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コリント前書 (ラゲ訳)

提供:Wikisource

<聖書<我主イエズスキリストの新約聖書

『公敎宣敎師ラゲ譯 我主イエズスキリストの新約聖書』公敎會、

1910年発行

〔ローマ・カトリック訳〕

ラゲ訳新約聖書エミール・ラゲ(Emile Raguet,MEP)

コリント前書

第1章

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1かみ思召おぼしめしりてイエズス、キリストの使徒しとされたるパウロ、ならび兄弟きやうだいソステネス、 2コリントにかみ敎會けうくわいすなはちキリスト、イエズスにおいせいとせられ聖徒せいとされたる人々ひとびとおよ彼等かれらところわれところいづれのところにもりて、我主わがしゆイエズス、キリストの御名みなべる人々ひとびと一同いちどうに[書簡しよかんおくる]。 3ねがはくはわがちちにてましまかみおよしゆイエズス、キリストより恩寵おんちよう平安へいあんとをなんぢたまはらんことを。 4キリスト、イエズスにおいなんぢたまはりたるかみ恩寵おんちようきて、われえずなんぢためわがかみ感謝かんしやたてまつる。 5なんぢかれおいて、すべてのをしへすべての智識ちしきなにものにもめるものとなりたればなり。 6けだしキリストの證明しようめいなんぢうちかたくせられたれば、 7なんぢ如何いかなる恩寵おんちようにもくるところなくして、我主わがしゆイエズス、キリストのあらはたまふをてるなり。 8かみなんぢをはりまで堅固けんごならしめ、無罪むざいにして我主わがしゆイエズス、キリストの降臨かうりんいたらしめたまふべし。 9その御子おんこにてましま我主わがしゆイエズス、キリストにくみすべく、なんぢたまへるかみは、眞實しんじつにてましませばなり。 10兄弟等きやうだいたちよ、我主わがしゆイエズス、キリストの御名みなによりてわれなんぢ勸告くわんこくす、なんぢみなところおなじうして、そのあひだ分裂ぶんれつあることなく、同意どういどうせつまつたあひ一致いつちせんことを。 11けだしわが兄弟等きやうだいたちよ、クロエのいへ人々ひとびとよりはうきたりしところれば、なんぢあひだに[種々しゆじゆの]爭論さうろんあるよし12われこれはんに、なんぢおのおのわれはパウロのもの、われはアポルロのものわれはケファのもの、われはキリストのものなりとふ。 13キリストあに分割ぶんかつせられたまひしものならんや、パウロはなんぢため十字架じふじかけられしか、あるひなんぢはパウロのりてせんせられしか。 14われなんぢうち、クリスポとカヨとのほかたれをもせんせざりしことかみ感謝かんしやす、 15れば一人ひとりわがによりてせんせられたりとものはあらじ。 16なほステファナの一家いつかをもせんしたれど、其外そのほかにはわれひとせんしたるをらざるなり。 17けだしがキリストよりつかはされしは、せんするためあらずして福音ふくいんつたへんためなり。しかことば智惠ちゑもつてすべきにあらず、これキリストの十字架じふじかむなしくならざらんためなり。 18けだし十字架じふじかことばほろぶるひとにはおろかなることなれども、すくはるるものすなはわれにはかみ大能だいのうなり。 19かきしるして、「われ智者ちしや智惠ちゑほろぼし、賢者けんじやかしこさをそこなはん」、とあればなり。 20この智者ちしや何處いづこにかる、律法りつぱふ學者がくしや何處いづこにかる、論者ろんしや何處いづこにかる。かみこのならしめたまひしにあらずや。 21けだし[のひと]はその智惠ちゑもつて、かみ全智ぜんち[のわざ]においかみみとめざりしかば、かみ宣敎せんけうもつ信者しんじやすくふをしとしたまへり。 22すなはちユデアじんしるしもとめ、ギリシアじん智惠ちゑたづぬるに、 23われ十字架じふじかけられたまへるキリストを宣傳のべつたふるなり。これユデアじんりてはつまづくもの、ギリシアじんりてはなることなれども、 24されしユデアじんおよびギリシアじんりてはかみ大能たいのうかみ智惠ちゑたるキリストなり。 25かみなるところひとよりもさとく、かみよわところひとよりもつよければなり。 26兄弟等きやうだいたちよ、なんぢされしものよ、にくれる智者ちしやおほからず、有力いうりよくしやおほからず、たふとものおほからず、 27かえつ智者ちしやはづかしめんとて、かみおろかなるところたまひ、つよところはづかしめんとて、かみよわところたまひ、 28げんところほろぼさんとて、かみいやしきところないがしろにせらるるところところをばたまひしなり。 29これ何人なにびと御前みまへおいたかぶらざらんためなり。 30なんぢかみりてこそ、われ智惠ちゑ成聖せいせいあがなひとにたまひしキリスト、イエズスにるなれ。 31これかきしるされたるごとく、「ほこものしゆおいほこらん」ためなり。

第2章

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1兄弟等きやうだいたちよ、われなんぢいたりしとき高尙かうしようなる談話だんわあるひ智惠ちゑもたらして、かみ證明しようめいなんぢげしにあらず。 2けだしわれなんぢうちおいてイエズス、キリスト、しか十字架じふじかけられたまひたるそれほかは、なにをもるをしとせず、 3なんぢうちりて、よわくしてかつおそれ、かつおほいにをののものなりき。 4またわが談話だんわわが宣敎せんけうひと屈服くつぷくせしむる人智じんちことばらずして、聖靈せいれいおよ大能たいのうあらわすにりき。 5これなんぢ信仰しんかう人間にんげん智惠ちゑらずして、かみ大能たいのうらんためなり。 6しかれども完全くわんぜんなる人々ひとびとうちおいては、われ智惠ちゑことかたる。ただこの智惠ちゑあらず、このおけほろぶべき君主くんしゆたち智惠ちゑあらず、 7かたところかみ不可思議ふかしぎなる智惠ちゑにして、すなはち(ながく)かくれたりしもの、かみ代々よよさきだちてわれ光榮くわうえいとして豫定よていたまひしものなり。 8この君主くんしゆたち一人ひとりこれらざりき。けだしりたりしならば、彼等かれらけつして光榮くわうえいしゆ十字架じふじかけざりしならん。 9しかるにかきしるされしごとく、かみこれあいたてまつ人々ひとびとそなへたまひしことこれず、みみこれかず、ひとこころにものぼらざりしを、かみおのれいもつわれあらはしたまひしなり、 10れいかみふかところいたるまで萬事ばんじ洞見みとほたまへばなり。 11けだしひとことは、そのひとれいほかに、如何いかなるひとこれるべき。かくごとかみことまたかみれいほかこれものなし。 12われけしはこのれいあらず、かみよりたまれいにして、かみよりわれたまはりたることらんためなり。 13またわれこれかたるにあたりて、人智じんちをしふることばもつてせず、れいをしたまところもつてして、靈的れいてき事物じぶつ靈的れいてき事物じぶつ引合ひきあはするなり。 14しかるに肉的にくてき人物じんぶつかみれいこと承容うけいれず、これ靈的れいてき是非ぜひすべきものなれば、かれりてはおろかえてこれさとことあたはざるなり。 15しかるに靈的れいてき人物じんぶつ萬事ばんじ是非ぜひして、おのれたれにも是非ぜひせられず。 16けだしたれしゆねんりてこれさとものあらんや、われはキリストのねんいうたてまつる。

第3章

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1兄弟等きやうだいたちよ、われさき靈的れいてき人物じんぶつたいするがごとくにしてなんぢかたことあたはず、肉的にくてき人物じんぶつすなはちキリストにおけ小兒せうにかたるがごとくにして、 2なんぢちちましめ、かた食物しよくもつあたへざりき。これそのときなんぢいまこれかなはざりしゆゑなりしが、なんぢいまなほ肉的にくてき人物じんぶつなるをもつこれかなはざるなり。 3すなはなんぢあひだ嫉妬ねたみ爭論あらそひとあるは、これ肉的にくてきにしてひとごとあゆむにあらずや。 4あるひとわれはパウロのものなりとふを、ひとわれはアポルロのものなりとへば、なんぢなほひとたるにあらずや。らばアポルロ何者なにものぞ、パウロ何者なにものぞ、 5彼等かれらなんぢりてもつしんぜししもべにして、しかしゆおのおのたまひたるままものぎず。 6われゑ、アポルロはみづそそげり、れど發育はついくたまひしはかみなり。 7ればうるひとみづそそひとも、ともかぞふるにらず、ただ發育はついくたまかみあるのみ。 8うるひとみづそそひとひとつにして、おのおのそのらうしたがひ、面々めんめんむくいくべきなり。 9けだしわれかみ助手じよしゆにして、なんぢかみ耕作かうさくなり。かみ建築けんちくぶつなり。 10われは、たまはりたるかみ恩寵おんちようしたがひて、さと建築けんちくしやごと基礎どだいゑしに、他人たにんそのうへ建築けんちくす、おのおの如何いかにしてそのうへ建築けんちくすべきかをおもんぱかるべし。 11ゑられたる基礎どだいすなはちキリスト、イエズスをのぞきては、たれ基礎どだいことあたはざればなり。 12ひともしこの基礎どだいうへに、きんぎん寳石ほうせきくさわらもつ建築けんちくせば、 13面々めんめん建物たてものあらはれん、けだししゆおいあきらかにせらるべし、もつあらはされ、面々めんめん建物たてもの如何いかんためすべければなり。 14もしたれにもあれ、そのうへ建築けんちくしたる建物たてものにしてこれへなば、そのひとむくいべく、 15もしその建物たてものけなばそのひとそんけん、れどおのれほとんたるごとくにすくはるべし。 16なんぢそのかみ聖殿せいでんなることかみれいなんぢうちたまことらざるか。 17ひともし神殿しんでんこぼたばかみこれほろぼしたまふべし、けだし神殿しんでんせいにしてなんぢすなはそれなり。 18たれみづかあざむくことなかれ、なんぢうちおのれさとしとおもものあらば、智者ちしやたらんためこのおいおろかなるべし。 19この智惠ちゑかみ御前みまへおろかなればなり。けだしかきしるして、「われ智者ちしやその狡猾かうくわつによりてとらへん」、とあり。 20また、「しゆ智者ちしやおもひいたづらなるをたまふ」、とあり。 21ればたれひともつほこりすべからず、 22けだし萬事ばんじなんぢのものなり、あるひはパウロ、あるひはアポルロ、あるひはケファ、あるひあるひせいあるひあるひ現在げんざいことあるひ未來みらいことすなは一切いつさいなんぢのものなり、 23れどなんぢはキリストのものにして、キリストはかみのものなり。

第4章

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1ればひとよろしく、われをキリストのしもべかみ奧義おくぎ分配ぶんぱいしやおもふべし。 2分配ぶんぱいしや要求えうきうするところその忠實ちゆうじつなることなれど、 3われなんぢにより、あるひひと裁判さいばんによりて是非ぜひせらるることを、いささかず、またみづか是非ぜひすることをもざるなり。 4けだし良心りやうしんなんとがむることはなけれども、これりてとせらるるにはあらず、われ是非ぜひたまものしゆなり。 5ればなんぢしゆきたたままでは、ときさきだちて是非ぜひすることなかれ、しゆ暗夜あんやかくれたるところををらし、こころはかりごとあばたまふべし、そのとき面々めんめんかみよりほまれん。 6兄弟等きやうだいたちよ、これことを、われとアポルロとにひきててひしは、これなんぢためすなはわれれいもつて、かきしるされたる以外いぐわいに、一人ひとり一人ひとりみさげてほこらざらんことなんぢまなばしめんためなり。 7けだしなんぢ差別さべつするものたれぞや、なんぢてるものにして、もらはざりしものなにかある、もらひしならば、なんもらはざりしがごとくにほこるや。 8なんぢすであきれり、すでめり、我等われらさしおきてわうとなれり。しかなんぢわうたれかし、らばわれなんぢともわうたるをん。 9けだしわれおもふに、かみ使徒しとたるわれを、しりへものさだまりたるものとしてたまへり。すなはわれぜん世界せかい天使等てんしたちにも人間にんげんにも觀物みものとせられたるなり。 10われはキリストのため愚者ぐしやなるに、なんぢはキリストにおい智者ちしやなり、われよわくしてなんぢつよく、なんぢたふとくしてわれいやし。 11いまときいたまでも、われゑ、またかわき、また素肌すはだなり、またほほたれ、またさだまれる住所すみかなく、 12また手業てわざいとなみてらうし、のろはれてはしゆくし、迫害はくがいせられてはしのび、 13ののしられてはいのり、いまいたまであくた衆人しゆうじん捨物すてものごとくになれり。 14かきしるせるは、なんぢはづかしめんとにはあらず、ただわが至愛しあいなるとしていましむるのみ。 15けだしなんぢキリストにおいて、いちまんありともちち數多かずおほからず、福音ふくいんもつなんぢをキリスト、イエズスにみたるはわれなればなり。 16ゆゑわれなんぢこひねがふ、(がキリストにならへるごとく)なんぢわれならへ。 17われこれために、しゆおい忠實ちゆうじつなるわが至愛しあいチモテオをなんぢつかはしたるが、かれはキリスト、イエズスにおけわがみちすなはいたところかく敎會けうくわいをしふるところを、なんぢおもひいださしめん。 18ある人々ひとびとわれなんぢいたらずとてほこれども、 19しゆ思召おぼしめしならば、われすみやかなんぢいたり、ほこれる人々ひとびとことばさしおきてその實力じつりよくらんとす。 20これかみくにことばにあるにあらずして實力じつりよくにあればなり。 21なんぢいづれをかのぞめる、むちもつなんぢいたらんことか、はたあい溫和をんわこころとをもついたらんことか。

第5章

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1とりすべところによれば、なんぢうち私通しつうあり、しか異邦いはうじんうちにもらざるほど私通しつうにして、あるひとそのちちつまめとれりとふ。 2かくてもなんぢたかぶるか、これおこなへるひとなんぢうちよりのぞかれんことのぞみてなげかざるか。 3われこそは其處そこらざれど、精神せいしんにては其處そこりてみづからこれのぞめるがごとく、しかおこなひしひとすで裁判さいばんせり。 4すなは我主わがしゆイエズス、キリストの御名みなり、なんぢわれ精神せいしんあひがつして、我主わがしゆイエズス、キリストの權力けんりよくもつて、 5かかともがらをサタンにわたす。これ肉體にくたいほろぶるも、精神せいしん我主わがしゆイエズス、キリストのおいすくはれんためなり。 6なんぢほこれるはことあらず、わずかたねぱん全體ぜんたいふくらすとらずや。 7なんぢすで無酵たねなきぱんとなりしごとく、ふるたねのぞきてあたらしきぱんたるべし。は、われ過越すぎこし[の犧牲いけにへ]たるキリストはほふられたまひたればなり。 8ゆゑわれふる麪酵ぱんだねおよ惡事あくじ不義ふぎとの麪酵ぱんだねもちひずして、純粹じゆんすゐ眞實しんじつとの無酵たねなきぱんもちひていははざるべからず。 9われかつ書簡しよかんにて私通しつうしやまじはなかれと書贈かきおくりしが、 10この私通しつうしやあるひ貪欲どんよくしやあるひ掠奪りやくだつしやあるひ偶像ぐうざう崇拜すうはいしやまじはなかれとにはあらず、もししからば、なんぢこのらざるをざりしならん。 11れどもまじはなかれといま書贈かきおくるは、もし兄弟きやうだいなづけらるるひとにして、私通しつうしやあるひ貪欲どんよくしやあるひ偶像ぐうざう崇拜すうはいしやあるひ侮辱ぶじよくしやあるひ酩酊めいていしやあるひ掠奪りやくだつしやならば、かかひと食事しよくじともにすることなかれとなり。 12われいかでかそとひとさばことあらんや。なんぢさばくはうちなるひとあらずや。 13けだしそとひとをばかみさばたまふべき。惡人あくにんなんぢうちよりとりのぞけ。

第6章

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1なんぢうちあひ關係くわんけいせる事件じけんあるときその審判さばき聖徒せいとねがはずして、ただしからざる人々ひとびとねがことあへてするものあるはなんぞや。 2聖徒せいとこのさばくべきものなりとらずや、ればなんぢよりさばかるべきに、なんぢは、きわめて些細ささいなることさばくにらざるか。 3らずやわれ天使等てんしたちさばくべきものなり、いわんことをや。 4ゆゑもしさばくべきこの事件じけんあらば、これさばため敎會けうくわいうちいやしき人々ひとびとてよ。 5へるはなんぢはづかしめんとてなり。らばその兄弟きやうだいあひだことさばくべきかしこものなんぢうち一人ひとりらざるか。 6しかるを兄弟きやうだい兄弟きやうだい相手取あいてどりて、しか信者しんじやまへ訴訟そしようおこす。 7たがひ訴訟そしようのあることすら、すでうたがひもなくなんぢうち失態しつたいなり。何故なにゆゑむしろ不義ふぎけざる、何故なにゆゑむしろがいしのばざる、 8かえつなんぢみづか不義ふぎ詐欺さぎとをし、しか兄弟きやうだいたいしてこれせるはなんぞや。 9不義ふぎしやかみくにことなしとらずや。あやまることなかれ、私通しつうしやも、偶像ぐうざう崇拜すうはいしやも、姦淫かんいんしやも、 10男娼だんしやうも、男色だんしよくしやも、盜賊たうぞくも、貪慾どんよくしやも、酩酊めいていしやも、侮辱ぶじよくしやも、掠奪りやくだつしやも、かみくにざるべし。 11なんぢうちある人々ひとびとさきにはかくごとものなりしかど、我主わがしゆイエズス、キリストの御名みなにより、またわがかみれいによりて、すであらひきよめられ、せいとせられ、とせられたり。 12何事なにごとわれなりといへども、みなえきあるにはあらず。何事なにごとわれなりといへども、われけつしてなにもの奴隷どれいともならじ。 13食物しよくもつはらためはら食物しよくもつためなれども、かみこれかれともほろぼしたまふべし。肉體にくたい私通しつうためあらずしてしゆためなり、しゆまた肉體にくたいためなり。 14そもそもかみしゆ復活ふくくわつせしめたまひたれば、能力ちからもつわれをもまた復活ふくくわつせしめたまふべし。 15なんぢからだはキリストのえだなりとらずや、らばキリストのえだうばひて娼婦しやうふえださんか、[否々いないな]。 16娼婦しやうふひとこれ一體いつたいになるとらずや、すなはいはく、「二人ふたり一體いつたいらん」と、 17れどしゆひといつれいとなるなり。 18私通しつうけよ、ひとをかつみいづれもほかれども、私通しつうするひとおのをかすなり。 19またなんぢ五體ごたいかみよりたまはりて、なんぢうちましま聖靈せいれい神殿しんでんなることなんぢなんぢみづからのものにあらざることらざるか。 20けだしなんぢ高價かうかもつはれたり、おのおいかみ光榮くわうえいたてまつれ。

第7章

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1なんぢわれ書贈かきおくりしこときては、をとこをんなれざるはことなり。 2れど私通しつうまぬかれんためにはおのおのつまあるべく、をんなおのおのをつとあるべく、 3をつとつま負債ふさいはたし、つままたをつとしかすべきなり。 4つまその權利けんりいうせずしてをつとこれいうするとともに、をつとまたその權利けんりいうせずしてつまこれいうす。 5あひこばことなかれ、ただいのり從事じゆうじせんとて合意がふいうへしばらこれむるも、ふたたともそのことかへるべし、これなんぢ色情しきじやうきてサタンにいざなはれざらんためなり。 6へるは、命令めいれいあらずして許可ゆるしなり。 7けだしのぞところは、なんぢみなごとくならんことなりといへども、ひとおのおの固有こいうたまものかみて、一人ひとりごと一人ひとりごとし。 8れば婚姻こんいんさざるひとおよ寡婦やもめむかひてわれふ、そのまましかごとくにしてらんは、彼等かれらりてことなり。 9れどもしみづかせいすることあたはずば、よろしく婚姻こんいんすべし、婚姻こんいんするは[むねの]ゆるにまさればなり。 10婚姻こんいんりてむすばれたる人々ひとびとには、つまをつとわかるることなかれとめいず。これわれあらずしてしゆめいたまところなり。 11もしわかるることあらばそのままにしてとつがず、あるひをつと和合わがふすべし、をつとまたつま離緣りえんすべからず。 12其他そのた人々ひとびとにはわれはん、しゆのたまふにあらず、もし兄弟きやうだい信者しんじやなるつまてるものあらんに、そのつまかれ同居どうきよすること承諾しようだくせば、これ離別りべつすることなかれ。 13もしまた信者しんじやたるをんな信者しんじやなるをつとてることあらんに、をつとこれ同居どうきよすること承諾しようだくせば、をつとはなれるべからず。 14けだし信者しんじやなるをつとは(信徒しんとたる)つまによりてせいとせられ、信者しんじやなるつまも(信徒しんとたる)をつとによりてせいとせられたるなり。しからざればなんぢ子等こどもきよからざるべしといへども、いま彼等かれらせいたるなり。 15信者しんじやもしみづからばるにまかせよ、かかときあたりて、兄弟きやうだいあるひ姉妹しまい奴隷どれいたるべきにあらず、かみ平和へいわわれたまへるなり。 16けだしつまよ、なんぢいかでかをつとすくふべきやいなやをらん、またをつとよ、なんぢいかでかつますくふべきやいなやをらん。 17ただしゆ面々めんめん分配ぶんぱいたまひしままに、かみ面々めんめんたまひしままあゆむべし、すべての敎會けうくわいおいをしふるところかくごとし。 18ひと割禮かつれいありてされたらんか、割禮かつれいつつことなかれ、ひと割禮かつれいなくしてされたらんか、割禮かつれいくることなかれ、 19かひあるは割禮かつれいあらず、また割禮かつれいあらず、かみおきてまもことこれなり。 20おのおのされしとき身分みぶんとどまるべし。 21なんぢ奴隷どれいにしてされたらんか、これおもわづらことなかれ、假令たとひ自由じいうとなることるも、一層ひとしほ利用りようせよ。 22けだし奴隷どれいにしてしゆされたるものしゆおいては自由じいうとなりしものおなじく自由じいうにしてされたるものはキリストの奴隷どれいたるなり。 23なんぢあたひもつはれたり、ひと奴隷どれいとなることなかれ。 24兄弟等きやうだいたちよ、おのおのされたるままに、かみりてこれとどまるべし。 25童貞女どうていぢよきては、我主わがしゆめいけざれども、しゆより慈悲じひかうむりたるものとして、忠實ちゆうじつならんため意見いけんあたへんとす。 26れば目前もくぜん困難こんなんためにはわれこれしとおもふ。そのままなるはひとりてければなり。 27なんぢつまつながれたるか、かるることもとむるなかれ、つまほだされざるか、つまもとむることなかれ。 28假令たとひなんぢつまめとるもつみとならず、童貞女どうていぢよするもまたつみとならず、ただしかかひと肉身上にくしんじやう困難こんなんけん、われなんぢこれふことををしむ。 29兄弟等きやうだいたちよ、へるはこれなり、ときちぢまりぬ、ればつまてるひとたざるがごとく、 30ひとかざるがごとく、よろこひとよろこばざるがごとく、ひとたざるがごとく、 31この利用りようするひと利用りようせざるがごとくになるべきほかなし、このすがたすぎくものなればなり。 32かくわれなんぢおもわづらはざらんことをのぞむ。つまなきひとは、如何いかにしてしゆよろこばしめんかと、しゆことおもわづらふに、 33つまともひとは、如何いかにしてつまよろこばしめんかと、ことおもわづらひてこころわかるるなり。 34婚姻こんいんせざるをんな童貞女どうていぢよとは、身心しんしんともせいならんためしゆことおもひ、婚姻こんいんしたるをんなは、如何いかにしてをつとよろこばしめんかと、ことおもふなり。 35そもそもこれへるは、なんぢえきあらんがためにして、なんぢわなけんとするにあらず、むしろなんぢをして貞潔ていけつすすましめ、餘念よねんなくしゆ奉侍ほうじすることしめんためなり。 36ひとありてもしわがむすめ童貞女どうていぢよとしぎたるをはづかしとし、しかせざるをずとおもはば、そののぞところおこなへ、むすめ婚姻こんいんするもつみをかすにはあらず。 37れどひとありて、こころかたけつするところあり、必要ひつえうにもせまられず、我意わがいままことおこな權力けんりよくありて、こころうちむすめ童貞女どうていぢよにしてたもつをしとさだめたらんときに、しかするはことなり。 38ればおの童貞女どうていぢよ婚姻こんいんむすばしむるひとことし、むすばしめざるひとさらことすなり。 39をんなをつとけるあひだつながるれども、をつと永眠えいみんすれば自由じいうなり、よろしくのぞみひととつぐべし、ただしゆおいすべきのみ。 40れど意見いけんしたがひてもしそのままとどまらば、さいはひ一層ひとしほなるべし、われかみれいいうたてまつおもふなり。

第8章

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1偶像ぐうざう供物くもつきては、われみな知識ちしきあることる。知識ちしきたかぶらすれどもあいとくつ。 2もしひとありてなにをかれりとおもはば、いま如何いかるべきかをらざるものなり、 3ひともしかみあいたてまつらばこれかみしられたるものなる。 4偶像ぐうざう供物くもつしよくすることきては、偶像ぐうざうなにものにもあらざることまたひとつほかかみあらざることわれこれる。 5所謂いはゆる神々かみがみてんにもにもりて、おほくのかみおほくのしゆあるがごとくなれども、 6われにはちちにてましまかみただひとつあるのみ、萬物ばんぶつかれりてり、われまたかれためなり。またひとりしゆイエズス、キリストあるのみ、萬物ばんぶつこれりてり、われこれる。 7しかれども知識ちしき各自かくじこれあるにあらず、ある人々ひとびとは、いまいたるも偶像ぐうざうものめかしくおもひて、これ供物くもつとしてものしよくすれば、その良心りやうしんよわきものなるがゆゑに、これりてけがさるるなり。 8れど食物しよくもつかみ御前みまへおいわれ引立ひきたつるものにあらず、けだししよくするもまさことなく、しよくせざるも*くることなかるべし。 9ただなんぢその自由じいうが、よわひとつまづかせざるやう注意ちゆういせよ。 10けだしひともし知識ちしきあるもの偶像ぐうざうだうおい食卓しよくたくけるをば、その良心りやうしんよわきによりて、おのれいざなはれて偶像ぐうざう供物くもつしよくするにいたるべきにあらずや。 11かくてキリストのしてあがなたまひしよわ兄弟きやうだいは、なんぢ知識ちしきためほろぶべし。 12なんぢ兄弟きやうだいつみをかして、そのよわ良心りやうしんきずつくるは、これキリストにたいたてまつりてつみをかすなり。 13ゆゑもし食物しょくもつわが兄弟きやうだいつまづかするならば、われ兄弟きやうだいつまづかせざらんために、何時いつまでもにくしよくせじ。

第9章

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1われ自由じいうならずや、使徒しとならずや、我主わがしゆイエズス、キリストをたてまつりしにあらずや、なんぢしゆるは、わがわざならずや。 2われ假令たとひひとりては使徒しとあらずとするも、なんぢには使徒しとなり、なんぢしゆおいわが使徒しとしよく印章いんしやうなればなり。 3われ人々ひとびとたいするわが答弁たふべんそれなり。 4われ飲食いんしよくするけんなきか、 5使徒しとたちしゆ兄弟等きやうだいたちおよびケファのごとく、姉妹しまいなるをんなたづさふるけんなきか、 6またただわれ一人ひとりとバルナバとのみ勞働らうどうせざるけんなきか。 7たれみづか費用ひようべんじていくさづるものあらんや、たれ葡萄ぶだうゑんゑてそのしよくせざるものあらんや、たれむれぼくしてむれちちまざるものあらんや。 8われあに人間にんげん通例つうれいりてのみかかことはんや、律法りつぱふふにあらずや。 9すなはちモイゼの律法りつぱふかきしるして、「なんぢ穀物こくもつ踏碾ふみこなうしくちむすことなかれ」、とあり、かみうしためおもんぱかたまへるか、 10これのたまへるはじつわれためなるか、しかわれためかきしるされたるなり。けだしたがやもの希望きぼうもつたがやし、穀物こくもつ踏碾ふみこなものそのるの希望きぼうもつてすべきなり。 11なんぢうち靈的れいてきものきたるわれなれば、なんぢ肉的にくてきもの刈取かりとるとも、あに大事だいじならんや。 12ひとなんぢうへそのけんいうするに、われなにもつてか一層ひとしほしからざらんや。しかれどもわれこのけん利用りようせずして、いささかもキリストの福音ふくいんさまたげざらんために、何事なにごとをもしのぶなり。 13なんぢらずや、聖職せいしよくいとな人々ひとびとは[せい]殿でんものしよくし、また祭壇さいだんつかふる人々ひとびと祭壇さいだん分配ぶんぱいあづかる。 14かくごとく、しゆまた福音ふくいんぶる人々ひとびと福音ふくいんりて生活せいくわつすることさだたまひしなり。 15われかかことひとつ利用りようせざりしに、しかこれ書送かきおくるは、かくごとられんとにはあらず、この名譽めいよてんひとうばはるるよりは、むしろするこそわれりてければなり。 16けだし福音ふくいんぶるも、これもつ名譽めいよとするにあらず、われその必要ひつえうせまれるなり。福音ふくいん宣傳のべつたへざらんは、われりてわざはひなればなり。 17すなはこころよこれせばむくいこころならずこれすも、そのつとめわれゆだねられたるなり。 18らばわがむくい如何いかなるものぞ、福音ふくいんべて、ひとつひえなく福音ふくいんさせ、福音ふくいんおけわがけん利用りようせざることこれなり。 19けだしわれ衆人しゆうじんたいして自由じいうなれども、るべくおほくのひとまうけんために、もつ衆人しゆうじん奴隷どれいとなせり。 20ユデアじんまうけんためには、ユデアじんたいしてユデアじんごとくにり、 21律法りつぱふもと人々ひとびとまうけんためには、おのれ律法りつぱふもとあらざれども、律法りつぱふもとにある人々ひとびとたいして律法りつぱふもとあるごとくにり、律法りつぱふなき人々ひとびとまうけんためには、おのれかみ律法りつぱふなきにあらずしてキリストの律法りつぱふもとあれども、律法りつぱふなき人々ひとびとたいして律法りつぱふなきものごとくにり、 22よわ人々ひとびとまうけんためには、よわものたいしてよわものり、如何いかにもして數人すにんすくはんためには、衆人しゆうじんたいして如何いかなるものにもれり。 23如何いかなることをも福音ふくいんためにするは、そのぶんあづからんとてなり。 24なんぢらずや、競走きようさうはしひとことごとはしるといへども、しやうくるは一人ひとりのみ、なんぢべきやうはしれ。 25すべ勝負しようぶあらそひと萬事ばんじひかつつしむ、しか彼等かれらつるかんむりんとするに、われちざるかんむりんとす。 26ゆゑはしるは目的もくてきなきがごとくにはあらず、たたかふはくうつがごとくにはあらず、 27しかわれわがからだちてこれ奴隷どれいたらしむ、他人たにんをしへてみづかてられんことおそるればなり。

第10章

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1兄弟等きやうだいたちわれなんぢこれらざるをこのまず、すなはわれ祖先そせんみなかつくもしたり、みなうみよぎり、 2みなモイゼにきてくもうみとをもつせんせられ、 3みなおな靈的れいてき食物しよくもつしよくし、 4みなおな靈的れいてき飲料いんれうめり。けだし彼等かれらしたがひつつありし靈的れいてき盤石ばんじやくよりりしが、その盤石ばんじやくすなはちキリストなりき。 5しかれども彼等かれらおほくはかみ御旨みむねかなはず、荒野あれのにてたふれたり。 6これことわれおけ前兆ぜんてうにして、彼等かれらむさぼりしごとわれ惡事あくじむさぼらざらんためなり。 7なんぢまた彼等かれらうちなるある人々ひとびとごと偶像ぐうざう崇拜すうはいしやとなることなかれ、かきしるして、「たみして飲食いんしよくし、ちてたのしめり」、とあるがごとし。 8また彼等かれらうち私通しつうする人々ひとびとありて、するものいちにちに二萬三千にんおよびしが、われ彼等かれらごと私通しつうすべからず。 9また彼等かれらうちにキリストをこころむる人々ひとびとありて、へびほろぼされしが、われ彼等かれらごとくキリストをこころむべからず。 10また彼等かれらうちつぶや人々ひとびとありて、ほろぼすものほろぼされしが、なんぢ彼等かれらごとつぶやくべからず。 11これことみな前兆ぜんてうとして彼等かれらおこりつつありしが、そのかきしるされたるは、すゑおよべるわれいましめとならんためなり。 12ればみづかてりとおもひとたふれじと注意ちゆういすべし。 13なんぢかかこころみはひとつねなるもののみかみ眞實しんじつにてましませば、なんぢちから以上いじやうこころみらるることゆるたまはず、かえつふることをさせんために、こころみともつべき方法はうはふをもたまふべし。 14ればわが至愛しあいなるものよ、偶像ぐうざう崇拜すうはいけよ。 15われ智者ちしやたいするこころにてかたれば、なんぢみづかところ判斷はんだんせよ。 16われしゆくするしゆくせいさかづきは、キリストの御血おんちあひともさづかるのあらずや。またわれところぱんは、あひともしゆおんからだあづかるのあらずや。 17けだしすべひとつぱんさづかるわれは、多人數たにんずなりといへども、ひとつぱんひとつからだなり。 18にくれるイスラエルじんよ、犧牲いけにへしよくする人々ひとびとは、祭壇さいだん分配ぶんぱいあづかるにあらずや。 19らば何事なにごとぞ、偶像ぐうざうささげられし犧牲いけにへなにものかなり、偶像ぐうざうなにものかなり、とわれへるか、(しからず)。 20しかれども異邦いはうじんささぐる犧牲いけにへは、かみささぐるにあらずして惡鬼あくきささぐるなり、われなんぢ惡鬼あくきともとなることきんず。なんぢしゆさかづき惡鬼あくきさかづきとをことあたはず、 21しゆ祭壇さいだん惡鬼あくき祭壇さいだんとにあづかことあたはざるなり。 22われしゆねたみ惹起ひきおここさんとするか、しゆよりもつよものなるか。何事なにごとわれなりといへども、みなえきあるにはあらず、 23何事なにごとわれなりといへども、みなとくつるにはあらず、 24たれおのためはからずしてひとためもとむべし。 25およそ肉屋にくやにてものは、良心りやうしんため何事なにごとをもはずしてしよくせよ、 26けだしおよこれ滿てるものしゆものなり。 27なんぢもし信者しんじやうちよりまねかれ、だくしておもむことあらば、きようせらるる一切いつさいものを、良心りやうしんため何事なにごとをもはずしてしよくせよ。 28ひとありてこれ偶像ぐうざうささげられたるものなりとはば、なんぢこれげたるひとたいし、また良心りやうしんたいしてこれしよくするなかれ。 29所謂いはゆ良心りやうしんなんぢのにはあらずしてそのひと良心りやうしんなり。けだしなんすれひと良心りやうしんりてわれ自由じいう是非ぜひせらるるや。 30もしわれ感謝かんしやしてしよくせば、なんすれ感謝かんしやするところものきてののしらるるや。 31ればなんぢふもむもまた何事なにごとすも、すべかみ光榮くわうえいためにせよ。 32なんぢユデアじんにも、異邦いはうじんにも、かみ敎會けうくわいにも、つまづかするものとなることなかれ。 33なほおのれ利益りえきとなることもとめず、多數たすうひとすくはれんためその有益いうえきなることもとめて、萬事ばんじそのこころんとするがごとくせよ。

第11章

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1われみづからキリストにならへるごとく、なんぢわれならへ。 2兄弟等きやうだいたちよ、われなんぢ何事なにごとおいてもわれ記憶きおくし、なんぢつたへしごとわがをしへまもるをしやうす。 3しかるにわれなんぢこれらんことほつす、すなはすべてのをとこかしらはキリスト、をんなかしらをとこ、キリストのかしらかみなり。 4すべをとこかしらものかむりて祈祷きたう預言よげんすればそのかしらはづかしめ、  5すべをんなかしらものかむらずして祈祷きたう預言よげんすればかえつそのかしらはづかしむ、これ剃髮ていはつせるにひとしければなり。 6けだしをんなもしものかむらずばかみるべし、れどかみあるひことをんなりてはぢとせば、かしらものかむるべし。 7をとこかみすがたにしてまた光榮くわうえいなればものかむるべきにあらず、れどをんなをとこ光榮くわうえいなり、 8これをとこをんなよりにあらずしてをんなをとこよりせり、 9をとこをんなためつくられずして、をんなをとこためつくられたればなり。 10このゆゑをんな天使等てんしたちたいして、[いただける]權利けんり[のしるし]をかしらつべきなり。 11りながらしゆりては、をとこなくしてはをんなあらず、をんななくしてはをとこあらざるなり、 12けだしをんなをとこよりせしごとく、をとこまたをんなもつり、しかして一切いつさいかみよりづ。 13なんぢみづか判斷はんだんせよ、ものかむらずしてかみ祈祷きたうすることをんなりて相應ふさわしからんや。 14自然しぜんそのものまたをしふるにあらずや。すなはをとこかみつればりてはぢなれども、 15をんなかみつるはほまれなり、これをんな被物かむりものとしてかみあたへられたればなり。 16假令たとひこれ抗弁あらがふとゆるひとはありとも、われにもかみしよ敎會けうくわいにもかか慣例くわんれいそんせざるなり。 17われこれめいじてなんぢしやうせず、あつまりてらず、かえつしくればなり。 18まづなんぢ敎會けうくわいとしてあつまとき分裂ぶんれつありとけば、われ幾分いくぶんこれしんず。 19けだしなんぢうち是認ぜにんせられたるひとあらはれんためには、異端いたんさへおこるべきはずなるをや。 20ればなんぢひとつあつまときは、最早もはやしゆ晚餐ばんさんしよくせんとにはあらず。 21けだしおのおのさきおの晚餐ばんさんしよくするがゆゑに、ゑたるひとあれば酩酊めいていしたるひともあり。 22飲食いんしよくするためには自宅じたくにあるにあらずや、あるひかみ敎會けうくわいかろんじてともしきひとはづかしめんとするか、なんぢなにをかふべき、なんぢしやうせんか、われこれをばしやうせざるなり。 23けだししゆよりうけたまわりてなんぢにもつたへしところにては、しゆイエズスわたされたまへるあたりてぱんり、 24しやしてこれき、のたまはく、なんぢりてしよくせよ、なんぢためわたさるべきわがからだなり、なんぢわが記念きねんとしてこれせ、と。 25晚餐ばんさんのちおなじくさかづきりてのたまはく、このさかづきわがおけ新約しんやくなり、たびごとなんぢわが記念きねんとしてこれせ、と。 26けだししゆきたたまふまで、なんぢこのぱんしよくまたさかづきたびごとに、しゆしめすなり。 27ゆゑたれにもあれ相應ふさわしからずしてこのぱんしよくし、あるひしゆさかづきまんひとは、しゆおんからだ御血おんちとををかさん。 28ればひとおのれためし、しかしてのちかのぱんしよくさかづきむべし。 29相應ふさわしからずして飲食いんしよくするひとは、しゆおんからだわきまへず、おの宣告せんこく飲食いんしよくするものなればなり。 30このゆゑなんぢうちには、めるものよわれるものおほく、かつせるものおほし。 31われもしみづかさばかばさばかるることなからん、 32さばかるるも、このともつみせられざらんためしゆよりこらされたてまつるなり。 33ればわが兄弟等きやうだいたちよ、しよくせんとてあつまときたがひ待合まちあはせよ。 34うゑたるひとあらば、なんぢあつまりてさばかるることまぬかれんために、自宅じたくにて食事しよくじすべし。其他そのたことわれいたらんときこれさだめん。

第12章

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1兄弟等きやうだいたちよ、靈的れいてき[たまもの]にくわんしては、われなんぢらざるをこのまず。 2なんぢ異邦いはうじんたりしときいざなはるるままに、ものいはぬ偶像ぐうざうおもむたりし次第しだいは、なんぢれるところなり。 3ゆゑわれなんぢしめさん、たれかみれいりてかたるに、イエズスのろはれよとひとなく、またたれ聖靈せいれいらずして、イエズスをしゆにてましますといふず。 4たまもの分配ぶんぱいことなれどもれいどういつにてまします。 5せいえき分配ぶんぱいまたことなれどもしゆどういつにてまします。 6作業はたらき分配ぶんぱいまたことなれども、すべてのひとうちすべてのことおこなたまかみどういつにてまします。 7しかるにれいあらはたまふこと人々ひとびとたまはるは公益こうえきためにして、 8一人ひとりれいもつ知識ちしきことばたまはり、 9一人ひとりおなれいしたがひて學識がくしきことばたまはり、一人ひとりおなれいりて信仰しんかうたまはり、一人ひとりおなれいりてやまひいやめぐみたまはり、 10一人ひとり奇蹟きせきおこなひ、一人ひとり預言よげんし、一人ひとり精神せいしん識別しきべつし、一人ひとり國語こくごかたり、一人ひとり國語こくご通譯つうやくすることたまはるなり。 11れどもこれことごとおこなたまふものはどういつれいましまして、思召おぼしめしまま面々めんめんわけあたたまふなり。 12これひとつなるにそのえだおほく、おけ一切いつさいえだおほしといへどひとつなるがごとく、キリストもまたしかるなり。 13すなはわれは、あるひはユデアじんあるひはギリシアじんあるひ奴隷どれいあるひ自由じいうなるも、一體いつたいらんためことごといつれいおいせんせられ、みないつれいのみかしめられたり。 14けだしひとつえだあらずしておほくのえだなり、 15あしもしわれあらざるゆゑぞくせずとはば、はたしてぞくせざるか、 16みみもしわれあらざるゆゑぞくせずとはば、はたしてぞくせざるか、 17もしこぞりてならばところ何處いづこぞ、こぞりてところならばところ何處いづこぞ、 18ればかみは、思召おぼしめしままえだ其々それぞれたまへるなり。 19みなひとつえだならば、何處いづこにかるべき、 20いまえだおほしといへども、ひとつなり。 21むかひて、われなんぢたすけえうせずとひ、かしらまた兩足りやうあしむかひて、なんぢわれ必要ひつえうならずとあたはず。 22うちもつとよわしとゆるえだかえつ必要ひつえうなり。 23またうちおいわれこといやしとおもへるえだは、これものまとひてさら光榮くわうえいへ、またみにく部分ぶぶん一層ひとしほこれ鄭重ていちようにすれども、 24たふと部分ぶぶんいたりてはかえつなにものをもえうせず、かみ身體しんたい調和てうわたまひて、*乏けつばふせるところにはなほゆたか榮耀えいやうくはたまへり。 25これうち分裂ぶんれつあることなく、えだあひ一致いつちたすけはんがためにして、 26いつえだくるしめばもろもろえだともくるしみ、いつえだたふとばるればもろもろえだともよろこぶなり。 27いまなんぢはキリストのにして、その幾分いくぶんえだなり。 28かくかみ敎會けうくわいおいある人々ひとびとたまふに、だいいち使徒しとたちだい二に預言よげんしやだい三に敎師けうしつぎ奇蹟きせき[をおこなひと]、そのつぎやまひいやたまもの[をたるひと]、ほどこし[をひと]、つかさどもの國語こくごかたもの國語こくご通譯つうやくするものたまへり。 29こぞりて使徒しとなるか、こぞりて預言よげんしやなるか、こぞりて敎師けうしなるか、 30こぞりて奇蹟きせきおこなものなるか、こぞりてやまひいやめぐみいうするものなるか、こぞりて國語こくごかたものなるか、こぞりて通譯つうやくするものなるか、 31なんぢもつとたまものしたへ、われなほすぐれたるみちしめさん。

第13章

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1われ假令たとひ人間にんげん天使てんしとの言語ことばかたるとも、あいなければかねひび鐃鈸ねうはちごとくなりたるのみ。 2われ假令たとひ預言よげんすることて、一切いつさい奧義おくぎ一切いつさい學科がくくわり、また假令たとひやまうつほどなる一切いつさい信仰しんかういうすとも、あいなければなにものにもあらず。 3われ假令たとひわが財産ざいさんことごとく(貧者ひんしや食物しょくもつとして)わけあたへ、またわがかるるためわたすとも、あいなければいささかわれえきあることなし。 4あい堪忍かんにんし、なさけあり、あいねたまず、自慢じまんせず、たかぶらず、 5非禮ひれいさず、おのれためはからず、いからず、あくはせず、 6不義ふぎよろこばずして眞實しんじつよろこび、 7何事なにごとをもつつみ、何事なにごとをもしんじ、何事なにごとをも希望きぼうし、何事なにごとをもこらふるなり。 8預言よげんすたり、言語げんごみ、知識ちしきほろぶべきも、あい何時いつゆることなし。 9けだしわれこと不完全ふくわんぜんに、預言よげんすること不完全ふくわんぜんなれども、 10完全くわんぜんなるところきたらば不完全ふくわんぜんなるところはすたらん。 11小兒せうにたりしときは、かたこと小兒せうにごとく、判斷はんだんすること小兒せうにごとく、かんがふること小兒せうにごとくなりしかど、大人おとなとなりては小兒せうにことてたり。 12いまわれるはかがみもつてしておぼろなれども、かのときにはかほかほとをあはせ、いまところ不完全ふくわんぜんなれども、かのときにはらるるがごとくにるべし。 13いまそんするものはしんばうあいこのみつなれども、就中なかんづくもつともおほいなるものはあいなり。

第14章

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1なんぢあいもとめ、かつ靈的れいてきたまものこと預言よげんせんことこひねがへ。 2けだし國語こくごかたものひとかたらずしてかみかたものなり、れいによりて奧義おくぎかたるも、聞取ききとひとなければなり。 3しかれども預言よげんするものひとかたりてそのとくて、かつこれすすめ、これなぐさむ。 4國語こくごかたものおのとくつれども、預言よげんするものかみ敎會けうくわいとくつ。 5われなんぢみな國語こくごかたことほつすれども、預言よげんをすることおいてはなほせつなり。國語こくごかたひと敎會けうくわいとくてんため通譯つうやくするにあらざれば、預言よげんするひとこれまさればなり。 6れば兄弟等きやうだいたちよ、われいまなんぢいたりて國語こくごかたるとも、もし默示もくじあるひ知識ちしきあるひ預言よげんあるひ敎訓けうくんもつかたるにあらずば、なんぢなんえきするところかあらん。 7たましひなくしておとはつするものすら、あるひふえあるひこともしことなるおとはつするにあらずば、いかでかそのかれ、あるひかるるところなになるをるべき。 8喇叭らつぱもしさだまりなきおんはつせば、たれ戰闘せんとう準備じゆんびさんや。 9かくごとく、なんぢ言語げんごもつあきらかなる談話だんわすにあらずば、いかでかそのところらるべき、くうむかひてかたものならんのみ。 10言語ことばるゐばかりおびただしけれども、いつとして意味いみあらざるはなし。 11われもしおん意味いみらずば、かたれるひとえびすとなり、かたものわれえびすとならん。 12かくごとく、なんぢ靈的れいてきたまものこひねがものなれば、敎會けうくわいとくてんためゆたかならんこともとめよ。 13ゆゑ國語こくごかたひとは、また通譯つうやくすることをもいのるべし。 14けだしわれ國語こくごもついのときは、れいいのるといへど智惠ちゑ好果かうくわざるなり。 15らばこれ如何いかにすべき、われれいもついのり、また智惠ちゑもついのらん。れいもつうたまた智惠ちゑもつうたはん。 16けだしなんぢもしれい[のみ]をもつしゆくせば、常人じやうじん代表だいへうするひと如何いかんなんぢ祝言しゆくげんこたへてアメンととなへんや、なんぢなにへるかをらざればなり。 17けだしなんぢ感謝かんしやするはことなれども、ひととくてざるなり。 18われなんぢ一同いちどうよりもおほ國語こくごかたことかみ感謝かんしやたてまつる。 19れど敎會けうくわいおいて、國語こくごにて一まんことばかたるよりは、ひとをもをしへんために、智惠ちゑもついつつことばかたことこのむ。 20兄弟等きやうだいたちよ、智惠ちゑおいてはなんぢ子兒こどもとなることなかれ。惡心あくしんおいては子兒こどもたるべく、智惠ちゑおいては大人おとなたるべし。 21律法りつぱふかきしるして、「しゆのたまはく、われこのたみむかひて、ことなる言語げんごことなるくちびるにてかたらん、しかわれかじ」、とあり。 22れば國語こくごしるしとなるは、信者しんじやためあらずして信者しんじやためなり、預言よげんかえつ信者しんじやためあらずして信者しんじやためなり。 23ゆゑもし敎會けうくわいこぞりて一處ひとところあつまれるときみな國語こくごにてかたりなば、常人じやうじんまた信者しんじや入來いりきたりて、なんぢうるへるものはざらんや。 24れどもしみな預言よげんせば、入來いりきた信者しんじや常人じやうじんは、一同いちどうたいして屈服くつぷくし、一同いちどうため是非ぜひせられ、 25こころ祕密ひみつ暴露ばくろせられ、さて平伏ひれふしかみ禮拜れいはいたてまつり、かみじつなんぢうちましますと宣言せんげんするならん。 26兄弟等きやうだいたちよ、しからばこれ如何いかにすべき。なんぢあつまときは、おのおの聖歌せいかあり、敎訓けうくんあり、默示もくじあり、國語こくごあり、通譯つうやくすることあり、一切いつさいことみなとくてしめんためにせらるべし。 27國語こくごかたひとあらば、二人ににんおほくともさんにん順次じゆんじかたりて、一人いちにん通譯つうやくし、 28もし通譯つうやくするひとなくば、敎會けうくわいうちりては、沈默ちんもくしておのれかみとにかたるべし。 29預言よげんしや二人ににんあるひさんにんものいひて、ひと判斷はんだんすべし。 30もしせるものにして默示もくじかうむひとあらば、さきものもくすべし。 31ひとみなまなびてすすめくべく、なんぢみな順次じゆんじ預言よげんすることればなり。 32預言よげんしやれい預言よげんしやしたがふ、 33けだしかみあらそひかみあらずして平和へいわかみにてまします。聖徒せいとしよ敎會けうくわいおけごとく、 34婦人ふじん敎會けうくわいおいもくすべし。律法りつぱふにもへるごとく、彼等かれらかたるをゆるされずしてしたがふべきものなり。 35もし何事なにごとをかまなばんとほつせば、自宅じたくにてをつとふべし、敎會けうくわいおいかたるは婦人ふじんりてづべきことなればなり。 36かみ御言おんことばなんぢよりでしものなるか、あるひなんぢにのみいたれるものなるか、 37ひともしあるひ預言よげんしやあるひれいかんじたるものとおもはれなば、なんぢ書送かきおくるはしゆめいなることるべし。 38らずば、そのひとみづからもられざらん。 39れば兄弟等きやうだいたちよ、なんぢ預言よげんせんことをこひねがひて、國語こくごかたるをきんずるなかれ。 40れど一切いつさいことただしくかつ秩序ちつじよまもりておこなはるべきなり。

第15章

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1兄弟等きやうだいたちよ、すでつたへしところ福音ふくいん今更いまさらなんぢぐ、なんぢさきこれけてなほこれりててり、 2もしいたづらしんじたるにあらずして、つたへしままこれまもらば、なんぢこれによりてすくはるるなり。 3すなはちわがだい一になんぢつたへしは、われみづからもけしことにて、キリストが聖書せいしよおうじてわれつみためたまひしこと4はうむられたまひしこと聖書せいしよおうじて三日みつか復活ふくくわつたまひしこと5ケファにあらはたまひ、そののちまた十二使徒しとあらはたまひしことこれなり。 6つぎに五百にん以上いじやう兄弟きやうだい一度いちどあらはたまひしが、そのうちには永眠えいみんしたるものあれども、いまなほ生存いきながらふるものおほし。 7つぎにヤコボにあらはれ、つぎすべての使徒しとあらはれ、 8最終さいしゆうにはつきらぬものごとわれにもあらはたまへり。 9けだしわれかみ敎會けうくわい迫害はくがいせしものなれば、使徒しとちゆうもつとちひさものにして、使徒しとばるるにらず。 10しかるにいまごとくなるは、これかみ恩寵おんちようれるなり、かくその恩寵おんちようわれおいむなしからず、われ彼等かれら一同いちどうよりもおほはたらけり。れどもこれわれあらず、かみ恩寵おんちようわれともなせところなり。 11すなはわれにまれ彼等かれらにまれ、われかくごと宣傳のべつたへ、なんぢまたかくごとしんじたるなり。 12てキリスト死者ししやうちより復活ふくくわつたまへりと宣傳のべつたふるにたいして、死者ししや復活ふくくわつすることなしと人々ひとびとなんぢうちるはなんぞや。 13死者ししや復活ふくくわつすることなくば、キリストも復活ふくくわつたまはざるべし。 14もしキリスト復活ふくくわつたまはざりしならば、われ宣敎せんけうむなしく、なんぢ信仰しんかうまたむなしく、 15しかわれかみ僞證ぎしようにんるべし。死者ししやにして復活ふくくわつせざるものならば、キリストを復活ふくくわつせしめたまはざりしものを、われかみはんしてこれ復活ふくくわつせしめたまへりとしようしたればなり。 16けだし死者ししやにして復活ふくくわつすることなければ、キリストも復活ふくくわつたまひしことなし。 17キリスト復活ふくくわつたまひしことなければ、なんぢ信仰しんかうむなし、なんぢなほつみればなり。 18しからばキリストにおい永眠えいみんしたる人々ひとびとほろびたるならん。 19われがキリストにおけ希望きぼうもしこののみならば、われすべてのひとよりも憫然あはれなるものなり。 20れどげんに、キリストは永眠えいみんせる人々ひとびと初穗はつほとして、死者ししやうちより復活ふくくわつたまひしなり。 21けだしひとりてきたり、死者ししや復活ふくくわつまたひとりてきたれり。 22一切いつさいひとアダンにおいするがごとく、一切いつさいひとまたキリストにおい復活ふくくわつすべし。 23ただしおのおのその順序じゆんじよしたがひて、初穗はつほはキリスト、つぎその降臨かうりんときキリストのものたる人々ひとびと24つぎをはりにして、キリストちちにてましまかみくにわたたまひて、一切いつさい權威けんゐ權能けんのう權力けんりよくほろぼしたまひたらんときなり。 25かのすべてのてきおんあししたたままでは、わうたらざるをざるなり。 26最終さいしゆうほろぼさるべきてきなり、これかみはキリストのおんあしした萬物ばんぶつふくせしめたまひたればなり。 27萬物ばんぶつこれふくせりとのたまへば、萬物ばんぶつふくせしめたまへるものはそのかずらざることうたがひなし。 28萬物ばんぶつおのれふくするにいたらば、御子おんこみづからもまたおのれ萬物ばんぶつふくせしめたまひしものにふくたまふべし、これかみ萬物ばんぶつおい萬事ばんじとなりたまはんためなり。 29もししからずして、死者ししやまつた復活ふくくわつすることなくば、死者ししやかはりせんせらるる人々ひとびとなにとかすべき、彼等かれら死者ししやかはりせんせらるるは何故なにゆゑぞ。 30またわれ時々刻々じじこくこく危險きけんへるはなんためぞ。兄弟等きやうだいたちよ、われ我主わがしゆイエズス、キリストにおいて、なんぢきてが[くべき]名譽めいよして誓言せいごんす、 31われ日々にちにち危險きけんふなり。 32われただひとごとくにしてエフェゾにけものたたかひしならば、われなんえきかあらん。死者ししやはたして復活ふくくわつせずば、われいざ飲食のみくひせん、明日あすぬべければなり。 33なんぢあざむかるることなかれ、あし交際まじはり風俗ふうぞく腐敗ふはいせしむ。 34なんぢ誠實せいじつ警戒けいかいしてつみをかことなかれ。ところなんぢ面目めんぼくきずつくれども、なんぢうちかみらざるものあるなり。 35しかれどもひとあるひはん、死者ししや如何いかにして復活ふくくわつすべきか、如何いかなるからだもつきたるべきか、と。 36おろかなるものよ、なんぢくものはまづなざればくることし、 37またそのくは將來しやうらいあるべきたいくにあらず、假令たとへ麥等むぎなどただたねつぶのみ。 38かくかみ思召おぼしめしままこれたいあたへ、おのおのたね固有こいうたいあたたまふ。 39すべてのにくおなにくあらず、人肉じんにくあり、獸肉じうにくあり、鳥肉てうにくあり、魚肉ぎよにくありておのおのあひことなり。 40また天體てんたいあり、地上ちじやうたいあり、れど天上てんじやうのものと地上ちじやうのものとの光澤くわうたくあひことなり。 41かがやきも、つきかがやきも、ほしかがやきことにして、ほしほしとはかがやきによりてあひことなり。 42死者ししや復活ふくくわつまたしかり。[身體しんたいは]腐敗ふはいおいかれ、不朽ふきうもつ復活ふくくわつせん、 43卑賤ひせんおいかれ、光榮くわうえいもつ復活ふくくわつせん、虛弱きよじやくおいかれ、ちからもつ復活ふくくわつせん、 44動物どうぶつてき身體しんたいかれ、靈的れいてき身體しんたい復活ふくくわつせん。動物どうぶつてき身體しんたいあれば、靈的れいてき身體しんたいもあり、かきしるして、 45だい一のひとアダンはけるたましひとせられたり」、とあるがごとく、最後さいごのアダンはかすれいとせられたり。 46はじめよりあるは靈的れいてきのものにあらず、動物どうぶつてきのものにして、靈的れいてきのものはのちり。 47だいいちひとつちよりでてつちぞくし、だい二のひとてんよりでててんぞくす。 48つちぞくする人々ひとびとつちぞくせるのもののごとく、てんぞくする人々ひとびとてんぞくせるのもののごとし。 49ればわれつちぞくするもののかたちびしごとく、てんぞくするもののかたちをもぶべし。 50兄弟等きやうだいたちよ、われはん、血肉けつにくかみくにあたはず、また腐敗ふはい不朽ふきうべからず、と。 51よ、われなんぢ奧義おくぎかたらん、われみな永眠えいみんすべきにあらざれども、みな變化へんくわすべきものなり。 52すなは倐忽たちまちあひだまたたひまをはり喇叭らつぱらんときけだし喇叭らつぱるべく、死者ししや不朽ふきうもの復活ふくくわつすべく、われ變化へんくわすべきなり。 53この腐敗ふはいすべきもの不朽ふきうび、このすべきもの不死ふしぶべければなり。 54このすべきもの不死ふしびたらんときかきしるされたることば成就じやうじゆせん、[いはく]、「勝利しようりまれたり」、 55よ、なんぢ勝利しようり何處いづこにかある、よ、なんぢはり何處いづこにかある」と。 56しかしてはりつみなり、つみちから律法りつぱふなり、 57我主わがしゆイエズス、キリストをもつわれ勝利しようりたまひたるかみ感謝かんしやたてまつる。 58ればあいする兄弟等きやうだいたちよ、確固かくことしてうごかず、なんぢ勞働らうどうしゆおいむなしからざることさとりて、えずちからしゆわざつくせ。

第16章

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1聖徒せいとたちためにする據金きよきんきては、がガラチアのしよ敎會けうくわいめいぜしごとく、なんぢまたしかせよ。 2なんぢもといたりてのち據金きよきんせざらんために、一週間いつしうかんはじめ日每ひごとに、なんぢおのおの成功せいこうおうじて自宅じたく貯金ちよきんすべし。 3かくわれなんぢもといたりなば、添書てんしよしてなんぢえらまん人々ひとびとつかはし、なんぢめぐみをエルザレムにもたらさしめん。 4もしわれくべき價値かちあらば、彼等かれらわれともくべきなり。 5われはマケドニアをとほらんとするゆゑに、マケドニアをとほりてなんぢもといたり、 6おほくはなんぢともとどまり、あるひふゆすごこともあらん。これ何處いづこくもなんぢよりおくられんためなり。 7われみちついでなんぢことこのまず、しゆゆるたまはばしばらなんぢうちとどまらんこと希望きぼうすればなり。 8ペンテコステまではエフェゾにとどまらんとす、 9ひろくしてかつ貢獻こうけんあるべきもんわがまへひらけ、またてきたいするものおほければなり。 10チモテオなんぢもといたらば、注意ちゆういしておそるるところなからしめよ。かれわれひとしくしゆげふおこなへるものなればなり。 11ゆゑたれかれないがしろにせず、途中とちゆうやすらかにおくりてわがかたきたことしめよ、けだしわれかれ兄弟等きやうだいたちとをてるなり。 12兄弟きやうだいアポルロのことげんに、われあつかれ兄弟等きやうだいたちともなんぢもといたらんことねがひたれど、かれいまことがへんぜず、をりよきときもつくならん。 13なんぢ警戒けいかいしてかた信仰しんかうち、雄々ををしく擧動ふるまひ、かつ堅固けんごなれ。 14なんぢわざことごとあいもつおこなはれよかし。 15兄弟等きやうだいたちよ、われなんぢこひねがふ、ステファナのいへはアカヤしう初穗はつほにして、聖徒せいとたち世話せわゆだねたるはなんぢところなれば、 16なんぢかくごと人々ひとびとおよすべ協力けふりよくしてはたらける人々ひとびとふくせよ。 17われステファナ、フォルツナト、およびアカイコの此處ここるをよろこぶ、なんぢ不在ふざいおぎなひ、 18すなはわれなんぢとの精神せいしんやすんぜしめたればなり。ればなんぢかくごと人物じんぶつおもんぜよ。 19[せう]アジアのしよ敎會けうくわいなんぢよろしくとへり。アクィラとプリシルラおよそのいへ敎會けうくわいは、しゆおいねんごろよろしくとへり、(われ彼等かれらいへ宿やどる)。 20すべての兄弟きやうだいなんぢよろしくとへり。せいなる接吻せつぷんもつたがひよろしくつたへよ。 21われパウロ自筆じひつもつよろしくふ。 22ひともし我主わがしゆイエズス、キリストをあいせずば排斥はいせきせられよ。我主わがしゆきたたまふ。 23ねがはくは我主わがしゆイエズス、キリストの恩寵おんちようなんぢともらんことを。 24わがあいはキリスト、イエズスにおいなんぢ一同いちどうともるなり、アメン。