ルカ聖福音書1 (ラゲ訳)

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<聖書<我主イエズスキリストの新約聖書

『公敎宣敎師ラゲ譯 我主イエズスキリストの新約聖書』公敎會、

1910年発行

〔ローマ・カトリック訳〕

ラゲ訳新約聖書エミール・ラゲ(Emile Raguet,MEP)

ルカ聖福音書

第1章[編集]

1われうち成立なりたちしことものがたりを、はじめよりしたしく目擊もくげきしてをしへ役者えきしやたりし人々ひとびと2われ言傳いひつたへしごとかきつらねんとて、おほくのひとすで着手ちやくしゆせるがゆゑに、 3たふときテオフィロよ、われすべてのこと最初さいしよよりくはしく取調とりしらべて、順序じゆんじよよくなんぢ書贈かきおくるをよしおもへり。 4これなんぢをしてをしへられしをしへ確實かくじつなるをさとらしめんためなり。 5そもそもユデアのわうヘロデのとき、アビアのくみにザカリアとへる司祭しさいあり。そのつまはアアロンのすゑなるむすめにて、をエリザベトとへり。 6二人ふたりながらかみ御前みまへただしきひとにして、しゆすべての禁令きんれい規律きりつとをあやまちなく履行ふみおこなたりしが、 7エリザベトは石女うまずめなれば、彼等かれらなくして、二人ふたりとも年老としおいたりき。 8しかるにザカリアそのくみじゆんによりて、かみ御前みまへ司祭しさいつとめおこなひけるに、 9司祭しさいしよく慣例かんれいしたがひ、くじきて、しゆ殿でんり、かうことたり。 10かうときあたり、人民じんみん群集ぐんしふして、みなそとにていのけるに、 11しゆ使つかひ香臺かうだいみぎちてザカリアにあらはれしかば、 12ザカリアこれこころさわぎ、かつおそろしさにたれたり。 13天使てんしこれひけるは、おそるることなかれザカリア、けだしなんぢいのりききれられたり。つまエリザベトなんぢ一子いつしまん、なんぢそのをヨハネとなづくべし。 14しかしてなんぢにはよろこびへざることとなり、おほくのひとまたその誕生たんじやうりてよろこばん。 15すなはかれしゆ御前みまへ偉大ゐだいにして、葡萄ぶだうしゆものとをまず、はは胎内たいないよりすで聖靈せいれい滿たされん。 16またイスラエルのおほくのを、しゆたるそのかみかへらしめ、 17エリアの精神せいしん能力のうりよくとをもつしゆさきかん、これしゆため完全くわんぜんなる人民じんみんそなへんとて、先祖せんぞこころ子孫しそんたちかへらせ、信者しんじや義人ぎじん知識ちしきたちかへらせんためなり、と。 18ザカリア、天使てんしひけるは、われなにりてかこのことあるをるべき。けだしわれ老人らうじんにして、つままた年老としおいたればなり。 19天使てんしこたへてひけるは、われかみ御前みまへつガブリエルにして、つかはされたるは、なんぢかたりてこれ福音ふくいんげんためなり。 20よ、時期じきいたりて成就じやうじゆすべきわがことばしんぜざりしにより、なんぢおしとなりて、このことまでふことあたはじ、と。 21人民じんみんはザカリアをちつつ、その殿内でんないとどこほるをあやしみたりしが、 22づるにおよびてものいあたはざれば、人々ひとびとかれ殿内でんないにて幻影まぼろしことさとれり。かれ手眞似てまねするのみにて、おしそのままなりしが、 23ついそのつとめ日數ひかず滿ちておのいへかへりしに、 24ならずしてつまエリザベト懷胎くわいたいせしかば、かくるること箇月かげつにして、 25へらく、しゆ人々ひとびとあひだはじすすがしめんとて、われかへりたまひたるかくわれたまひしなり、と。 26六月むつきあたり、天使てんしガブリエルガリレアのナザレトとへるまちに、 27ダヴィドのヨゼフとなづくひと聘定いひなづけせし童貞女どうていぢよかみよりつかはされしが、その童貞女どうていぢよをマリアとへり。 28天使てんしかれもと入來いりきたりてひけるは、めでたし、恩寵おんちよう滿てるものよ、しゆなんぢともまします。なんぢをんなうちにてしゆくせられたるものなり、と。 29マリアこれそのことばりておほいにこころさわこの祝詞しゆくじ如何いかなるものぞ、とあんるを、 30天使てんしひけるは、おそるることなかれマリア、なんぢかみ御前みまへ恩寵おんちようたればなり、 31なんぢ懷胎くわいたいして一子いつしまん、そのをイエズスとなづくべし。 32かれ偉大ゐだいにして、いとたかものとなへられん。またしゆなるかみこれそのちちダヴィドの玉座ぎよくざたまひて、 33ヤコブのいへかぎりなくをさめ、その治世ちせいをはりなかるべし、と。 34マリア天使てんしひけるは、われをつとらざるに、如何いかにしてかこのことあるべき。 35天使てんしこたへていはく、聖靈せいれいなんぢのぞたまひ、いとたかもの能力のうりよくかげなんぢおほはん、ゆゑなんぢよりうまるべきせいなるものはかみとなへらるべし。 36それなんぢ親族しんぞくエリザベトすら、老年らうねんながら一子いつし懷胎くわいたいせり、かく石女うまずめばれたるものいますで六月むつきなり。 37けだし何事なにごとかみにはあたはざるところあらじ、と。 38マリアひけるは、われしゆおん召使めしつかひなり、なんぢことばごとわれれかし、と。ここおい天使てんしかれれり。 39ならずして、マリアちて山地やまぢなるユダのまちいそぎきしが、 40ザカリアのいへりて、エリザベトに挨拶あいさつせしに、 41エリザベト、マリアの挨拶あいさつくや、その胎内たいないにておどり、エリザベトは聖靈せいれい滿たされ、 42こゑたかよばはりてひけるは、なんぢをんなうちにてしゆくせられたり、胎内たいない御子おんこしゆくせられたまふ。 43われなにによりて我主わがしゆはは來臨らいりんかたじけなうしたるぞ。 44そもそもなんぢ挨拶あいさつこゑわがみみひびくや、よろこびてわが胎内たいないおどれり。 45さいはひなるかなしんぜしものこれしゆよりはれしことかなら成就じやうじゆすべければなり、と。 46マリアひけるは、わがたましひしゆあがめたてまつり、 47わが精神せいしんわが救主すくひぬしにてましまかみよりよろこびにへず、 48そのおん召使めしつかひいやしきをかへりたまひたればなり。けだしいまより萬代よろずよまでも、ひとわれさいはひなるものとなへん、 49全能ぜんのうにてましまものわれ大事だいじたまひたればなり。せいなるかなその御名みな50その矜恤あはれみ代々よよこれおそれるる人々ひとびとうへり。 51みづかおんうで權能けんのうあらはし、おのこころおもひおごれる人々ひとびとうちらし、 52權力けんりよくあるものそのよりおろし、いやしきものをばたかめ、 53ゑたるものよきものかせ、めるものをばむなしうしてらしめたまへり。 54おん矜恤あはれみわすれず、そのしもべイスラエルを引受ひきうたまひ、 55われ先祖せんぞのたまひしごとく、アブラハムにもその子孫しそんにも、世々よよかぎりなくおよぼしたまはん、と。 56かくてマリア、エリザベトとともとどまことおよそつきにして、おのいへかへれり。 57てエリザベト、さんとき滿ちて男子だんしみしが、 58隣人りんじん親戚しんせきしゆこれおほいなるめぐみたまひしこときて、祝賀しゆくがたり。 59八日やうかいたり、人々ひとびとその割禮かつれいほどこさんとてきたり、ちちによりてザカリアとなづけんとせしに、 60ははこたへて、しかるべからず、ヨハネとくべし、とひしかば、 61人々ひとびとなんぢ親戚しんせきうちに、このけられたるものなしとて、 62ちち手眞似てまねして、なんづけんとほつするぞ、とひけるに、 63ザカリアかきいたもとめて、そのはヨハネなりとしるしたれば、みな感嘆かんたんしたりしが、 64やがてザカリアのくちひらけ、したけ、ものいひてかみしゆくたてまつれり。 65かく隣人りんじんみなおそれいだき、このすべてのことユデアの山里やまざとあまね言弘いひひろめられしかば、 66ひとみなこれ記憶きおくとどめて、この如何いかなるものらんとおもふか、といひへり、けだししゆ御手みてかれともりき。 67かくそのちちザカリア聖靈せいれい滿たされ、預言よげんしてひけるは、 68しゆくすべきかな、イスラエルのかみましましゆみづかのぞみそのたみあがなひし、 69そのしもべダヴィドのいへおいて、すくひつのわれためおこたまひたればなり。 70これいにしへよりせいなる預言よげんしやたちくちりてかたたまひしごとく、 71われてきより、またすべてのわれにくものよりわれすくたまひ、 72われ先祖せんぞ矜恤あはれみれて、そのせいやく記憶きおくたまはんためなり。 73しかしてこれわれたまはんと、わがちちアブラハムにちかたまひしちかひなり。 74ればわれてきよりすくはれて、おそれなくしゆつかまつり、 75せいとにおい生涯しやうがいしゆ御前みまへはべらん。 76孩兒をさなごよ、なんぢいとたかもの預言よげんしやとなへられん。しゆ面前めんぜんさきだちてそのみちそなへ、 77そのたみつみゆるさるべき救靈たすかり知識ちしきあたふべければなり。これわがかみ慈悲じひはらわたれり。 78これため旭日あさひうへよりわれのぞたまひて、 79暗黑くらやみおよびかげせる人々ひとびとらし、われあし平安へいあんみちみちびかんとしたまふ、と。 80かく孩兒をさなご成長せいちやうし、精神せいしんいよいよ强健すこやかにして、イスラエルにあらはるるまで荒野あれのれり。

第2章[編集]

1そのころ天下てんか戶籍こせき取調とりしらぶべしとのみことのり、セザル、オグストよりいでしが、 2この戶籍こせき調しらべは、シリノがシリアの總督そうとくたりしときはじめたるものなり。 3かくひとみなとどけんとて、おのおのその故鄕こきやういたりけるに、 4ヨゼフもダヴィドぞくかつその血統ちすぢなれば、 5すで懷胎くわいたいせる聘定いひなづけつまマリアとともとどけんとて、ガリレアのナザレトまちよりユデアのベトレヘムとへるダヴィドのまちのぼれり。 6其處そこりしほどに、マリアさんとき滿ちて、 7うひみ、ぬのつつみて馬槽うまぶねさせきたり。これ旅舎はたごや彼等かれらところなかりしゆゑなり。 8しかるにこの地方ちはう牧者ぼくしやありて、夜中やちゆう交代かうたいしておのむれまもりしが、 9をりしもしゆ使つかひそのかたはらちて、かみ榮光えいくわう彼等かれらめぐりらしたれば、彼等かれらおほいにおそれたり。 10天使てんし彼等かれらひけるは、おそるることなかれ、われ人民じんみん一般いつぱんおよぶべきおほいなるよろこび福音ふくいんなんぢぐればなり。 11けだし今日けふダヴィドのまちおいて、なんぢため救主すくひぬしうまたまへり、これしゆたるキリストなり。 12なんぢこれもつしるしとせよ、すなはぬのにてつつまれ、馬槽うまぶねかれたる嬰兒みどりごるべし、と。 13たちまおびただしきてんぐん天使てんしくははりて、かみ贊美さんびし、 14いとたかところにはかみ光榮くわうえいには御好意ごかうい人々ひとびと平安へいあん」ととなへたり。 15天使等てんしたちてんりてのち牧者ぼくしやひけるは、いざわれベトレヘムまでき、しゆわれしめたまへること次第しだいん、と。 16すなはいそいたりて、マリアとヨゼフと馬槽うまぶねかれたる孩兒をさなごとにへり。 17まのあたりにて、この孩兒をさなごきてはれしことらせければ、 18けるひとみな牧者ぼくしやよりはるること不思議ふしぎおもひしが、 19マリアはこれことことごとこころおさめてかんがへあわたり。 20かく牧者ぼくしやは、おのれはれしにたがはず、見聞みききせし一切いつさいこときて、かみ光榮くわうえいし、かつ贊美さんびたてまつりつつかへれり。 21孩兒をさなご割禮かつれいさづかるべき八日やうかいたりて、いまだ胎内たいないやどらざるまへ天使てんしよりはれしごとく、をイエズスとばれたまへり。 22てモイゼの律法りつぱふままに、マリアがきよめ日數ひかず滿ちてのち、[兩親ふたおや]孩兒をさなごしゆささげんためたづさへてエルザレムにけり。 23これしゆ律法りつぱふかきしるして「すべはじめうまるる男子だんしは、しゆためせいなるものとなへらるべし」とあるがゆゑにして、 24またしゆ律法りつぱふはれたるごとく、山鳩やまばとひとつがひか、鴿はとひなかを犧牲いけにへささげんためなりき。 25をりしもエルザレムに、シメオンとへるひとあり。義人ぎじんにしてかみ畏敬ゐけいし、イスラエル[のたみ]のなぐさめられんことちて、聖靈せいれいたまところとなり、 26聖靈せいれいより、しゆのキリストをざるうちは、せざることしめされたりしが、 27[せい]れいによりて、[しん]殿でんいたりしに、あたかかの兩親ふたおや孩兒をさなごイエズスをたづさへ、これため律法りつぱふ慣例ならはししたがひておこなはんとてきたりければ、 28シメオン孩兒をさなごいだき、かみしゆくたてまつりてひけるは、 29しゆよ、いまこそ御言みことばしたがひてしもべ安樂あんらくかしめたまふなれ、 30わがしゆすくひたればなり。 31これしゆ萬民ばんみんまへそなたまひしものにして、 32異邦いはうじんらすべきひかりしゆたみたるイスラエルの光榮くわうえいなる、と。 33イエズスの父母ちちははは、孩兒をさなごきてはれたること驚嘆きやうたんしたりしが、 34シメオン彼等かれらしゆくして、ははマリアにひけるは、このは、これイスラエルにおいて、おほくのひと墮落だらく復活ふくくわつとのためかれ、かつ反抗さからひくるしるしてられたり、 35なんぢたましひつるぎにてさしつらぬかるべく、しかしておほくのこころおもひあらはるべし、と。 36またアゼルぞくなるファヌエルのむすめに、はアンナ[とひて]、すで至極しごく老年らうねんおよべるをんな預言よげんしやあり。處女をとめときより七ねんあひだをつとともりしに、 37寡婦やもめとなりて、よはひ八十四にいたり、[しん]殿でんはなれず、斷食だんじき祈祷きたうとをもつ晝夜ちうや奉事ほうじりしが、 38これ同時どうじきたりて、しゆ稱贊しようさんし、エルザレムにおいて、贖罪あがなひてる人々ひとびと孩兒をさなごことかたたりき。 39[兩親ふたおやは]しゆ律法りつぱふまま何事なにごとをもはたし、ガリレアのナザレトなるおのまちかへりしが、 40孩兒をさなごやうや成長せいちやうして、智惠ちゑ滿ち、精神せいしんちから彌增いやまたまひ、かみ恩寵おんちようそのうへりき。 41過越すぎこしだい祝日しゆくじつには、兩親ふたおやとしごとにエルザレムにりしが、 42イエズス十二さいになりたまひしとき兩親ふたおや祝日しゆくじつ慣例ならはしままにエルザレムにのぼりしに、 43祝日しゆくじつぎてかへときおさなきイエズスはエルザレムにとどまたまへり。兩親ふたおやこれらず、 44みちづれうちらんとおもひつつ、いちにちき、親族しんぞく知己ちきうちもとめたれども、はざりしかば、 45たずねつつエルザレムにたちかへりしに、 46三日みつかに、イエズスが[しん]殿でんにて學者がくしやなかし、彼等かれらかつたまへるを見付みつけたり。 47ひとみなその智惠ちゑ應答こたへとにおどろたりしが、 48兩親ふたおやこれ感嘆かんたんせり。かくはははイエズスにむかひ、よ、何故なにゆゑわれかかことししぞ。よ、なんぢちちわれとはうれひつつなんぢたずたり、とひければ、 49イエズスのたまひけるは、なんわれたずねたるや。われわがちちことつとむべきをらざりしか、と。 50兩親ふたおやこのかたりたまひし御言おんことばさとらざりき。 51てイエズス彼等かれらともくだり、ナザレトにいたりて彼等かれらしたがたまひしが、ははこのすべてのことこころおさたりき。 52かくてイエズス智惠ちゑよはひも、かみひととにおけ寵愛ちようあい次第しだい彌增いやまたまへり。

第3章[編集]

1チベリオ、セザルの在位ざいゐの十五ねん、ポンシオ、ピラトはユデアの總督そうとくたり、ヘロデはガリレアぶんこくわうたり、その兄弟きやうだいフィリッポはイチュレアおよびトラコニト地方ちはうぶんこくわうたり、リサニアはアビリナぶんこくわうたり、 2アンナとカイファとは司祭しさいちやうたりしとき、ザカリアのヨハネ、荒野あれのりてしゆ御言おんことばかうむり、 3ヨルダン[がは]のぜん地方ちはうめぐりて、つみゆるしさせんために、改心かいしん洗禮せんれい宣傳のべつたへたり。 4預言よげんしやイザヤのことばしよかきしるして「荒野あれのよばはるものこゑありていはく、なんぢしゆみちそなへ、そのこみちなほくせよ。 5すべてのたにうづめられ、すべてのやまおかならされ、まがれるはなほくせられ、けわしきところたいらなるみちとなり、 6ひとみなかみすくひん」とあるにたがはず。 7てヨハネ、おのれせんせられんとて出來いできたれる群衆ぐんしゆうひけるは、まむしすゑよ、きたるべきいかりのがるることを、たれなんぢをしへしぞ。 8れば改心かいしん相當そうたうなるむすべよ。またわれちちにアブラハムりとはんとすることなかれ。けだしわれなんぢぐ、かみこれいしよりアブラハムのため子等こどもおこすことをたまふ。 9すでおのかれたり。ゆゑすべむすばざるは、られて投入なげいれらるべし、と。 10群衆ぐんしゆうヨハネにひて、らばわれなにすべきぞ、とひければ、 11かれこたへて、二まい肌着はだぎてるひとたぬひとあたへよ、食物しょくもつてるひとおなやうにせよ、とたり。 12また稅吏みつぎとりありて、せんせられんとてきたり、よ、われなにすべきぞ、とひしかば、 13ヨハネ彼等かれらむかひ、なんぢさだまりたるものほかなにをもることなかれ、とへり。 14兵卒へいそつまたこれひて、われなにすべきぞ、とへば、ヨハネ彼等かれらむかひ、なんぢは、たれをもなやますことなかれ、また讒訴ざんそすることなかれ、おの給料きふれうもつれりとせよ、とへり。 15人民じんみんまちびて、ヨハネをあるひはキリストならんと、みなこころ推量おしはかりつつありければ、 16ヨハネこたへて人々ひとびとひけるは、われみづにてなんぢせんす、れどわれまさりてちからあるものまさきたらんとす、われそのはきものひもくにもらず。かれ聖靈せいれいとにてなんぢせんたまふべし。 17かれありてその禾場うちばきよめ、むぎくらをさめ、からえざるにてたまふべし、と。 18ヨハネなほおほくのことひとをしへて、福音ふくいんたり。 19れどぶんこくわうヘロデ、その兄弟きやうだいつまヘロヂァデのことき、またみづかせるすべての惡事あくじきてヨハネにいさめられければ、 20もろもろ惡事あくじいまひとつくはへてヨハネを監獄かんごく閉籠とじこめたりき。 21人民じんみんこぞりてせんせらるるとき、イエズスもせんせられていのたまふに、てんひらけ、 22聖靈せいれいかたちあらはれて、鴿はとごとくイエズスのうへくだたまひ、またてんよりこゑして、なんぢわが愛子あいしなり、われなんぢによりてこころやすんぜり、とのたまへり。 23イエズスよはひおよそ三十にして[せいえきを]はじたまひ、ひとにはヨセフのおもはれたまひしが、ヨセフのちちはヘリ、そのちちはマタト、 24そのちちはレヴィ、そのちちはメルキ、そのちちはヤンネ、そのちちはヨゼフ、 25そのちちはマタチヤ、そのちちはアモス、そのちちはナホム、そのちちはヘスリ、そのちちはナッゲ、 26そのちちはマハト、そのちちはマタチヤ、そのちちはセメイ、そのちちはヨゼフ、そのちちはユダ、 27そのちちはヨハンナ、そのちちはレサ、そのちちはゾロバベル、そのちちはサラチエル、そのちちはネリ、 28そのちちはメルキ、そのちちはアッヂ、そのちちはコサン、そのちちはエルマダン、そのちちはヘル、 29そのちちはイエズ、そのちちはエリエゼル、そのちちはヨリム、そのちちはマタト、そのちちはレヴィ、 30そのちちはシメオン、そのちちはユダ、そのちちはヨセフ、そのちちはヨナ、そのちちはエリヤキム、 31そのちちはメレヤ、そのちちはメンナ、そのちちはマタタ、そのちちはナタン、そのちちはダヴィド、 32そのちちはイエッセ、そのちちはオベド、そのちちはボオズ、そのちちはサルモン、そのちちはナアッソン、 33そのちちはアミナダブ、そのちちはアラム、そのちちはエスロン、そのちちはファレス、そのちちはユダ、 34そのちちはヤコブ、そのちちはイザアク、そのちちはアブラハム、そのちちはタレ、そのちちはナコル、 35そのちちはサルグ、そのちちはラガウ、そのちちはファレグ、そのちちはヘベル、そのちちはサレ、 36そのちちはカイナン、そのちちはアルファクサド、そのちちはセム、そのちちはノエ、そのちちはラメク、 37そのちちはマチュサレ、そのちちはエノク、そのちちはヤレド、そのちちはマラレエル、そのちちはカイナン、 38そのちちはヘノス、そのちちはセト、そのちちはアダム、そのちちかみなり。

第4章[編集]

1イエズス、聖靈せいれい滿ちてヨルダン[がは]よりかへり、聖靈せいれいによりて荒野あれのみちびかれ、 2四十にちあひだ[とどまりて]惡魔あくまこころみられたまひしが、このあひだなにをもしよくたまはず、日數ひかず滿ちてたまへり。 3惡魔あくまイエズスにむかひ、なんぢもしかみならば、このいしめいじてぱんとならしめよ、とひしかば、 4イエズスこたたまひけるは、かきしるして「ひとくるは、ぱんのみにらず、またかみすべてのことばる」とあり、と。 5惡魔あくまこれたかやまたづさき、寸時すんじ世界せかい國々くにぐにしめして、 6ひけるは、われこの所有あらゆる權力けんりよく國々くにぐに榮華えいぐわとをなんぢあたへん。けだしこれのものわれまかせられて、われこのものこれあたふ。 7ゆゑなんぢもしわがまへ禮拜れいはいせば、これことごとなんぢものるべし。 8イエズスこたへてのたまひけるは、かきしるして「なんぢかみたるしゆはいし、これにのみつかへよ」とあり、と。 9惡魔あくままたイエズスをエルサレムにたづさへ、[しん]殿でんいただきたせてひけるは、なんぢもしかみならば、此處ここよりげよ、 10かきしるして「かみその使つかひたちめいじて、なんぢまもらせたまひ、 11なんぢあしいしつきあたらざるやう彼等かれらにてなんぢささへん」とあればなり。 12イエズスこたたまひけるは、かきしるして「なんぢかみたるしゆこころむべからず」とあり、と。 13すべてのこころみをはりて、惡魔あくまイエズスをはなれたり。 14イエズス[せい]れい能力のうりよくによりてガリレアにかへたまひしに、その名聲めいせいぜん地方ちはうひろまり、 15所々しよしよ會堂くわいどうにてをしたまひ、すべてのひとあがめられたまひつつありき。 16かつそだてられたまひしナザレトのいたり、安息日あんそくじつあたりてれいごと會堂くわいどうり、まんとてたまひしに、 17預言よげんしやイザヤのしよわたされ、これひらきてつぎごとかきしるされたるところあたたまへり。 18しゆれいわれうへましませば、われ注油ちゆうゆしてつかはしたまひ、貧者ひんしや福音ふくいんべしめ、こころくだけたるたるひといやさしめ、 19とりこにはゆるしを、瞽者めしひにはゆることげしめ、おさへられたるひときて自由じいうならしめ、しゆよろこばしきとしおよびむくいげしめたまふ」と。 20イエズスしよきて役員やくゐんかへし、たまひしかば、だうないひとみなこれ注目ちゆうもくたり。 21イエズスまず彼等かれらむかひて、このしよ今日けふなんぢみみ成就じやうじゆせり、とときいだたまひしかば、 22ひとみなかれ證明しようめいし、そのくちよりづるうるはしきことばおどろきて、これヨゼフのあらずや、とひければ、 23イエズス彼等かれらのたまひけるは、なんぢかならわれに、醫者いしやみづからをいやせとのことわざきて、なんぢがカファルナウムにてせりとわれけるほどことを、おの故鄕こきやうなる此處ここにもせ、とはん、と。 24またのたまひけるは、われまことなんぢぐ、預言よげんしやにして、その故鄕こきやう歡迎くわんげいせらるるものはあらず。 25われまことなんぢぐ、エリアのとき、三ねん箇月かげつあひだてんぢてぜん地上ちじやうだい飢饉ききんありしに、イスラエルのうちおほくの寡婦やもめありしかど、 26エリアはそのうち一人ひとりにもつかはされず、ただシドンのサレプタの一人ひとり寡婦やもめにのみつかはされたり、 27また預言よげんしやエリゼオのとき、イスラエルのうちおほくのらい病者びやうしやありしかど、シリアひとナアマンのほかは、そのうち一人ひとりきよくせられざりき、と。 28だうない人々ひとびとこれきて、みないかりへず、 29ちてイエズスをまちより逐出おひいだし、そのまちてるやま斷崖きりきし連行つれゆき、なげおとさんとせしかども、 30イエズスは彼等かれらなかとほりてあゆたまへり。 31かくてガリレアのまちなるカファルナウムにくだり、安息日あんそくじつごとをしたまひけるに、 32そのかたたまところ權威けんゐびたるにより、人々ひとびとそのをしへおどろたり。 33ここ會堂くわいどううち汚鬼をきかれたるひとありて、こゑたかさけびてひけるは、 34ナザレトのイエズスよ、われさしおけ、われなんぢなん關係かかはりかあらん。われほろぼさんとてきたたまへるか。われなんぢたれなるかをれり、すなはちかみせいなるものなり、と。 35イエズスこれめて、もくせよ、このひとよりでよ、とのたまひしかば、惡鬼あくきそのひと中央まんなかなげたふし、すこしもがいくはへずしてかれよりでたり。 36ここおい人々ひとびとおほいおどろおそれ、何事なにごとぞ、かれ權威けんゐ能力のうりよくとをもつ汚鬼をきめいたまへば、すなはづるよ、とかたりひ、 37イエズスの名聲めいせいかの地方ちはういたるところひろまりきたり。 38イエズス會堂くわいどうたちでて、シモンのいへたまひしに、シモンのしうとめおもねつわづらりしを、 39人々ひとびとかれためねがひければ、イエズスそのかたはらちてねつめいたまふや、ねつりて、かれただちきて彼等かれら給仕きふじしたり。 40りてのち種々さまざま患者くわんじやてる人々ひとびとみなこれをイエズスのもとつれきたりければ、一々いちいち按手あんしゆしてこれいやたまへり。 41また惡魔あくまおほくのひとよりでて、さけびつつ、なんぢかみなり、とひければ、イエズスこれいましめて、ものいことゆるたまはざりき、けだし惡魔あくまそのキリストたることればなり。 42夜明よあけてのち、イエズスでてさびしきところたまひしに、群衆ぐんしゆうたずねてそのもといたり、おのれはなれざらしめんとて引止ひきとどめければ、 43イエズス彼等かれらのたまひけるは、われまたまちにもかみくに福音ふくいん宣傳のべつたへざるべからず、われこれためつかはされたればなり、と。 44かくてガリレアのしよ會堂くわいどうにて說敎せつけうしつつたまへり。

第5章[編集]

1群衆ぐんしゆうかみ御言おんことばかんとておしせまりければ、イエズスゲネザレトのうみほとりたまへるに、 2さうふねきしかかれるをたまへり。漁師れふしすでりて、あみあらりしが、 3イエズス、シモンのふねなるいつさうり、ひてすこしくきしはなれしめ、して船中せんちゆうより群衆ぐんしゆうをしたまひき。 4かたりたまひて、シモンにむかひ、おき乘出のりいだあみおろしてすなどれ、とのたまひしかば、 5シモンこたへてひけるは、よ、われ終夜よもすがらはたらきてなにをもざりき、れどおおせによりてわれあみおろさん、とて、 6そのごとしたるに、とりめたるうをはなはおほく、あみまさけんとしければ、 7きたたすけしめんとて、ふねなる仲間なかまさしまねきしかば、彼等かれらきたりてさうふねうを滿載まんさいし、ほとんどしづまんばかりになれり。 8シモン、ペトロこれて、イエズスの足下あしもと平伏ひれふし、しゆよ、われ罪人つみびとなれば、われよりとほざかりたまへ、とへり。 9は、かれともものみなすなどりたるうをおびただしきにおどろきたればなり。 10シモンのともなる、ゼベデオのヤコボとヨハネともまたそのうちりき。かくてイエズス、シモンにむかひ、おそるることなかれ、なんぢいまよりひといけものとならん、とのたまひしかば、 11彼等かれらふねきしせ、一切いつさいさしおきてイエズスにしたがへり。 12イエズスあるまちたまへるとき全身ぜんしんらいめるひとありて、イエズスをるよ、平伏ひれふしてねがひ、しゆよ、思召おぼしめしならばわれきよくすることをたまふ、とひしに、 13イエズス、べてこれたまひ、我意わがいなりきよくなれ、とのたまふや、らいただちそのれり。 14イエズスこれたれにもかたらざるよういましめて、て、[のたまひけるは]ただしきておのれ司祭しさいせ、きよくなりたるために、彼等かれらへの證據しようことして、モイゼのめいぜしごと獻物ささげものせ、と。 15しかるにイエズスの名聲めいせいますますひろがりて、群衆ぐんしゆうおびただしくこれき、かつやまひいやされんとて、つどきたりければ、 16荒野あれのけていのたまへり。 17いちじつイエズスしてをしたまひけるに、ガリレア、ユデアのすべての村落そんらくおよびエルザレムよりきたりしファリザイじん律法りつぱふ學士がくしたりしが、しゆ能力のうりよくひといやためあらはれつつありき。 18をりしも人々ひとびと癱瘋ちゆうぶめるひととこにてかききたり、うちれてイエズスの御前みまへおかんとつとむれども、 19群衆ぐんしゆうためるべきみちず、屋上やねのぼかはらぎて、そのひととこまま、イエズスの御前みまへ眞中まんなかつりおろせり。 20イエズス、彼等かれら信仰しんかうて。ひとよ、なんぢつみゆるさる、とのたまひしかば、 21律法りつぱふ學士がくしファリザイじんかんがへはじめて、ひけるは、この冒涜ばうとくことばいだすはたれぞ。かみひとりのほかたれつみゆるすことをんや、と。 22イエズス彼等かれらおもところり、こたへてのたまひけるは、なんぢこころなにかんがふるぞ。 23なんぢつみゆるさるとふと、きてあゆめとふと、いづれやすき。 24ひとおいつみゆるすのけんあることなんぢらしめん、とて癱瘋ちゆうぶひとむかひ、われなんぢめいず、きよ、とこりておのいへかへれ、とのたまひしかば、 25そのひとただち彼等かれらまへおこあがり、おのふしたりしとこりて、かみ光榮くわうえいしつつ、いへかへりしが。 26ひとみなおどろきりて、かみ光榮くわうえいたてまつり、またおそかしこみて、われ今日けふまこと不思議ふしぎなることたり、とたり。 27そののちイエズスでて、レヴィとなづくる稅吏みつぎとり收稅しうぜいしよせるをて、われしたがへ、とのたまひしかば、 28かれ一切いつさいさしおき、ちてしたがへり。 29かくてレヴィ自宅じたくおいてイエズスのためおほいなる饗筵ふるまひまうけしに、稅吏みつぎとりなどおびただしく彼等かれらせきおなじうしければ、 30ファリザイじんおよそのともがらなる律法りつぱふ學士がくしつぶやきて、イエズスの弟子でしたちむかひ、なんぢ何故なにゆゑ稅吏みつぎとり罪人つみびと飲食いんしよくともにするぞ、とひけるに、 31イエズスこたへてのたまひけるは、醫者いしやえうするは、壯健さうけんなるひとあらずしてめるひとなり、 32きたりしは義人ぎじんためあらず、罪人つみびとびて改心かいしんせしめんためなり、と。 33彼等かれらイエズスにひけるは、ヨハネの弟子でしたち數次しばしば斷食だんじきまた祈祷きたうし、ファリザイじんのもまたしかするに、なんぢものども何故なにゆゑ飲食いんしよくするぞ、と。 34イエズス彼等かれらのたまひけるは、なんぢあに新郞はなむこ朋友ともだちをして、その新郞はなむこともあひだ斷食だんじきせしむるをんや。 35れど新郞はなむこ彼等かれらよりうばはるるきたるべく、そのには斷食だんじきすべし、と。 36イエズスまた彼等かれらたとへかたたまひけるは、あたらしき衣服いふくさきりて、ふる衣服いふくひとはあらず、もししかするときは、あたらしきものやぶり、かつあたらしき衣服いふくよりれる布片きれふるもの似合にあはず。 37またあたらしきさけふるかわぶくろひとはあらず、もししかせば、あたらしきさけふるかわぶくろき、かつ流出ながれいでてかわぶくろまたすたらん。 38あたらしきさけあたらしきかわぶくろるべく、てこそふたつながらたもつなれ。 39またふるさけみながらただちあたらしきさけのぞひとはあらず、たれふるきをしとへばなり、と。

第6章[編集]

1過越すぎこしのまつり二日ふつかのちはじめ安息日あんそくじつに、イエズス麥畑むぎばたけよぎたまとき弟子でしたちみ、みてしよくしければ、 2ファリザイのある人々ひとびと彼等かれらひけるは、なん安息日あんそくじつすべからざることせるや。 3イエズスこたへてのたまひけるは、ダヴィドがおのれおよびともなへる人々ひとびとゑしときししことを、なんぢまざりしか。 4すなはちかれかみいへり、司祭しさいたちほかしよくすべからざるそなへぱんりてしよくし、ともなへる人々ひとびとにもあたへしなり、と。 5また彼等かれらのたまひけるは、ひとまた安息日あんそくじつしゆたるなり、と。 6また安息日あんそくじつあたり、イエズス會堂くわいどうりてをしたまへるに、みぎえたるひと其處そこりければ、 7律法りつぱふ學士がくし、ファリザイじん、イエズスをうつたふるかど見出みいださんために、かれ安息日あんそくじついやすやとうかがりしが、 8イエズスそのこころりて、えたるひとに、きて眞中まんなかて、とのたまひければ、かれきててり。 9イエズス彼等かれらむかひ、われなんぢはん、安息日あんそくじつゆるさるるはぜんことか、あくことか、生命いのちすくことか、これほろぼすことか、とのたまひて、 10一同いちどうめぐらしたまひ、かのひとに、べよ、とのたまひしかば、かれべてそのえたり。 11しかるに彼等かれらきはめたるや、如何いかにしてイエズスを處分しよぶんせんかとかたりたり。 12そのころイエズスいのらんとてやまのぼり、終夜よもすがら祈祷きたうたまひしが、 13天明よあけいたりて弟子でしたちび、そのうちより十二にんえらみて、さらこれ使徒しとなづたまへり。 14すなはちペトロとなづたまへるシモンとその兄弟きやうだいアンデレア、ヤコボとヨハネ、フィリッポとバルトロメオ、 15マテオとトマ、アルフェオのヤコボとゼロテとへるシモン、 16ヤコボの兄弟きやうだいユダと謀叛むほんにんとなりしイスカリオテのユダとなり。 17イエズス、これともくだりてたひらかなるところたまひしが、弟子でし一群いちぐんともまたおびただしき群衆ぐんしゆうあり。これイエズスにかつやまひいやされんとて、ユデアのぜん地方ちはう、エルザレムおよびチロとシドンとの湖邊うみべよりきたれるものなり。 18かく汚鬼をきなやまさるる人々ひとびといやされ、 19群衆ぐんしゆうみなイエズスにれんとつとたり、れいのうかれよりでて、すべてのひといやせばなり。 20イエズス弟子でしたちかたげてのたまひけるは、さいはひなるかななんぢまづしきひとかみくになんぢものなればなり。 21さいはひなるかななんぢいまうるひとかさるべければなり。さいはひなるかななんぢいまひとわらふべければなり。 22さいはひなるかななんぢひとためにくまれ、とほざけられ、ののしられ、そのしとして排斥はいせきせらるるとき23そのにはよろこをどれ、なんぢむくいてんおいおほいなればなり。すなは彼等かれら先祖せんぞ預言よげんしやたちしたりき。 24しかれども、なんぢめるひとわざはひなるかないまおのなぐさめいうすればなり。 25なんぢあきれるひとわざはひなるかなうべければなり。なんぢいまわらひとわざはひなるかななげかつくべければなり。 26なんぢ人々ひとびとしゆくせらるるときわざはひなるかなすなは彼等かれら先祖せんぞ預言よげんしやどもしたりき。 27ればわれ聽聞ちやうもんするなんぢぐ、なんぢてきあいし、なんぢにくひとめぐみ、 28なんぢのろひとしゆくし、なんぢざんするひとためいのれ、 29ひとなんぢほほたば、これほほをもけよ。またなんぢ上衣うはぎうばひとには、下衣したぎをもこばむことなかれ。 30すべなんぢもとむるひとあたへよ、またなんぢものうばひとより取戾とりもどすことなかれ。 31なんぢひとられんとほつするところを、なんぢそのままひとおこなへ、 32おのれあいするひとあいすればとて、なんぢなんむくいかあらん、けだし罪人つみびとなほおのれあいするひとあいするなり。 33またなんぢめぐひとめぐめばとて、なんぢなんむくいかあらん、けだし罪人つみびとなほこれすなり。 34またくるところあらんことをしてひとせばとて、なんぢなんむくいかあらん、けだし罪人つみびとなほひとしきものけんとて、罪人つみびとすなり。 35れどなんぢおのてきあいし、またむくいのぞまずしてし、かつめぐめ、しからばなんぢむくいおほいにして、いとたかものたるべし、おんらざるものあしものうへにも仁慈じんじましませばなり。 36ればなんぢまた慈悲じひあること、なんぢちち慈悲じひましまごとくなれ。 37ひと是非ぜひすることなかれ、らばなんぢ是非ぜひせられじ。ひとつみすることなかれ、らばなんぢつみせられじ。ゆるせ、らばなんぢゆるされん。 38あたへよ、らばなんぢあたへられん。すなははかりくし、おしれ、ゆりれ、あふるるまでにして、なんぢふところれられん。おのはかりたるところはかりにて、おのれまたはからるべければなり。 39てイエズスたとへ彼等かれらかたたまひけるは、瞽者めしひ瞽者めしひみちびるか、二人ふたりながらあなおちいるにあらずや。 40弟子でしまさらず、たれにもあれ、おのごとくならば完全くわんぜんなるべし。 41なんぢなん兄弟きやうだいちり見詰みつめて、おのうつばりかへりみざる、 42またおのうつばりずして、いかでか兄弟きやうだいむかひて、兄弟きやうだいよ、われをしてなんぢよりちりのぞかしめよ、とふをんや。僞善ぎぜんしやよ、まづおのよりうつばりのぞけ、しからばあきらかにして、兄弟きやうだいよりちりのぞくをべし。 43あしむすぶはあらず、またむすぶはあしあらず、 44すなはおのおのそのによりてらる。いばらより無花果いちじくらず、やぶ覆盆子いちごより葡萄ぶだうらざるなり。 45ひとそのこころくらよりものいだし、あしひとあしくらよりあしものいだす。くちかたるはこころあふれたるところよりづればなり。 46なんぢしゆしゆよ、とびつつ、ことおこなはざるはなんぞや。 47すべわれきたりて、わがことばかつおこなひとたれたるかをなんぢしめさん。 48すなはかれいへつるにふかりて基礎いしずゑいはうへゑたるひとごとし。洪水こうずゐおこりて激流げきりうそのいへけども、これうごかすあたはず、いはうへもとゐしたればなり。 49れどきておこなはざるひとは、基礎いしずゑなくしてつちうへいへてたるひとごとし、激流げきりうこれけば、ただちたふれてそのいへくづれはなはだし、と。