ヨハネ第一書 (ラゲ訳)

提供: Wikisource
ナビゲーションに移動 検索に移動

<聖書<我主イエズスキリストの新約聖書

『公敎宣敎師ラゲ譯 我主イエズスキリストの新約聖書』公敎會、

1910年発行

〔ローマ・カトリック訳〕

ラゲ訳新約聖書エミール・ラゲ(Emile Raguet,MEP)

ヨハネ第一書

第1章[編集]

1生命せいめい御言みことばきて、もとよりりたりしところわれきしところにてところつらつらながめてにてあつかひしところ2すなは生命せいめい[たるもの]あらはたまへり、われかつちち御許おんもとましまして、われあらはたまひし永遠えいゑん生命せいめいたてまつり、これ保證ほしようかつなんぢぐるなり。 3われ見聞みききせしところなんぢにもぐるは、なんぢをもわれくみせしめ、かつわれくみをしてちちその御子おんこイエズス、キリストとともらしめんため4これ書贈かきおくるは(なんぢよろこびて)そのよろこびまつたからんためなり。 5われがキリストよりうけたまわりてなんぢつたふるところつげこれなり、かみひかりにてましまし、これいささか暗黒くらやみあることなし、 6われもしかれくみたてまつるとひて暗黒くらやみあゆまば、これいつはりてまことおこなはざるなり。 7れどかれひかりましますがごとく、われひかりうちあゆまば、これたがひあひくみして、その御子おんこイエズスの御血おんちは、われすべつみよりきよむるなり。 8もしわれつみなしとはば、みづかあざむものにして、眞理しんりわれうちらず。 9もしわれつみ告白こくはくせば、かみ眞實しんじつ正義せいぎましましてわれつみゆるし、われすべ不義ふぎよりきよたまふべし。 10もしわれつみをかしたることなしとはば、かみ虚言きよげんしやとしたてまつるものにして、御言おんことばわれらざるなり。

第2章[編集]

1わが小子せうしよ、これことなんぢ書贈かきおくるは、なんぢつみをかさざらんためなり。れどもしつみをかしたるものあらば、われちち御前みまへ辯護べんごしやいうせり。これすなは義者ぎしやイエズス、キリストにして、 2かれわれつみあがなひにてまします、ただわれつみのみならず、ぜん世界せかいつみたいしてもまたしかるなり。 3われおんおきてまもときに、これによりてかれたてまつれることさとる。 4みづかかれたてまつれりとひておんおきてまもらざるひとは、虚言きよげんしやにして眞理しんりそのうちらず。 5その御言おんことばまもひとには、かみたいするのあいありて完全くわんぜんなり。われこれによりて、おのれかれことさとる。 6かれとどまたてまつるとひとは、おのれまたかれあゆたまひしごとくにあゆまざるべからず。 7至愛しあいなるものよ、なんぢ書贈かきおくるはあたらしきおきてあらず、なんぢはじめよりけたるふるおきてにして、ふるおきてとはなんぢきし御言おんことばなり。 8またあたらしきおきてなんぢ書贈かきおくる。かれおいてもなんぢおいてもひとしくまことなり、暗黒くらやみ過去すぎさりてまことひかりすでればなり。 9みづかひかりりとひておの兄弟きやうだいにくひとは、いまいたるまで暗黒くらやみうちるなり。 10おの兄弟きやうだいあいするひとは、ひかりとどまりて、かれにはつまづところなし。 11れどおの兄弟きやうだいにくひとは、暗黒くらやみりて暗黒くらやみあゆみ、暗黒くらやみためくらまされたるがゆゑに、くべきところらざるなり。 12小子せうしよ、なんぢ書贈かきおくるは、なんぢつみキリストの御名みなによりてゆるされたるがゆゑなり。 13ちちたちよ、なんぢ書贈かきおくるはなんぢはじめよりそんたまへるものをりたるがゆゑなり。青年せいねんたちよ、なんぢ書贈かきおくるは、なんぢ惡魔あくまちたるゆゑなり。 14子兒こどもたちよ、なんぢ書贈かきおくりしは、なんぢちちたてまつれるゆゑなり。ちちたちよ、なんぢ書贈かきおくりしは、なんぢちちたてまつりたりしゆゑなり。わかものよ、なんぢ書贈かきおくりしは、なんぢつよくしてかみ御言おんことばなんぢうちとどまり、なんぢ惡魔あくまちたるゆゑなり。 15およことあいするなかれ、ひともしあいせばちちたいするあいこれそんすることなし、 16すべことにくよくよく生活せいくわつほこりちちよりでずしてよりづればなり。 17しかしてそのよく過去すぎされど、かみ御旨みむねおこなひとかぎりなくそんするなり。 18小子せうしよ、すゑときなり、かつキリストきたるとなんぢきしごとく、いますでキリストとれるものおほし。われこれによりてすゑときなるをる。 19彼等かれらわれうちよりでたれど、もとよりわれのものたらざりき。もしわれのものたりしならば、われともとどまりしならん、しかるに[かくごとくなるは]彼等かれらみなわれのものたらざることあきらからんためなり。 20なんぢせいなるものより注油ちゆうゆせられて、一切いつさいことれり。 21なんぢ書贈かきおくりしは、眞理しんりらざるものとしてにあらず、これり、またいつはりすべ眞理しんりよりでざることれるひととして書贈かきおくれるなり。 22いつはものたれぞ、イエズスのキリストにてましまこといなめるひとあらずや。おんちちおよ御子おんこいなめるひとこれこそはキリストなれ。 23すべ御子おんこいなめるひとおんちちをもいうたてまつらず、御子おんこ宣言せんげんするひとおんちちをもいうたてまつるなり。 24ねがはくはなんぢはじめよりきしところなんぢうちとどまらんことを。もしはじめよりきしところなんぢうちとどまらば、なんぢまた御子おんこおよおんちちうちとどまたてまつらん。 25それ御子おんこみづかわれやくたまひし約束やくそくは、すなは永遠えいゑん生命せいめいなり。 26われなんぢまどはす人々ひとびときてこれこと書贈かきおくりたれども、 27なんぢかれよりたまはりし注油ちゆうゆそのとどまりて、ひとをしへらるるをえうせず、その注油ちゆうゆ萬事ばんじきてなんぢをしへ、しかまことにしていつはりあらず、なんぢそのをしへたるままこれとどまれ。 28小子せうしよ、いざしゆうちとどまたてまつれ、しからばそのあらはたまはんときわれはばかところなく、その降臨かうりんおいかれよりはづかしめられじ。 29なんぢかみにてましますことをらば、またひとかれよりうまたてまつりしをわきまへよ。

第3章[編集]

1われかみ子等こどもしようせられ、かつしかあらんためちちわれたまひしあい如何いかなるかをよ。われらざるは、かれたてまつらざるがゆゑなり。 2至愛しあいなるものよ、われいまかみ子等こどもたり、れどその如何いかるべきかはいまだあらはれず、われそのあらはれんときわれかみたてまつるべきをれり、これありままたてまつるべければなり。 3すべこの希望きぼういうするひとは、なほかれきよましますがごとく、おのれきよからしむ。 4すべつみをかひと律法りつぱふをかす、すなはつみ律法りつぱふをかことなり。 5またイエズスのあらはたまひしはわれつみのぞかんためにして、かれいささかつみなきことなんぢところなり。 6すべかれとどまものつみをかさず、すべつみをかひとかれたてまつりしことなくかれたてまつことなし。 7小子せうしよ、たれにもまどはさるることなかれ、もの義人ぎじんなり、なほかれ義人ぎじんにてましますがごとし。 8つみもの惡魔あくまよりのものなり、惡魔あくまはじめよりつみものなればなり。かみ御子おんこあらはたまひしは、惡魔あくまわざほろぼしたまはんためなり。 9すべかみによりてうまたてまつりしひとつみさず、おんたねこれそんすればなり。またつみあたはず、かみによりてうまたてまつりたればなり。 10かみ子等こども惡魔あくま子等こどもとは、ここおいあきらかあらはる、すなはすべさざるひとかみよりのものあらず、兄弟きやうだいあいせざるひとまたしかり、 11たがひあひあいせよとはなんぢはじめよりきしつげなればなり。 12カインのごとすべからず、かれしきものより[のひと]にしておとと絞殺しめころししが、これ絞殺しめころししは何故なにゆゑぞ、おのわざあしくしておととわざただしかりしゆゑなり。 13兄弟等きやうだいたちよ、なんぢにくむをあやしむことなかれ、 14われ兄弟きやうだいあいするによりてより生命せいめいうつされたるをれり、あいせざるひととどまる。 15すべおの兄弟きやうだいにくひと人殺者ひとごろしなり、すべ人殺者ひとごろし永遠えいゑん生命せいめいそのとどまことなきはなんぢところなり。 16われあいさとりたるは、キリストがわれため生命せいめいたまひしをもつてなり、われまた兄弟きやうだいため生命いのちつべし。 17この財産ざいさんてるもの、兄弟きやうだい窮乏きうばふせるをつつ、これおのはらわたぢなば、いかでかかみたいするあいこれとどまことんや。 18わが小子せうしよ、われことばしたとをもつあいすべからず、おこなひまこととをもつてすべし。 19これもつわれみづか眞理しんりによれることる、また御前みまへおいわがこころすすめん、 20けだしわれこころわれとがむるも、かみわれこころより偉大ゐだいましまして萬事ばんじたまふなり。 21至愛しあいなるものよ、もしわれこころわれとがめずば、かみ御前みまへおいはばかところなし、 22また何事なにごとねがふもこれたまはるなり、かみおきてまもりて御意みこころかなふことをおこなへばなり。 23かくそのおきては、すなは御子おんこイエズス、キリストの御名みなしんたてまつり、かつそのわれめいたまひしごとたがひあひあいすべきことこれなり。 24かみおきてまもひとかみとどまたてまつり、かみまたこれとどまたまふ。われかみわれとどまたまことるは、そのわれたまひし[せい]れいによりてなり。

第4章[編集]

1至愛しあいなるものよ、なんぢすべてのれいしんぜずして、れいかみよりのものなりやいなやをこころみよ、おほくの預言よげんしやでたればなり。 2かみれいこれもつるべし、すなは肉身にくしんおいきたたまひしイエズス、キリストを宣言せんげんするれいは、すべかみよりのものなり。 3またイエズスを宣言せんげんせざるれいは、すべかみよりのものにあらず、これキリストのれいなり。なんぢかつきたるをきしが、かれいますでるなり。 4小子せうしよ、なんぢかみよりのものにして、かの預言よげんしやてり、これなんぢましませるものは、るものよりまさたまへばなり。 5彼等かれらよりのものなればしたがひてかたり、しかして彼等かれらく。 6われかみよりのものなり、かみたてまつひとわれき、かみよりならざるひとわれかず。われこれもつ眞理しんりれい誤謬ごびうれいとをる。 7至愛しあいなるものよ、われあひあいすべし、これあいかみよりまたすべあいするひとかみよりうまれてかみたてまつものなればなり。 8あいせざるひとかみたてまつらず、けだしかみあいにてまします。 9かみあいわれおいあらはれしは、かみわれをしてこれによりてきしめんために、そのおん獨子ひとりごつかはしたまひしをもつてなり。 10あいとはこれなり、すなはわれさきかみあいたてまつりしにあらずして、かみおんみづかさきわれあいたまひ、われつみため御子おんこあがなひとしてつかはしたまひしなり。 11至愛しあいなるものよ、かみわれあいたまひしことかくごとくなれば、われまたあひあいすべきなり。 12たれかつかみたてまつりしことなし、われにしてあひあいせば、かみわれうちとどまたまひて、これあいたてまつあいわれおい完全くわんぜんなり。 13われかみとどまたてまつことかみわれとどまたまこととをるは、かみそのれいわれたまひしによりてなり。 14ちち御子おんこ救主すくひぬしとしてつかはしたまひしことは、われ目撃もくげきしてこれしようす。 15およそイエズスがかみ御子おんこにてましますことを宣言せんげんするものは、かみこれとどまたまふ、かれまたかみとどまたてまつる、 16かみわれたいしていうたまへるあいは、われこそこれり、かつしんじたるものなれ。かみあいにてまします、しかしてあいとどまものかみとどまたてまつり、かみまたこれとどまたまふ。 17あいわれおい完全くわんぜんなるは、われ審判しんぱんはばかところなからんためなり、われこのおいしゆたてまつればなり。 18あいにはおそれなし、おそれは苦罰くばつふくむがゆゑに、完全くわんぜんなるあいおそれのぞく、おそるるものあい完全くわんぜんならざるものなり。 19ればわれかみあいたてまつるべし、かみまづわれあいたまひたればなり。 20ひとありて、われかみあいたてまつるとひつつおの兄弟きやうだいにくまば、これ虚言きよげんしやなり、けだしゆる兄弟きやうだいあいせざるものいかでかたまはざるかみあいたてまつることをべき。 21かつかみあいたてまつひとおの兄弟きやうだいをもあいすべしとは、これわれかみよりたまはれるおきてなり。

第5章[編集]

1すべてイエズスのキリストにてましますことをしんずるひとは、かみよりうまたてまつりたるものにして、すべたまひしものをあいするひとは、またかみよりうまたてまつりたりものをもあいするなり。 2われかみあいたてまつりてそのおきて實行じつかうするときこれもつかみ子等こどもあいすることる、 3かみたいするあいは、そのおきてまもるにればなり。かくそのおきてかたきものにあらず。 4けだしすべかみよりうまたてまつりしものつ、しかしてちたる勝利しようりわれ信仰しんかうこれなり。 5ものたれぞ、イエズスがかみ御子おんこにてましますことをしんずるものあらずや。 6これみづとによりてきたたまひしもの、すなはちイエズス、キリストなる、ただみづのみにあらみづとによりてなり。これしようたまふものは[せい]れいにして、[せい]れい眞理しんりにてまします。 7けだしてんおいしようするものみつあり、ちち御言みことば聖霊せいれいこれなり、しかしてこのみつのものはいつたまふ。 8またおいて)しようするものみつあり、れいみづこれなり、しかしてこのみつのものはいつす。 9われひとしようくれば、かみしようさらおほいなり、しかしてかみこのしようおほいなるは御子おんこきてしようたまひしがゆゑなり。 10かみ御子おんこしんたてまつひとおのれうちかみしよういうす、かみしんぜざるひとこれ虚言きよげんしやたてまつものなり、かみ御子おんこきてたまへるしようしんぜざればなり。 11そのしようこれなり、すなはかみわれ永遠えいゑん生命せいめいたまひて、この生命せいめいその御子おんこり、 12御子おんこいうたてまつひと生命せいめいいうし、御子おんこいうたてまつらざるひと生命せいめいいうせざるなり。 13これことなんぢ書贈かきおくるは、かみ御子おんこ御名みなしんたてまつなんぢをして、みづか永遠えいゑん生命せいめいいうせることらしめんためなり。 14また御旨みむねしたがひてねがときは、何事なにごとをもわれたまことは、われかれおい確信かくしんたてまつところにして、 15何事なにごとねがふもわれたまことれば、またねがひしところべきことをもれるなり。 16ひともしおの兄弟きやうだいいたらざるつみをかすをいのるべし、らば生命せいめいいたらざるつみせるひとたまはるべきなり。またいたつみあれば、われこれためねがふべしとはず。 17すべての不義ふぎつみなり、またいたらざるつみあり。 18すべかみよりうまたてまつりたるひとつみさず、かみよりうまたまひしものこれまもたまひて、惡魔あくまこれるることなきはわれこれれり。 19われかみよりのものにして、こぞりて惡魔あくまぞくすることわれこれれり。 20かみ御子おんこわれまことかみらしめ、われそのまこと御子おんこらしめんために、きたりて智識ちしきあたたまへることわれまたこれれり。これまことかみにしてまた永遠えいゑん生命せいめいにてまします。 21小子せうしよ、みづかまもりて偶像ぐうざうとほざかれ。