イソップ童話集/ろうとかわら

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あるとき、ろうとかわらとが、大げんかをしました。ろうはあのとおりすぐぼろぼろとこわれやすいのでかわらのために、さんざんなひどい目に、あわされてしまいました。ろうはくやしくてくやしくてたまりません。どうかして、一つあのかわらのようなかたいからだになって、かたきうちをしてやろうとおもいました。
いろいろ、かんがえたあげく、ろうは、
「かわらのやつは、もとは、ぼくよりも、ぼろぼろしている土っころなのだが、あつい火の中で、やかれると、きゅうにあんなに、かたくなってしまう。よし、ぼくも、ひとつ火の中でやかれて見よう。」
と、けっしんして―ああ、なんて、らんぼうなろうだろう―すぐさま、火の中へとびこみました。
もちろん、ろうはたちまちとけて、かげもかたちも、なくなってしまいました。そして、ろうのくすぶる、いやなにおいだけが、しばらくのあいだ、あたりをたちこめて居ましたとさ。