<聖書<我主イエズスキリストの新約聖書
『公敎宣敎師ラゲ譯 我主イエズスキリストの新約聖書』公敎會、
1910年発行
〔ローマ・カトリック訳〕
『ラゲ訳新約聖書』エミール・ラゲ(Emile Raguet,MEP)
テサロニケ後書
1パウロ、シルヴァノ及びチモテオ、我父にて在す神、及び主イエズス、キリストに在るテサロニケ人の敎會に[書簡を贈る]。
2願はくは我父にて在す神、及び主イエズス、キリストより、恩寵と平安とを汝等に賜はらん事を。
3兄弟等よ、我等は絕えず汝等に就きて相當に神に感謝せざるべからず。是汝等の信仰益增加して、面々の愛情も皆互に豐なればなり。
4然れば我等自らも汝等を以て、卽ち其忍べる凡ての迫害及び患難に於る忍耐と信仰とを以て、神の諸敎會の間に誇とす。
5此患難は神の正しき審判の徵にして、汝等が神の國の爲に苦しみて之に入るに足る者とせられん爲なり。
6其は汝等を惱ます人々に惱を以て報い給ふは、神に取りて正當の事なれば、
7惱める汝等にも我等と共に安息を賜ふ事正當なり。是主イエズス、其能力の天使等を隨へて天より顯れ給ふ時の事にして、
8卽ち焔の中に於て、神を知らざる人々、我主イエズス、キリストの福音に從はざる人々に報い給ふ時に當りて、
9彼等は主の御顏と其能力の光榮とを離れて終なき亡の罰を受けん、
10其時主來り給ひて、其聖徒によりて光榮を受け給ひ、信じたる凡ての人より譽を得給ふべし、是我等の證する所、汝等に信ぜられたればなり。
11故に我等常に汝等の爲に祈りて、我神汝等をして其召に適はしめ、且及ぶ限り凡ての善意と信仰の業とを全うし給はん事を願ひ奉る。
12是我神と主イエズス、キリストとの恩寵に由りて、我主イエズス、キリストの御名汝等の中に光榮を着せられ、汝等も彼に在りて光榮を得ん爲なり。
1兄弟等よ、我主イエズス、キリストの再臨に就き、又我等が之と一致すべき事に就きては、
2或は靈により、或は我等より出でしが如き物語、或は書簡によりて、主の日迫れりとて汝等が容易く本心より動かされず、又驚かされざらん事を希ふ。
3誰にも決して欺かるること勿れ、蓋先棄敎の事來りて、罪の人卽ち亡の子顯るるに非ずば、[主の日は來らじ]。
4彼は反對して一切の所謂神、又は禮拜物に激しく立逆らひ、神殿に坐して自ら神たるが如く己を示すにすら至るべし。
5我が尙汝等の中に在りし時、是等の事を言ひ居たりしを、汝等は記憶せざるか。
6彼の時期に至りて顯れしめん爲に今彼を止むる者の何たるかは、汝等の知る所なり。
7蓋不義の奧義は既に活動せり、但今之を止めつつある者の除かるる迄なり。
8其時彼の不義者顯され、主イエズス御口の息を以て之を殺し、己が降臨の光榮を以て之を亡ぼし給ふべし。
9彼者の來るはサタンの勢力に由る事にして、一切の異能の業と徵と僞りの奇蹟と、
10不義の誑惑とを盡して亡ぶる人々に當らん。是彼等が救はるる樣、眞理の愛を受けざりし故なり。然れば神其中に惑を働かしめ給ひて、彼等は僞を信ずるに至らん。
11[10]不義の誑惑とを盡して亡ぶる人々に當らん。是彼等が救はるる樣、眞理の愛を受けざりし故なり。然れば神其中に惑を働かしめ給ひて、彼等は僞を信ずるに至らん。
12[11]是眞理を信ぜずして不義に同意したる人々の悉く審判せられん爲なり。
13[12]然れど主に愛せられ奉る兄弟等よ、我等は常に汝等の爲に神に感謝し奉るべきなり、其は神、[聖]靈によれる成聖と眞理の信仰とによりて救靈を得しむべく、素より汝等を選み給ひたればなり。
14[13]我等の福音を以て汝等を之に召し給ひしも、我主イエズス、キリストの光榮を得しめ給はん爲なり。
15[14]然れば兄弟等よ、毅然として我等の或は物語、或は書簡に由りて習ひし傳を守れ。
16[15]願はくは我主イエズス、キリスト御自ら、并に我等を愛し給ひて恩寵による永遠の慰と善き希望とを賜ひし我父にて在す神、
17[16]汝等の心を勸めて凡ての善き業と言とに堅うし給はん事を。
1其他兄弟等よ、我等の爲に祈れ、是神の御言の汝等の中に於る如く走り弘まり且崇められん爲、
2又妨となる惡き人々より我等の救はれん爲なり。其は一切の人皆信仰あるに非ざればなり。
3然れども神は眞實にて在せば、汝等を堅固ならしめ、且惡より護り給ふべし。
4我等の命ずる事を汝等現に行ひ將來も行ふべきは、我等が主によりて希望する所なり。
5願はくは主、汝等の心を神の愛とキリストの忍耐とに導き給はん事を。
6兄弟等よ、我等は我主イエズス、キリストの御名によりて汝等に命ず、妄に步みて我等より受けし傳に從はざる凡ての兄弟に遠ざかれ。
7如何にして我等を學ぶべきかは、素より汝等の知る所なり、蓋我等は汝等の中に在りて妄に行はず、
8又價なくして人の麪を食せず、却て汝等の一人も煩はさざらん爲に、晝夜勞苦して仕事を爲せり。
9是は權利なかりしが故に非ず、己を以て型とし、汝等をして我等に倣はしめん爲なりき。
10蓋我等汝等の中に在りし時、人若働く事を否まば、亦食すべからず、と命じたりき。
11聞く所によれば、汝等の中には妄に步みて何の業をも爲さず、彷徨ふ人あり、
12我等は斯の如き人に、靜に働きて己の麪を食せん事を、主イエズス、キリストによりて命じ且希ふ。
13兄弟等よ、善業を爲して倦む事勿れ。
14若我等が、此書簡の言に從はざる人あらば、之を認めて自ら耻ぢしめん爲に、之と交ること勿れ、
15然れど之を敵の如くにせず、兄弟として諌めよ。
16願はくは平和の神、何處に於ても汝等に不朽の平和を賜ひ、主汝等一同と共に在さん事を。
17我パウロ手づから書して汝等に宜しくと言ふ、凡ての書簡に於て之を印章とすれば、我が書記す事斯の如し。
18願はくは我主イエズス、キリストの恩寵、汝等一同と共に在らん事を、アメン。