アメリカ合衆国の千九百十六年の反不当廉売法に基づき受けた利益の返還義務等に関する特別措置法

提供:Wikisource


アメリカ合衆国の千九百十六年の反不当廉売法に基づき受けた利益の返還義務等に関する特別措置法をここに公布する。

御名御璽

    平成十六年十二月八日


法律第百六十二号

   アメリカ合衆国の千九百十六年の反不当廉売法に基づき受けた利益の返還義務等に関する特別措置法

 (目的)
第一条  この法律は、アメリカ合衆国の千九百十六年の反不当廉売法に基づき受けた利益の返還義務等について定めることにより、同法に基づき損失を受けた者の保護を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

 (定義)
第二条  この法律において「アメリカ合衆国の千九百十六年の反不当廉売法」とは、二千年九月二十六日に世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書二紛争解決に係る規則及び手続に関する了解第二条に規定する紛争解決機関において採択された勧告及び裁定の対象となったアメリカ合衆国の法律をいう。

2 この法律において「本邦法人等」とは、本邦の法令に基づいて設立された法人その他の団体又は日本の国籍を有する者をいう。

 (利益の返還義務等)
第三条  アメリカ合衆国の千九百十六年の反不当廉売法に基づく外国裁判所の確定判決によって利益を受け、そのために本邦法人等に損失を及ぼした者(以下「受益者」という。)は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。

2 前項の場合において、本邦法人等にアメリカ合衆国の千九百十六年の反不当廉売法に基づく裁判手続の準備及び追行のための代理人への報酬の支払その他の損害があったときは、受益者はその賠償の責めに任ずる。

3 前二項の場合において、次の各号のいずれかに該当する者は、本邦法人等に対し、受益者と連帯して利益を返還し、損害を賠償する義務を負う。ただし、受益者に対する求償権の行使を妨げない。
 一 受益者の発行済株式又は出資(自己が有する自己の株式又は出資を除く。以下「発行済株式等」という。)の全部を保有する者
 二 発行済株式等の全部を受益者に保有される法人

 (消滅時効)
第四条  前条に規定する利益の返還又は損害賠償の請求権は、三年間行使しないときは、消滅する。

 (裁判管轄)
第五条 第三条の規定に基づく利益の返還又は損害の賠償の訴えは、原告の普通裁判籍所在地の裁判所に提起することができる。

 (外国裁判所の確定判決の効力)
第六条  アメリカ合衆国の千九百十六年の反不当廉売法に基づく本邦法人等に対する訴えについてした外国裁判所の確定判決は、その効力を有しない。

   附 則

 (施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。

(この法律の失効)
2 この法律は、この法律の施行の日から起算して六月を経過した日に、その効力を失う。ただし、同日前に提起されたアメリカ合衆国の千九百十六年の反不当廉売法に基づく訴えに係る利益の返還又は損害の賠償については、この法律は、同日以後も、なお効力を有する。

内閣総理大臣  小泉純一郎

この著作物は、日本国著作権法10条2項又は13条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同法10条2項及び13条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 憲法その他の法令
  2. 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
  3. 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
  4. 上記いずれかのものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
  5. 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道

この著作物は、米国政府、又は他国の法律、命令、布告、又は勅令等(Edict of governmentも参照)であるため、ウィキメディアサーバの所在地である米国においてパブリックドメインの状態にあります。“Compendium of U.S. Copyright Office Practices”、第3版、2014年の第313.6(C)(2)条をご覧ください。このような文書には、“制定法、裁判の判決、行政の決定、国家の命令、又は類似する形式の政府の法令資料”が含まれます。