かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化でおもてなし県民条例

提供:Wikisource


かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化でおもてなし県民条例をここに公布する。

平成25年12月24日
鹿児島県知事 伊藤祐一郎

鹿児島県条例第67号

 かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化でおもてなし県民条例

 蒸留酒である本格焼酎は、醸造酒である清酒と並び、日本を代表する伝統的な酒である。温暖な本県では、醸造酒の製造は不向きであったことから、蒸留酒である焼酎が製造されており、16世紀のザビエルの関連記録や伊佐市郡山八幡神社の落書きから、本県の焼酎の歴史は500年遡ると言われている。

 このような背景から、本県では、焼酎と相性の良い郷土料理が生み出され、その日の疲れを癒やす晩酌の習慣や伝統工芸品である酒器の製造など、焼酎と密接な関係を持つ、焼酎文化ともいうべき郷土の伝統文化が受け継がれてきている。

 現在、本格焼酎は、本県の特産品であり、出荷額は本県製造品の上位にあるとともに、製造業者が全県的に分布しており、農業、酒販業、料飲業等関連産業の業種も多く、本格焼酎の製造及び販売等に関する産業は本県の主要産業となっている。また、本県の農産物を原料として、本県において製造され、及び販売されている焼酎については、これらの一連の事業が1次産業、2次産業及び3次産業全てに関連していることから、農商工等連携のモデルとして位置付けられる。

 本格焼酎の出荷量は、首都圏を中心とした本格焼酎ブームの後、減少が続いた。そのため、国内外を含めた販路拡大、「薩摩焼酎」・「奄美黒糖焼酎」の認知度向上、県内産焼酎原料用さつまいもの安定的な確保、製造技術の向上、人材の育成・確保などを行うことが必要となってきている。

 一方、本県は、観光立県を目指しており、郷土の魅力の発信の一つとして、県外客等に対する、本格焼酎による乾杯、鹿児島の郷土料理、伝統工芸品である酒器等の「焼酎文化」によるおもてなしに努める必要がある。また、健康に配慮した焼酎の飲み方や料理の提案は、県外客等にとって大きな魅力となることから、旅館・ホテル業や料飲業など食品提供を行う者は、本格焼酎に合う地元産品を活用した料理を開発し、提供することが求められる。

 このような中、これらの取組を促進するためには、製造業者、関連産業事業者等をはじめ、県民も「焼酎文化」への理解を深めていく必要がある。

 ここに、本格焼酎の製造、販売等に関する産業の振興を県政の重要課題と位置付け、本格焼酎の製造業及び関連産業の振興を図るため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、本格焼酎(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律施行規則(昭和28年大蔵省令第11号)第11条の5に規定する本格しようちゆうのうち、本県内で製造されるものをいう。以下同じ。)の製造業及び販売、原料の生産その他の関連する産業(以下「関連産業」という。)の振興に関し、基本理念を定め、県、本格焼酎の製造に関する事業を行う者(以下「製造業者」という。)等の役割等を明らかにすることにより、これらの産業の更なる振興及び本格焼酎に関連する郷土の伝統文化(以下「焼酎文化」という。)への理解の促進を図り、もって地域経済の健全な発展及び県民生活の向上に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 本格焼酎の製造業及び関連産業の振興は、これらを行う者の創意工夫及び自主的な努力を基本として図られなければならない。

2 本格焼酎の製造業及び関連産業の振興は、当該振興が地域経済の発展に貢献するものであるという基本的な認識の下に図られなければならない。
3 本格焼酎の製造業及び関連産業の振興は、本格焼酎の普及及び販路拡大、焼酎文化への理解及び焼酎文化によるおもてなしの促進、原料の安定的な確保、製造技術の向上並びに製造業及び関連産業を担う人材の育成及び確保を旨として図られなければならない。
4 本格焼酎の製造業及び関連産業の振興は、県、製造業者及び関連産業の事業者並びにこれらの者により構成される団体(以下「関係団体」という。)等がそれぞれの役割等を果たすとともに、相互に連携することを旨として図られなければならない。

(県の役割)

第3条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、製造業者、関連産業の事業者及び関係団体が相互に連携して本格焼酎の製造業及び関連産業の振興が図られるよう、必要な支援に努めるものとする。

(製造業者等の役割)

第4条 製造業者及び製造業者が構成する団体(以下「製造業者等」という。)は、基本理念にのっとり、本格焼酎の製造業及び関連産業の振興に取り組むよう努めるものとする。

2 製造業者が構成する団体は、前項の取組の推進に当たっては、県、製造業者並びに関連産業の事業者及び関連産業の事業者が構成する団体(以下「関連産業事業者等」という。)と連携を図り、一体的な取組を計画的に実施するよう努めるものとする。

(関連産業事業者等の役割)

第5条 関連産業事業者等は、基本理念にのっとり、本格焼酎の製造業及び関連産業の振興に取り組むとともに、県及び製造業者等が行う取組に協力するよう努めるものとする。

(大学及び研究機関の役割)

第6条 焼酎の製造技術等の研究を行う大学及び研究機関は、基本理念にのっとり、研究及び人材の育成を通じて、本格焼酎の製造業及び関連産業の振興への協力並びに焼酎文化への理解を深めるための普及啓発に努めるものとする。

(県民の理解)

第7条 県民は、本格焼酎及び焼酎文化について理解を深めるとともに、県外客等に対する焼酎文化によるおもてなしに努めるものとする。

(個人のし好等の尊重)

第8条 県、製造業者等、関連産業事業者等及び県民は、この条例に規定する取組等を行うに当たっては、個人のし好及び意思を尊重するものとする。

この条例は、平成26年1月1日から施行する。

この著作物は、日本国著作権法10条2項又は13条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同法10条2項及び13条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 憲法その他の法令
  2. 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
  3. 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
  4. 上記いずれかのものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
  5. 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道

この著作物は、米国政府、又は他国の法律、命令、布告、又は勅令等(Edict of governmentも参照)であるため、ウィキメディアサーバの所在地である米国においてパブリックドメインの状態にあります。“Compendium of U.S. Copyright Office Practices”、第3版、2014年の第313.6(C)(2)条をご覧ください。このような文書には、“制定法、裁判の判決、行政の決定、国家の命令、又は類似する形式の政府の法令資料”が含まれます。