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イソップ童話集/こどもとかえる

提供:Wikisource
ある日のこと、五六人のこどもたちがいけのそばであそんでいましたが、その中の二三人が、おもしろはんぶんに、水の中へ、いしをポンポンなげはじめました。
ところが、いけの中には、たくさんのかえるがすんで居たので、こどもたちのなげた石にあたって、ひどいけがをしたかえるが、大ぜいありました。
とうとう、がまんができなくなって、かえるの中で、一ばんとしをとっていてりこうなのが、いけからあたまだけをだして、
「みなさん、石をなげるのだけはやめて下さいよ。」
と、云いました。
すると、こどもたちは、
「ぼくたちはなにもわるいことをしているんじゃない。ただ、石をなげてあそんでいるだけだよ。」
と、こたえました。
しかし、としよりのかえるは、
「それはそうでしょうが、みなさんがあそびはんぶんになげる石で、私たちはひどいけがをします。あそびはんぶんにすることで、他人のいのちにもかかわるようなめいわくをかけるなんて、あまりかんしんしませんね。」
と、云いますと、こどもたちは、もういいかえすことばもなく、みんなこそこそと、向うの方へ行ってしまいましたとさ。