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オジロワシに関する保護増殖事業計画を定める件

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絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)第四十五条第一項の規定に基づき、オジロワシに関する保護増殖事業計画を定めたので、同条第三項の規定に基づき、その概要を次のとおり公示する。

本保護増殖事業計画は、文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省及び全国の都道府県庁に備え付けて供覧する。

平成十七年十二月一日

文部科学大臣  小坂  憲次

農林水産大臣  中川  昭一

国土交通大臣  北側  一雄

環境大臣  小池百合子

オジロワシに関する保護増殖事業計画

第一  事業の目標

本事業は、本種の生息状況、生息環境、繁殖状況及び繁殖環境等を把握し、生息及び繁殖を圧迫する要因の軽減、除去等を行うことにより、本種が自然状態で安定的に存続できる状態とすることを目標とする。

第二  事業の区域

全国

第三  事業の内容

一  生息及び繁殖状況等の把握

本事業を適切かつ効果的に実施するため、次の調査を行うとともに、本種及び本種を取り巻く状況に関する情報の収集及び実態の把握に努める。なお、本種の行動圏は広範囲にわたるため、効率的な情報収集の体制の整備を図る。

(一) 生息及び繁殖状況の調査及びモニタリング

本種の渡り、分布、行動圏、採餌行動、繁殖地等の生息及び繁殖の状況を把握するため、定期的なモニタリング及び標識の装着等による調査を行うとともに、遺伝的多様性等について調査を行う。また、死亡要因を把握するため、野外で死亡した個体が得られた場合は、収容状況の情報収集、当該個体の検査等の調査を行う。

(二) 生息及び繁殖環境の調査

本種のねぐら、餌場、繁殖地等として利用されている環境及び餌の種類、その量、人間活動に由来する餌資源への依存度等の餌環境について調査する。

(三) 生息及び繁殖に適する環境の把握

(一)及び(二)の調査結果等に基づき、本種の生息及び繁殖に適する環境を把握する。

二  生息及び繁殖地における生息及び繁殖環境の維持及び改善

本種の自然状態での安定した存続のためには、ねぐら、繁殖地等の生息及び繁殖環境の維持、人間活動に由来する餌資源に依存することなく生息できる環境の整備等が必要である。このため、一で得られた知見等に基づき、次の取組を行う。なお、本種の生息及び繁殖地周辺における本種の生息及び繁殖に影響を及ぼすおそれのある土地の利用及び開発の実施に際しては、関係機関との連絡体制を整備すること等により、本種の生息及び繁殖に必要な環境条件を確保するため、その実施主体により配慮がなされるよう努める。

(一) 生息及び繁殖環境の維持及び改善

河川、湖沼及び海岸周辺において、餌となる魚類、鳥類等の生息環境への悪影響を軽減又は除去するよう努めるとともに、河畔林等の維持及び改善により自然状態の生息及び繁殖環境を確保する。

(二) 鉛中毒防止対策

鉛弾による鉛中毒が発生していることから、本種の鉛中毒の実態を把握し、その結果を踏まえ、適切な対策を講ずるとともに、関係機関との連携を強化する等、鉛中毒を防止するよう努める。

(三) 事故防止対策

電線等の電力施設への接触による感電、工作物への衝突、走行する車両との接触等による本種の死傷等を防止するため、関係機関と連携し、関係者の理解及び協力を得つつ、必要に応じて調査を実施し、可能な対策が講じられるよう努める。

(四) 生息及び繁殖地における監視

本種のねぐら等個体の集結地及び繁殖地周辺への不用意な立入り等に関する情報収集を図るとともに、必要に応じて監視を行うことにより、密猟等、本種の生息、営巣及び繁殖への悪影響を及ぼすおそれのある行為を防止するよう努める。

三  傷病個体の救護

傷病個体を適切な施設において保護収容し、野外での生活が可能な状態に回復した場合は、原則として野外へ帰すものとする。この際、当該個体による他の猛禽類等への感染症等の伝染の防止に配慮した野生復帰手法及び検査体制の確立を図るほか、必要に応じて発信機等を装着し、生息及び繁殖状況の把握等に努める。

四  飼育下での繁殖

本種の繁殖は、生息及び繁殖地における野外個体群の維持及び改善を基本とするが、野外個体群の急激な減少に備え、飼育下で繁殖した個体の導入の可能性を検討する。

五  普及啓発等の推進

本種の生息状況、生息環境、繁殖状況及び繁殖環境、保護の必要性並びに本事業の実施状況等に関する普及啓発を推進するとともに、地域の適切な保護活動の展開が図られるよう努める。

六  効果的な事業の推進のための連携の確保

本事業の実施に当たっては、国、関係地方公共団体、本種の生態等に関する専門的知識を有する者、本種の保護活動に参画する保護活動団体並びに本種の生息地、繁殖地及びその周辺地域の住民等の関係者間の連携を図り、効果的に事業が推進されるよう努める。なお、国際的な協力に関する枠組みの下で行われている保護の取組との連携に十分留意する。

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