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イソップ童話集/熊と狐

提供:Wikisource
森のおくである日、熊と狐が、いろいろはなしをしていましたが、熊はさもとくい気に、
「とにかく、あらゆる動物のうちで、一番人間に対して礼儀正しいのはおれだよ。なぜって、おれは人間をうやまってその死がいには、爪一つさわらないんだからな。」
と、申しますと、狐はこれをきいて、
「しかしねえ熊さん。君のその言葉を人間がきいたら、きっとその反対に、『死んだ人をたべて、生きてる人にさわらないでくれ。』というだろうと思うよ。」
と、こたえました。