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ソ蒙相互援助議定書

提供:Wikisource


     昭和一一年(一九三六年)三月一二日「ウラン・バトール・ホト」ニ於テ署名

     昭和一一年(一九三六年)三月一二日ヨリ實施


「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府及蒙古人民共和國間政府ハ

千九百二十一年蒙古人民共和國ノ領域ガ赤軍ノ援助ニ依リ「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦ノ領域ニ侵入シタル武力ト聯絡アリタル白衛軍ヨリ解放セラレテ以來兩國間ニ存スル不断ノ友誼關係ニ基キ


極東ニ於ケル和平ノ鴻業ヲ維持シ兩國間ニ存スル友好關係ヲ鞏固ナラシムルコトニ貢獻セントスル希望ニ從ヒ

軍事的攻撃ノ脅威ヲ囘避防止スル爲一切ノ手段ニ依リ相互援助ヲ爲シ且「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦又ハ蒙古人民共和國ニ對シ何レカノ第三國ノ攻撃アル場合ニハ互ニ助力及援助ヲ與フルコトヲ定ムル千九百三十四年十一月二十七日以來兩國間ニ存スル紳士協定ヲ本議定書ノ形態ト爲シ且ツ之ガ爲本議定書ニ署名スルコトニ決セリ

     第一條

第三國ヨリ「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦又ハ蒙古人民共和國ノ領域ニ對シ攻撃ノ脅威アル場合ニハ「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府及蒙古人民共和國政府ハ發生シタル事態ニ付直ニ共同シテ審議シ兩國ノ領域ノ安全ヲ防護スル爲必要ナルコトアルベキ一切ノ措置ヲ執ルコトヲ約ス

     第二條

「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府及蒙古人民共和國政府ハ締約國ノ一方ニ對シ軍事的攻撃アル場合ニハ軍事的助力ヲ含ム一切ノ助力ヲ互ニ與フルコトヲ約ス

     第三條

「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府及蒙古人民共和國政府ハ第一條及第二條ニ掲ゲラルル約定ノ履行ノ爲合意ニ依リ締約國ノ領域ニ駐屯スル他方ノ軍隊ガ千九百二十五年蒙古人民共和國ノ領域ヨリノ「ソヴィエト」軍隊ノ撤退ニ付行ハレタルト同様其ノ駐屯ノ必要止ミタルトキハ遲滞ナク當該國領域ヨリ撤退セシメラルベキコトハ當然ノコトナリト思惟ス

     第四條

本議定書ハ露西亞語及蒙古語ヲ以テ二通ヲ作成シ共ニ正文トス本議定書ハ署名ノ時ヨリ實施セラルベク且右ノ時ヨリ十年間引續キ效力ヲ有スベシ


千九百三十六年三月十二日「ウラン・バトール・ホト」市ニ於テ署名セリ

        在蒙古人民共和國「ソヴィエト」

        社会主義共和國聯邦全権代表

           タイロフ(印)

        蒙古人民共和國小國民議会議長

           アモール(印)

        蒙古人民共和國内閣議長、蒙古

        人民共和國外務大臣

           ゲンドゥン(印)




出典:外務省条約局編『「ソ」聯邦諸外國間條約集』内閣印刷局、昭14年、170-173頁

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