、またむくいのぞまずしてし、かつめぐめ、しからばなんぢむくいおほいにして、いとたかものたるべし、おんらざるものあしものうへにもじんじましませばなり。 36ればなんぢまたじひあること、なんぢちちじひましまごとくなれ。 37ひとぜひすることなかれ、らばなんぢぜひせられじ。ひとつみすることなかれ、らばなんぢつみせられじ。ゆるせ、らばなんぢゆるされん。 38あたへよ、らばなんぢあたへられん。すなははかりくし、おしれ、ゆりれ、あふるるまでにして、なんぢふところれられん。おのはかりたるところはかりにて、おのれまたはからるべければなり。 39てイエズスたとへかれらかたたまひけるは、めしひめしひみちびるか、ふたりながらあなおちいるにあらずや。 40でしまさらず、たれにもあれ、おのごとくならばくわんぜんなるべし。 41なんぢなんきやうだいちりみつめて、おのうつばりかへりみざる、 42またおのうつばりずして、いかでかきやうだいむかひて、きやうだいよ、われをしてなんぢよりちりのぞかしめよ、とふをんや。ぎぜんしやよ、まづおのよりうつばりのぞけ、しからばあきらかにして、きやうだいよりちりのぞくをべし。 43あしむすぶはあらず、またむすぶはあしあらず、 44すなはおのおのそのによりてらる。いばらよりいちじくらず、やぶいちごよりぶだうらざるなり。 45ひとそのこころくらよりものいだし、あしひとあしくらよりあしものいだす。くちかたるはこころあふれたるところよりづればなり。 46なんぢしゆしゆよ、とびつつ、ことおこなはざるはなんぞや。 47すべわれきたりて、わがことばかつおこなひとたれたるかをなんぢしめさん。 48すなはかれいへつるにふかりていしずゑいはうへゑたるひとごとし。こうずゐおこりてげきりうそのいへけども、これうごかすあたはず、いはうへもとゐしたればなり。 49れどきておこなはざるひとは、いしずゑなくしてつちうへいへてたるひとごとし、げきりうこれけば、ただちたふれてそのいへくづれはなはだし、と。