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イソップ童話集/マーキュリイの像

提供:Wikisource
ひとりのびんぼうなおとこがありました。そのおとこは、マーキュリィの木像を一つもっていてまいにち、まいにち、おそなえものをしては、かねもちにしてくださいといっておりました。
ところが、いくらいのっても、いのっても、ますますびんぼうになるばかりなので、ある日、そのおとこは、とうとうおこりだし、たなから木像をひきずりおろして、はしらへたたきつけました。
すると木像は、まっ二つにわれて、なかからお金がいっぱいこぼれ出ました。
おとこは、あわてて、そのお金をひろいあつめながら、いいました。
「あなたはずいぶん、つむじまがりですね。私がいっしょうけんめいあなたをうやまって、そなえものをしているあいだは、なんの御りやくもさずけないで、こんなひどい目にあわせると、いっぱいお金をさずけるなんて。」