ヨハネ聖福音書2 (ラゲ訳)

提供: Wikisource
ナビゲーションに移動 検索に移動

<聖書<我主イエズスキリストの新約聖書

『公敎宣敎師ラゲ譯 我主イエズスキリストの新約聖書』公敎會、

1910年発行

〔ローマ・カトリック訳〕

ラゲ訳新約聖書エミール・ラゲ(Emile Raguet,MEP)

ヨハネ聖福音書-2

第11章[編集]

1てマリアとそのしまいマルタとのさとなるベタニアに、ラザルとへるひとりしが、 2マリアはすなはかうゆしゆそそぎ、おんあしおのかみのにてぬぐひしをんなにして、めるラザルはそのきやうだいなり。 3ればかれしまいひとをイエズスのおんもとつかはし、しゆなんぢあいたまひとめり、とはしめしに、 4イエズスきてのたまひけるは、このやまひいたるものにあらず、かみくわうえいためかみこれりてくわうえいためなり、と。 5イエズスはマルタとそのしまいマリアとラザルとをあいたまひしが、 6ラザルのめるをき、なほおなところとどまることふつかにして、 7ついでしたちむかひ、われまたユデアへおもむかん、とのたまひしかば、 8でしたちひけるは、ラビ、ただいまユデアじんなんぢいしなげうたんとしたりしに、またかしこたまふか。 9イエズスこたへてのたまひけるは、一にちに十二あるにあらずや、ひとひるあゆときは、このひかりゆゑつまづかざれども、 10よるあゆときは、ひかりあらざるゆゑつまづくなり、と。 11のたまひてのちまたわれしんいうラザルはねむれり、れどわれきてこれねむりよりよびおこさん、とのたまひしかば、 12でしたちしゆと、ねむれるならばかれゆべきなり、とへり。 13ただしイエズスののたまひしはかれことなりしを、でしたちねむりてせることをのたまひしならんとおもひたりければ、 14イエズスあきらかにのたまひけるは、ラザルはせり、 15われなんぢためすなはなんぢしんぜしめんために、かしこらざりしことをよろこぶ、かれもとかん、と。 16ればチヂモとばれたるトマ、そのあいでしひけるは、われきてかれともなん、と。 17かくてイエズスいたりてたまひしに、ラザルははかことすでよつかなりき。 18しかるにベタニアはエルザレムにちかくして、廿五ちやうばかりへだてたれば、 19あまたのユデアじん、マルタとマリアとをそのきやうだいこときてとむらはんためきたりてありき。 20マルタはイエズスきたたまふとくや、すなはいでむかへしが、マリアはいへうちたり。 21マルタイエズスにひけるは、しゆよ、もしここいまししならば、わがきやうだいなざりしものを、 22れどかみなにごともとたまふともかみこれなんぢたまふべしとは、いまれるところなり、と。 23イエズス、なんぢきやうだいふくくわつすべし、とのたまひしかば、 24マルタひけるは、われかれをはりふくくわつときふくくわつすべきことをれり、と。 25イエズス、われふくくわつなり、せいめいなり、われしんずるひとすともくべし、 26またきてわれしんずるひとは、すべえいえんすることなし、なんぢこれしんずるか、とのたまひしに、 27マルタひけるは、しゆよ、しかり、われなんぢけるかみおんこキリストのこのきたたまひたるものなるをしんず、と。 28ひてのちきてそのしまいマリアをささやきて、ここいましてなんぢたまふ、とひしに、 29かれこれくや、ただちちてイエズスのもといたれり、 30すなはちイエズスいまさとたまはずして、なほマルタがいでむかへしところたまひしなり。 31ればマリアとともいへりてこれとむらたりしユデアじんかれすみやかちていでしをかれかんとてはかくぞ、とひつつあとしたがひしが、 32マリアはイエズスのたまところいたり、これるやおんあしもとひれふして、しゆよ、もしここましまししならば、わがきやうだいなざりしものを、とひければ、 33イエズスかれり、ともなきたれるユデアじんれるをきようちゆうかんげきしておんこころさわがしめたまひ、 34なんぢいづこかれきたるぞ、とのたまひしに、かれらは、しゆよ、きたたまへ、とひければ、 35イエズスなみだながたまへり。 36ればユデアじんかれあいたまひしこといかばかりなるを、とひしが、 37またそのうちあるひとびとかれうまれながらなるめしひけしに、このひとせざらしむるをざりしか、とひければ、 38イエズスまたしんちゆうかんげきしつつはかいたたまへり。はかほらにして、これいしおほひてありしが、 39イエズス、いしとりけよ、とのたまへばしにんしまいマルタひけるは、しゆよ、もはやよつかなればかれすでくさきなり、と。 40イエズスのたまひけるは、なんぢもししんぜばかみくわうえいるべし、とわれなんぢげしにあらずや、と。 41かくいしとりけしに、イエズスげてのたまひけるは、ちちよ、われたまひしことをしやたてまつる。 42いつわれたまことは、われもとよりこれれども、なんぢわれつかはしたまひしことかれらしんぜしめんとて、たちへるひとびとためこれへるなり、と。 43のたまをはりてこゑたかく、ラザルいできたれ、とよばはりたまひしに、 44したりしものたちまてあしぬのかれたるままいできたり、そのかほなほあせふきつつまれたれば、イエズスひとびとに、これきてかしめよ、とのたまへり。 45ればマリアとマルタとのもときあはせて、イエズスのたまひしことしユデアじんうちには、これしんじたるものおほかりしが、 46なかにはファリザイじんもといたりて、イエズスのたまひしことぐるものありしかば、 47しさいちやう、ファリザイじんぎくわいせうしふして、このひとあまたきせきすを、われいかにすべきぞ、 48もしそのままゆるかば、みなかれしんかうすべく、またロマじんきたりてわれとちこくみんとをほろぼすべし、とひたるに、 49そのうちひとりカイファとばるるものそのとしだいしさいなりけるが、かれらひけるは、なんぢことかいせず、 50またいちにんじんみんためしてぜんこくみんほろびざるはなんぢあることおもはざるなり、と。 51かれおのれよりこれひしにあらず、そのとしだいしさいなれば、イエズスがこくみんためたまふべきことよげんしたるなり、 52すなはただこのこくみんためのみならず、ちりみだれたるかみこどもひとつあつめんがためなりき。 53ればこのより、かれらイエズスをころさんとはかりしかば、 54イエズスもはやあらはにユデアじんうちあゆたまはず、あれのつづけるちはうき、エフレムとへるまちいたりて、でしたちともそことどまたまへり。 55かくてユデアじんすぎこしのまつりちかづきければ、これさきだちてきよめんために、ちはうよりエルザレムにのぼれるひとおほかりしが、 56かれらイエズスをさがしつつ[しん]でんちて、なんぢいかおもふぞ、かれこのまつりきたらざるか、とかたりへり。 57しさいちやうファリザイじんは、イエズスをとらふべきにより、これありかれるひとあらばまうしいづべし、とかねめいれいいだしたりしなり。

第12章[編集]

1すぎこしのまつりむいかまへ、イエズスベタニアにいたたまひしに、これラザルのしたりしをふくくわつせしめたまひしところなれば、 2あるひとびとイエズスのためばんさんまうけ、マルタきふじしけるが、ラザルはイエズスとともしよくたくけるものひとりなりき。 3しかるにマリアはあたひたかじゆんすゐのナルドのかうゆいつきんりてイエズスのおんあしそそぎ、おんあしおのかみのもてぬぐひしかば、かうゆかをりいへてり。 4そのときでしひとり、イエズスをるべきイスカリオテのユダ、 5なにゆゑこのかうゆを三百デナリオにりてひんしやほどこさざりしぞ、とへり。 6ただひしはひんしやおもんぱかれるゆゑあらず、おのれぬすびとにして、かねぶくろあづかり、うちれらるるものれるゆゑなり。 7しかるにイエズスのたまひけるは、このをんなさしおけ、わがはうむりためこのかうゆたくはへたるなり、 8ひんしやつねなんぢともれども、われつねらざればなり、と。 9かくてユデアじんだいぐんしゆう、イエズスのここたまふをり、ひとりイエズスのためのみならず、ししやうちよりふくくわつせしめたまひしラザルをんとてきたりしが、 10しさいちやうはラザルをもころさんとおもへり、 11かれために、りてイエズスをしんかうするもの、ユデアじんうちおほければなり。 12あくるひさいじつためきたりしおびただしきぐんしゆう、イエズスエルザレムにきたたまよしきて、 13しゆろりていでむかへ、ホザンナ、しゆみなによりてきたるイスラエルのわうしゆくせられたまへかし、とよばはりりしが、 14イエズスはろばこれたまへり、かきしるして 15シオンのむすめよ、おそるることなかれ、よ、なんぢわうろばりてきたる」とあるがごとし。 16でしたちはじめこれことさとらざりしが、くわうえいたまひてのちそのイエズスにきてかきしるされたりしことみづかおんためこととをおもひいだせり。 17てイエズスがラザルをはかよりよびいだして、ししやうちよりふくくわつせしめたまひしときかれともゐあはせたりおびただしきひとびとしようめいし、 18ぐんしゆうまた、イエズスがこのきせきたまひしをきていでむかへしかば、 19ファリザイじんかたりひけるは、なんぢなんききめもなきをずや、すでこぞりてかれしたがへり、と。 20しかるにさいじつれいはいせんとてのぼりたるひとびとうちいはうじんもありしが、 21このひとびとガリレアのベッサイダうまれなるフィリッポにちかづき、これひて、きみよ、われはイエズスにまみえんことほつす、とひしかば、 22フィリッポきたりてアンデレアにげ、アンデレアとフィリッポとまたイエズスにげしに、 23イエズスこたへてのたまひけるは、ひとくわうえいべきとききたれり。 24まことまことなんぢぐ、むぎつぶちて、もしせざれば、 25ただひとつにしてとどまるも、もしすればおほくのむすぶ。おのせいめいあいするひとこれうしなひ、このにてせいめいにくひとは、これたもちてえいえんせいめいいたるべし、 26ひともしわれつかへばわれしたがふべし、しかしてところには、われつかふるひとまたるべし、ひともしわれつかへば、わがちちこれえいよたまはん。 27いまわがこころさわげり、われなにをかはん、ちちよ、われすくひてこのときまぬかれしめたまへ、りながら、われこれためにこそこのときいたれるなれ、 28ちちよ、みなくわうえいあらしめたまへ、と。そのときこゑてんよりきたりていはく、われすでくわうえいあらしめたり、さらくわうえいあらしめん、と。 29ここおいちてこれきたるぐんしゆうは、いかづちれりとひ、あるひとびとは、てんしかれひたるなり、とへり。 30イエズスこたへてのたまひけるは、このこゑきたりしはためあらずしてなんぢためなり。 31いましんぱんなり、このかしらいまおひいだされんとす、 32われよりげられたらんときは、ばんみんわれひきせん、と。 33のたまへるは、いかなるしにざまもつすべきかをしめたまはんとてなるに、 34ぐんしゆうこれこたへけるは、キリストはえいえんそんすとこそ、われりつぱふよりけるものを、なんぢなんひとげられるべしとふや、ひととはこれたれなるぞ、と。 35イエズスすなはかれらのたまひけるは、ひかりなほしばらなんぢうちり、なんぢひかりいうするあゆみて、やみおひつかるな。やみあゆひとゆくさきらず、 36なんぢひかりいうするに、ひかりらんためひかりしんぜよ、と。のたまひてのち、イエズスりてかれらよりかくたまへり。 37ばかりおびただしききせきかれらまへたまひたれど、かれらなほイエズスをしんぜざりき。 38これよげんしやイザヤのことばじやうじゆせんためなり、いはく「しゆよ、たれわれきてしんじたるぞ、しゆうでたれあらはれたるぞ」と。 39かれらしんざりしはイザヤのまたひしことによれり、 40いはく「かれらにてず、こころにてさとらず、ひるがへりてわれいやされざらんために、かみかれらくらまし、かれらこころかたくなにしたまへり」と。 41イザヤがひしは、かれくわうえいて、かれきてかたりしときなり。 42しかれども、おもだちたるひとびとうちにも、イエズスをしんかうせるものおほかりしが、ファリザイじんはばかり、くわいどうよりおひいだされじとて、これこうげんせざりき。 43すなはかれらかみくわうえいよりもひとくわうえいこのみしなり。 44イエズスよばはりてのたまひけるは、われしんずるひとは、われしんずるにあらずして、われつかはしたまひしものしんずるなり。 45またわれひとは、われつかはしたまひしものるなり。 46われひかりとしてきたれり、これすべわれしんずるひとやみとどまらざらんためなり。 47ひともしわがことばきてまもらざれば、われこれさばかず、きたりしはさばかんためあらずして、すくはんためなればなり。 48われかろんじてわがことばけざるひとには、これさばものあり、すなはかたりしことばそのものをはりおいこれさばくべし。 49けだしわれおのれよりかたりしにあらず、われつかはしたまひしちちみづから、ふべきことかたるべきことわれめいたまひしなり、 50われそのめいれいえいえんせいめいたることる、ればかたるは、ちちわれのたまひしままこれかたるなり、と。

第13章[編集]

1すぎこしさいじつまへ、イエズスおのときすなはこのよりちちうつるべきとききたれるをたまひて、かねてもおのが[でし]をあいたまひしが、きよくまでこれあいたまへり。 2ばんさんつるにのぞみ、あくますでにイエズスをわたさんことを、シモンのイスカリオテのユダのこころれしかば、 3イエズスちちよりばんじおのたまはりたることと、おのかみよりでてかみいたこととをたまひ、 4ばんさんよりたちあがりてうはぎぎ、ぬのきれりてこしび、 5やがみづかなだらひり、でしたちあしあらひて、そのびたるぬのきれもてこれぬぐはじたまへり。 6かくてシモン、ペトロにいたたまふや、ペトロ、しゆよ、わがあしあらたまふか、とひしに、 7イエズスこたへて、ところなんぢいまらざれども、のちにはこれるべし、とのたまひければ、 8ペトロひけるは、わがあしあらたまことけつしてあるべからず、と。イエズスわれもしなんぢあらはずば、われいつちするところあらじ、とこたたまひしかば、 9シモン、ペトロ、しゆよ、わがあしのみならず、をもかうべをも、とひしが、 10イエズスのたまひけるは、すであらひたるひとぜんしんきよくして、あしほかあらふをえうせず、なんぢきよけれどすべてにはあらず、と。 11けだしおのれわたものたれなるをたまひて、なんぢことごときよきにはあらずとのたまひしなり。 12かれらあしあらをはりてうはぎり、またせききてかれらのたまひけるは、なんぢししことなんたるをるや。 13なんぢわれまたしゆぶ、そのふことやし、われそのなればなり。 14しかるにしゆたりたるわれにしてなんぢあしあらひたれば、なんぢまたたがひあしあらはざるべからず。 15けだしわれなんぢれいしめしたるは、なんぢししごとく、なんぢにもさしめんためなり。 16まことまことなんぢぐ、しもべそのしゆよりもおほいならず、しとこれつかはししものよりもおほいならず、 17なんぢこれことりてこれおこなはばさいはひなるべし。 18われなんぢすべてをしてふにあらず、かつえらみたるひとびとれり。しかれどもせいしよに「われともぱんしよくするひとわれむかひてそのくびすげたり」とあることじやうじゆせんためなり。 19われいまことるにさきだちてなんぢぐるは、そのりたらんときなんぢをしてそれなることをしんぜしめんためなり。 20まことまことなんぢぐ、つかはすものくるひとわれけ、われくるひとわれつかはしたまひしものをくるなり、と。 21イエズスこれのたまをはりてみこころさわぎ、しようめいして、まことまことなんぢぐ、なんぢうちひとりわれわたさんとす、とのたまひければ、 22でしたちたれしてのたまへるぞといぶかりて、たがひかほみあはせたりしが、 23イエズスのあいたまへるひとりでしおんふところあたりによりかかたるに、 24シモン、ペトロ、あごもてしめしつつ、のたまへるはたれことぞ、とひければ、 25かれおんむねよりかかりて、しゆたれなるか、とひしかば、 26イエズスこたへてのたまひけるは、ぱんひたしてあたふるものすなはそれなり、と。かくぱんひたして、シモンのイスカリオテのユダにあたたまひしに、 27このいつぺんるやサタンかれれり。てイエズスこれむかひて、そのところすみやかせ、とのたまひしかど、 28しよくたくけるものはひとりとして、なんためこれのたまひしかをらず、 29なかにはユダがかねぶくろてるによりて、さいじつためわれえうするものへ、あるひひんしやなにかをほどこせ、とイエズスののたまへるならん、とおもひとびともありき。 30ユダはかのひときれくるやただちいできしが、ときすでよるなりき。 31ユダがでしのち、イエズスのたまひけるは、いまひとくわうえいかみかれおいくわうえいたまへり、 32かみかれおいくわうえいたまひたれば、かみまたおのれおいくわうえいかれさせ、しかただちさせたまふべし。 33せうしよ、われなほしばらなんぢともり、なんぢまさわれたずぬべけれども、かつてユデアじんむかひて、ところにはなんぢきたあたはずとひしごとく、いまなんぢにもまたしかふ。 34われあたらしきおきてなんぢあたふ、すなはなんぢあひあいすべし、なんぢあいせしごとく、なんぢあひあいすべし、 35なんぢあひあいせば、ひとみなこれによりてなんぢわがでしたることみとめん、と。 36シモン、ペトロ、しゆよ、いづこたまふぞ、とひしにイエズスこたたまひけるは、ところなんぢいましたがあたはず、のちしたがはん、と。 37ペトロまたわれいまなんぢしたがあたはざるはなんぞや、われなんぢためいのちをもてんとす、とひしかば、 38イエズスこれこたたまひけるは、なんぢためいのちをもてんとするか、まことまことなんぢぐ、なんぢたびわれいなまでにはとりうたはざるべし。

第14章[編集]

1なんぢこころさわぐべからず、かみしんずればわれをもしんぜよ。 2わがちちいへすみところおほし、しからずばわれすでなんぢげしならん、いたりてなんぢためところそなへんとすればなり。 3いたりてなんぢためところそなへたるのちふたたきたりてなんぢたづさへ、ところなんぢをもらしめん。 4なんぢところり、またそのみちをもれり、と。 5トマひけるは、しゆよ、われそのたまところらず、いかでかそのみちことん、と。 6イエズスこれのたまひけるは、われみちなり、しんりなり、せいめいなり、われらずしてはちちいたものはあらず。 7なんぢもしわれりたらば、かならわがちちをもりたらん、いまよりなんぢこれらん、しかすでこれたり、と。 8フィリッポこれむかひ、しゆよ、ちちわれしめたまへ、しからばわれことたりるべし、とへるを、 9イエズスのたまひけるは、われかくひさしくなんぢともれるに、なんぢなほわれらざるか、フィリッポよ、われひとちちをもるなり、なんちちわれしめせとふや、 10われちちちちわれいます、とはなんぢしんぜざるか、なんぢかたことばおのれよりかたるにあらず、ちちこそわれましましてみづかわざたまふなれ。 11なんぢは、ちちちちわれいますとしんぜざるか、 12しからばわざそのものためしんぜよ。まことまことなんぢぐ、われしんずるひとみづかまたわざをもし、しかこれよりおほいなるものさん、われちちもとけばなり。 13なんぢわがりて(ちちに)もとむるところは、なにごとわれこれさん、これちちおいくわうえいせられたまはんためなり。 14なんぢわがによりてなにをかわれもとめば、われこれさん。 15なんぢもしわれあいせばわがめいまもれ、 16しかしてわれちちひ、ちちべんごしやなんぢたまひて、えいえんなんぢともとどまらしめたまはん。 17これすなはしんりれいにして、これかつらざるにりて、これくるにあたはず、しかれどもなんぢこれらん、なんぢともとどまりて、なんぢうちたまふべければなり。 18われなんぢみなしごとしてのこさじ、まさなんぢきたらんとす。 19いましばしにして、もはやわれざるべし、れどなんぢわれる、われりてなんぢまたくべければなり。 20なんぢかのに、われわがちちり、なんぢわれり、われなんぢことさとらん。 21わがめいれいいうしてこれまもものは、これわれあいするものなり、われあいするものわがちちあいせらるべく、われこれあいしてこれおのれあらはすべし、と。 22かのイスカリオテにあらざるユダ、イエズスにひけるは、しゆなにすれぞ、おのれわれあらはしてあらはたまはざるや。 23イエズスこたへてのたまひけるは、ひともしわれあいせば、わがことばまもらん、かくわがちちかれあいたまひ、われかれいたりてそのうちまん、 24われあいせざるものわがことばまもらず、しかしてなんぢきしはわがことばあらずして、われつかはたまひしちちのなり。 25われなほなんぢともりてこれことなんぢかたりしが、 26ちちわがりてつかはしたまふべきべんごしやたるせいれいは、なんぢひしすべてのことをしへ、かつおもひでしめたまふべし。 27われへいあんなんぢのこし、わがへいあんなんぢあたふ、これあたふるは、あたふるごとくにはあらず、なんぢこころさわぐべからず、またおそるべからず、 28かつわれきてまたなんぢきたらんととひしは、なんぢけるところなり、なんぢわれあいするならば、かならちちもとかへるをよろこぶならん、ちちわれよりさらおほいにましませばなり。 29いまことるにさきだちてなんぢげたるは、そのりてのちなんぢしんぜしめんためなり。 30もはやおほなんぢかたらじ、けだしこのかしらきたる、かれわれなんけんをもいうせず。 31れどちちあいしてちちわれめいたまひしごとおこなことらんために、て、いざここよりらん。

第15章[編集]

1われしんぶだうのにして、わがちちさいばいしやなり、 2われえだむすばざるものは、ちちことごとこれきりり、むすものは、なほおほむすばしめんために、ことごとこれきりかしたまふべし。 3なんぢかたりたることばりてなんぢすできよきなり。 4われとどまれ、われまたなんぢとどまるべし。えだぶだうのとどまるにあらずばみづかむすぶことあたはざるごとく、なんぢわれとどまるにあらずばあたはじ。 5われぶだうのにしてなんぢえだなり、われとどまこれとどまひとこれおほくのむすものなり、けだしわれはなれては、なんぢなにごとをもあたはず。 6ひともしわれとどまらずばえだごとてられてれ、ひろはれ、なげいれられてけん。 7なんぢもしわれとどまり、わがことばなんぢとどまらば、ほつするところねがはんにかなへらるべし。 8わがちちりてもつくわうえいたまふは、なんぢおびただしきむすびてわがでしらんことこれなり。 9ちちわれあいたまごとく、われまたなんぢあいせり、なんぢわがあいとどまれ。 10もしわがめいまもらばなんぢわがあいとどまことわれわがちちめいまもりてそのあいとどまるがごとくなるべし。 11これことなんぢかたれるは、わがよろこびなんぢうちりて、なんぢよろこびまつたうせられんためなり。 12なんぢあひあいすること、なんぢあいせしがごとくせよ、これわがめいなり。 13たれそのともためいのちつるよりおほいなるあいてるものはあらず。 14なんぢもしめいずるところおこなはばこれわがともなり。 15われもはやなんぢしもべばじ、しもべそのしゆところらざればなり。われなんぢともべり、これすべわがちちよりきしことことごとなんぢらせたればなり。 16なんぢわれえらみたるにあらず、われこそなんぢえらみててたるなれ、これなんぢきてむすそのながそんして、わがによりてちちなにごとねがふも、ちちなんぢこれたまはんためなり。 17なんぢめいずるは、なんぢあひあいせんためなり。 18もしなんぢにくまば、なんぢよりさきわれにくめりとれ。 19なんぢのものなりしならば、おのがものとしてあいせしならん、れども、のものにあらずして、よりえらみいだせるなんぢなれば、なんぢにくむなり。 20しもべそのしゆよりおほいならず、とかつなんぢかたりしをきおくせよ、ひとわれはくがいしたれば、またなんぢをもはくがいせん、わがことばまもりたれば、またなんぢことばをもまもらん、 21しかれどもこのすべてのことは、かれらわがためこれなんぢさん、これわれつかはしたまひしものらざるゆゑなり。 22もしきたりてかれらぐることなかりせば、かれらつみなかりしならん。れどいまそのつみかこくるにところなし。 23われにくひとわがちちをもにくむなり、 24もしわれかれらうちりて、なにびとかつさざりしわざおこなはざりせば、かれらつみなかりしならん。れどいまげんこれまのあたりしかわれわがちちとをにくみたるなり。 25ただこれかれらりつぱふかきしるして「かれらいはれなくわれにくめり」とあることばじやうじゆせんためなり。 26かくちちもとよりつかはさんとするべんごしやすなはちちよりづるしんりれいきたらば、われきてしようめいたまはん、 27なんぢはじめよりわれともなへるにりてまたしようめいさん。

第16章[編集]

1なんぢかたりしは、なんぢつまづかざらんためなり。 2ひとびとなんぢくわいどうよりおひいださん、しかなんぢころひとすべみづかかみつくすとおもとききたらん。 3ひとかかことなんぢさんとするは、ちちをもわれをもらざるゆゑなり。 4ただなんぢかたりたるは、ときいたらばなんぢをして、これげたるをおもひでしめんがためなり。 5しかこれはじめよりげざりしは、なんぢともりしゆゑなり、いまわれつかはしたまひしものいたらんとするに、いづこいたるぞとわれものなんぢうちひとりもあらず、 6れどかたりしにりて、うれひなんぢこころてり。 7りながらわれじつもつなんぢぐ、るはなんぢあり、われもしらずばべんごしやなんぢきたるまじきを、りなばわれこれなんぢつかはすべければなり。 8かれきたらばめて、つみしんぱんとにきてそのあやまちみとめしめん。 9つみきてとは、ひとびとわれしんぜざりしゆゑなり。 10きてとは、われちちもとりてなんぢもはやわれざるべきゆゑなり。 11しんぱんきてとは、このかしらすでしんぱんせられたるゆゑなり。 12なんぢふべきことなほおほけれども、なんぢいまこれへず。 13かのしんりれいきたらんときいつさいしんりなんぢをしたまはん。おのれよりかたるにあらずして、ことごとそのきたらんところかたり、またおこるべきことなんぢたまふべければなり。 14かれわれくわうえいあらしむべし、がものをうけとりてなんぢしめたまふべければなり。 15すべちちいうたまふものはことごとわがものなり、かれわがものをうけとりてなんぢしめたまはんとへるは、これもつてなり。 16しばらくにしてなんぢもはやわれざるべく、またしばらくにしてわれん、これわがちちいたればなり、[とのたまへり]。 17ここおいでしあるひとびとしばらくにしてなんぢわれざるべく、またしばらくにしてわれん、またわがちちいたればなり、とのたまへるはなにごとぞ、とかたりひつつ、 18て、しばらくにしてとのたまへるはなんぞや、われそのかたたまところらず、とりしに、 19イエズスかれらおのれはんとほつするをさとりてのたまひけるは、なんぢは、しばらくにしてなんぢざるべく、またしばらくにしてわれん、とへるをせんぎへるか、 20まことまことなんぢぐ、なんぢかなしみかつかんによろこぶべく、なんぢうれふべけれども、そのうれひかはりてよろこびとなるべし。 21をんなまんとするや、わがじききたれりとてうれふれども、すでをはれば、ひとひとりうまれたるよろこびによりて、もはやくつうおぼゆることなし。 22なんぢいまうれひいだけども、われふたたなんぢば、なんぢこころよろこぶべく、しかそのよろこびなんぢよりうばものなかるべし。 23かのには、なんぢなにごとをもわれはざらん。まことまことなんぢぐ、なんぢもしわがによりてちちもとむるところあらば、ちちこれなんぢたまふべし。 24なんぢいままでは、わがによりてなにをももとめざりしが、もとめよ、らばなんぢよろこびまつたかるべし。 25われたとへもつなんぢかたりしかど、もはやたとへもつかたらずしてあからさまちちきてなんぢぐべきとききたる、 26そのにはなんぢわがによりてもとめん、しかわれなんぢためちちいのらんとははず、 27なんぢわれあいして、かみよりでたるをしんじたるがゆゑに、ちちみづかなんぢあいたまへばなり。 28われちちよりでてきたりしが、またはなれてちちいたる、とのたまひしかば、 29でしたちひけるは、いまあからさまかたたまひてすこしたとへかたたまはず。 30いまにしてわれは、なんぢばんじたまひて、ひとふをたまはざることり、これによりてなんぢかみよりたまへることしんず、と。 31イエズスかれらこたたまひけるは、なんぢいましんずるか、 32とききたる、もはやきたれり、なんぢいずれもおのがじしちりみだれてわれひとすてくにいたらん。れどわれひとりあらず、ちちわれともいませばなり。 33なんぢかたりたるは、なんぢわれおいへいあんためなり。おいてはなんぢなやみはん、れどたのもしかれ、われてり、と。

第17章[編集]

1イエズスかたてて、てんあふぎてのたまひけるは、ちちとききたれり、おんこをしてなんぢくわうえいあらしめんために、おんこくわうえいあらしめたまへ、 2ちちよりたまはりしひとびとえいえんせいめいあたへしめんとて、こればんみんうへけんのうたまひたればなり。 3そもそもえいえんせいめいは、ゆゐいつまことかみにてましまなんぢと、そのつかはしたまへるイエズス、キリストとをるにり。 4われちじやうにてなんぢくわうえいあらしめ、われさしめんとてたまひしわざまつたうせり。 5ちちよ、せかいそんざいさきだちてなんぢともいうせしくわうえいもつて、いまなんぢともわれくわうえいあらしめたまへ。 6われは、このよりえらみてわれたまひしひとびとみなあらはせり。かれらなんぢのものたりしにこれわれたまひ、かれらなんぢことばまもり、 7われたまひしことことごとなんぢよりづることをいまにしてさとれり。 8けだしわれたまひしことばわれかれらさづけ、かれらこれけて、ふかなんぢよりでたるをさとり、なんぢわれつかはしたまひしことをしんぜり。 9われかれらためいのる。いのるはためあらずして、われたまひたるひとびとためなり、かれらなんぢのものなればなり。 10わがものはことごとなんぢのもの、なんぢのものはわがものにして、われかれらうちくわうえいたり。 11われもはやらず、かれらり、われなんぢいたる。せいなるちちよ、われたまひたるひとびとみなもつまもたまへ、これわれごとかれらいつならんためなり。 12われかれらともなりしあひだみなもつかれらまもたりしが、われたまひたるひとびとたもち、そのうちひとりせず、ただせいしよじやうじゆせんために、ほろびせたるのみ。 13いまわれなんぢいたる、りてかたるは、わがよろこびかれらえんまんならしめんがためなり。 14われおんことばかれらさづけ、かれらにくめり、われのものにあらざるごとく、かれらのものにあらざればなり。 15いのるはかれらよりとりさたまへとにはあらず、かれらまもりてあくのがれしめたまへとなり。 16われのものにあらざるごとく、かれらのものにあらず、 17ねがはくはかれらしんりうちせいならしめたまへ、おんことばすなはしんりなり、 18われつかはしたまひしごとく、われかれらつかはせり、 19かつかれらをもしんりうちせいならしめんとして、かれらためおのれせいならしむ。 20いのるはかれらためのみならず、またかれらことばによりてわれしんずるひとびとためにして、 21かれらことごといつならんためなり。ちちよ、これなんぢわれいまなんぢるがごとく、かれらわれりていつならんためにして、なんぢわれつかはしたまひしことしんぜしめんとてなり。 22われたまひしくわうえいわれかれらあたへたり、われいつなるがごとく、かれらいつならんためなり。 23われかれらなんぢわれいます、かれらいつまつたうせられんためまたなんぢわれつかはしたまひしことと、われあいたまひしごとかれらをもあいたまひしこととを、さとらんためなり。 24ちちよ、ねがはくはわれたまひしひとびとも、ところわれともならんことを、これせかいかいびやくいぜんよりわれあいたまひてわれたまひたるわがくわうえいを、かれらせんためなり。 25ただしきちちよ、なんぢらざれどもわれなんぢり、かれらまたなんぢわれつかはしたまひしことをれり。 26われみなかれららせたり、またらせんとす、これわれあいたまひたるあいかれらそんして、われかれららんためなり、[とのたまへり]。

第18章[編集]

1イエズスのたまひて、でしたちともにセドロンのたにがはかなたたまひしが、そこそのりけるに、でしたちともなひてたまへり。 2イエズスしばしばでしともここあつまたまひければ、かれれるユダもところたり。 3ればユダは、いつたいへいそつおよしたやくどもだいしさいファリザイじんよりけて、ちやうちんたいまつぶきとをちてここきたれり。 4イエズスきたるべきことことごとたまひて、すすみいでてかれらむかひ、たれたずぬるぞ、とのたまひしかばかれら、ナザレトのイエズスを、とこたへしに、 5イエズス、われなり、とのたまひしが、かれわたせるユダもかれらともたり。 6てイエズスがわれなりとのたまふや、かれらあとずさりしてたふれたり。 7イエズスすなはまたなんぢたれたずぬるぞ、とたまひしにかれら、ナザレトのイエズスを、ひたれば、 8イエズスこたたまひけるは、われすでわれなりとなんぢげたり、われたずぬるならば、このひとびとゆるしてらしめよ、と。 9これかつて、われたまひたるひとびとわれひとりうしなはざりき、とのたまひしおんことばじやうじゆせんためなり。 10ときにシモン、ペトロつるぎちたりしかば、きてだいしさいしもべち、そのみぎみみきりおとししが、そのしもべをマルクスとへり。 11てイエズスペトロにのたまひけるは、なんぢつるぎさやをさめよ、ちちわれたまひたるさかずきわれこれまざらんや、と。 12かくへいたいせんぷちやうおよびユデアじんしたやくども、イエズスをとらへてこれしばり、 13まずアンナのもとひきゆけり、これそのとしだいしさいたるカイファのしうとなるがゆゑにして。 14カイファはかつてユデアじんむかひて、いちにんじんみんためするはなり、とのちゆうこくあたへたりしひとなり。 15しかるにシモン、ペトロおよひとりでし、イエズスののちしたがひたりしが、かのでしかつだいしさいられたりければ、イエズスとともだいしさいにわりしも、 16ペトロはもんそとちてありしに、かのだいしさいられたりしでしでてもんばんをんなかたらいしかば、ペトロをうちれたり。 17かくもんばんをんなペトロにむかひ、なんぢかのひとでしひとりならずや、とひしにかれしからずとへり。 18ときしもかんかりければ、しもべおよしたやくどもすみびそばちてあたるに、ペトロもたつまじりてあたれり。 19だいしさいそのでしをしへとにきてイエズスにひしかば、 20イエズスこれこたたまひけるは、われあからさまかたり、いつすべてのユデアじんあひあつまるくわいどうおよび[しん]でんにてをしへ、なにごとをもひそかかたりしことなし、 21なんぢなんわれふや、かたりしところちやうもんしたるひとびとへ、かれらこそひしところるなれ、と。 22のたまひしかば、たちあへるひとりしたやくにてイエズスのほほち、なんぢだいしさいこたふるにかくごときか、とひしを、 23イエズスこたたまひけるは、ひしことあしくばそのあしゆゑんしようせよ、もしくばなにすれわれつや、と。 24かくてアンナはイエズスをしばりたるままに、だいしさいカイファのもとおくりたりき。 25てシモン、ペトロあたりつつてるに、ひとびとなんぢかれでしひとりならずや、とひしかばペトロいなみて、しからずとへり。 26またひとりだいしさいしもべにしてペトロにみみせつとされしひとしんぞくなるものわれなんぢそのにてかれともなへるをたるにあらずや、とふを、 27ペトロまたいなみたるに、にわとりたちまうたへり。 28かくひとびと、イエズスをカイファのもとよりくわんちやうきしが、ときよあけなりき。かれらけがれずしてすぎこしいけにへしよくために、そのくわんちやうらざりしかば、 29ピラトかれらところでて、なんぢかのひとたいしていかなることこくそするぞ、とひしに、 30かれらこたへて、かれもしあくにんならずばわれこれなんぢわたさざりしならん、とひければ、 31ピラトかれらむかひ、なんぢこれひきうけてなんぢりつぱふままさばけ、とひしにユデアじんわれひところことゆるされず、とへり。 32これイエズスがかつて、いかなるしにざまもつすべきかを、しめしてのたまひしおんことばじやうじゆせんためなりき。 33ここおいてピラトふたたくわんちやうり、イエズスをよびいだして、なんぢはユデアじんわうなるか、とひしに、 34イエズスこたたまひけるは、なんぢこれおのれよりへるか、またひとわれきてなんぢげたるか。 35ピラトこたへけるは、われあにユデアじんならんや、なんぢこくみんだいしさいなんぢわれわたしたるが、なんぢなにしたるぞ。 36イエズスこたたまひけるは、わがくにこののものにあらず、もしわがくにこののものならば、われをユデアじんわたされじとて、われしんぼくかならたたかふならん、れどいまわがくにここのものならず、と。 37かくてピラトイエズスにむかひ、しからばなんぢわうなるか、とひしにイエズスこたへたまいけるは、なんぢへる[がごとし、]われわうなり、われこれためうまれ、これためきたれり。すなはしんりしようめいあたへんためなり、すべしんりれるひとわがこゑく、と。 38ピラトイエズスにひけるは、しんりとはなんぞや、と。ひてふたたびユデアじんところいでき、かれらひけるは、われかのひとなんつみをもみいださず、 39ただすぎこしのまつりあたりて、われなんぢひとりゆるすはなんぢかんれいなるが、しからばユデアじんわうわれよりゆるされんことほつするか、と。 40ここおいかれらまたいちどうさけびて、そのひとならでバラバを、とへり、バラバはすなはがうたうなりき。

第19章[編集]

1そのときピラトイエズスをとらへてこれむちうち、 2へいそついばらかんむりみておんかうべかむらせ、またあかうはぎせ、 3みまへいたりて、ユデアじんわうよ、やすかれ、とひてもつおんほほたり。 4かくてピラトまたいできたり、ひとびとむかひてひけるは、なんつみをもかれいださざることなんぢらしめんために、かれなんぢまへひきいだすぞ、と。 5ここおいてイエズス、いばらかんむりあかうはぎにていできたたまひしかば、ピラト、ひとを、とひしに、 6だいしさいおよしたやくどもイエズスをるやさけびでて、じふじかけよ、じふじかけよ、とひければピラト、なんぢみづかこれりてじふじかけよ、われなんつみをもこれいださざるを、とひしに、 7ユデアじんこたへけるは、われりつぱふあり、そのりつぱふによりてかれせざるべからず、は、おのれかみとしたればなり、と。 8ピラトこのことばきて、ますますおそれ、 9またくわんちやうりてイエズスにむかひ、なんぢいづこものぞ、とひしかど、イエズスこたたまはざれば、 10ピラトひけるは、なんぢわれものいはざるか、なんぢじふじかくるのけんも、またゆるすのけんも、われことらざるか、と。 11イエズスこたたまひけるは、なんぢうへよりあたへられたるにあらずば、われたいしてなんらのけんあらんや。われなんぢわたしたるものつみここおいてかさらおほいなり、と。 12これよりピラトまたイエズスをゆるさんとはかたれども、ユデアじんさけびて、なんぢもしこのひとゆるさばセザルのちゆういうあらず、すべおのれわうとするひとはセザルにそむものなればなり、とひければ、 13ピラトかかことばきてイエズスをつれいだし、きりばめしきいし、ヘブレオにてはガパタとへるところにて、しんぱんせきけり。 14あたかすぎこしのまつりよういにして、十二ごろなりしが、ピラトユデアじんむかひ、なんぢわうを、とひしに、 15かれらとりけよ、とりけよ、じふじかけよ、とさけければピラトかれらに、われあになんぢわうじふじかけんや、とへるをだいしさい、セザルのほかわれわうなし、とこたへたり。 16かくてピラト、じふじかくるためにイエズスをかれらわたしければ、へいそつこれりてひきいだししが、 17イエズスみづかじふじかひ、かのされかうべ、ヘブレオにてゴルゴタとへるところたまへり。 18かれらここにてこれじふじかけ、またべつふたりさいうに、イエズスをばまんなかにしてはりつけたり。 19しかるにピラトまたすてふだきてじふじかうへきしが、ユデアじんわうナザレトのイエズスとしるされたりき。 20イエズスのじふじかけられたまひしところまちちかくして、すてふだはヘブレオとギリシアとラテンとのことばにてきたれば、ユデアじんうちこれみたるものおほし。 21ればユデアじんだいしさいピラトにむかひ、ユデアじんわうかずして、ユデアじんわうじしようせしものたまへ、とひしをピラトは、 22きしところきし[ままなれ、]とこたへたり。 23かくへいそつ、イエズスをじふじかけしのちそのいふくしたぎとをけ、いふくぶんしてひとりいちぶんづつわかちしが、したぎうへよりひとつにりたるぬひなきものなりしかば、 24これかずして、たれのになるべきかくじびきにせんといひへり。これせいしよかきしるして「かれらたがひいふくわかち、わがしたぎくじびきにせり」とあることじやうじゆせんためにして、すなはへいそつじつこのことせるなり。 25てイエズスのじふじかかたはらに、そのははははしまいすなはちクレオファの[つま]マリアと、マグダレナ、マリアとちてありしが、 26イエズスそのははあいせるでしとのてるをたまひてははむかひ、ふじんよ、これなんぢなり、とのたまひ、 27つぎでしむかひて、これなんぢははなり、とのたまひければ、このときよりそのでしイエズスのははわがいへひきりたり。 28やがてイエズスなにごとをはれるをたまひて、せいしよじやうじゆてんために、われかわくとのたまひしが、 29そこちたるうつはかれてありしに、へいそつかいめんひたし、イソプにしてそのくちさしつけしかば、 30イエズスたまひて、をはれりとのたまひ、かうべれていきたまへり。 31ときよういにてだいあんそくじつまへなれば、あんそくじつしかばねじふじかじやうのこらざらんために、そのはぎりてとりおろさんことを、ユデアじんピラトにねがひしかば、 32へいそつきたりて、さきなるものおよともじふじかけられたるひとりはぎりしが、 33イエズスにいたり、そのすでたまへるをはぎらざりき。 34れどへいそつひとりやりもてそのわきひらきしかば、ただちみづながれいでたり。 35もくげきせしひとこれしようめいせしが、そのしようめいしんじつにして、かれそのところしんじつなるをれり、これなんぢにもしんぜしめんためなり。 36これことりしは、せいしよに「なんぢそのほねひとつるべからず」とあることじやうじゆせんためなり。 37さらまたせいしよいはく「かれらそのつらぬけるものをあふん」と。 38そののちアリマテアのヨゼフ、ユデアじんはばかりてひそかにはすれども、イエズスのでしなれば、そのおんしかばねひきらんことをピラトにねがひしに、ピラトゆるししかばきたりてイエズスのおんしかばねとりおろせり。 39またさきよるイエズスにいたりしニコデモも、もつやくくわいとのあはせものひやくきんばかりたづさへてきたりしが、 40りやうにんイエズスのおんしかばねうけとり、ユデアじんはうむりならひしたがひてかうれうともぬのにてこれけり。 41てイエズスのじふじかけられたまひしところそのありて、そのうちいまたれをもほうむらざるはかありければ、 42かれらはユデアじんよういなるにり、はかぢかきにまかせて、イエズスをそこをさめたり。

第20章[編集]

1しうだいいちじつ、マグダレナ、マリアあさまだきはかき、はかよりいしとりけられたるをしかば、 2はしりてシモン、ペトロおよびイエズスのあいたまひしいまひとりでしもといたり、しゆはかよりとりさりたるひとあり、いづこきたるかわれこれらず、とひければ、 3ペトロとかのひとりでしでてはかけり。 4ふたりともはしりしが、かのひとりでしペトロにはしりちてまずはかき、 5かがめて、ぬのよこたはれるをしも、いまうちらざるほどに、 6シモン、ペトロあとよりきたり、はかりてればぬのよこたはりて、 7かうべおほひたりしあせふきぬのともかれずして、きてべつところりき。 8そのときまずはかきしかのひとりでしうちり、しんじたり。 9かれらいまだ、イエズスがししやうちよりふくくわつたまふべし、とのせいしよらざりければなり。 10かくふたりでしおのいへかへれり。 11れどマリアははかそとちてりしが、きつつかがめてはかのぞきしに、 12びやくえたるふたつてんし、イエズスのおんしかばねかれたりしところに、ひとつかしらかたに、ひとつあしかたせるをたり。 13かれらマリアにむかひ、をんなよ、なにゆゑくぞ、とひしかば、マリアひけるは、わがしゆとりさりたるひとありて、いづこきたるかわれこれらざるゆゑなり、と。 14いひをはりてうしろふりかへりしに、イエズスのたまへるをたり。れどそのイエズスなることらざりしが、 15イエズスこれに、をんなよ、なにゆゑくぞ、たれたずぬるぞ、とのたまひしかば、マリアえんていならんとおもひてこれひけるは、きみよ、もしなんぢかれとりさりしならば、そのきたるところわれげよ、われこれひきるべし、と。 16イエズス、マリアよ、とのたまひければかれふりかへりて、ラボニ、すなはよ、とへり。 17イエズスこれにむかひ、われいまわがちちのぼらざればわれるることなかれ、ただしまずわがきやうだいらいたりて、われなんぢちちなるわがちちなんぢかみなるわがかみのぼるとへ、とのたまひければ、 18マグダレナ、マリアきて、われしゆたり、われしかじかのたまへり、とでしたちげたり。 19かくそのすなはしうだいいちじつすでれて、でしたちユデアじんおそろしさにぢてあつまれるところに、イエズスきたりてそのなかのたまひけるは、なんぢやすかれ、と。のたまひて、 20わきとをかれらしめたまひければ、でしたちしゆよろこべり。 21イエズスまたのたまひけるは、なんぢやすかれ、ちちわれつかはしたまひしごとく、われなんぢつかはすなり、と。 22のたまひて、いきふきけてのたまひけるは、せいれいけよ、 23なんぢたれつみゆるさんもそのつみゆるされん、たれつみとどめんもそのつみとどめられたるなりと。 24しかるに十二にんひとりにしてチヂモとばるるトマは、イエズスのきたたまひしときかれらともらざりしかば、 25でしたちこれむかひ、われしゆたり、とひしに、かれひけるは、われそのくぎあとて、そのくぎところわがゆびれ、そのわきわがるるにあらずばしんぜじ、と。 26やうかのちでしたちまたうちにありてトマもともりしが、ぢたるにイエズスきたりてまんなかたまひ、なんぢやすかれ、とのたまひて、 27やがてトマにのたまひけるは、なんぢゆびここれてわがよ、べてわがわきれよ、しんじやとならずしてしんじやとなれ、と。 28トマこたへて、わがしゆよ、わがかみよ、とひしかば、 29イエズスこれのたまひけるは、トマなんぢわれしによりてしんじたるが、ずしてしんぜしひとびとこそさいはひなれ、と。 30このほかにもなほあまたしるしを、イエズスでしたちがんぜんたまひしかどほんしよにはかきせず。 31これことかきせられたるは、なんぢがイエズスのかみおんこキリストたることしんぜんためしんじてみなによりてせいめいためなり。

第21章[編集]

1そののちイエズス、またチベリアデのうみべにておのれでしたちあらわたまひしが、そのあらわたまひししだいつぎごとし。 2シモン、ペトロとチヂモとばるるトマと、ガリレアのカナうまれなるナタナエルと、ゼベデオのこらと、なほほかふたりでしどもりけるに、 3シモン、ペトロ、われれふく、とひしかばかれらわれともく、とひて、みないできてふねりしに、そのなにをもざりき。 4よあけいたりてイエズスはまたまへり、りながらでしたちそのイエズスなることみとめざれば、 5イエズスかれらむかひ、こどもさかなあるか、とのたまひしにかれらしとこたへたり。 6イエズス、あみふねみぎおろせ、しからばえものあらん、とのたまひければ、かれらおろしたるに、さかなおびただしくして、あみくことあたはざれば、 7イエズスのあいたまへるかのでしペトロにむかひて、しゆなり、とひしをシモン、ペトロ、しゆなりとくや、はだかなりければうはぎまとひてうみとびいり、 8でしたちさかなてるあみきつつふねにてきたれり、をかこととほからず、およそ五十けんばかりなりければなり。 9をかあがりてればすですみびありて、そのうへひとつさかなせられたるあり、またぱんありき。 10イエズスかれらむかひ、なんぢいまりたるさかなもちきたれとのたまひしかば、 11シモン、ペトロりて、おほいなるうを百五十三までみちみちたるあみをかひききたりしが、くまでおびただしかりしかどあみけざりき。 12イエズスかれらに、きたりてしよくせよ、とのたまひしに、でしたちそのしゆなることをりて、なんぢたれぞとあへものひとりもなかりしが、 13イエズスちかづきたまひ、ぱんりてかれらあたへ、さかなまたおなやうにしたまへり。 14イエズスがししやうちよりふくくわつして、そのでしたちあらはたまひしはこれにてすでたびなりき。 15かれらしよくしたるに、イエズスシモン、ペトロにのたまひけるは、ヨハネの[]シモン、なんぢこのひとびとまさりてわれあいするか、と。かれしゆよ、しかり、なんぢあいするはなんぢたまところなり、とひしかばイエズス、わがこひつじぼくせよ、とのたまへり。 16またふたたび、ヨハネの[]シモン、なんぢわれあいするか、とのたまひしに、かれしゆよ、しかり、なんぢあいするはなんぢたまところなり、とひしかばイエズスわがこひつじぼくせよ、とのたまへり。 17たびこれむかひて、ヨハネの[]シモン、なんぢわれあいするか、とのたまひしかば、ペトロは、われあいするかとたびまではれたるをうれひしが、しゆよ、ばんじたまへり、なんぢあいするはなんぢたまところなり、とひしに、イエズスこれのたまひけるは、わがひつじぼくせよ。 18まことまことなんぢぐ、なんぢわかかりしときみづかおびしてこのところあゆたりしが、いたらんのちべん、しかしてものなんぢおびして、そのこのまざるところみちびかん、と。 19これペトロがいかなるげてかみくわうえいあらしむべきかをしめしてのたまひしなり。これのたまてて、われしたがへ、とペトロがのたまひしが、 20ペトロふりかへりてイエズスのあいたまひしかのでしすなはばんさんときイエズスのおんむねよこたはりて、しゆなんぢわたものたれなるぞ、とひしでししたがへるをたり。 21ペトロこれてイエズスにむかひ、しゆよ、かれいかに、とひしに、 22イエズスペトロにのたまひけるは、きたるまでにかれとどまらんことめいずとも、なんぢおいなにかあらん、なんぢわれしたがへ、と。 23ればかのでしせずとのせつきやうだいたちうちつたはりしが、かれせず、とイエズスのペトロにのたまひしにはあらず、ただきたるまでかれとどまらんことめいずとも、なんぢおいなにかあらん、とのたまひしのみ。 24これこときてしようめいし、これこときしひとは、すなはかのでしにして、われそのしようめいしんじつなることる。 25れどイエズスのたまひしことなほこのほかにもおびただしく、もしこれいちいちかきしるさば、われおもふにかきしるすべきしよせきは、せかいすらものせつくすことあたはざるべし。