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イソップ童話集/太陽と風

提供:Wikisource
あるとき、さむい北風と、あたたかな太陽とが、たがいに力じまんをはじめましたが、どちらも、自分の方がえらいと云いはって、いつまでたっても、はてしがありません。
すると、太陽が、ふと、下の野原をとおって居るたびびとを見つけて、
「それじゃ北風さん、ひとつ、あのたびびとのきて居るがいとうを、どっちが早くぬがすか、ためして見ようではありませんか。まず、君からやって見たまえ。」
と、云いました。
そこで北風は、
「そんなことは何のぞうさもない」
と、云って、たびびとめがけて、ありったけの力で、ひゅうひゅうふきまくりました。
ところが、たびびとは、がいとうをぬぐどころか、ふけばふくほどがいとうのえりを立て、しっかりと両手でおさえてしまいました。
太陽はそれを見ると、
「さあ僕の番だ。よく見て居たまえよ。」
と、云いながら、雲の間からかおを出して、あたたかい光を、一面に、そそぎかけました。すると、たびびとは、きゅうにあたたかくなったので、ほっとしたように、がいとうをぬぎました。
北風は、
「まけた、まけた。」
と、云いながら、とおくへ、にげて行ってしまいました。