イソップ童話集/ろばとこおろぎ
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- こおろぎが、ころころとかわいいこえで、ないていますと、それをきいていたろばは、すっかりかんしんしてしまいました。
- そして、
- 「よし、私もひとつあんないいこえをだすようになって、みんなをおどろかしてやろう。」
- と、がらにもない考をだして、こおろぎのところへ、やって来ました。
- 「ねえ、こおろぎさん、あなたたちは、そんないいこえをだしているが、いったいまいにちどんなものをたべているんです。」
- と、ききました。
- こおろぎは、
- 「私たちは、ただくさばにたまるつゆを、すっているだけです。」
- と、こたえました。
- ろばは、それをきいて、
- 「さあ、しめた。もうすぐいいこえになって見せるぞ。」
- と、おもいながら、それからは、まいにち、まいにち、くさばのつゆばかりすっていましたが、いいこえが、でるどころか、だんだんからだが、やせて来て、とうとう、ほねとかわばかりになって、しんでしまいましたとさ。