マタイ伝福音書-第十五章 (文語訳)

提供: Wikisource
ナビゲーションに移動 検索に移動

<マタイ伝福音書 (文語訳)

第15章[編集]

1ここにパリサイびとがくしゃら、エルサレムよりきたりてイエスにふ、 2『なにゆゑなんぢでしは、いにしへのひといひつたへをかすか、しょくじのときにあらはぬなり』 3こたへてたまふ『なにゆゑなんぢらは、またなんぢらのいひつたへによりてかみいましめをかすか。 4すなはかみは「ちちははうやまへ」とひ「ちちまたはははののしものかならころさるべし」とひたまへり。 5しかるになんぢらは「たれにてもちちまたはははむかひて、ところのものはそなへものとなりたりとはば、 6ちちまたはははうやまふにおよばず」とふ。くそのいひつたへによりてかみことばむなしうす。 7ぎぜんしゃよ、うべなるかな、イザヤはなんぢらにきてよげんせり。いはく、

8「このたみくちびるにてわれうやまふ、
されどこころわれとほざかる。
9ただいたづらにわれをがむ。
ひといましめをしへとしをしへて」』

10かくてぐんじゅうせてひたまふ『きてさとれ。 11くちるものはひとけがさず、されどくちよりづるものは、これひとけがすなり』 12ここにでしたちみもときたりていふ『みことばをききてパリサイびとつまづきたるをたまふか』 13こたへてたまふ『わがてんちちたまはぬものは、みなかれん。 14かれらをておけ、めしひてびきするめしひなり、めしひもしめしひてびきせば、ふたりともあなちん』

15ペテロこたへてふ『そのたとへわれらにたまへ』 16イエスたまふ『なんぢらもいまなほさとりなきか。 17すべくちるものははらにゆき、つひかはやてらるることさとらぬか。 18されどくちよりづるものはこころよりづ、これひとけがすものなり。 19それこころよりしきおもひいづ、すなはちひとごろしかんいんいんかうぬすみぎしょうそしり20これらはひとけがすものなり、されどあらはぬにてしょくすることひとけがさず』

21イエスここをりてツロとシドンとのちはうたまふ。 22よ、カナンのをんなそのほとりよりできたり、さけびて『 しゅよ、ダビデのよ、われあはれたまへ、わがむすめあくきにつかれていた くるしむ』とふ。 23されどイエスひとことこたたまはず。でしたちきたひてふ『をんなかへしたまへ、われらのあとよりさけぶなり』 24こたへてひたまふ『われはイスラエルのいへせたるひつじのほかにつかはされず』 25をんなきたりはいしてふ『しゅよ、われたすけたまへ』 26こたへてひたまふ『こどものパンをとりてこいぬあたふるはからず』 27をんないふ『しかり、しゅよ、こいぬしゅじんしょくたくよりおつるたべくずくらふなり』 28ここにイエスこたへてひたまふ『をんなよ、なんぢしんかうおほいなるかな、ねがひのごとくなんぢになれ』むすめこのときよりえたり。 29イエスここり、ガリラヤのうみべにいたり、しかしてやまのぼり、そこにたまふ。 30おほいなるぐんじゅうあしなへかたはめしひおふしおよびほかおほくのものきたりて、イエスのあしもときたれば、いやたまへり。 31ぐんじゅうは、おふしものいひ、かたはえ、あしなへあゆみ、めしひえたるをこれあやしみ、イスラエルのかみあがめたり。

32イエスでしたちをしてたまふ『われぐんじゅうをあはれむ、すでみっかわれとともにをりてくらふべきものなし。ゑたるままにてかへらしむるをこのまず、おそらくはみちにてつかてん』 33でしたちふ『このさびしきにて、おほいなるぐんじゅうかしむべきおほくのパンを、いづこよりべき』 34イエスたまふ『パンいくつあるか』かれらいふ『ななつ、またちひさうをすこしあり』 35イエスぐんじゅうめいじてせしめ、 36ななつのパンとうをとをり、しゃしてこれをさきでしたちにあたたまへば、でしたちこれをぐんじゅうあたふ。 37すべてのひとくらひてき、きたるあまりひろひしに、ななつのかごちたり。 38くらひしものは、をんなこどもとをのぞきてしせんにんなりき。 39イエスぐんじゅうをかへし、ふねりてマガダンのちはうたまへり。