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イソップ童話集/蚊と牝牛

提供:Wikisource
一ぴきの蚊が、たくさんとびまわって、すっかりつかれたので、どこかいいやすみ場所はないかとみまわすと、牝牛がすぐそばで草をたべていたので、さっそくその角の上へとまりました。
しばらくやすんで、さて牝牛にむかい「牝牛さん、もうすこしやすませてもらいたいが、どうでしょう。あまりごめいわくならすぐたちのきますが。」
と、申しますと、牝牛は口をもぐもぐさせながら、
「ごめいわくだって?いったいおまえさんは、わたしのどこにとまっているんだね。わたしにとっては、おまえさんの一ぴきや二ひき、とまっていたっていなくたって、おんなじことなんだよ。」
と、申しました。