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エドワード8世の退位演説

提供:Wikisource


ようやく、私自ら皆様に少しお話しできる事になりました。 これまで、私は何かを隠し立てたいと思った事はありません。しかし、これまで、私は、憲政上の理由によってお話しする事がかないませんでした。

数時間前、私は国王および皇帝としての最後の職務を果たしました。そして、わが弟であるヨーク公に継承された今、私のはじめての言葉は、彼への忠誠を表明する事でなければなりません。私はこれを心を込めて行います。

皆様は、私が王位から退かなければならない理由をご存知の事と思います。しかし、私がこの事を決心した時、プリンス・オブ・ウェールズとして、そして最近では国王として、25年間奉仕しようとしてきた国家や帝国を忘れた訳ではない事をご理解いただきたいと思います。

しかし、皆様、私が愛する女性の助けと支援なしに重責を背負い、国王としての自らの義務を果たす事は不可能であるという私の言葉を信じてください。

そして、私がくだした決断は、私個人による物である事をご承知いただきたいと思います。この件に関するすべては私自身が判断しなければなりませんでした。もっとも関係の深いもうひとりの関係者は、最後まで私に別の道を歩むよう、説得してくれました。

私はわが人生で最も重大なこの決断を、最終的にはすべての人にとって、最善の結果となる事を念頭に置いた上でくだしました。

私にとってこの決断が困難な物ではない理由は、優れた資質を持つわが弟が、長きにわたり、この国の公務の経験を積んでいるため、帝国の生活と発展に支障をきたす事なく、すぐに私の跡を継ぐ事ができるという確信があるからです。そして、彼には、皆様の多くが享受しており、私にはない、妻と子供たちに囲まれた幸福な家庭という、この上ない祝福があります。

この厳しい日々の間、私は母后陛下と家族に慰められてきました。王冠のもとにある大臣たち、特に首相のボールドウィン氏は、常に私への十分な配慮をもって接してくださいました。私と彼ら、そして私と議会の間に、憲政上の見解の相違があった事はありません。わが父から憲政の伝統によって育てられた私は、そのような問題が起こる事を決して許せませんでした。

私がプリンス・オブ・ウェールズであった時、そして後に王位に即いてからも、私が帝国内のどこに住み、旅をしても、すべての階級の人々から大変親切な歓待を受けました。その事に大変感謝しています。

今、私は、すべての公務を終えて、重荷を下ろします。祖国に戻るのはまだ先の事になるかも知れませんが、私は常にイギリス人と帝国の運命に深い関心を持って見守っていきたいと思います。そして、もし将来、個人的に陛下のお役に立てる事がありましたら、私は必ずお手伝いさせていただきます。

そして、今、私たちには新国王がいます。私は彼と彼の民である皆様の幸福と繁栄を心より願っています。すべての皆様に神の祝福がありますように! 神よ、国王をお守りください!

この文書は翻訳文であり、原文から独立した著作物としての地位を有します。翻訳文のためのライセンスは、この版のみに適用されます。
原文:

この作品は 英国政府により作成され、1974年より前に商業的に発行されたため、パブリックドメインの状態にあります。

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翻訳文:

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