コンテンツにスキップ

エフェソ書 (ラゲ訳)

提供:Wikisource


<聖書<我主イエズスキリストの新約聖書

『公敎宣敎師ラゲ譯 我主イエズスキリストの新約聖書』公敎會、

1910年発行

〔ローマ・カトリック訳〕

ラゲ訳新約聖書エミール・ラゲ(Emile Raguet,MEP)

エフェゾ書

第1章

[編集]

1かみ思召おぼしめしによりてイエズス、キリストの使徒しとたるパウロ、エフェゾにる(すべての)聖徒せいとならびにキリスト、イエズスにおけ信徒しんとに[書簡しよかんおくる]。 2ねがはくはわがちちにてましまかみおよしゆイエズス、キリストより、恩寵おんちよう平安へいあんとをなんぢたまはらんことを。 3しゆくすべきかな我主わがしゆイエズス、キリストのかみおよちちはキリストにおいもろもろ靈的れいてき祝福しゆくふくもつわれてんよりしゆくたまひ、 4御前みまへおいせいにしてけがれなきものたらしめんとて、寵愛いつくしみもつて、世界せかい開闢かいびやく以前いぜんよりキリストによりてえらたまひ、 5思召おぼしめしのまにまに、イエズス、キリストをもつおのとならしめんこと預定よていたまひたればなり。 6これ最愛さいあいなる御子おんこおいわれたまひし榮光えいくわうある恩寵おんちようほまれためなり。 7われあがなひつみゆるしるは、キリストにりてその御血おんちによれり、すなはかみゆたかなる恩寵おんちようれるなり。 8その恩寵おんちようわれあふれて、もろもろ智惠ちゑおよさとりひらけり、 9これ御旨みむねしたがひて、キリストをもつ預定よていたまひし思召おぼしめし奧義おくぎを、われさとたまはんためなり。 10この思召おぼしめしは、時期じき滿つるにおよびて一切いつさいのもの、すなはてんるものをもるものをもことごとくキリストにおいいつかしらもとまとたまふにり。 11われもキリストにおいえらまれ、思召おぼしめまま萬事ばんじおこなたまふもののはかりしたがひて預定よていせられたり、 12これさきんじてキリストを希望きぼうせしわれが、その光榮くわうえいほまれとならんためなり。 13なんぢまたキリストにおいて、眞理しんりことばなるなんぢ救靈たすかり福音ふくいんき、かつこれしんじて約束やくそくせられたまひたりし聖靈せいれいもつしよういんせられしが、 14これなんぢ世嗣よつぎ保證ほしようとして、られたる人々ひとびとあがなひとなり、その光榮くわうえいほまれらんためたまはりたるなり。 15ゆゑわれも、しゆイエズスにおけなんぢ信仰しんかうと、すべての聖徒せいとたいする愛情あいじやうとをきて、 16不絕たえずなんぢため感謝かんしやし、わが祈祷きたううちなんぢ記念きねんす。 17いのところ我主わがしゆイエズス、キリストのかみ光榮くわうえいちちが、なんぢ知識ちしき默示もくしとのれいたまひてかみらしめ、 18なんぢこころあきらかにして、そのめしによれる希望きぼう如何いかんらしめ、聖徒せいとたまふべき世嗣よつぎ光榮くわうえいとみ如何いかんらしめ 19その全能ぜんのう勢力せいりよく作爲はたらきによりて、しんじたてまつわれおいて、その勢力せいりよく如何いかすぐれて偉大ゐだいなるかをらしめたまはんことこれなり。 20その勢力せいりよくをキリストにおいあらはし、これ死者ししやうちより復活ふくくわつせしめ、てんおいこれおのれみぎき、 21一切いつさい權勢けんせい能力のうりよくと、勢力せいりよく主權しゆけんとのうへまたすべ今世こんせいのみならず來世らいせいにもなづけられて[あるもの]のうへたまひ、 22萬物ばんぶつそのおんあししたふくせしめ、敎會けうくわい萬事ばんじうへかしらとなしたまへり。 23すなは敎會けうくわいはキリストのおんからだにして、萬物ばんぶつ萬事ばんじ滿たしたまへるものの充滿みちみたまところなり。

第2章

[編集]

1なんぢもとおのあやまちつみとによりてしたるものなりしが、 2かつこの世間せけんしたがひ、また空中くうちゆうけんいうしていまなほ不信ふしんうちはたらける、れいきみしたがひてあゆめり。 3われみなかつそのつみうちりて、わが肉身にくしんよくまま生活せいくわつし、にくこころとのほつするところおこなひて、人々ひとびとごとく、生來せいらいいかりなりき。 4しかれども慈悲じひたまへるかみは、われあいたまひておん寵愛いつくしみあまり、 5つみためせしわれをキリストとともかしたまひ――なんぢすくはれしもすなは恩寵おんちようによれり、―― 6またとも復活ふくくわつせしめ、キリスト、イエズスにおいともてんせしめたまへり。 7これキリスト、イエズスにおけその善良ぜんりやうもつて、われうへおけ恩寵おんちよう非常ひじやうなるとみを、將來しやうらい世々よよあらはたまはんためなり。 8けだしなんぢ信仰しんかうもつすくはれたるは、恩寵おんちようるものにしてみづからにるにあらず、すなはかみたまものなり。 9またわざるにもあらず、これほこひとのなからんためなり。 10われかみ作品さくひんにして、かみあらかじそなたまひし善業ぜんげふためこれあゆやう、キリスト、イエズスにおいて[あらたに]つくられたるものなればなり。 11ればもと肉體にくたいおい異邦いはうじんにして、所謂いはゆる割禮かつれいひとによりてけたる人々ひとびとより、いまなほ割禮かつれいとなへらるるなんぢつぎこと記憶きおくせよ。 12すなはかのときには、なんぢキリストなくして、イスラエルの國籍こくせきぐわいかれ、かの約束やくそくむすびたるしよ契約けいやくあづからず、希望きぼうなく、このかみなきものたりしに、 13いまはキリスト、イエズスにりて、さきとほかりしなんぢ、キリストの御血おんちもつちかものとなれり。 14けだしイエズスはわれ平和へいわにてまします、すなは兩方りやうほうひとつにし、へだて中垣なかがきおようらみを、おの肉體にくたいおいき、 15種々しゆじゆおきてある律法りつぱふを、そのめいずるところともはいたまへり。これ平和へいわして兩方りやうほう人々ひとびとおのれおけ一人ひとりあたらしきひとつくらんため16また[かみ]にたいするうらみ十字架じふじかうへころし、その十字架じふじかもつ兩方りやうほう人々ひとびと一體いつたいし、かみやはらがしめたまはんためなり。 17またきたりて、とほかりしなんぢにもさいはひ平和へいわげ、ちかかりし人々ひとびとにも平和へいわたまへり。 18けだしキリストによりてこそ、われ兩方りやうほう人々ひとびとは、どういつれいもつちちちかづきたてまつることをるなれ。 19れば、なんぢ最早もはや他所人よそびと寄留きりうじんあらず、聖徒せいとたちどう國民こくみんとなりてかみ家人かじんなり。 20使徒しと預言よげんしやとの基礎どだいうへてられ、そのすみいしすなはちキリスト、イエズスにましまして、 21全體ぜんたい建物たてものこれ建築けんちくせられ、漸次しだいきづきげられて、しゆおいいつせいなる神殿しんでんとなり、 22なんぢこれおいて、聖靈せいれいにより、かみ住處すみかとしてともてらるるなり。

第3章

[編集]

1このゆゑわれパウロ、なんぢ異邦いはうじんためにキリスト、イエズスの囚人しうじんたり。 2ただしなんぢためわれたまはりたるかみ恩寵おんちよう分配ぶんぱいやくをば、なんぢきしならん、 3すなはさき簡單かんたんかきしめしたるごとく、この奧義おくぎ默示もくしもつわれしめされたるなり。 4なんぢこれみて、キリストの奧義おくぎくわんする知識ちしきさとるをべし。 5この奧義おくぎは、いま聖靈せいれいによりて、せいなる使徒しとたちおよ預言よげんしやたちしめされしがごとくには、前代ぜんだいおいひとられざりき。 6すなは異邦いはうじん福音ふくいんもつて、キリスト、イエズスにおいて、とも世嗣よつぎとなり、とも一體いつたいとなり、ともかみ約束やくそくあづかものとなることこれなり。 7われその福音ふくいん役者えきしやとせられたり、これ全能ぜんのう勢力せいりよくによりてわれたまはりたるかみ恩寵おんちようたまものなり。 8すべての聖徒せいとうちおいて、もつとちひさものよりもちひさわれに、キリストのきわがたとみ福音ふくいんを、異邦いはうじんぐる恩寵おんちようたまはれり。 9これ萬物ばんぶつ創造さうざうたまひたるかみおいて、はじめよりかくれたりし奧義おくぎはかり如何いかんを、衆人しゆうじん說明ときあか恩寵おんちようにして、 10かみ多方面たはうめんなる智惠ちゑが、敎會けうくわいもつて、てんおけ權勢けんせいおよ能力のうりよく[しや]とうられんため11我主わがしゆイエズス、キリストにおいまつたうしたまへる、世々よよ預定よていおうぜんためなり。 12われかれおけ信仰しんかうによりてはばからざること希望きぼうもつかみちかづきたてまつこと13ればこひねがはくは、なんぢためくる患難くわんなんきて、なんぢ落膽らくたんせざらんことを。この患難くわんなんこそなんぢ光榮くわうえいなれ。 14われこれため我主わがしゆイエズス、キリストのちち15すなはてんにもにもしよぞくよつもつなづけらるるところちち御前みまへひざまづき、 16なんぢその光榮くわうえいとみしたがひ、そのれいにより、能力のうりよくもつ内面ないめんひととして堅固けんごにせられんこと17また信仰しんかうによりてキリストのなんぢ宿やどたまはんことこひねがたてまつる。これなんぢは、あいざしかつもとづきて、 18すべての聖徒せいとともに、ひろちやうたかふかさの如何いかんり、 19また一切いつさい知識ちしき超絕てうぜつせるキリストの寵愛いつくしみることをて、すべかみ充滿みちみてるものになんぢ滿たされんためなり。 20ねがはくはわれうちはたらける能力のうりよくによりて、われねがところまたところえて、なほゆたか萬事ばんじたまへるものに、 21敎會けうくわいおよびキリスト、イエズスにおいて、永遠えいゑんいたるまで光榮くわうえいあらんことを、アメン。

第4章

[編集]

1ればしゆりて囚人しうじんたるわれなんぢこひねがふ、なんぢされたるところめし相應ふさはしく、 2すべての謙遜けんそん溫良をんりやうとをもつあゆみ、忍耐にんたいしてあいもつあひしのび、 3平和へいわつなぎにて精神せいしん一致いつちたもやう注意ちゆういせよ。 4からだいつ精神せいしんいつなほなんぢされたるそのめし希望きぼういつなるがごとし。 5しゆいつ信仰しんかういつ洗禮せんれいいつ6一同いちどううへいま一同いちどうつらぬき、一同いちどううちたまへる一同いちどうかみおよちちいつのみ。 7しかるにわれ面々めんめんたまはりたる恩寵おんちようは、キリストのたまひたるりやうおうず、 8このゆゑに[聖靈せいれいに]いはく、「かみのぼりてとりこともなき、人々ひとびとたまものあたたまへり」と。 9そもそものぼたまひしは、さきひくところまでくだたまひしゆゑあらずしてなんぞや。 10くだたまひしものは、また萬物ばんぶつ充滿みちみたんとて、もろもろてんうへのぼたまひしものなり。 11またある人々ひとびと使徒しととし、ある人々ひとびと預言よげんしやとし、ある人々ひとびと福音ふくいんしやとし、ある人々ひとびと牧師ぼくしおよ敎師けうしとしてあたたまへり。 12これ聖徒せいとたちまつたうせられ、せいえきいとなまれ、キリストのおんからだ成立なりたたんめなり。 13すなはわれことごとく、信仰しんかうかみ御子おんこ知識ちしきとの一致いつちいたりて完全くわんぜんなるひととなり、キリストのまつた成長せいちやうりやういたらんためにして、 14われ最早もはや小兒せうにたらず、ただよはさるることなく、ひといつはり誤謬ごびうたくみなる誘惑いうわくとのために、いづれをしへかぜにもふきまはされず、 15眞理しんりりて、あいにより萬事ばんじつきかしらましまものすなはちキリストにおい成長せいちやうせんためなり。 16かれによりてこそからだ全體ぜんたいかたまかつととのひ、おのおの四肢ししぶんりやうおうずるはたらきしたがひて、すべての關節かんせつたすけもつあひつらなり、みづか成長せいちやうし、あいによりて成立なりたつにいたるなれ。 17ゆゑわれこれひ、かつしゆおいこひねがふ、なんぢ最早もはや異邦いはうじんごとあゆむことなかれ、彼等かれらおの精神せいしんむなしきにまかせてあゆみ、 18智惠ちゑくらまされ、てる不知ふちために、そのこころ頑固かたくなによりてかみ生命せいめいよりとほざかり、 19かんずることなく、放蕩はうたうに、所有あらゆ淫亂いんらんわざに、貪欲どんよくに、おのれゆだねたるなり。 20れどなんぢがキリストをまなびしはかくごとことあらず、 21もしこれきて、眞理しんりのイエズスにるがままに、かれきてまなびしならば、 22すなは以前いぜん行狀ぎやうじようきては、まよひのぞみしたがひて腐敗ふはいするふるひとぬぎて、 23精神せいしん主義しゆぎ一新いつしんし、 24かみかたどりて眞理しんりよりづる聖德せいとくとにおいつくられたるあたらしきひとことまなびしなり。 25ればなんぢいつはりてて、おのおのちかひとともまことかたれ、われたがひえだなればなり。 26なんぢいかるともつみをかことなかれ、なんぢいかりあひだるべからず。 27惡魔あくま機會きくわいあたふることなかれ、 28ぬすめるひと最早もはやぬすむべからず、むしろ困窮こんきうせる人々ひとびとものほどこことために、はたらきて手業てわざせ。 29不潔ふけつなる談話ものがたり一切いつさいなんぢくちよりいだすべからず、きものならば人々ひとびと恩寵おんちようあたへんためえうするひととくつるやうこれせ。 30すくひしてしよういんせられたてまつりたるかみ聖靈せいれいをしてうれへしむるなかれ、 31すべにがこといかりいきどほりさけびののしりをば一切いつさい惡心あくしんともなんぢうちよりとりのぞけ。 32たがひ慈悲じひ親切しんせつにしてあひゆることかみもキリストにおいなんぢゆるたまひしがごとくにせよ。

第5章

[編集]

1ればなんぢ至愛しあいなる小兒せうにごとかみならものとなり、 2またあいうちあゆみて、キリストもわれあいし、われためおのれかんばしきかをり獻物ささげものとし、犧牲いけにへとしてかみささたまひしがごとくにせよ。 3私通しつうおよすべての淫亂いんらん貪欲どんよくは、そのすらもなんぢうちとなへらるべからざること、聖徒せいとたるもの相應ふさはしかるべし。 4あるひ汚行をかうおろかなる談話ものがたりあし戲言たはむれごとこれみな相應ふさはしからず、むしろ感謝かんしやすべきなり。 5なんぢさとりてらざるべからず、すべての私通しつうしや淫亂いんらんしや貪欲どんよくしやは、偶像ぐうざう崇拜すうはいするにひとしきものにして、キリストおよかみくにおい世嗣よつぎたらざるなり。 6たれ空言くうげんもつなんぢあざむくべからず、これことために、かみのおんいかり不信ふしんうへくだればなり。 7ゆゑなんぢ彼等かれらくみすることなかれ。 8けだしなんぢかつては暗黑くらやみなりしかど、いましゆりてひかりなり、ひかりごとくにあゆめ。 9ひかりむすは、すべての慈愛じあい正義せいぎ眞實しんじつとにり。 10如何いかなることかみ御意みこころかなふかをためよ。 11かつむすばざる暗黑くらやみわざくみすることなく、むしろかえつこれとがめよ。 12けだし彼等かれらひそかおこなところは、これくちにするすらはぢなり。 13すべてのとがむべきことひかりによりてあらはる、すべあらはるるはひかりなればなり。 14このゆゑへることあり、「ねむれるひとて、死者ししやうちより立上たちあがれ、キリストなんぢらしたまはん」と。 15れば兄弟等きやうだいたちよ、如何いかつつしみてあゆむべきかにこころせよ。愚者ぐしやごとくにせず、 16智者ちしやごとくにあゆみて、しければ機會きくわいもとめよ、 17このゆゑかみ御旨みむね如何いかんさとりて、思慮しりよなきものことなかれ。 18またさけことなかれ、そのうち淫亂いんらんあるなり。むしろ(せいれい滿たされて、 19靈的れいてき讃美歌さんびかうたとをもつかたりひ、またこころうちうたひてしゆ讃美さんびたてまつり、 20つね我主わがしゆイエズス、キリストの御名みなもつて、萬事ばんじきてちちにてましまかみ感謝かんしやし、 21キリストをおそたてまつりつつたがひ歸服きふくせよ。 22つまたるものおのをつとしたがことしゆおけるがごとくにすべし、 23をつとつまかしらたること、キリストが敎會けうくわいかしらにして、みづかそのからだ救主すくひぬしましませるがごとくなればなり、 24れば敎會けうくわいのキリストにしたがふがごとく、つままた萬事ばんじをつとしたがふべし。 25をつとたるものよ、なんぢつまあいすること、キリストも敎會けうくわいあいして、これためおのれわたたまひしがごとくにせよ、 26おのれわたたまひしは、(生命せいめいの)ことばにより、水洗みづあらひにてこれきよめてせいとならしめんため27光榮くわうえいある敎會けうくわいすなはしみなく、しわなく、しかたぐひこともなき敎會けうくわいを、みづかおのためそなへて、これをしてせいなるもの、けがれなきものたらしめんためなり。 28かくごとく、をつとたるものもまたおのつまわがとしてあいすべきなり、つまあいするひとこれおのれあいするものなり。 29けだしかつ如何いかなるひとも、おの肉身にくしんきらひしことなく、かえつこれやしなまもことなほキリストが敎會けうくわいたまひしがごとし、 30われそのおんからだえだにして、そのにくよりそのほねよりりたればなり。 31ゆゑひと父母ふぼさしおきておのつまひ、しかして二人ふたり一體いつたいるべし、 32これおほいなる奧義おくぎなり、われはキリストおよ敎會けうくわいきてこれふ。 33ればなんぢおのおのおのつまおのれとしてあいし、またつまをつと畏敬ゐけいすべし。

第6章

[編集]

1たるものよ、しゆおいなんぢ父母ちちははしたがへ、けだしこれ正當せいたうことなり。 2なんぢ父母ちちははうやまへ」とは、約束やくそくしたるだい一のおきてにして、 3すなはち「なんぢさいはひ地上ちじやう長命ちやうめいならんため」となり。 4ちちたるものよ、なんぢその子等こどもいかりことなくして、しゆ規律きりつ訓戒くんかいとのうちこれそだてよ。 5奴隷どれいたるものよ、キリストにしたがふがごとくにおそおののき、單純たんじゆんなるこころもつ肉身上にくしんじやう主人しゆじんしたがへ。 6人々ひとびとこころかなはんとするがごとくに目前めのまへのみにてつかへず、キリストの奴隷どれいとしてこころよりかみ思召おぼしめしし、 7つかふることひとおいてせずしゆおいてするがごとくに、こころよくせよ。 8奴隷どれいたると自由じいうたるとをはず、各自かくじしたるぜんは、いずれもしゆよりむくいらるべしとればなり。 9主人しゆじんたるものよ、なんぢまた奴隷どれいむかひてことかくごとくにして、彼等かれら威嚇おどしくはふることなかれ、彼等かれらなんぢとのしゆてんましまして、ひときてかたよたまことなしとればなり。 10をはりのぞみて、兄弟等きやうだいたちよ、なんぢしゆおいまたその大能たいのう勢力ちからおい氣力きりよく11惡魔あくま計畧けいりやくつことをために、かみ武具ぶぐけよ。 12われたたかふべきは血肉けつにくむかひてにはあらず、權勢けんせいおよ能力のうりよくこの暗黑くらやみつかさ天空てんくう惡靈あくれいむかひてなればなり。 13ればあし抵抗ていかうし、萬事ばんじ成功せいこうしてことために、かみ武具ぶぐれ。 14ればなんぢこし眞實しんじつおびし、正義せいぎよろひけ、 15あし平和へいわ福音ふくいんたいする奮發ふんぱつき、 16すべての場合ばあいおい惡魔あくま火箭ひやすべき信仰しんかうたてり、 17救靈たすかりかぶとかみ御言おんことばなる[せい]れいつるぎり、 18なほかつすべ祈祷きたうおよ懇願こんぐわんもつて、いづれの機會きくわいおいても聖靈せいれいりていのり、忍耐にんたいもつ聖徒せいと一同いちどうため懇願こんぐわんすること注意ちゆういせよ。 19またわがためにもしかなして、われ福音ふくいん奧義おくぎためくさりつながれたる使節しせつなれば、はばからずくちひらきてこれらするやうことばたまはり、 20これきてかたるべきままあへかたやういのれ。 21われくわんすることわがことなんぢらんために、わが至愛しあいなる兄弟きやうだいにしてしゆ忠實ちゆうじつなる役者えきしやたるチキコは、萬事ばんじなんぢぐるならん。 22かれつかはししはこれためすなはかれわれくわんすることなんぢらせて、なんぢこころなぐさめんためなり。 23ねがはくはちちにてましまかみおよしゆイエズス、キリストより、平安へいあんあい信仰しんかうとを兄弟等きやうだいたちたまはらんことを。 24ねがはくは我主わがしゆイエズス、キリストをかはらずあいたてまつすべてのひと恩寵おんちようあらんことを、アメン。