おもろさうし/第一

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きこゑ大ぎみがおもろ 首里王府の御さうし 嘉靖十年 第一

あおりやへが節[編集]

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
降(お)れて 遊(あす)びよわれば
天(てに)が下(した)
平(たい)らげて ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく

あおりやへが節[編集]

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
降(お)れて 遊(あす)びよわれば
神(かみ)てだの
守(まぶ)りよわる按司(あんじ)添(おそ)い
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく

あおりやへが節[編集]

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
世添(そ)うせぢ みおやせば
千万 世 添(そ)わて ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)い
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)い
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
又 大君す 守(まぶ)らめ

あおりやへが節[編集]

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
天(てに)の祈(いの)り しよわれば
てるかはも 誇(ほこ)て 
おぎやか思(も)いに
笠利(かさり) 討(う)ちちへ みおやせ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が

あおりやへが節[編集]

1 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや 
赤(あけ)の鎧(よろい) 召(め)しよわちへ
刀(かたな)うちい
大国(ぢやくに) 鳴響(とよ)みよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 月しろは さだけて
又 物知(し)りは さだけて

あおりやへが節[編集]

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
  神座(かぐら)吉日(ゑか) 取(と)りよわちへ
按司(あんじ)添(おそ)いす
十(と)百(もゝ)末(すへ) ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 てるかはと 行(よ)き合(や)て
又 てるしのと 行(よ)き合(や)て
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
降(お)れて 降(お)れ栄(ふさ)よわ
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
[([(注))又喜界(ききや)の浮島
喜界(ききや)の焼(やけ)島(しま)]
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
世掛(が)けにせ按司(あんじ)添(おそ)い
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
添(おそ)いにせ按司(あんじ)添(おそ)い
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)いや
  神座(かぐら)ぎやめ 鳴響(とよ)で
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)いや
  おぼつぎやめ 鳴響(とよ)で 

あおりやへが節[編集]

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
十嶽(とたけ) 勝(まさ)りよわちへ
見れども飽(あ)かぬ首里親(おや)国
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)い
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく

あおりやへが節[編集]

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
京(けよ)のせぢ 遣(や)りよわば
島(しま) 丸(まる)く
御声(みこゑ)し遣(や)り 添(おそ)わ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく

あおりやへが節[編集]

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
降(お)れて  降(お)れ栄(ふさ)よわちへ
世(よう) 揃(そろ)いて
おぎやか思(も)いに みおやせ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく

きこゑたうやまが節[編集]

10

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
戦(いくさ)せぢ みおやせ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)いや

あおりやへが節[編集]

11

一聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
十百(ともゝ)
算為(さにし)ちへ ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく

大きみがいくさせぢみおやせが節[編集]

12

一 聞(きこ)ゑたう山(やま)に
大君(きみ)ぎや 気(け) 遣(や)りよわ
又 鳴響(とよ)むたう山(やま)に
又 せるましの くひしに
又 島尻(しまじり)の いくさに

あおりやへが節[編集]

13

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
搔(か)い撫(な)でわる貴(たゝ)み人(きよ) 
果報(かほう)寄(よ)る見揚(みや)がの杜(もり) ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり) ちよわれ
又 真玉(まだま)杜(もり) ちよわれ

あおりやへが節[編集]

14

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
祈(いの)り奉(たてまつ)れば
万万(まんまん) あすらまん ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく

あおりやへが節[編集]

15

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
せぢ高(たか) うち揚(や)がて ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が 

あおりやへが節[編集]

16

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
首里(しより)杜(もり) 降(お)れわちへ
おぎやか思(も)いや 
君(きみ)しよ 守(まぶ)りよわめ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
  真玉(まだま)杜(もり) 降(お)れわちへ
又 さしふ 照(て)る雲(くも)に
  降(お)れ直(なお)ちへからは
又 さしふ 照(て)るきしやけ
  降(お)れ栄(ふさ)てからは
又 てるかはと 十声(とこゑ) 遣(や)り交(かわ)ちへ
又 てるしのと ゑりちよ 遣(や)り交(かわ)ちへ
又 てるかはも 誇(ほこ)て 

あおりやへももりやあんじが節[編集]

17

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
せぢ鳴響(とよ)み精軍(せいくさ)
島(しま)討(う)ちの 鳴響(とよ)み 
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
  せぢ鳴響(とよ)み精軍(せいくさ)
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)いぎや
  せぢ鳴響(とよ)み精軍(せいくさ)
又 ゑそこ 通(かよ)わぎゃめ
  せぢ 遣(や)り遣(や)り 添(おそ)う
又 み御船(おふね) 通(かよ)わぎゃめ
  せぢ 遣(や)り遣(や)り 添(おそ)は
又 精軍(せいくさ) 押(お)し発(た)てば
  気(けお) 遣(や)り遣(や)り 守(まぶ)ら

又 精百(せひゃく) 押(お)し発(た)てば
気(けお) 遣(や)り遣(や)り 守(まぶ)ら
又 だしきや 打(う)ち釘(くぎ)
  ちやはれ 廻(まわ)らし

あおりやへが節[編集]

18

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
首里(しより)杜(もり) 降(お)れわちへ
百歳(ひやくさ)ぎゃめ
おぎやか思(も)いしよ ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
  真玉(まだま)杜(もり) 降(お)れわちへ
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)いや

あおりやへが節[編集]

19

一聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
今日(けよ) 降(ふ)らす 雨(あめ)や
京(きや)の内庭(うちみや)に
金(こがね) 降(ふ)り満(み)ちへて
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 今日(けお)の良(よ)かる日に
又 今日(けお)のきやかる日に

あおりやへが節[編集]

20

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
しけ内(うち) 綾(あや) 遊(あす)ばちへ
清(きよ)らの花(はな)の
うらうらと
鳴響(とよ)で 見物(みもん)
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が

あおりやへが節[編集]

21

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
島討(しまう)ち富(とみ) 押(お)し浮(う)けて
神座(かぐら)の 天降(てよ)り富(とみ)る かに ある
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 今日(けお)の良(よ)かる日(ひ)に
又 今日(けお)のきやかる日(ひ)に

きこへ大ぎみみてづからいのてが節[編集]

22

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
御愛(みかな)しけ按司(あんじ)添(おそ)い
うらうらと
同座敷(ゑんざ[し]き) ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が

よかきげらへが節[編集]

23

一 大君(ぎみ)ぎや
いろのべに 直(な) しよわちへ
君(きみ) 撓(しな)て なよらに
又 精高子(せだかこ)が
  まだまべに 直(な) しよわちへ
又 今日(けお)の良(よ)かる日(ひ)に
又 今日(けお)のきやかる日(ひ)に

あおりやへが節[編集]

24

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
降(お)れて 降(お)れ直(なふ)しよわ 
按司(あんじ)添(おそ)いに
世果報(がほう) みおやせ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が

あおりやへが節[編集]

25

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
初(はぢ)め軍(いくさ) 立(だ)ちよわちへ 
合(あ)おて 行(い)き遣(や)り
敵(かたき) 治(ひぢ)めわちへ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が  

あおりやへが節[編集]

26

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
世掛(が)けせぢ  降(お)ろちへ
按司(あんじ)添(おそ)いしよ
末(すゑ) 勝(まさ)て ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく

あおりやへが節[編集]

27

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
歓(あま)ゑわちへからは  
成(な)さい人(きよ)思(も)いに
島(しま)が命(いのち) みおやせ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく  

あおりやへが節[編集]

28

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
世果報(がほう)杜(もり)に  
島(しま)世(ゆ) 揃(そろ)へわちへ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 佐(さ)敷(しき)金杜(もり)に 世果報(がほう)
又 聞(きこ)ゑ吾(あ)が成(な)さい人(きよ)に   

大ざとのげすのおもいあんじぎや節[編集]

29

一 与那覇(よなは)浜(ばま)聞得(きこゑ)大君(ぎみ)
八千代(やちよ) 掛(か)けて 鳴響(とよ)まさに
又 あきり口(ぐち) 鳴響(とよ)む大君(きみ)
八千代(やちよ)
又 馬天(ばてん)浜(はま) 聞(きこ)ゑ照(て)る君(きみ)
  八千代(やちよ)
又 赤(あか)ら傘(かさ) 百度踏(もゝとふ)み揚(あ)がり
  八千代(やちよ)     

あおりやへが節[編集]

30

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
雨(あめ)漏(も)らん杜(もり)に  
いのり揚(あ)がりしよ
世は ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 佐(さ)敷(しき)金杜(もり)や     

きこへ大ぎみぎやさやはたけおれわちへが節[編集]

31

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
てるかはは 宣立(のだ)てゝ
按司(あんじ)添(おそ)いしよ 
天(てに)ぎや下 添(おそ)ちへ 
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
  てるしのは 宣立(のだ)て
又 いせゑけり 按司(あんじ)添(おそ)い
  肝(あゆ)が内(うち)は 嘆(なげ)くな
又 いせゑけり貴(たゝ)み人(きよ)  
  御肝内(おぎもうち)は 嘆(なげ)くな
又 精軍(せいくさ) 押(お)し発(た)てば
  大君(おおきみ)しよ よ(世)治(し)らめ
又 精百(せひやく) 押(お)し発(た)てば
精高子(せだかこ)がす よ(世)治(し)らめ
又 国持(も)ちのはらはら
  おぼつ庭(な)よ 世 揃(そろ)へて
又 浦(うら)寄(よ)せのもどろ
神座(かぐら)庭(な)よ 世 添(そ)ゑ
又 国(くに)かねのはらら
  島(しま)は 平(たい)らあげて
又 浦(うら)治(ひぢ)めもどろ
国(くに) 広(ひろ)く 添(そ)ゑて
又 赤口(あかぐちや)が 依(よ)い憑(つ)き
  精軍(せいくさ)てゝ 發(は)ねて    

天より下の王にせが節[編集]

32

一 聞得(きこゑ)君(きみ)添(おそ)い
降(お)れて 遊(あす)びよわれば  
天(てに)より下(した)の
せぢ果報(がほう) みおやせ
又 精(せ)高(だか)君(きみ)添(おそ)いぎや
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく     

あおりやくもりやあぢの節[編集]

33

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
大国(ぢやくに)や 世 添(そ)ゑる
按司(あんじ)添(おそ)いしよ 鳴響(とよ)め
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 いせゑけり按司(あんじ)添(おそ)い
又 いせゑけり貴(たゝ)み人(きや)
又 精軍(せいくさ)せぢ 勝(まさ)れ
又 精百(せひやく)せぢ 勝(まさ)れ
又 首里(しより)杜(もり) ころころ
又 御島数(みしまかず) ころころ
又 肝(あよ) 強(ちよ)く 実(げ)に あれ
又 肝(きも) 強(ちよ)く だに あれ
又 気(け)有(や)る精(せい)遣(や)り富(とみ)
又 気(け)有(や)る天(て)降(よ)り富(とみ)
(又)八重(やへ)島(しま)厳子(いつこ)
  肝(あよ)迷(まよ)い しめや
又 波(は)照間(たら)島(しま)くはら
  肝(きも)迷(まよ)い 取(と)らちへ
又 首里杜(もり)あせは
  土(つち)斬(ぎ)りに 斬(き)らせ
又 真(ま)玉杜(もり)ちかわは
  土(みちや)斬(ぎ)りに 斬(き)らせ
又 浦(うら)の数(かず) 神(かみ)添(おそ)い
  相手(あいて)為(な)て 守(まぶ)ら     

きこへきみおそいが節[編集]

34

一  聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
斎場(さやは)嶽(たけ) 降(お)れわちへ
うらうらと
御想(さう)ぜ様(や)に ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
寄(よ)り満(み)ちへに 降(お)れわちへ
又 いしゑけり按司(あんじ)添(おそ)い
  搔(か)い撫(な)でてす 依(よ)り降(お)れて
又 いしゑけり貴(たゝ)み人(きや)
  見(み)守(まぶ)てす 依(よ)り降(お)れて
又 御(お)肝(ぎも)内(うち)に 御想(さう)ぜ
  明(あ)けとまに 譬(たと)ゑちへ
又 肝(あよ)が内(うち)に 御想(さう)ぜは
  明(あ)け立(た)ちに 譬(たと)ゑて
又 精軍(せいくさ)吉日(ゑか) 取(と)りよわちへ
  島討(しまう)ちせぢ もちよろ
又 精百(せひやく)吉日(ゑか) 取(と)りよわちへ
  国討(くにう)ちせぢ もちよろ
又 威部(いべ)の祈(いの)り しよわちへ
  浦々(うらうら)は 寄(よ)せて
又 司(つかさ)祈(いの)り しよわちへ
  撫(な)でる曲(わ)は 寄(よ)せて
又 きらの数(かず) 吉日(ゑか)の数(かず) 祈(いの)て
うらうらと     

おらそいおもろの節[編集]

35

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
押(お)し遣(や)たる精軍(せいくさ)
按司(あんじ)添(おそ)いしよ 世 添(そ)ゑれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
押(お)し遣(や)たる精軍(せいくさ)
又 あはれ愛(かな)し君(きみ)南風(はえ)
  国(くに)討(う)ち為(し)ちへす 戻(もど)りよれ
又 群(も)り合(や)へ子(こ)達(た) 大国(ぢやくに)為(し)ちへ
島(しま)討(う)ち為(し)ちへす 戻(もど)りよれ
又 大ころ達(た) 大国(ぢやくに)為(し)ちへ
  国(くに)討(う)ち為(し)ちへす 戻(もど)りよわれ
又 み御(お)船(うね)数(かず) ころ達(た)よ
  合(あ)おてす 戻(もど)りよれ
又 おぼつぎやめ 鳴響(とよ)で
 合(あ)おてす 戻(もど)りよれ     

あがおなりがみの節[編集]

36

一 按司(あんじ)添(おそ)いや
  金内(うち)に ちよわれ
  世の想(さう)ぜ しよわれ
 大君(きみ)す 気(けい) 遣(や)りよわれ
又 按司(あんじ)添(おそ)いや
  京(けお)の内(うち)に ちよわちへ
世の想(さう)ぜ しよわれ
精高子(せだかこ)す 気(けい) 遣(や)りよわれ 
又 按司(あんじ)添(おそ)いや
  御(お)肝(ぎも)内(うち)は 嘆(なげ)くな
大君(きみ)す 気(けい) 遣(や)りよわれ
又 貴(たゝ)み人(きよ)は  
肝(あよ)が内(うち)は 嘆(なげ)くな
又 首里杜(もり)大ころが
島(しま) 広(ひろ)く 添(そ)へて
按司(あんじ)添(おそ)いに
世 添(そ)へて みおやせ
又 御(み)島(しま)数(かず)ころころ 
  国 広(ひろ)く 添(そ)へて
又 君(きみ)南風(はゑ)が
  宮(みや)古(こ)島(しま) 走(は)ちへおわれ
  島(しま) 広(ひろ)く 添(そ)へて
又 京(けお)の主(しよ)が
八(や)重(へ)山(ま)島(しま) 走(は)ちへおわれ
  国(くに) 広(ひろ)く 添(そ)ゑて
又 八(や)重(へ)山(ま)島(しま)厳(いつ)子(こ)
  あせ等(ら) 撓(た)めやらば
大君(きみ)す よ(世)治(し)らめ
又 波(は)照(た)間(ら)島(しま)くはら
  ちかわ 撓(た)めやらば
精高子(せだかこ)す よ(世)治(し)らめ
又 あせ等(ら) 撓(た)めやらば
  沖(おき)膾(なます) すもらん
  大君(きみ)す よ(世)治(し)らめ

かぐらとよでが節[編集]

37

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
鳴響(とよ)まちへ みおやせ
又 成(な)さい人(きよ)思(も)い按司(あんじ)添(おそ)い
吾(あ)が搔(か)い撫(な)で按司(あんじ)添(おそ)い
又 京(けお)の内(うち)に もちよる
  もちろ内(うち)の もちよる
又 国清(きよ)らは 煽(あお)らちへ
  あけ珍(めづ)ら 煽(あお)らちへ
又 鳴(な)り鳴響(とよ)み 打(う)ち揚(や)げて
  鳴(な)り清(きよ)らは 打(う)ち揚(や)げて
又 大君(きみ)は いきよて
  君(きみ)々は いきよて
又 京(けお)の踊(よ)り 降(お)れわちへ
  もちろかちへ 遊(あす)べば
又 げらへ大ころ達(た)
算(さに)知(し)らん ころころ
又 肝(あよ) 揃(そろ)て そこて
  肝(きも) 揃(そろ)て そこて
又 厳(いつ)子(こ) 此(こ)の御(み)島(しま)
  くはら 此(こ)の御(み)国(くに)
又 あがな遣(や)り 降(お)れわちへ
  養(やしな)な遣り 降(お)れわちへ

かぐらとよでが節[編集]

38

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
御(み)島(しま) 祈(いの)られ
又 首里(しより)杜(もり) ちよわる
 真玉(まだま)杜(もり) ちよわる
又 成(な)さい人(きよ)思(も)い按司(あんじ)添(おそ)い
吾(あ)が搔(か)い撫(な)で按司(あんじ)添(おそ)い
又 大君(きみ)よ いきよて
  精高子(せだかこ)よ 手(て)摩(づ)て
又 ゑそこ名(な)よ 乞(こ)ゆわちへ
  み御(お)船(うね)名(な)よ 乞(こ)よわちへ
又 天(あま)のそこらしや
  天(あま)の真嬉(まうれ)しや
又 世(よ)引(ひ)き富(とみ) 押(お)し浮(う)けて
  せぢ新(あら)富(とみ) 刳(く)り浮(う)けて
又 世(よ)付(つ)き富 押(お)し浮(う)けて
  雲(くも)子(こ)富(とみ) 刳(く)り浮(う)けて
又 舞(ま)やい富(とみ) 押(お)し浮(う)けて
  押(お)し明(あ)け富(とみ) 刳(く)り浮(う)けて
又 嶽(だけ)嶽(たけ)よ 祈(いの)て
  杜(もり)杜(もり)よ 祈(いの)て
又 煽(あお)りや 取(と)りよわり
天(て)降(お)りや 取(と)りよわり
又 ゑそこ数(かず) 付(つ)けわちへ
  み御(お)船(うね)数(かず) 付(つ)けわちへ
又 荒(そさ)ん 和(なご)やけて
  青波(あおなみ)やよ 凪(とど)やちへ
又 押(お)し浮(う)け数(かず) 見(み)守(まぶ)ら
  刳(く)り浮(う)け数(かず) 見(み)守(まぶ)ら
又 君々(きみきみ)しよ よ(世)治(し)らめ
  主々(ぬしぬし)しよ よ(世)治(し)らめ   

かぐらとよでが節[編集]

39

一 聞(きこ)得(ゑ)大君(ぎみ)ぎや
鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
厳(いつ)子(こ)島(しま) 鳴(と)響(よ)で 
又 おぼつ世の 真(ま)高(だか)さ
  神(か)座(ぐら)世の 真(ま)高(だか)さ
又 おぼつ よためかちゑ
  天(てに)地(ち) よためかちへ
又 与那覇(よなは)浜(ばま) 依(よ)り降(お)れて
  雪(よき)の浜(はま) 依(よ)り降(お)れて
又 京(けお)の内(うち)ののろのろ
もちろ内(うち)ののろのろ
又 御(み)世(よ)立(た)ちやは ぬき上(あ)げて
  世(よお)立(た)ちやは 押(お)し上(あ)げて
又 如何(いきや)る なまたにやか
  如何(いきや)る あよなかか
又 君(きみ)よ 輝(かが)あらちへ
  主(ぬし)よ 輝(かが)あらちへ
又 肝(きも) 立(た)ち居(よ)れども
  肝(あよ)は 立(た)ち居(よ)れども
又 首里杜(もり) ちよわる
 真玉(まだま)杜(もり) ちよわる
又 成(な)さい人(きよ)思(も)い按司(あぢ)添(おそ)い
吾(あ)が搔(か)い撫(な)で按司(あんじ)添(おそ)い
又 明(あ)けの露(つよ) おさちへ
  霜(しも)の露(つよ) おさちへ
又 厳(いつ)子(こ)島(しま) 揃(そろ)ゑて 
此(こ)の御(み)島(しま) 揃(そろ)ゑて
又 君田(きみた)降(う)り しよわちへ
  主(ぬし)貢(かまゑ) 取(と)りよわちへ
又 厳(いつ)子(こ)命(いのち) 継(つ)ぎよわちへ
くはら命(いのち) 継(つ)ぎよわちへ
又 誇(ほこ)て誇(ほこ)て 知(し)られれ
  そこてそこて 知(し)られれ
又 てるかはが 御(お)差(ざ)し
てるしのが 御(お)差(ざ)し

せぢやりやりやまとしまひぢめが節[編集]

40

一 にるや鳴響(とよ)む大主(ぬし)
  かなや鳴響(とよ)む若(わか)主(ぬし)
  にるやせぢ みおやせ
又 大(だ)島(しま) 添(おそ)う 按司(あぢ)添(おそ)い
  たきより 添(おそ)う 按司(あぢ)添(おそ)い
又 寄(よ)り満(み)ちへは やぬて
せぢ寄(よ)せは やぬて
又 大君(きみ)は いきよて
精高子(せだかこ)は 手摩(てづ)て
(又) 京(けお)の内(うち)の もちよろ
  もちろ内(うち)の もちよろ
又 誇(ほこ)るてて 実(げ)に あり
  そこるてて だに あり
又 赤(あか)口(ぐちや)が 撥(は)ねて
ぜるままが 撥(は)ねて
又 にるやぎやめ 通(とう)ちへ
  かなやぎやめ 通(とう)ちへ
又 あまにこの うらやて
  けさにこの 聞(きこ)ゑて
又 にるや吉日(ゑか) 取(と)りよわちへ
  かなや吉日(ゑか) 取(と)りよわちへ
又 首里(しより)杜(もり) うち歩(あよ)で
 真玉(まだま)杜(もり) うち歩(あよ)で
又 金(かね)の御(み)内(うち) 真(ま)庭(みや)に
  雲(くも)子(こ)御(み)内(うち) 真(ま)庭(みや)に
又 綾(あや)子(こ)浜(はま) やびちへ
  しつこ浜(はま) やびちへ
又 三(さん)庫(こお)裡(り) させわちへ
  三(さん)庭(み)あしやげ させわちへ
又 肝(あよ)が内(うち)の 生(う)まれて
  御(を)肝(ぎも)内(うち)の 勝(すぐ)れて
又 英(ゑ)祖(ぞ)にや真(ま)末(せ)按司(あぢ)添(おそ)い
  でだが末(すゑ)按司(あぢ)添(おそ)い
又 にるやせぢ 有(あ)らぎやめ
かなやせぢ 有(あ)らぎやめ
又 首里(しより)杜(もり) 栄(ふさ)い
 真玉(まだま)杜(もり) 栄(ふさ)い
又 大主(ぬし)す 守(まぶ)れ
若(わか)主(ぬし)す 守(まぶ)れ 

あおりやへが節[編集]

41

一 あがる降(お)り笠(かさ)が
  大君(きみ)に 知(し)られて
  いけな 選(ゑ)らで 降(お)ろちゑ
  按司(あんじ)添(おそ)い 十(と)百(もゝ)末(すへ) ちよわれ
又 聞(きこ)得(ゑ)大君(ぎみ)ぎや
  群(ぶ)れ島(しま)に
御(お)肝(ぎも)せぢ 遣(や)りよわちへ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
御(お)肝(ぎも)内(うち)に 撓(しな)よわ
按司(あぢ)添(おそ)いす   
又 あがる降(お)り笠(かさ)が
  群(も)り合(や)へ君(きみ) 思(おも)い子(ぐわ)
持(も)ち成([な])ちやる 生(い)け生(い)けしや
又 ゆきあかりが 思(おも)い子(ぐわ)
  あがる降(お)り笠(かさ)が
持(も)ち成([な])ちやる 生(い)け生(い)けしや
又 君々(きみきみ)が 思(おも)い子(ぐわ)
持(も)ち成([な])ちやる 生(い)け生(い)けしや
又 俵(ひよう)掟(おきて)
  愛(まな)しけ貴(たゝ)み人(きよ)に
  知(し)られれ 按司(あぢ)添(おそ)い
又 げらへよらふさよ
  首里(しより)杜(もり) 降(お)れ欲(ぼ)しや
又 げらへゆらふさよ
  群(ぶ)れ島(しま)に 鳴(と)響(よ)で

外部リンク[編集]