イソップ童話集/獅子と熊と狐

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一匹の小山羊を、獅子と熊とが同時にみつけて、つかみかかりました。そしてどちらも、自分こそ小山羊をひとり占にしようとして、ものすごいあらそいがおこりました。
どちらも負けずおとらず強いので、お互にはげしくひっかいたり、かみ合ったりして、長い間たたかっていましたので、しまいには、どちらもヘトヘトにつかれ切って、土の上にたおれていました。
するとこのようすを、さっきから木のかげでうかがっていたいっぴきのきつねが、しのび足で近づいて、そばにおいてあった小山羊をひっつかむが早いか、いちもくさんに逃げ出してしまいました。獅子も熊もそれを見ながら起きあがることさえも出来ず、顔を見合せて云いました。
「仲よく半分ずつたべればよかったのに、こんなにお互に大けがをして、おまけに小山羊の肉の一片も口に入らないとは。」