マルコ聖福音書2 (ラゲ訳)

提供: Wikisource
ナビゲーションに移動 検索に移動

<聖書<我主イエズスキリストの新約聖書

『公敎宣敎師ラゲ譯 我主イエズスキリストの新約聖書』公敎會、

1910年発行

〔ローマ・カトリック訳〕

ラゲ訳新約聖書エミール・ラゲ(Emile Raguet,MEP)

マルコ聖福音書2 第2篇

第11章[編集]

1いつかうかんらんざんもとにて、エルザレムとペッファゼとベタニアとにちかづけるとき、イエズスふたりでしつかはしたまふとて、 2これのたまひけるは、むかひむらけ、そこらば、ただちいまだひとらざるろばつながれたるにはん、きてひききたれ。 3もしひとありて、なにすかとはば、しゆこれえうす、とへ、しからばただちここつかはさん、と。 4でしたちきて、もんぜんつじろばそとつながれたるにひて、これきけるに、 5そこてるひとびとうちに、なんぢろばきてなんとかする、とものありければ、 6でしたちイエズスのめいたまひしごとひしに、ひとびとこれゆるせり。 7かくろばをイエズスのもとひききたり、おのいふくそのうへけしかば、イエズスこれたまへり。 8おほくのひとおのいふくみちき、あるひとびとよりえだきりおとしてみちきたりしが、 9さきのちしたがひとびとよばはりて、ホザンナ、 10しゆによりてきたれるものしゆくせられたまへ、われちちダヴィドのきたくにしゆくせられよ、いとたかところにホザンナ、とたり。 11イエズスエルザレムにり、[しん]でんいたりてあまねみまはたまひしに、ときすでゆふぐれなりしかば、十二にんともにベタニアにたまへり。 12あくるひいちどうベタニアをづるとき、イエズスたまひしが、 13はるかあるいちじくのて、これなにをかだすこともやと、そこいたたまひしに、そとなにをもだしたまはざりき。いちじくときにあらざればなり。 14イエズスこれものいひて、いまよりのちいつまでもなんぢくらひとあらざれ、とのたまひしをでしたちきたりき。 15いちどうエルザレムにいたり、イエズスしん[でん]にたまひて、でんないうりかひするひとびとおひいだはじめ、りやうがえつくゑはとひとびとこしかけとをたふたまひ、 16うつはたづさへて[しん]でんとほことなにびとにもゆるたまはず、 17かれらをしへてのたまひけるは、かきしるして「わがいへばんみんいのりいへとなへられん」とあるにあらずや、しかるになんぢこれがうとうそうくつせり、と。 18しさいちやうりつぱふがくしこれき、いかにしてかイエズスをほろぼさんとあひはかたり、ぐんしゆうこぞりてそのをしへかんたんするによりて、かれおそれたればなり。 19ゆふぐれにはイエズスまちよりたまひしが、 20あさでしたちとほりかかりて、かのいちじくのよりれたるをしかば、 21ペトロおもひいだして、ラビたまへ、のろたまひしいちじくのれたり、とひしに、 22イエズスこたへてのたまひけるは、かみしんかうせよ、 23われまことなんぢぐ、たれにてもあれこのやまむかひ、なんぢけてうみとうぜよとひて、そのこころたじろがず、ところなににてもるべしとしんぜば、そのことかならずらん。 24ゆゑわれなんぢぐ、なんぢなにごとをもいのりてもとむればことごとべしとしんぜよ、らばそのことかならずなんぢらん。 25またいのらんとてときひとたいしてうらみあらばこれゆるせ、これてんましまなんぢちちなんぢつみゆるたまはんためなり。 26なんぢもしゆるさずば、てんましまなんぢちちなんぢつみゆるたまはじ、と。 27いちどうふたたびエルザレムにいたりしが、イエズス[しん]でんうちあゆたまときしさいちやうりつぱふがくしちやうらうちかづきて、 28ひけるは、なんぢなんけんもつこれことすぞ、またこれことすべく、たれか、このけんなんぢさづけしぞ。 29イエズスこたへてのたまひけるは、われいちごんなんぢはん、われこたへよ、らば、われなんけんもつこれことすかをげん。 30ヨハネのせんれいてんよりせしか、ひとよりせしか、われこたへよ、と。 31かれらこころおもんぱかりけるは、てんよりとはんか、らばなんかれしんぜざりしとはれん、 32ひとよりとはんか、じんみんはばかところありと。みなヨハネをしんよげんしやみとめたればなり。 33かくてイエズスにこたへて、われこれらず、とひしかば、イエズスこたへて、われなんけんもつこのことどもすかをなんぢげず、とのたまへり。

第12章[編集]

1イエズス、たとへもつかれらかたりたまひけるは、あるひとぶだうばたけつくりて、かきめぐらし、さかぶねり、ものみだいまうこれこさくにんしてえんぱうたびだちしが、 2きせついたり、こさくにんよりぶだうばたけうけとらしめんとて、ひとりしもべかれらつかはししに、 3こさくにんこれとらへてち、からてにておひかへせり。 4ふたたびしもべつかはししに、かれらまたそのかうべきずつけ、おほいこれはづかしめたり。 5さらしもべつかはししに、かれらこれをもころし、なほそのたすうにんの[つかひ]をも、あるひあるひころせり。 6ここなほひとりさいあいありければ、かれらわがをばうやまふならん、とてさいごこれをもつかはししに、 7こさくにんかたりひけるは、これさうぞくにんなり、いざきたれかしかれころさん、しからばかとくわれものるべし、と。 8すなはとらへてこれころし、ぶだうばたけそとなげうてり。 9ればぶだうばたけぬしいかこれしよぶんせんか。かれまさきたりて、こさくにんうちほろぼし、ぶだうばたけたにんかしあたふべし。 10なんぢいまだこの[せい]しよまざるか、すなはちいへつるひとびとてしいしは、すみおやいしられたり。 11しゆされしことにて、われにはふしぎなり」とあるなり、と。 12しさいちやうりつぱふがくしは、イエズスがおのれしてこのたとへかたたまひしことさとりたれば、これとらへんとはかりたりしも、ぐんしゆうおそれたり。かくつひかれきてりしが、 13ことばじりとらへんために、ファリザイじんとヘロデのともがらとのうちより、あるひとびとをイエズスのもとつかはししに、かれらいたりてこれひけるは、よ、なんぢしんじつにしてたれをもはばからざることはわれこれる、ひとおもてず、しんりによりてかみみちをしたまへばなり。 14セザルにはぜいおさむべきか、またこれおさめざるべきか、と。 15イエズスかれらかうくわつりて、なんぢなんわれこころむるや。デナリオをもちきたりてわれせよ、とのたまひしかば、 16かれらこれもたらせり。のたまひけるは、このざうめいとはたれのなるぞ、と。かれらセザルのなりとひしに、 17イエズスこたへて、らばセザルのものはセザルにかへし、かみものかみかへせ、とのたまひしかば、かれらおほいにイエズスをかんたんたり。 18ふくくわつなしとしゆちようせるサドカイじん、イエズスのもといたり、ひてひけるは、 19よ、モイゼのわれかきのこししところによれば、もしひときやうだいしてつまあとのこし、のこさざるときは、そのきやうだいかれつまめとりてきやうだいためぐべし、とあり。 20しかるにきやうだいにんありて、あにつまめとのこさずしてし、 21そのつぎものこれめとりてまたのこさずしてし、だい三のものまたかくごとくにして、 22にんおなやうこれめとりしかど、のこさず、さいごをんなまたせり。 23かくふくくわつときかれらふくくわつせば、かのをんなたれつまとなるべきか、は七にんみなこれめとりたればなり、と。 24イエズスこたへてのたまひけるは、なんぢせいしよをもかみのうりよくをもらざるがゆゑあやまれるにあらずや。 25けだしししやうちよりふくくわつしたらんときには、めとらずとつがずてんおけてんしたちごとし。 26なんぢししやふくくわつすることきては、モイゼのしよちゆういばらへんかみかれのたまひしところまざりしか、すなはちのたまへらく「われはアブラハムのかみ、イザアクのかみヤコブのかみなり」と、 27ししやかみにはあらず、せいしやかみにてまします。ればなんぢおほいにあやまれり、と。 28ひとりりつぱふがくしは、サドカイじんろんへるをき、イエズスのかれらこたたまひしをて、これちかづき、すべてのおきてうちだい一なるものはいづれぞ、とひしに、 29イエズスこたへてのたまひけるは、すべてのおきてうちだい一なるものはすなはち、「イスラエルよけ、しゆなるなんぢかみゆゐいつかみなり。 30なんぢこころつくし、たましひつくし、こころつくし、つくしてのうりよくつくして、しゆなるなんぢかみあいすべし」と、これだい一のおきてなり。 31だい二もこれおなじく、「なんぢちかものおのれごとあいすべし」とこれなり。これよりおほいなるおきてことなし、と。 32りつぱふがくしひけるは、し、よ、なんぢのたまへるところまことなり。かみゆゐいつにして、かれほかの[かみ]なし。 33またこころつくし、ちゑつくし、たましひつくし、ちからつくしてこれあいすべし、またちかものおのれごとあいするは、すべてのはんさいおよびぎせいまされり、と。 34イエズスかれかしここたへしをて、なんぢかみくにとほからず、とのたまひしが、こののちあへてイエズスにものなかりき。 35イエズス[しん]でんおいをしへつつたまひしときこたへてのたまひけるは、りつぱふがくしいかんぞキリストをダヴィドのなりとふや。 36けだしダヴィドせいれいによりてみづかいはく「しゆわがしゆのたまへらく、われなんぢてきなんぢあしだいすまで、わがみぎせよ」と。 37くダヴィドみづからキリストをしゆとなふるに、これいかにしてそのならんや、と。おびただしきぐんしゆうよろこびてこれけり。 38イエズスをしへきてひとびとのたまひけるは、りつぱふがくしようじんせよ、かれらながころもあることちまたにてけいれいせらるること39くわいどうにてじやうざむることえんせきにてじやうせきことこのみ、 40ながいのりかこつけてやもめいへくひつくすなり。かれらひとしおながしんぱんくべし、と。 41イエズス、さいせんばこむかひして、ぐんしゆうぜになげいるるさまながたまへるに、ふしやおほくはたぶんなげいれたりしが、 42ひとりまづしきやもめきたりて、二ミスタすなはちさんりんばかりれしかば、 43イエズスでしたちよびあつめてのたまひけるは、われまことなんぢぐ、このまずしきやもめは、さいせんばこなげいれたるすべてのひとよりもおほれたり。 44すべてのひとは、そのあまれるうちよりれしに、このをんなそのとぼしきうちより、すべてるものおのくらししろことごとれたればなり、と。

第13章[編集]

1イエズス[しん]でんたまふに、でしひとりよ、たまへ、このいしいかに、このこうざういかに、とひしかば、 2イエズスこたへてのたまひけるは、このいつさいだいけんちくるか、ひとついしくずれずしていしうへのこされじ、と。 3イエズスかんらんざんおいて、[しん]でんむかひてたまへるに、ペトロヤコボヨハネアンデリアことこれひけるは、 4このことどもいつあるべきぞ。しかしてことみなはたされめんときに、いかなるしるしあるべきぞ、われたまへ、と。 5イエズスこたへてかれらのたまひけるは、なんぢひとまどはされじとちゆういせよ。 6おほくのひとわがおかきたりて、われはキリストなりとひて、おほくのひとまどはすべければなり。 7なんぢいくさおよびいくさうはさきておそるるなかれ、このことどもけだしるべし、れどをはりいまだいたらざるなり。 8すなはちたみたみに、くにくにたちさからひ、ぢしんききんしよしよにあらん、これくるしみはじめなり。 9なんぢみづからかへりみよ、けだしひとびとなんぢしゆうぎしよわたし、なんぢしよくわいどうにてむちうたれ、わがためしようことして、そうとくわうこうとのまへたんとす。 10ふくいんまづばんみんのべつたへられるべし。 11ひとびとなんぢきてわたさんときなにはんかとあらかじめあんずることなかれ、ただそのときなんぢたまはらんことへ、ものなんぢあらずしてせいれいなればなり。 12きやうだいきやうだいを、ちちわたし、こどもふたおやたちさからひ、かつこれころさん。 13なんぢわがためすべてのひとにくまれん。れどをはりまでたへしのひとすくはるべし。 14なんぢいとにくむべきくわうはい」の、つべからざるところげんぜんたるをば、ひとさとるべし。ときユデアにひとびとやまのがるべし、 15やねうへひといへうちくだり、いへよりなにものをかとりいださんとてうちるべからず。 16はたけひとそのうはぎらんとてかへるべからず。 17そのあたりてくわいたいせるひとちちのまするひとわざはひなるかな18このことふゆおこらざらんこといのれ。 19そのさいして、かみが[ばんぶつを]さうざうたまひしかいびやくはじめよりいまいたるまでかつらず、のちにもまたらざらんほどなやみあるべければなり。 20しゆもしそのちぢたまはずは、すくはるるひとなからん。れどことえらたまひし、えらまれたるひとびとために、そのちぢたまへり。 21そのときなんぢむかひて、よキリストここり、かしこり、とものありともこれしんずることなかれ。 22キリスト、よげんしやたちおこりて、あたふべくば、えらまれたるひとびとをさへまどはさんとて、おほいなるしるしふしぎなるわざとをすべければなり。 23ればなんぢかへりみよ。われあらかじいつさいなんぢげたるぞ。 24そのときかかくわんなんのちくらみ、つきそのひかりあたへず、 25そらほしち、てんおけのうりよくどうえうせん、 26そのときひとびとは、ひとおほいなるけんりよくえいくわうとをもつて、くもきたるをん。 27ときかれそのつかひたちつかはし、はてよりてんはてまで、しほうよりそのえらまれたるひとかりあつめしめん。 28なんぢいちじくのよりたとへまなべ、そのえだすでやはらぎてしやうずれば、なつちかきをる。 29かくごとく、このことどもるをば、なんぢまたそのちかくしてかどいたれるをれ。 30われまことなんぢぐ、このことどもみなるまではげんだいぎざらん。 31てんちぎん、れどわがことばぎざるべし。 32そのそのときをば、てんおけてんしたちも、も、なにびとらず、ただちちのみ[これたまふ]。 33なんぢちゆういし、けいかいし、かつきたうせよ、けだしときいつなるかをらざればなり。 34あたかひとそのいへりてえんぱうたびだつにあたり、しもべめいじて、おのおのそのつとめわかて、もんばんにはけいかいすることめいじたるがごとし。 35ればなんぢけいかいせよ、いへあるじきたるはいつなるべきか、ゆふぐれなるかよなかなるか、はたとりころなるかあさなるか、これらざればなり。 36おそらくは、かれにはかきたりてなんぢねたるをん。 37われなんぢところすべてのひとふ、けいかいせよ[、とのたまへり]。

第14章[編集]

1すぎこしたねなきぱんとのいはひもはやふつかのちにあるべければ、しさいちやうりつぱふがくしいかたばかりてかイエズスをとらかつころすべき、とあひはかりたりしが、 2いはひびにはこれすべからず、おそらくはじんみんうちさうどうおこらん」とたり。 3イエズスベタニアにりて、らいびやうしやシモンのいへにてしよくたくたまへるに、ひとりをんなあたひたかナルドのかうゆりたるうつはちてきたり、そのうつはりてかれかうべそそぎしかば、 4あるひとびとこころいきどほりて、なんためかうゆかくつひやしたるぞ、 5このかうゆは三百デナリオいじやうりて、ひんしやほどこたりしものを、とひて、みぶるひしつつこのをんないかりたるに、 6イエズスのたまひけるは、このをんなさしおけ、なんこれわづらはすや。かれわれぜんげふししなり。 7ひんしやつねなんぢうちれば、ずゐじこれめぐむことをべけれど、われつねなんぢうちらざればなり。 8このをんなは、そのちからかぎりして、はうむりためあらかじわがあぶらそそぎたるなり。 9われまことなんぢぐ、ぜんせかいいづくにもあれ、ふくいんのべつたへられんところには、このをんなししことそのきねんとしてかたらるべし、と。 10ときに十二にんひとりなるイスカリオテのユダ、イエズスをしさいちやうらんとて、かれらもといたりしが、 11かれらこれきてよろこび、かねあたへんとやくせしかば、ユダいかにしてをりくイエズスをわたさんかと、たくたり。 12かくたねなきぱんいはひはじめすなはちすぎこし[のこひつじ]をほふでしたちイエズスにむかひ、われいづこきてすぎこししよくなんぢためそなへんことほつたまふか、とひしかば、 13イエズスふたりでしつかはすとて、これのたまひけるは、まちけ、しからばみづがめかたにせるひとなんぢはん、そのあとしたがひてき、 14いづこにもあれ、かれいへあるじむかひてへ、いはく、でしともすぎこししよくすべきせきいづこなるぞ、と。 15らば、かれすでととのえたるおほいなるたかまなんぢしめさん、そこにてわれためそなへよ、と。 16でしでてまちいたりしに、ところイエズスののたまひしごとくなりしかば、しよくじじゆんびせり。 17ゆふぐれおよびて、イエズス十二にんともいたり、 18いちどうせききてしよくしつつあるに、イエズスのたまひけるは、われまことなんぢぐ、なんぢうちひとりわれともしよくするもの、われわたさんとす、と。 19かれらうれひて、おのおのわれなるかといひいでしに、 20イエズスかれらのたまひけるは、十二にんひとりにして、われともはちくるもの、すなはちこれなり。 21そもそもひとは、おのれきてかきしるされたるごとくといへどもひとわたものわざはひなるかなこのひとうまれざりしならば、むしろそのりてかりしものを、と。 22でしたちしよくするに、イエズスぱんり、しゆくしてこれき、かれらあたへてのたまひけるは、れよなんぢこれわがからだなり、と。 23またさかづきり、しやしてかれらあたたまひ、みなこれもつみしが、 24イエズスかれらのたまひけるは、これしゆうじんためながさるべきしんやくわがなり。 25われまことなんぢぐ、かみくににて、なんぢともあらたなるものをまんまでは、われいまよりまたこのぶだうしるまじ、と。 26かくさんびかとなをはり、かれらかんらんざんいできしが、 27イエズスのたまひけるは、なんぢみなこよひわれきてつまづかん、かきしるして「われぼくしやたん、かくひつじらされん」とあればなり、 28れどわれふくくわつしたるのちなんぢさきだちてガリレアにかん、と。 29ペトロイエズスにむかひ、たとひみななんぢきてつまづくとも、われしからず、とへるを、 30イエズスのたまひけるは、われまことなんぢぐ、なんぢけふこよひにわとりふたたびまへに、かならみたびわれいなまん、と。 31かれなほいひはりて、たとひなんぢともすとも、われなんぢいなまじ、とひければ、いちどうまたひとしくたり。 32かれらゲッセマニとへるいなかやいたるや、イエズスでしたちむかひ、いのあひだなんぢここせよ、とのたまひて、 33ペトロとヤコボとヨハネとをしたがたまひしに、おそかつしのびがたくなりて、 34かれらのたまひけるは、わがたましひぬばかりにうれふ。なんぢこことどまりてめさめてれ、と。 35かくすこしくすすみて、ひれふし、かなふべくばおのれよりこのときらんこといのたまひしが、 36またのたまひけるは、アバ、ちちよ、なんぢすべあたはざることなし、このさかづきわれよりらしめたまへ、れどおもところごとくにはあらで、おぼしめしままなれかし、と。 37かくきたたまひて、でしたちねむれるを、ペトロにのたまひけるは、シモンなんぢねむれるか、われともに一じかんめさあたはざりしか。 38なんぢいうわくらざらんためめさめていのれ、せいしんはやれどもにくしんよわし、と。 39またきて、おなことばもついのたまひしが、 40またかへりてでしたちねむれるをたまへり。けだしかれらつかれて、イエズスにいかこたふべきかをらざりしなり。 41たびきたりてかれらのたまひけるは、いまはやねむりてやすめ、ことたりれり、とききたれり、いまひとつみびとわたされんとす、 42きよ、われかん、すはわれわたさんとするものちかづけり、と。 43イエズスなほかたたまふに、十二にんひとりなるイスカリオテのユダきたり、しさいちやうりつぱふがくしちやうらうもとよりきたれるおびただしきぐんしゆうつるぎぼうなどをちてこれともなへり。 44イエズスをりたるものかつかれらあひづあたへて、せつぷんするところひとそれなり、とらへてしかひきゆけ、とひいたりしが、 45きたりてただちにイエズスにちかづき、ラビやすかれ、とひてせつぷんせしかば、 46かれらイエズスにけて、これとらへたり。 47かたはらてるものひとりつるぎき、だいしさいしもべちてそのみみきりおとししが、 48イエズスこたへてぐんしゆうのたまひけるは、なんぢがうとうに[むかふ]ごとく、つるぎぼうとをちてわれとらへにいできたりしか、 49われひびに[しん]でんおいて、なんぢうちりてをしへたりしに、なんぢわれとらへざりき。ただしこれ[せい]しよじやうじゆせんためなり、と。 50ときに、でしたちかれきて、みなにげれり。 51ひとりせいねんはだひろぬのまとひたるままイエズスにしたがひたりしが、ひとびとこれをもとらへしかば、 52ひろぬのなげて、はだかにてのがれり。 53かくかれら、イエズスをだいしさいもとひきゆきしに、しさいりつぱふがくしちやうらうみなここあつまりしが、 54ペトロはるかにイエズスにしたがひて、だいしさいなかにはまでもいりみ、しもべともしてあたれり。 55だいしさいおよびぎくわいこぞりて、イエズスをわたさんとし、これしようこもとむれども、ざりき。 56けだしあまたひとかれたいしてぎしようすれども、そのしようこいつちせず、 57またあるものどもちてかれたいしてぎしようし、 58かれにてつくれるこの[しん]でんこぼち、みつかうちべつにてつくらざるものをてんとへるを、われけり、とひしも、 59かれらしようげんいつちせざりき。 60だいしさいまんなかたちあがり、イエズスにひて、かれらよりとがめらるるところたいして、なんぢなにごとをもこたへざるか、とひたれど、 61イエズスもくぜんとして、いちごんこたたまはず、だいしさいふたたびひて、なんぢしゆくすべきかみキリストなるか、とひしかば、 62イエズスこれのたまひけるは、しかり、しかしてなんぢひとぜんのうましまかみみぎして、そらくもきたるをん、と。 63ここおいだいしさいおのいふくき、われなんなほしようにんもとめんや。 64なんぢばうとくことばけり。これいかおもへるぞ、とひしにいちどう、イエズスのつみあたるとさだめたり。 65かくあるものはイエズスにつばきし、みかほおほひ、よげんせよ、とひて、こぶしにてちなどしはじめ、しもべひらてにてこれたり。 66てペトロはしたなるにはりしが、だいしさいげぢよひとりきたりて、 67ペトロのあたれるをしかば、これみつめて、なんぢもナザレトのイエズスとともりき、とひたるに、 68かれいなみて、われらず、なんぢところせず、とひしが、やがにはまへいできしに、にはとりけり。 69またあるげぢよかれて、かたはらてるひとびとむかひ、このひとかれらともがらなり、といひいでけるを、 70ペトロまたいなめり。しばらくありて、かたはらてるひとびとまたペトロにむかひ、なんぢかれらともがらなり、ひとしくガリレアじんなれば、とひしかば、 71ペトロのろかつちかひでて、われなんぢへるかのひとらず、とひしが、 72たちまちにはとりふたたびけり。かくてペトロ、にわとりふたたびまへなんぢみたびわれいなまん、とイエズスののたまひたりしおんことばおもひでて、なきいだせり。