マテオ聖福音書2 (ラゲ訳)

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<聖書<我主イエズスキリストの新約聖書

『公敎宣敎師ラゲ譯 我主イエズスキリストの新約聖書』公敎會、

1910年発行

〔ローマ・カトリック訳〕

ラゲ訳新約聖書エミール・ラゲ(Emile Raguet,MEP)

w:マテオ聖福音書

マテオ聖福音書 第2篇

第3章[編集]

1そのころせんしやヨハネきたりてユデアのあれのをしへべ、 2ひけるは、なんぢかいしんせよ、てんこくちかづけり、と。 3けだしこれよげんしやイザヤによりてはれしひとなり、いはく「あれのよばはるひとこゑありてふ、なんぢしゆみちそなへ、そのこみちなほくせよ」と。 4ヨハネはらくだごろもこしかはおびめ、いなごみつとをじやうしよくたりき。 5ときにエルザレムユデアのぜんこくヨルダン[かは]にへるぜんちはう[のひと]かれもとで、 6おのつみこくはくして、ヨルダンにてせんせられりしが、 7おほくのファリザイじんおよびサドカイじんおのれせんせられんとてきたるをて、ヨハネこれひけるは、まむしすゑよ、きたるべきいかりのがるることたれなんぢをしへしぞ。 8ればかいしんさうたうなるむすべよ。 9なんぢわれちちにアブラハムありとこころうちはんとすることなかれ、けだしわれなんぢぐ、かみこれいしよりアブラハムのためこどもおこすことをたまふ。 10おのすでかれたり、ゆゑすべむすばざるられてなげいれらるべし。 11われかいしんためみづにてなんぢせんすれども、わがのちきたたまものわれよりもちからあり、われそのはきものるにもらず、かれせいれいとにてなんぢせんたまふべし。 12かれありてそのうちばきよめ、むぎくらをさめ、からえざるにてたまふべし、と。 13このときイエズス、ヨハネにせんせられんとて、ガリレアよりヨルダン[かは]にきたたまひしかば、 14ヨハネしてひけるは、われこそなんぢせんせらるべきに、なんぢわれきたたまふか。 15イエズスこたへてのたまひけるは、しばらゆるせ、われただしきことを、ことごとぐるはたうぜんなればなり、と。ここおいてヨハネこれゆるししかば、 16イエズスせんせられてただちみづよりあがたまひしが、をりしもてんかれためひらけ、かみれいはとごとくだりてわがうへきたたまふをたまへり、 17をりしもまたてんよりこゑありて、「これわがこころやすんぜるわがあいしなる」とへり。

第4章[編集]

1てイエズス、あくまこころみられんため、[せい]れいによりてあれのみちびかれたまひしが、 2四十にち四十だんじきたまひしかば、のちたまへり。 3こころむるものちかづきて、なんぢもしかみならば、めいじてこのいしぱんとならしめよ、とひければ、 4イエズスこたへてのたまひけるは、かきしるして「ひとけるはぱんのみによるにあらず、またかみくちよりいづすべてのことばる」とあり、と。 5そのときあくまかれたづさへてせいなるみやこき、[しん]でんいただきたせて、 6ひけるは、なんぢもしかみならばげよ、かきしるして「かみなんぢためそのつかひたちめいたまへり、なんぢあしいしつきあたらざるやうかれらにてなんぢささへん」とあればなり。 7イエズスのたまひけるは、またかきしるして「しゆたるなんぢかみこころむべからず」とあり、と。 8あくままたかれたづさへていとたかやまき、しよこくそのえいぐわとをしめして、 9ひけるは、なんぢもしひれふしてわれはいせば、これのものをことごとなんぢあたへん。 10そのときイエズスのたまひけるは、サタンしりぞけ、けだしかきしるして「なんぢかみたるしゆはいし、これにのみつかふべし」とあり、と。 11ここおいあくまかれはなれしが、をりしもてんしたちちかづきてかれつかへたり。 12イエズスヨハネのとらはれしをたまひしかば、ガリレアにけ、 13ナザレトのまちり、ザブロンとネフタリムとのさかひなるうみべ、カファルナウムにいたりてたまひしが、 14これよげんしやイザヤにりてはれしことじやうじゆせんためなり、 15いはく「ザブロンの、ネフタリムの、ヨルダンのかなたなるうみべみちいはうじんのガリレア、 16くらやみせるじんみんおほいなるひかりかげせるひとびとうへひかりいでたり」と。 17このときよりイエズスはじめをしへべ、「かいしんせよ、けだしてんこくちかづけり」とのたまへり。 18イエズスガリレアのうみべあゆたまふに、ふたりきやうだいすなはちペトロとばるるシモンと、そのきやうだいアンデレアとのうみあみてるを、――ふたりれうしなりき―― 19かれらむかひて、われしたがへ、われなんぢをしてひとすなどものとならしめん、とのたまひしかば、 20かれらただちあみきてしたがへり。 21イエズスここよりすすたまひて、またほかふたりきやうだいすなはちゼベデオのヤコボと、そのきやうだいヨハネとが、ちちゼベデオとともふねにてあみつくのふをこれたまひしに 22かれらただちあみちちとをきてしたがへり。 23イエズスあまねくガリレアをめぐり、しよしよくわいどうにてをしへ、[てん]こくふくいんべ、またみんかんすべてのやまひすべてのわづらひいやたまひければ、 24そのえいせいあまねくシリアにひろがり、わづらへるものさまざまやまひくるしみとにかかれるものあくまかれたるおの、てんかんちゆうぶなやめるものみなかれさしいだしけるに、イエズスこれいやたまひ、 25ガリレアデカポリエルザレム、ユデアまたはヨルダン[がは]のかなたより、おびただしきぐんしゆうきたしたがへり。

第5章[編集]

1イエズスぐんしゆうて、やまのぼりてたまひしかば、でしたちこれちかづきけるに、 2くちひらきて、かれらをしへてのたまひけるは、 3さいはひなるかなこころまずしきひとてんこくかれらものなればなり。 4さいはひなるかなにうわなるひとかれらべければなり。 5さいはひなるかなひとかれらなぐさめらるべければなり。 6さいはひなるかなうゑかわひとかれらかさるべければなり。 7さいはひなるかなじひあるひとかれらじひべければなり。 8さいはひなるかなこころきよひとかれらかみたてまつるべければなり。 9さいはひなるかなわぼくせしむるひとかれらかみこどもとなへらるべければなり。 10さいはひなるかなためはくがいしのひとてんこくかれらものなればなり。 11わがためひとびとなんぢのろひ、かつはくがいし、かついつはりて、なんぢきてあらゆあくせいはなたんときなんぢさいはひなるかな、 12よろこびおどれ、てんおけなんぢむくいはなはだおほかるべければなり。けだしなんぢよりさきりしよげんしやたちはくがいせられたり。 13なんぢしほなり、しほもしそのあじうしなはば、なにもつてかこれしほせん、もはやようなく、そとてられてひとまるべきのみ。 14なんぢひかりなり。やまうへてたるまちかくるることあたはず。 15ひとまたともしびともしてますしたかず、いへすべてのものらさんために、これしよくだいうへく。 16かくごとく、なんぢひかりひとまへかがやくべし、しからばひとなんぢぜんげふて、てんましまなんぢちちくわうえいたてまつらん。 17われりつぱふもしくはよげんしやはいせんとてきたれりとおもふことなかれ、はいせんとてきたりしにはあらず、まつたうせんがためなり。 18けだしわれまことなんぢぐ、てんちぐるまでは、りつぱふより一てんかくすたらずして、ことごとじやうじゆするにいたるべし。 19ゆゑかのもつとちひさおきてひとつはいし、かつそのままひとをしふるものは、てんこくにてもつともちひさものとなへられん、れどこれおこなかつをしふるものは、てんこくにておほいなるものとなへられん。 20けだしわれなんぢぐ、もしなんぢりつぱふがくしファリザイじんそれまさるにあらずば、なんぢてんこくらざるべし。 21ころなかれ、ころひとさいばんせらるべし」と、いにしへひとはれしは、なんぢけるところなり。 22れどわれなんぢぐ、すべそのきやうだいいかひとさいばんせらるべし、そのきやうだいおろかものよとひとしゆうぎしよしよぶんけん、しれものよとひとぢごくあたるべし。 23ゆゑなんぢもしそなへものさいだんささぐるときそこおいて、なににもあれきやうだいうらまるることあるをおもひいださば、 24そのそなへものそこに、さいだんまへさしおき、まずきてきやうだいわぼくし、しかのちきたりてそのそなへものささげよ。 25なんぢあひてともみちうちはやわかいせよ、おそらくはあひてよりはんじわたされ、はんじよりしたやくわたされ、ついかんごくれられん、 26われまことなんぢぐ、さいしゆうの一りんかへまでそこでざるべし。 27なんぢかんいんするなかれ」といにしへひとはれしはなんぢけるところなり。 28れどわれなんぢぐ、すべしきじやうおこさんとてをんなひとは、すでこころうちこれかんいんしたるなり。 29もしなんぢみぎなんぢつまづかさばこれくじりててよ、なんぢりて、ごたいひとつほろぶるは、ぜんしんぢごくなげいれらるるにまさればなり。 30もしなんぢみぎなんぢつまづかさばこれりててよ、なんぢりて、ごたいひとつほろぶるは、ぜんしんぢごくくにまさればなり。 31またなにびとつまいださばこれりえんじやうあたふべし」とはれたることあり。 32れどわれなんぢぐ、すべしつうゆゑならでつまいだひとは、これをしてかんいんせしむるなり、またいだされたるをんなめとひとかんいんするなり。 33またいつはちかなかれ、ちかひたることしゆはたすべし」といにしへひとはれしは、なんぢけるところなり。 34れどわれなんぢぐ、だんじてちかなかれ。てんして[ちかなかれ]、かみぎよくざなればなり。 35して[ちかなかれ]、かみあしだいなればなり。エルザレムをして[ちかなかれ]、だいわうみやこなればなり。 36なんぢかうべしてちかなかれ、ひとすぢかみだも、しろあるひくろくすることをざればなり。 37なんぢただしかしかいないなへ、これよりぐるところあくよりいづるなり。 38またにてを[つぐのひ]、にてを[つぐのふべし]」とはれしはなんぢけるところなり。 39れどわれなんぢぐ、あくにんさからなかれ、ひとなんぢほほたば、の[ほほ]をもこれけよ。 40またなんぢうつたへてしたらんとするひとにはうはぎをもわたせ。 41またなんぢしひて一千あゆませんとするひとあらば、なほ二千かれともあゆめ。 42なんぢひとあたへよ、なんぢらんとするひとそむくることなかれ。 43なんぢちかものあいし、なんぢてきにくむべし」とはれしは、なんぢけるところなり。 44れどわれなんぢぐ、なんぢてきあいし、なんぢにくひとめぐみ、なんぢはくがいかつざんぼうするひとためいのれ。 45これてんましまなんぢちちこどもたらんためなり、ちちぜんにんにもあくにんにもらし、ぎしやにもふぎしやにもあめらしたまへばなり。 46なんぢおのれあいするひとあいすればとて、なんむくいをかべき、みつぎとりしかするにあらずや。 47またおのれきやうだいらにのみあいさつすればとて、なんすぐれたることをかせる、いはうじんしかするにあらずや。 48ゆゑなんぢてんくわんぜんましまごとく、なんぢまたくわんぜんなれ。

第6章[編集]

1ひとられんとてひとまへなんぢさざるやうつつしめ。しからずばてんましまなんぢちちみまへむくいじ。 2ればほどこしすにあたりて、ぎぜんしやひとたふとばれんとてくわいどうおよびちまたごとく、おのまへらつぱくことなかれ。われまことなんぢぐ、かれらすでそのむくいけたり。 3なんぢほどこしすにあたりて、みぎところひだりこれるべからず。 4これなんぢほどこしかくれんためなり。しからばかくれたるにたまなんぢちちなんぢむくたまふべし。 5またいのときぎぜんしやごとることなかれ。かれらひとられんとてくわいどうちまたすみちていのことこのむ。われまことなんぢぐ、かれらすでそのむくいけたり。 6なんぢいのるにおのしつりてぢ、かくれたるにりてなんぢちちいのれ、らばかくれたるにたまなんぢちちなんぢむくたまふべし。 7またいのるにいはうじんごとくりごとすことなかれ、かれらことばおほきにりてききれられんとおもふなり。 8ゆゑかれらならふことなかれ、なんぢちちは、なんぢねがはざるまへそのえうするところたまへばなり。 9ればなんぢいのるべし。てんましまわれちちよ、ねがはくはみなせいられんことを、 10みくにきたらんことを、みむねてんおこなはるるごとにもおこなはれんことを。 11われにちようかてこんにちわれあたたまへ。 12われおのれおひめあるひとゆるごとく、われおひめをもゆるたまへ。 13われこころみたまふことなく、かえつあくよりすくたまへ、(アメン)と。 14けだしなんぢもしひとつみゆるさば、なんぢてんなんぢつみゆるたまふべく、 15なんぢもしひとゆるさずば、なんぢちちなんぢつみゆるたまはざるべし。 16なんぢだんじきするときぎぜんしやごとかなしきさますことなかれ。すなはちかれらは、だんじきするものひとえんためそのがんしよくそこなふなり。われまことなんぢぐ、かれらすでそのむくいけたり。 17なんぢだんじきするときかうべあぶらかつかほあらへ、 18これだんじきするものひとえずして、かくれたるにいまなんぢちちえんためなり、しからばかくれたるにたまなんぢちちなんぢむくたまふべし。 19なんぢおのれためたからたくはふることなかれ、ここにはさびしみやぶり、ぬすびとうがちてぬすむなり。 20なんぢおのれためたからてんたくはへよ、かしこにはさびしみやぶらず、ぬすびとうがたずぬすまざるなり。 21なんぢたからところこころまたればなり。 22なんぢともしびなり。なんぢきよくばぜんしんあきらかにならん、 23なんぢあしくばぜんしんくらからん。ればなんぢひかりすらくらやみならば、くらやみそのものいかがあるべきぞ。 24たれふたりしゆかねつかふることあたはず、あるひひとりにくみてひとりあいし、あるひひとりしたがひてひとりうとむべければなり。なんぢかみとみとにかねつかふることあたはず、 25ゆゑわれなんぢぐ、いのちためなにひ、ためなにんかとおもひわづらなかれ、いのちしょくもつまさり、いふくまさるにあらずや。 26そらとりよ、かれらことなく、ことなく、くらをさむむることなきに、なんぢてんこれやしなたまふ、なんぢこれよりもはるかまされるにあらずや。 27なんぢうちたれか、おもひわづらひてそのせいめいいちちうだもくはふることる。 28またなにとていふくためおもひわづらふや、ゆりいかにしてそだつかをよ、はたらことなくつむことなし、 29れどもわれなんぢぐ、サロモンだも、そのえいぐわきはみおいて、このゆりひとつほどによそほはざりき。 30けふりてあすなげいれらるるくさをさへ、かみよそほはせたまへば、いはんなんぢをや、しんかううすものよ、 31ればなんぢは、われなになになにんかとひておもひわづらふことなかれ、 32これみないはうじんもとむるところにして、なんぢてんは、これものみななんぢえうあるをたまへばなり。 33ゆゑまづかみくにそのとをもとめよ、しからばこれものみななんぢくはへらるべし。 34ればあすためおもひわづらふことなかれ、あすあすみづからおのれためおもひわづらはん、そのそのらうくにてれり。

第7章[編集]

1ひとぜひすることなかれ、らばなんぢぜひせられじ、 2ひとぜひしたるごとくにぜひせられ、はかりたるはかりにてまたはからるべければなり。 3なんぢなんきやうだいちりて、おのうつばりざるや。 4あるひなんぢうつばりあるに、なんきやうだいむかひて、われをしてなんぢよりちりのぞかしめよとふや。 5ぎぜんしやよ、まづおのれよりうつばりのぞけ、しからばあきらかえて、きやうだいよりちりをものぞくべし。 6せいぶついぬあたふることなかれ、またなんぢしんじゆぶたまへぐることなかれ、おそらくはあしにてこれみ、かつかへりみてなんぢまん。 7ねがへ、らばあたへられん、さがせ、しからばみいださん、たたけ、しからば[を]ひらかれん、 8すべねがひとけ、さがひとみいだし、たたひとは[を]ひらかるべければなり。 9あるひなんぢうちたれそのぱんはんにいしあたへんや、 10あるひさかなはんにへびあたへんや。 11ればなんぢあしものながらも、たまものそのどもあたふるをれば、いはんてんましまなんぢちちは、おのれねがひとびとものたまふべきをや。 12ればすべひとされんとほつすることを、なんぢひとせ、けだしりつぱふよげんしやとはそれなり。 13なんぢせばもんよりれ、けだしほろびいたもんひろく、そのみちひろくして、これよりひとおほし。 14ああせいめいいたもんせばく、そのみちせばくして、これみいだひとすくなかな15なんぢよげんしやけいかいせよ、かれらひつじいふくなんぢいたれども、うちあらおほかみなり、 16そのむすによりてかれらるべし。あにいばらよりぶだうり、あざみよりいちじくことあらんや。 17かくごとく、すべむすび、あしあしむすぶ、 18あしむすあたはず、あしむすあたはず。 19すべむすばざるは、られてなげいれらるべし。 20ゆゑなんぢそのむすによりてかれらるべし。 21われしゆしゆよとひとみなてんこくるにはあらず、てんましまわがちちみむねおこなひとこそてんこくるべきなれ。 22かのには、おほくのひとわれむかひて、しゆしゆよ、われは、みなによりてよげんし、かつみなによりてあくまおひはらい、かつみなによりておほくのきせきおこなひしにあらずや、とはんとす。 23そのときわれかれらせんげんせん、われかつなんぢらず、あくものわれれ、と。 24ればすべわがこのことばかつこれおこなひとは、いはうへそのいへてたるかしこひとせられん、 25あめふかはあふかぜきてそのいへきたれども、たほれざりき、いわうへもとゐしたればなり。 26またすべわがこのことばきてこれおこなはざるひとは、すなうへそのいへてたるおろかなるひとん、 27あめふかはあふかぜきてそのいへきたれば、たふれてそのくづれはなはだしかりき、と[をしたまへり。] 28イエズスこれことばのべをはたまひければ、ぐんしゆうそのをしへかんたんたり。 29かれらりつぱふがくしとファリザイじんとのごとくせずして、けんゐあるものごとくにをしたまへばなり。

第8章[編集]

1イエズスやまくだたまひしに、ぐんしゆうおびただしくしたがひしが、 2をりしも、ひとりらいびやうしやきたり、はいしてひけるは、しゆよ、おぼしめしならばわれきよくすることをたまふ、と。 3イエズス、べてかれれ、わがいなりきよくなれ、とのたまひければ、そのらいびやうただちきよくなれり。 4イエズスこれのたまひけるは、つつしみてひとかたなかれ、ただしきておのれしさいせ、かれらへのしようことして、モイゼのめいぜしそなへものささげよ、と。 5かくてイエズスカファルナウムにたまひしが、ひやくふちやうちかづきて、 6ねがひてひけるは、しゆよ、われしもべちゆうぶにていへし、いたくるしめり、と。 7イエズス、われきていやさん、とのたまひしかば、 8ひやくふちやうこたへてひけるは、しゆよ、われふせうにして、しゆわがやねしたたまふにらず、ただひとことばにてめいたまへ、らばわがしもべえん。 9けだしわれひとけんものながら、ぶかへいそつありて、これけとへばき、かれきたれ[とへば]きたり、またわがしもべこれせ[とへば]すなり、と。 10イエズスこれきてかんたんし、したがへるもののたまひけるは、われまことなんぢぐ、イスラエルのうちにても、ほどしんかうひしことなし。 11われなんぢぐ、おほくのひととうざいよりきたりて、アブラハムイザアクヤコブとともてんこくせん、 12れどくにこらそとやみおひいだされん、そこにはなげきはがみとあらん、と。 13かくてイエズスひやくふちやうむかひ、け、なんぢしんぜしごとなんぢれ、とのたまひければしもべそくじえたり。 14イエズスペトロのいへたまひて、かれしうとめねつみてせるを15そのたまひしかば、ねつそのり、きてかれらきふじしたり。 16れてのちひとびとあくまかれたるものおほさしいだししが、イエズスあくまひとことばにておひはらい、びやうしやをもことごといやたまへり。 17これよげんしやイザヤによりてはれしことじやうじゆせんためなり、いはく「かれわれわづらひけ、われやまひたまへり」と。 18イエズスまはりぐんしゆうおびただしきをて、うみかなたかんことめいたまひしかば、 19ひとりりつぱふがくしちかづきて、よ、いづこたまふともわれしたがはん、とひしに、 20イエズスこれのたまひけるは、きつねあなありそらとりあり、れどひとまくらするところなし、と。 21またでしひとりしゆよ、まづきてちちはうむことゆるたまへ、とひしに、 22イエズスのたまひけるは、われしたがへ、しにんをしてそのしにんはうむらしめよ、と。 23イエズスこぶねたまひ、でしたちこれしたがひしが、 24をりしもうみおほいなるあらしおこりて、こぶねなみおほはるるほどなるに、イエズスはねむたまへり。 25でしたちちかづきてこれおこし、しゆよ、われすくたまへ、われほろぶ、とひければ、 26イエズスかれらのたまひけるは、なんおそるるや、しんかううすものよ、と。すなはちおきかぜうみとをいましたまひしに、おほなぎとなれり。 27かくひとびとかんたんして、なにびとぞや、かぜうみこれしたがふよ、とへり。 28イエズスうみかなたなるゲラサじんいたたまひしに、あくまかれたるものふたりはかよりでてむかきたれり。かねてよりそのたけことはなはだしく、たれそのみちざるほどなりしが、 29たちまちさけびてひけるは、かみみこイエズスよ、われなんぢなんかかはりかあらん、ときいまだいたらざるに、われくるしめんとてここきたたまへるか、と。 30しかるにかれらこととおからぬところに、おほくのぶたむれものければ、 31あくまどもイエズスにねがひてひけるは、もしわれここよりおひはらたまはば、ぶたむれうちたまへ、と。 32イエズスかれらに、け、とのたまひしかば、かれらでてぶたき、むれみなあはただしく、がけよりうみとびいりてみづせり。 33ぼくしやげてまちいたり、いつさいことあくまかれたりしひとびとこととをふいちやうせしかば、 34ただちまちこぞりてイエズスをいでむかへ、これるやそのさかひたまはんことへり。

第9章[編集]

1イエズスこぶねり、うみわたりておのまちいたたまひしに、 2をりしもひとびととこせるちゆうぶしやさしいだしければ、イエズスかれらしんかうちゆうぶしやのたまひけるは、よ、たのもしかれ、なんぢつみゆるさる、と。 3をりしもあるりつぱふがくしこころうちに、かればうとくことばけり、とひしが、 4イエズスかれらこころみぬきてのたまひけるは、なんぢなんこころあしことおもふや。 5なんぢつみゆるさるとふと、きてあゆめとふといづれやすき。 6て、ひとおいつみゆるすのけんあることをなんぢらせん、とてちゆうぶしやむかひ、きよ、とこりておのいへけ、とのたまひしかば、 7かれきていへけり。 8ぐんしゆうこれおそれ、かかけんのうひとたまひたるかみくわうえいしたり。 9イエズスここたまとき、マテオとなづくるひとしうぜいしよせるをて、われしたがへ、とのたまひしかばかれちてしたがへり。 10かくてイエズスそのいへしよくたまをりしも、みつぎとりつみびとおほきたりて、イエズスおよびでしたちともしければ、 11ファリザイじんでしたちひけるは、なんぢなにゆゑみつぎとりつみびとしよくともにするぞ、と。 12イエズスきてのたまひけるは、いしやえうするはすこやかなるひとあらずしてめるひとなり。 13なんぢきて「このむはあはれみなり、いけにへあらず」とはなんいひなるかをまなべ。それわがきたりしはぎじんためあらず、つみびとためなり、と。 14ときにヨハネのでしたち、イエズスにちかづきてひけるは、われとファリザイじんとはしばしばだんじきするに、なんぢでしたちなにゆゑだんじきせざるぞ。 15イエズスかれらのたまひけるは、はなむこかいぞへあにはなむこおのれともあひだかなしむをんや、れどはなむこかれらよりうばはるるきたらん、そのときにはだんじきせん。 16あらぬのきれもつふるいふくひとあらず、そのきれいふくきて、やぶれますますおほいなればなり。 17またあたらしきさけふるかわぶくろものはあらず、しかせばかわぶくろやぶさけながれて、ふくろまたすたらん、あたらしきさけあたらしきかわぶくろり、かくふたつながらたもつなり、と。 18イエズスこれことかたたまへるをりしも、ひとりつかさちかづきはいしてひけるは、しゆよ、わがむすめいませり、れどきたりてかれあんしゆたまへ、らばきん、と。 19イエズスちてこれしたがたまひ、でしたちしたがひきけるに、 20をりしもちろうわづらへること十二ねんなるをんなうしろよりちかづきてイエズスのいふくふされたり、 21そのいふくれだにせばわれえん、とこころおもたればなり。 22イエズスふりかへりてこれたまひ、むすめよ、たのもしかれ、なんぢしんかうなんぢいやせり、とのたまふや、むすめそくじえたり。 23イエズスつかさいへいたり、ふえふきさわげるぐんしゆうとをて、 24なんぢしりぞけ、むすめしたるにあらず、いねたるなり、とのたまひければ、ひとびとかれわらへり。 25ぐんしゆういだされしのち、イエズスりてそのたまひしかば、むすめきたり、 26かくこのきこえあまねそのひろがれり。 27イエズスここたまふに、ふたりめしひ、ダヴィドのよ、われあはれたまへ、とさけびつつしたがひしが、 28イエズスいへいたたまひしときめしひちかづきしかば、かれらのたまひけるは、われこれなんぢすことをしんずるか、と。かれらしゆよ、しかり、とこたへければ、 29イエズスそのれて、そのしんかうままなんぢれ、とのたまふや、 30かれらひらけたり。イエズスきびしくかれらいましめて、ひとれざるやうつつしめ、とのたまひしかど、 31かれらいでて、あまねそのにイエズスのうわさいひひろめたり。 32かれらでたるをりしも、ひとびとあくまかれたるひとりおしをイエズスにさしいだししかば、 33あくまおひはらはれておしものいひ、ぐんしゆうかんたんして、かかことかつてイスラエルのうちあらはれしことなし、とひしかど、 34ファリザイじんは、かれあくまおひはらふはあくまかしらるなり、とれり。 35イエズスもろもろまちむらめぐり、そのくわいどうをしへき、[てん]こくふくいんべ、かつもろもろやまひもろもろわづらひいやたまひしが、 36ぐんしゆうて、そのなやみてぼくしやなきひつじごとせるをあはれたまへり。 37でしたちのたまひけるは、かりいれおほけれどもはたらものすくなし、 38ゆゑはたらものそのかりいれつかはさんことを、かりいれぬしねがへ、と。

第10章[編集]

1イエズスおのが十二のでしよびあつめ、これをきどもおひはらひ、もろもろやまひもろもろわづらひいやけんのうたまひしが、 2その十二しとは、だい一ペトロとへるシモン、そのきやうだいアンデレア、 3ゼベデオのヤコボおよびそのきやうだいヨハネ、フィリッポおよびバルトロメオ、トマおよびみつぎとりマテオ、アルフェオの[]ヤコボおよびタデオ、 4カナアンのシモンおよびイエズスをりしイスカリオテのユダこれなり。 5イエズスこの十二にんつかはすとて、めいじてのたまひけるは、なんぢいはうじんみちかず、サマリアじんまちにもらず、 6むしろイスラエルのいへまよへるひつじけ。 7きててんこくちかづけりとのべをしへよ。 8びやうにんいやし、しにんよみがへらせ、らいびやうにんきよくし、あくまおひはらへ。あたひしにけたればあたひしにあたへよ。 9きんぎんまたぜになんぢおびつことなかれ、 10たびぶくろも二まいしたぎも、くつつゑまたおなじ、はたらひとそのかてくるにあたひすればなり。 11いずれのまちむらるも、そのうちふさわしきひとたれなるかをたずねて、いづるまでそことどまれ。 12いへときこのいへへいあんあれかしとひてこれしゆくせよ、 13そのいへはたしてこれあたひするものならば、なんぢの[いのる]へいあんそのうへのぞまん、あたひせざるものならば、そのへいあんなんぢかへらん。 14すべなんぢけず、なんぢことばかざるひとむかひては、そのいへまたまちいであしちりはらへ。 15われまことなんぢぐ、しんぱんあたりて、ソドマじんとゴモラじんとのは、このまちよりもしのやすからん。 16よ、なんぢつかはすは、ひつじおほかみなかに[るるが]ごとし、ゆゑへびごとさとく、はとごとすなほなれ。 17ひとけいかいせよ、なんぢしゆうぎしよわたし、またそのしよくわいどうにてむちうつべければなり。 18またわがためなんぢくわんりていわうまへかれて、かれらおよびいはうじんしようとなることあるべし、 19わたさるるときいかまたなにはん、とあんずることなかれ、ふべきことそのときなんぢたまはるべければなり。 20けだしそのかたるはなんぢあらずして、ちちれいなんぢうちましましてかたたまふなり。 21りながらきやうだいきやうだいわたし、ちちわたし、こどもふたおやさからひ、かつこれころさん、 22またわがために、なんぢすべてのひとにくまれん、れどをはりまでたへしのひとすくはるべし。 23このまちにてはくがいせられなばまちのがれよ、われまことなんぢぐ、ひときたまでに、なんぢイスラエルのまちまちつくさざるべし。 24でしそのまさらず、しもべそのしゆじんまさらざるなり。 25でしとしてはそのごとく、しもべとしてはそのしゆじんごとくなればれり。ひとびとかふをベエルゼブブとなづけたれば、いはんそのやからをや。 26ればかれらおそるるなかれ、おほはれてあらはれざるべきはく、かくれてれざるべきはければなり。 27くらやみおいなんぢことを、なんぢあかるみおいへ、みみててことやねうへにてべよ。 28またころしてたましひころざるものおそるることなかれ、むしろたましひとをぢごくほろぼしものおそれよ。 29すずめは二せんにてるにあらずや、しかなんぢちちによらずしては、そのだもつることあらじ。 30なんぢかみまでもみなかぞへられたり、 31ゆゑおそるることなかれ、なんぢおほくのすずめまされり。 32ればすべてのひとまへわれせんげんするひとは、われまたてんましまわがちちみまへこれせんげんすべく、 33ひとまへわれいなひとは、われまたてんましまちちみまへこれいなむべし。 34われへいわもちきたれりとおもふことなかれ、もちきたれるはへいわあらずしてやいばなり。 35きたれるは、ひとそのちちより、むすめそのははより、よめそのしうとめよりわかつべきなり。 36ひとやからそのあだとなるべし。 37われよりもちちもしくはははあいするひとわれふさはず、われよりももしくはむすめあいするひとわれふさはず、 38またおのじふじかりてわれしたがはざるひとわれふさはざるなり、 39おのせいめいたもひとこれうしなひ、わがためせいめいうしなひとこれたもたん。 40なんぢくるひとわれくるなり、われくるひとわれつかはしたまひしものくるなり。 41よげんしやためよげんしやくるひとは、よげんしやむくいけ、ぎじんためぎじんくるひとは、ぎじんむくいけん。 42たれにもあれ、でしために、ひやみづいつぱいをも、このいとちひさものひとりまするひとは、われまことなんぢぐ、そのむくいうしなふことあらじ、[とのたまへり]。

第11章[編集]

1かくてイエズス十二のでしめいをはたまひて、かれらまちまちをしかつせつけうせんとて、そこたまひしが、 2ヨハネはかんごくりてキリストのわざきしかば、そのでしふたりつかはして、 3かれはしめけるは、きたるべきものなんぢなるか、あるひわれてるものなほほかるか、と。 4イエズスかれらこたへてのたまひけるは、きてなんぢかつところをヨハネにげよ、 5めしひえ、あしなへあゆみ、らいびやうしやきよくなり、みみしひきこえ、ししやよみがへり、ひんしやふくいんかせらる、 6かくわれきてつまづかざるひとさいはひなり、と。 7かれらるや、イエズスヨハネのことぐんしゆうかたたまひけるは、なんぢなにんとてあれのいでしぞ、かぜうごかさるるよしか。 8らばなにんとていでしぞ、やわらかものたるひとか、よ、やわらかものたるひとびとていわういへり。 9らばなにんとていでしぞ、よげんしやか、われなんぢぐ、しかり、よげんしやよりもまされるものなり。 10かきしるして「よ、わがつかひなんぢめんぜんつかははさん、かれなんぢさきだちてなんぢみちそなふべし」とあるは、かれことなり。 11われまことなんぢぐ、をんなよりうまれたるものうちに、せんしやヨハネよりおほいなるものいまだかつおこらず、れどてんこくにてもつともちひさひとも、かれよりはおほいなり。 12せんしやヨハネのよりいまいたりて、てんこくばうりよくおそはれ、ばうりよくものこれうばふ、 13もろもろよげんしやりつぱふとのよげんしたるは、ヨハネにいたまでなればなり。 14なんぢもしさとらんとほつせば、かれきたるべきエリアなり。 15みみてるひとけ。 16げんだいたれたとへんか、あたかちまたせるわらべともだちさけびて、 17われなんぢためふえふきたれどもなんぢをどらず、われなげきたれどもなんぢかなしまざりき、とふにたり。 18けだしヨハネきたりていんしよくせざれば、あくまかれたりとはれ、 19ひときたりていんしよくすれば、かれしよくむさぼさけひとにて、みつぎとりおよびつみびとともなり、とはる。りながらちゑそのただしとせられたり、と。 20てイエズス、きせきおほおこなはれたるまちまちかいしんせざるによりて、これはじたまひけるは、 21わざはひなるかななんぢコロザイン、わざはひなるかななんぢベッサイダ。けだしなんぢうちおこなはれしきせきもしチロとシドンとのうちおこなはれしならば、かれらつとかいしんして、あらごろもまとはひかうむりしならん。 22ればわれなんぢぐ、しんぱんおいて、チロとシドンとはなんぢよりもしのやすからん。 23カファルナウムよ、なんぢなんてんにまでげられんや、まさぢごくにまでもおちいるべし。けだしなんぢうちおこなはれしきせきもしソドマにおこなはれしならば、かれかならこんにちまでなほのこりしならん。 24ればわれなんぢぐ、しんぱんおいて、ソドマのなんぢよりもしのやすからん、と。 25そのときイエズスまたのたまひけるは、てんちしゆなるちちよ、われなんぢしようさんす、これことがくしやちしやかくして、ちひさひとびとあらはたまひたればなり。 26しかちちよ、かくごときはみこころかなひしゆゑなり。 27いつさいものわがちちよりわれたまはれり、ちちほかものなく、およびよりあへしめされたらんものほかに、ちちものなし。 28われきたれ、すべらうくしておもにへるものよ、われなんぢくわいふくせしめん。 29われにうわにしてこころけんそんなるがゆゑに、なんぢみづからわがくびきりてわれまなべ、らばなんぢたましひやすみべし。 30が[はする]くびきこころよく、かろければなり。

第12章[編集]

1そのころ、イエズスあんそくじつあたりて[むぎ]はたけたまひしが、でしたちゑてくひはじめしかば、 2ファリザイじんこれてイエズスにむかひ、よ、なんぢでしたちあんそくじつすべからざることすぞ、とひしに、 3イエズスのたまひけるは、ダヴィドがおのれおよびともなへるひとびとゑしときししことを、なんぢまざりしか。 4すなはちかれかみいへり、しさいならでは、かれともなへるひとびとしよくすべからざる、そなへぱんしよくせしなり。 5またあんそくじつしさいたち[しん]でんにてあんそくをかせどもつみなし、とりつぱふにあるをまざりしか。 6われなんぢぐ、[しん]でんよりもおほいなるものここり。 7なんぢもしこのむはあはれみなり、いけにへあらず」とはなんいひなるかをらば、つみなきひとつみせざりしならん、 8ひとまたあんそくじつしゆなればなり、と。 9イエズスここりて、かれらくわいどういたたまひしに、 10をりしもかたてなえたるひとあり。かれらイエズスをうつたへんとて、あんそくじついやすはきか、とひしかば、 11イエズスのたまひけるは、なんぢうちいつとうひつじてるものあらんに、もしそのひつじあんそくじつあなおちいらば、たれこれとりあげざらんや、 12ひとひつじまされることいくばくぞや。ればあんそくじつぜんすはし、と。 13やがそのひとに、べよ、とのたまひければ、かのばしたるに、そのえてひとしくなれり。 14かくてファリザイじんでて、いかにしてかイエズスをほろぼさんとはかるを、 15イエズスりてここたまひしが、おほくのひとしたがひしかば、ことごとかれらいやし、 16かつわれいひあらはすことなかれ、といましたまへり。 17これよげんしやイザヤによりてはれしことじやうじゆせんためなり、 18いはく「これわがえらみしわがしもべわがこころかなへるさいあいものなる、われかれうへわがれいけり。かれいはうじんせいぎげん。 19あらそはずさけばず、たれちまたそのこゑかず、 20せいぎしようりいたらしむるまで、れたるよしたず、けぶれるあさことなからん、 21またいはうじんかれあふのぞまん」と。 22ときひとりあくまかれてめしくちおしなるものさしいだされしを、イエズスいやたまひて、かれものいかつるにいたりしかば、 23ぐんしゆうみなおどろきて、これダヴィドのあらずや、とへるを、 24ファイリザイひときて、かれあくまおひはらふは、ただあくまかしらベエルゼブブにるのみ、とへり。 25イエズスかれらこころりてのたまひけるは、すべわかあらそくにほろびん、またすべわかあらそまちいへとはたじ。 26サタンもしサタンをおひはらはば、みづからわかるるなり、らばそのくにいかにしてかつべき。 27われもしベエルゼブブにりてあくまおひはらふならば、なんぢこどもたれりておひはらふぞ、ればかれらなんぢしんぱんしやとなるべし。 28れどわれもしかみれいりてあくまおひはらふならば、かみくになんぢいたれるなり。 29またひとまづつよものしばるにあらずんば、いかでかつよものいへりてそのかぐかすむることをん、[しばりて]のちこそそのいへかすむべけれ。 30われくみせざるひとわれはんし、われともあつめざるひとらすなり。 31ゆゑわれなんぢぐ、すべてのつみおよびばうとくひとゆるされん、れど[せい]れいたいするばうとくゆるされざるべし。 32またすべひとたいして[ばうとくの]ことばひとゆるされん、れどせいれいたいしてこれひとは、こののちのよともゆるされざるべし。 33あるひしとしそのをもしとせよ、あるひしとしそのをもしとせよ、そのによりてらるればなり。 34まむしすゑよ、なんぢしければ、いかでかきをふをん、くちかたるはこころてるところよりればなり。 35ひとくらよりものいだし、しきひとしきくらよりしきものいだす。 36われなんぢぐ、すべひとかたりたるむえきことばは、しんぱんおいこれたださるべし。 37なんぢそのことばによりてとされ、またそのことばによりてつみせらるべければなり、と。 38そのときすにんりつぱふがくしおよびファリザイじんかれこたへてひけるは、よ、われなんぢしるしんとほつす、と。 39イエズスこたへてのたまひけるは、かんあくなるげんだいしるしもとむれども、よげんしやヨナのしるしほかしるしあたへられじ。 40すなはちヨナが三うをはらりしごとく、ひとも三よるなからん。 41ニニヴのひとびとは、しんぱんときげんだいともちてこれつみさだめん、かれらはヨナのせつけうによりてかいしんしたればなり、よ、ヨナにまされるものここり。 42なんぱうによわうは、しんぱんときげんだいともちてこれつみさだめん、かれはサロモンのちゑかんとてはてよりきたりたればなり、よ、サロモンにまされるものここり。 43をきひとよりでしときれたるところめぐりてやすみもとむれどもず、 44ここおいて、でしわがいへかへらんとひて、きたりてそのいへすでき、はききよめられかざられたるをるや、 45すなはちきておのれよりもあしななつあくきたづさへ、ともりてここむ。かくかのひとすゑは、まへよりもさらあしくなりまさる。ごくあくなるげんだいまたかくごとくならん、と。 46イエズスなほぐんしゆうかたたまへるをりしも、ははきやうだいたちと、かれものがたりせんとてそとちければ、 47あるひとひけるは、よ、なんぢははきやうだいなんぢたずねてそとてり、と。 48イエズスおのれげしひとこたへてのたまひけるは、たれわがははたれわがきやうだいなるぞ、と。 49すなはちでしたちかたべてのたまひけるは、これわがははわがきやうだいなる、 50たれにもあれ、てんましまわがちちみむねおこなひとすなはちこれわがきやうだいしまいははなればなり、と。

第13章[編集]

1そのイエズスいへでてうみべたまへるに、 2ぐんしゆうおびただしくそのもとあつまりしかば、イエズスこぶねりてたまひ、ぐんしゆうみなはまりしが、 3たとへもつあまたことかれらかたりてのたまひけるは、たねひときにでしが、 4ときあるたねみちばたちしかば、そらとりきたりて、これついばめり。 5あるたねつちすくないしぢちしかば、つちの淺きにりてただちはえいでたれど、 6でてけ、なきにりてれたり。 7あるたねいばらなかちしかば、いばらそだちてこれふさげり。 8あるたねよきつちちて、あるひは百ばいあるひは六十ばいあるひは三十ばいむすべり。 9みみてるひとけ、と。 10でしたちちかづきて、なんたとへもつかれらかたたまふや、とひしかば、 11こたへてのたまひけるは、なんぢてんこくおくぎことたまはりたれども、かれらたまはらざるなり。 12それてるひとなほあたへられてゆたかならん、れどたぬひとそのてるところをもうばはれん。 13たとへもつかれらかたるは、かれられどもえず、けどもきこえず、またさとらざるがゆゑなり、と。 14かくてイザヤのよげんかれらおいじやうじゆす、いはく「なんぢきてきこゆれどもさとらず、ゆれどもみしらざらん。 15えず、みみきこえず、こころさとらず、たちかへりてわれいやされざらんために、このたみこころにぶくなりて、そのみみくにものうく、そのぢたればなり」と。 16なんぢさいはひなり、ゆればなり、なんぢみみも[さいはひなり、]きこゆればなり。 17われまことなんぢぐ、おほくのよげんしやぎじんとは、なんぢところんとほつせしかどえず、なんぢところかんとほつせしかどきこえざりき。 18ればなんぢたねひとたとへけ、 19すべひと[てん]こくことばきてさとらざるときは、あくまきたりてそのこころかれたるものをうばふ、このみちばたかれたるものなり。 20いしぢかれたるは、ことばきてただちよろこくれども、 21おのれなくしばしのみにして、ことばためくわんなんはくがいおこれば、たちまちつまづくものなり。 22いばらなかかれたるは、ことばけども、このこころづかひたからまどひそのことばふさぎて、みのらずなれるものなり。 23よきつちかれたるは、ことばきてさとり、むすびてあるひは百ばいあるひは六十ばいあるひは三十ばいいだすものなり、と。 24イエズスまたほかたとへかれらもちいでてのたまひけるは、てんこくたねそのはたけきたるひとたり。 25ひとびといねたるに、そのてききたりてむぎなかどくむぎきてりしが、 26なへそだちてみのりたるに、どくむぎあらはれしかば、 27しもべちかづきてかふひけるは、しゆよ、たねはたけきたるにあらずや、ればどくむぎなにによりてかえたる。 28かれひけるは、てきなるひとこれせり、と。しもべわれきてこれあつめなばいかに、とひしに、 29かふひけるは、いなおそらくは、なんぢどくむぎあつむるに、これともむぎをもかん。 30かりいれまでふたつながらそだけ、かりいれときわれものむかひて、まづどくむぎあつめてためこれたばね、むぎをばわがくらをさめよ、とはん、と。 31またほかたとへかれらもちいでのたまひけるは、てんこくひとりてそのはたけきたるからしだねたり。 32すべてのたねうちもつともちひさきものなれども、そだちてのちすべてのやさいよりおほきくして、そらとりそのえだきたりてほどる、と。 33またほかたとへかれらかたたまひけるは、てんこくぱんだねたり、すなはちをんなこれりて三なかかくせばことごとふくるるにいたる、と。 34イエズスすべこれことたとへもてぐんしゆうかたたまひしが、たとへなしにはかたたまことなかりき。 35これよげんしやりてはれたりしことじやうじゆせんためなり、いはく「われたとへまうけてくちひらき、はじめよりかくれたることげん」と。 36ぐんしゆうらしめ、いへいたたまひしに、でしたちちかづきて、はたけどくむぎたとへわれたまへ、とひければ、 37こたへてのたまひけるは、たねものひとなり、 38はたけせかいなり、たねは[てん]こくこどもなり、どくむぎあくまこどもなり、 39これきしてきあくまなり、かりいれをはりなり、ものは[てん]たちなり、 40ればどくむぎあつめられてかるるごとく、このつひにもまたしからん。 41ひとそのつかひたちつかはし、かれらそのくによりすべつまづかするものあくものとをあつめて、 42かまれん。そこにはなげきはがみとあらん。 43そのときぎじんたちちちくににてごとかがやかん。みみてるひとけ。 44てんこくはたけかくれたるたからごとし、みいだせるひとこれかくきてよろこびつつり、そのもちものことごとりて、そのはたけふなり。 45てんこくまたしんじゆもとむるあきうどごとし、 46あたひたかしんじゆひとつみいだすや、きてそのもちものことごとりて、これふなり。 47てんこくまたうみりていろいろうをあつむるあみごとし、 48ちたるときひとこれひきげ、はましてうをうつはれ、あしうををばつるなり。 49をはりおいかくごとくなるべし、すなはち[てん]たちでて、ぎじんうちよりあくにんわかち、 50これかまどれん、そこにはなげきはがみとあらん。 51なんぢこのことみなさとりしか、とのたまへるに、かれらしかりとこたへければ、 52イエズスのたまひけるは、ればてんこくことをしへられたるすべてのりつぱふがくしは、あたらしきものとふるきものとをそのくらうちよりいだかふたり、と。 53かくてイエズスこのたとへのたまをはり、そこりて、 54ふるさといたり、しよくわいどうにてをしたまへるに、ひとびとかんたんしてひけるは、かれこのちゑきせきとをいづこよりたるぞ、 55かれしよくにんあらずや、そのはははマリアとばれ、そのきやうだいはヤコボヨゼフシモンユダとばるる[ものども]にあらずや、 56そのしまいみなわれうちるにあらずや。ればこのすべてのこといづこよりきたりしぞ、と。 57ついかれきてつまづたりしに、イエズスのたまひけるは、よげんしやうやまはれざるは、ただそのふるさとそのいへおいてのみ、と。 58かくかれらしんかうりて、あまたきせきそこたまふことあたはざりき。

第14章[編集]

1そのころぶんこくわうヘロデ、イエズスのうはさきて、 2そのしんかひけるは、これせんしやヨハネなり、しにんうちより、よみがへりたるものなれば、ふしぎかれおこなはる、と。 3けだしヘロデかつて、そのきやうだい[フィリッポ]のつまヘロヂアデのことりてヨハネをとらへ、しばりてかんごくれたりき。 4はヨハネかれむかひて、なんぢかのをんなつはからず、とひたればなり。 5かくこれころさんとほつせしかども、じんみんかれよげんしやみとれるをもつこれおそれたりき。 6てヘロデのたんじようあたりて、ヘロヂアデのむすめせきじやうにてをどり、ヘロデのこころかなひしかば、 7ヘロデちかひて、なにものもとむるもこれあたへんとやくせり。 8むすめははむねふくめられて、せんしやヨハネのかうべぼんせてここわれたまへ、とひしかば、 9わうこころうれふれども、ちかひたるがためかつれつせきせるひとびとためついこれあたふることめいじ、 10ひとつかはしてかんごくにヨハネをくびはねたり、 11かくそのかうべぼんせられてむすめあたへられしを、むすめははもちきしが、 12ヨハネのでしたちいたり、そのしかばねりてこれはうむり、かつきてイエズスにげたり。 13イエズスこれたまひて、こぶねにてそこり、さびしきところたまひしが、ぐんしゆうこれきて、まちまちよりかちにてしたがひしかば、 14でてぐんしゆうおびただしきをこれあはれみてそのびやうしやいやたまへり。 15れんとするときでしたちイエズスにちかづきてひけるは、ところさびしくときすでぎたり。むらむらきておのしょくもつはんために、ぐんしゆうをしてらしめたまへ、と。 16イエズスかれらむかひ、ひとびとくをえうせず、なんぢこれしよくあたへよ、とのたまひしかば、 17かれらこたへけるは、われここてるはいつつぱんふたつさかなとのみ。 18イエズスかれらのたまひけるは、われもちきたれ、と。 19かくめいじてぐんしゆうくさうへにすわらせ、いつつぱんふたつさかなとをり、てんあふぎてしゆくし、きてそのぱんでしたちあたたまひ、でしたちまたこれぐんしゆうあたへしかば、 20みなしよくしてあきれり。のこりひろひてくず十二のかごちしが、 21しよくせしものかずは、をんなこどもとをのぞきて五千にんなりき。 22イエズスただちでしたちひてこぶねらしめ、みづからぐんしゆうらしむるに、さきだちてうみかなたかしめたまひしが、 23ぐんしゆうらしめてのちひとりいのらんとてやまのぼり、れてひとりそこたまへり。 24こぶねうみまんなかにて、ぎやくふうためなみただよひてありしが、 25の三ごろイエズスのうみうへあゆみてかれらいたたまひければ、 26かれらうみうへあゆたまふをこころさわぎ、ばけものなりとておそさけべり。 27イエズスただちことばいだして、たのもしかれ、われなるぞ、おそるることなかれ、とのたまひしかば、 28ペトロこたへてひけるは、しゆよ、なんぢならばみづみてなんぢいたことわれめいたまへ、と。 29イエズス、きたれとのたまひけるに、ペトロこぶねよりり、イエズスにいたらんとてみづうへあゆりしが、 30かぜつよきをおそれ、しづまんとせしかば、さけびて、しゆわれすくたまへ、とへり。 31イエズスただちべ、これとらへてのたまひけるは、しんかううすものよ、なにゆゑうたがひしぞ、と。 32すなはちともこぶねりしに、かぜぎたり。 33こぶねゐあはせしひとびとちかづきて、なんぢまことかみなり、とひつつイエズスをれいはいせり。 34ついわたりてゲネザルのいたりしに、 35とちひとびとイエズスをみとめて、そのぜんちはうひとつかはして、すべてのびやうしやこれさしいだし、 36そのいふくふさにだもれんことをねがひたりしが、れたるものことごとえたり。

第15章[編集]

1ときに、エルザレムよりりつぱふがくしとファリザイじんきたり、イエズスにちかづきてひけるは、 2なんぢでしたちなにゆゑこじんつたへおかすぞ。けだしぱんしよくするときあらはざるなり、と。 3こたへてのたまひけるは、なんぢまたおのつたへためかみおきておかすはなんぞや、けだしかみいはく、 4ちちははうやまへ。またちちあるひははのろひところさるべし」と。 5しかるになんぢふ、たれにてもちちあるひははむかひて、わがささげものみななんぢためならんとだにへば、 6そのちちあるひははうやまはずしてなりと、かくなんぢおのつたへためかみおきてむなしくせり。 7ぎぜんしやよ、イザヤはなんぢきてよげんして、 8いへらく「このじんみんくちびるわれうやまへども、そのこころわれとほざかり、 9ひとくんかいをしへていたずらわれたふとぶなり」と。 10イエズスぐんしゆうよびあつめてのたまひけるは、 11なんぢきてさとれ、 12くちものひとけがすにあらず、くちよりづるものこそひとけがすなれ、と。そのときでしたちちかづきてひけるは、ファリザイじんこのことばきてつまづけるをたまふか。 13イエズスこたへてのたまひけるは、すべわがてんたまはざるうゑものかるべし、 14なんぢかのひとびとさしおけ、かれらめしひにしてめしひてびきなり、めしひもしめしひてびきせばふたりともあなおちゐるべし、と。 15ペトロこれこたへて、このたとへわれたまへ、とひしかば、 16イエズスのたまひけるは、なんぢなほちゑなきものなるか、 17すべくち