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関西文化学術研究都市の建設に関する基本方針 (平成9年4月28日総務庁告示第15号)

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序章

 関西文化学術研究都市の建設は、「関西文化学術研究都市建設促進法(昭和62年6月9日法律第72号。以下「法」という。)に基づき、文化、学術及び研究の中心となるべき都市を建設し、もって我が国及び世界の文化等の発展並びに国民経済の発達に資することを目的としている。

 これまでの間、産学官の協力と連携を基調として本都市の建設推進が図られた結果、けいはんなプラザ、国際高等研究所及び奈良先端科学技術大学院大学をはじめとする大学、研究所等の立地、集積が進むとともに、住宅や都市基盤施設等の整備の進展により都市の骨格が形成されつつある。

 このように都市建設が進み、様々な文化学術研究活動が展開されるとともに住民の日常生活が営まれる段階を迎えている中で、住民や研究者の利便性の確保等残された課題もある。

 一方、この間、本格的な高度情報化及び社会経済の国境を越えた一体化の急速な進展、地球環境問題等地球規模での人類の生存に関わる諸問題の深刻化、冷戦終結後の国際秩序の流動化に起因する新たな国際問題の発生等我が国を取り巻く諸条件は大きく変化している。また、国内的には、高齢化・少子化の進行、個人の生き方を大切にする生活中心主義への移行、日常生活や経済、社会のあらゆる側面での文化の重要性の高まり、産業空洞化の懸念等による新産業創出への期待の高まり等、我が国経済社会の構造変革を促すような新たな時代潮流が形成されつつある。さらに、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災は、生活の豊かさの基礎としての安全の大切さを改めて認識させることとなった。

 21世紀の扉が開けられようとする今、こうした時代潮流の中で人類的課題をはじめとする内外の諸課題に対応していくためには、自然科学だけでなく、人文・社会科学、さらには文化面からのアプローチまで含めて一丸となった取り組みが必要であり、まさに、文化を冠した学術・研究都市としての本都市の役割がますます重要になってきていると言える。

 このような観点から、法施行後の経済的社会的諸条件の変化、本都市に対する社会的要請の高まり及び本都市の現状を踏まえ、以下の方針のもとで、新たな段階、いわばセカンド・ステージを迎えた本都市建設の推進を図る。

第1章 都市建設の目標

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1 意義及び理念

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 今日、世界経済の一翼を担うまでに発展した我が国が、今後、国際社会の一員として、人類の平和と繁栄に一層貢献するためには、科学技術創造立国、さらには世界から尊敬される文化立国を目指して、基礎科学の充実強化、創造的な学術・研究の振興及び新産業の創出を図り、あわせて、日本固有の文化の継承・発展とともに、世界の異なる文化との交流・融合を図ることにより、新しい文化を創造・発信する必要がある。

 このような創造的な学術・研究の振興等を図るための基盤として、既存の文化・学術・研究の集積の活用と連携のもとに、良好な自然・生活環境を備え将来の可能性に対応しうる新しい都市の建設に対する要請はますます高まっている。

 関西文化学術研究都市の建設は、このような要請にこたえるため、近畿圏において培われてきた豊かな文化・学術・研究の蓄積をいかし、歴史、文化、自然環境に恵まれた京阪奈丘陵において、次の基本的視点に立って創造的かつ、国際的、学際的、業際的な文化・学術・研究の新たな展開の拠点づくりを目指すものであり、新しい近畿の創生に貢献することはもとより、我が国及び世界の文化・学術・研究の発展並びに国民経済の発達に寄与するものである。

(1)文化の創造と交流
 我が国の文化の振興を先導する文化創造の拠点づくりを推進するとともに、国際的な文化交流・協力を進めることにより文化による国際貢献・発信を行う。
(2)新しい学術・研究の推進
 人間存在の基本に関する課題、人類の生存条件の確保に関する課題等について、自然科学と人文・社会科学とが連携した総合的な学術・研究を推進し、人類的課題の解決に貢献する。また、科学技術の振興とその成果の活用により、経済と社会の発展、人類の繁栄に寄与する。
(3)21世紀のパイロット・モデル都市の建設
 文化学術研究の諸活動の成果を取り入れ、安全性の確保、環境の保全をはじめとして人間居住の各側面で21世紀の文明にふさわしい新しい試みに積極的に取り組むことにより、今後の都市のあり方を提示する先導的な都市の実現を目指し、街づくり面で現代の都市が直面する諸問題の解決に貢献していく。

2 都市の機能

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 次に掲げる諸機能の整備及び街づくりを図ることにより、文化・学術・研究、街づくりの融合した都市の実現を目標とする。

(1) 文化を冠した学術・研究都市として、文化創造の拠点としての機能及び今後の学術・研究、産業活動のあり方を先導する機能の整備を図る。
(2) 文化、学術・研究、産業の各側面で地球全体の平和と繁栄に貢献していくため、本都市で行う活動の成果を国内だけでなく、世界に向けて発信する機能の整備を図る。
(3) これら諸活動を支える基盤として、文化学術研究の中枢にふさわしい心地良さを感じさせるような文化の薫る住みよい街づくり、世界に開かれた街づくりを進める。

3 施設等の整備の方向

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 文化学術研究都市にふさわしい機能を総合的に確保するため、防災性の向上及び環境への負荷の低減や自然との共生を図りつつ、地域の歴史・文化的条件、自然条件等に配慮して、21世紀初頭までに都市が概成されるよう、次に掲げる整備等を図る。

(1)文化学術研究施設等の整備
 文化・学術・研究の中心とするべき都市にふさわしい、文化の発展、学術の振興又は研究開発を目的とする施設の整備、誘導を図るとともに、文化の発展、学術の振興並びに研究開発に係る交流及び共同研究を推進するための文化学術研究交流施設の整備・充実を図る。
(2)産業の振興
 文化・学術・研究の成果をいかす研究開発型産業及び文化・学術・研究活動を支援する産業の創出、育成を図る。
(3)居住環境の整備
 文化学術研究都市にふさわしい人間性豊かな快適な居住環境を確保するため、良好な住宅・宅地等の整備を推進する。
(4)都市機能の整備
 国際化、高度情報化、高齢化等経済、社会の変化に対応した、文化学術研究都市にふさわしい公共施設、情報・通信基盤施設を含む都市機能の総合的な整備を推進する。また、この場合、住民、研究者等の利便性の確保及び高次都市機能に対処した都市の安全性の確保に配慮する。
(5)広域的な交通施設、情報・通信基盤施設の整備
 国際化、高度情報化に対応して、近畿圏をはじめとする国内外の諸都市及び研究開発拠点との連携を確保するため、道路、鉄道等の交通施設及び情報・通信基盤施設の整備を推進する。また、交通施設の整備に伴い必要となる安全施設等の整備を推進するとともに、高度情報通信技術を活用した新しい道路交通システムの導入を図る。

第2章 都市建設における学術、産業及び行政の各分野の協力の方針

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 学術、産業及び行政の各分野の協力を基調とし、民間活力を最大限に活用して都市の建設を進める。また、産・学・官の連携を強化するとともに、特にそれを支える企画調整機能を充実し、一般市民の参加を含む文化・学術・研究における国際的、学際的、業際的な交流を推進する。

 このような基本的な視点に立ち、各分野の役割分担等は次のとおりとする。

(1)学術の分野
 大学・研究所等の教育研究機能、職業能力養成機能及び社会サービス機能を重視し、これらの有する優秀かつ多様な人材及び研究体制により、本都市における創造的な文化・学術・研究活動を先導するとともに、創造的な研究開発を支える人材を育成する役割を担う。このため、大学・研究所等の立地及び整備を進めるとともに、社会の要請にこたえる水準の高い研究・教育及び機動的な学術研究体制の整備を推進する。また、文化・学術・研究の拠点として他の学術・研究拠点又は産業の集積する都市、地域とのネットワーク化を進めることによって、国内及び海外との文化・研究交流、学際的な研究交流、産業界との交流等様々な形態の交流を推進し、文化・学術・研究及び産業の振興を図る。
(2)産業界
 本都市における研究開発活動、文化活動等を通じて、社会ニーズに対応した産業を振興し、経済社会の発展に寄与することが求められる。このため、おう盛な研究開発意欲及び高い研究開発能力の集積を活用して研究開発を行う各種の民間研究施設の立地を図る。さらに、大学や国公立の試験研究機関との連携、異業種の交流等を進めることにより、新産業の創出、育成に努めるとともに、幅広く、文化、学術等における活動に参画し、又はこれらを支援する。
(3)国及び地方公共団体
 都市建設の進ちょくに応じ、良好な生活及び研究活動の基盤となる公共・公益的施設の計画的、段階的な整備に努めるとともに、文化学術研究施設等の整備、誘導を推進する。また、各分野における文化・学術・研究活動に対し、必要な支援及び指導に努める。さらに、本都市の都市計画や都市建設を総合的に推進するために、関係する地方公共団体の連携を図る。
(4)都市基盤整備公団及びその他の開発事業者
 都市建設に係る豊富な経験をいかし、土地区画整理事業等により基盤整備を進めるとともに、各分野の快適な都市活動を確保するための施設の整備等により、都市運営に積極的に参加する。特に、都市基盤整備公団等都市整備、都市開発に携わる公的事業者は、地方公共団体等との連携のもとに主導的に本都市建設に係る事業を推進する。
(5)企画調整機能を担う主体
 1 財団法人関西文化学術研究都市推進機構は、長期にわたる本都市の建設がこれら各分野の協力及び他の地域とのつながりのもと一体的に推進されるよう、文化・学術・研究の拠点にふさわしい都市の建設の企画・推進及び本都市に関する情報の発信を行うとともに、これら各分野の関係者間の合意形成等を促進する。
 2 法第二条第五項第二号に基づき指定された株式会社けいはんなは、文化・学術・研究に関し、本都市内のみならず、幅広く国内外を視野に入れた交流・連携等を推進するために必要な事業を行う。
(6)その他各分野の協力等に関する事項
 1 (1)~(5)に掲げるもののほか、各分野は、適切な役割分担のもとに協力し、住宅その他居住環境、都市機能の整備を図るとともに、各種のイベント等を活用した街づくりを進め、自律的都市形成に努める。併せて、国際化、高度情報化、高齢化への対応、環境の保全、良好なコミュニティの形成等パイロット・モデル都市としての街づくりに努める。
 2 都市建設、都市活動をより一層促進するため、文化学術研究活動、街づくり、コミュニティ活動等の様々な活動において、産・学・官の枠組みにとらわれず住民、研究者等の参加する多様な組織形態を取り入れること等により取り組みの多様化、重層化を図る。

第3章 人口規模及び配分並びに土地の利用に関する基本的事項

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1 人口の規模及び配分

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 本都市の人口は、おおむね41万人を想定する。このうち、文化学術研究地区における人口は、おおむね21万人を想定する。また、これらの京都府、大阪府、奈良県の各区域への配分は、おおむね次のとおりとする。

文化学術研究都市の人口 うち、文化学術研究地区の人口
京都府域  19万人 11万人
大阪府域   8万人  3万人
奈良県域  14万人  7万人

 また、本都市の文化学術研究地区における従業人口は、おおむね7万人を想定する。

2 土地の利用

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 本都市は、優良な農用地、森林等の保全を図るなど環境の保全に配慮しつつ分散して配置する「文化学術研究地区」及びそれ以外の地域である「周辺地区」により構成するものとし、次に掲げる土地の利用を図る。また、都市全体の面積はおおむね15,000ha、文化学術研究地区の面積はおおむね3,600haとする。

(1)文化学術研究地区
 防災性の向上、高齢化及び高度情報化への対応、環境への負荷の低減や自然との共生並びに周辺地区との調和等に配慮しつつ、文化学術研究施設又は文化学術研究交流施設とともに、公共施設、公益的施設、住宅施設その他の施設の一体的整備を推進する。地区内の土地利用については、周辺の市街地、緑地等との調和に配慮する。また、地区の特性に応じ、自然緑地の保全を図るなど地区内の緑の確保に努めるとともに、文化学術研究都市にふさわしい景観の形成に努め、良好な研究・生活環境の形成を図る。さらに、文化学術研究地区の配置の特色をいかし、機能面での有機的な連携のもとに都市的サービス機能の集積する地区センターを文化学術研究地区に分散して整備し、併せて、多様な交通機能に支えられた求心性の高い都市センターを整備することにより、多核型の都市機能ネットワークの形成を図る。
(2)周辺地区
 現在の土地利用を尊重し、文化学術研究地区との調和を図ることとし、文化学術研究地区の整備に関連して必要な施設の整備、良好な生活環境の形成等を図るための事業を推進するとともに、農林業の振興並びに自然環境の保全と活用を図る。

第4章 文化学術研究地区の配置及び整備の方針

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1 文化学術研究地区の配置

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 文化学術研究地区は、京都、大阪、奈良等の既存都市とのつながりや全体の有機的な連携に配慮し、次の位置におおむね別図のとおり配置する。

(1)京都府域
 田辺地区、普賢寺地区(以上京田辺市)、南田辺・狛田地区(京田辺市、精華町)、木津地区(木津町)、精華・西木津地区、平城・相楽地区のうち京都府域(以上木津町、精華町)
(2)大阪府域
 氷室・津田地区(枚方市)、清滝・室池地区、田原地区(以上四条畷市)
(3)奈良県域
 平城宮跡地区、平城・相楽地区のうち奈良県域(以上奈良市)、高山地区、北田原地区(以上生駒市)

2 文化学術研究地区の整備の方針

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 次のとおり文化学術研究地区の整備を図る。なお、各々の文化学術研究地区は、整備の条件が整った地区から、都市全体としての整合性に留意しつつ、段階的に整備を進める。

(1)田辺地区
 同志社大学を中心とする大学等教育研究施設の整備・充実を図る。
(2)南田辺・狛田地区
 農業、バイオサイエンス系教育研究施設の集積をいかしつつ、文化学術研究施設、研究開発型産業施設等の整備を図るとともに、住宅施設、都市的サービス施設及び広域レクリエーション施設等の整備を推進する。
(3)木津地区
 光量子科学センター(仮称)など主として自然科学系の文化学術研究施設、研究開発型産業施設から成る研究開発、先端産業の拠点としての整備を推進するとともに、大規模な住宅地としての整備及び都市的サービス施設の整備を推進する。
(4)精華・西木津地区
 本地区は、都市の中央部に位置することから本都市の中心地区として位置づけ、国立国会図書館関西館(仮称)、勤労体験プラザ(仮称)の整備を推進するとともに、国際高等研究所、国際電気通信基礎技術研究所における諸機能の充実を図りつつ、これら施設の立地等をいかした情報通信、環境等様々な分野における中枢的な文化学術研究施設の集積及び文化学術研究交流施設の充実を図る。また、住宅施設、都市的サービス施設及び自然環境をいかした公園緑地等の整備を推進する。
(5)平城・相楽地区
 大規模な住宅地としての整備と併せて、生活関連の文化学術研究施設の集積立地、都市的サービス施設等の整備を推進する。
(6)氷室・津田地区
 関西外国語大学の立地等をいかしつつ、先端的な研究・教育施設などの文化学術研究施設、研究開発型産業施設等の整備を推進するとともに、住宅施設の整備を推進する。
(7)清滝・室池地区
 自然環境の保全と緑地の回復を図りながら、自然レクリエーションの拠点としてスポーツ、保養等の施設の整備を推進するとともに、大阪電気通信大学の立地等をいかしつつ、研修、教育研究等を行う文化学術研究施設、住宅施設の整備を推進する。
(8)田原地区
 その周辺の自然環境をいかし、住宅施設等の整備を推進するとともに、研修等を行う文化学術研究施設、産業施設等の整備を推進する。
(9)平城宮跡地区
 特別史跡平城宮跡を中心とする歴史・文化的遺産を保全、整備しつつ、それらを活用した文化財、考古学に関する文化学術研究施設の充実、強化を推進する。
(10)高山地区
 奈良先端科学技術大学院大学及び通信・放送機構奈良リサーチセンターを中心に、情報通信、バイオサイエンス等の先端的な科学技術分野を対象とする文化学術研究施設及び住宅施設の整備を推進するとともに、自然環境をいかした公園緑地の整備を図る。また、京阪奈新線の計画との整合性に留意しつつ、複合的都市機能の整備を図る。
(11)その他の文化学術研究地区
 普賢寺地区、北田原地区においても、それぞれの地区の立地条件を勘案し、計画性をもって整備を図る。

第5章 文化学術研究施設の整備に関する基本的事項

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 文化学術研究施設としての次の施設の整備を図る。

[1] 文化、芸術に関する高度な研究、教育及び一般啓発等を行う施設
 我が国の文化、芸術に関する高度な研究、教育、国際交流及び一般啓発等を行うため、平城宮跡の保存復元等の施設整備を図るとともに、近畿圏が有する歴史的、文化的環境を活用し、それらを研究対象とする施設の整備を図る。
[2] 大学等の教育・研究施設
 基礎科学の充実強化、創造的な学術の振興を図るとともに、優れた人材の育成、学術の研究成果の活用等の社会的要請にこたえるため、国際的、学際的な研究領域や先端的な科学技術分野等において高度かつ創造的な教育・研究を行うとともに、社会・産業界と連携した諸活動を行う新しいタイプの奈良先端科学技術大学院大学その他の大学や研究所等を含め、大学等の整備・充実を図る。
[3] 創造的な基礎研究、応用研究及び先端的な技術開発を行う施設
 従来、我が国は欧米諸国の基礎研究成果の導入に努めてきたが、今後は科学技術創造立国を目指して、世界の科学技術の発展に貢献する創造的な基礎研究を充実強化する必要があり、光量子科学センター(仮称)等そのための施設の整備を推進する。また、新たな産業創出の原動力として、基礎研究とともに、応用研究及び先端的な技術開発を行うため、共同利用を考慮した研究施設を含め、各分野における先進的な研究施設の整備を推進する。
[4] 文化・学術・研究における交流、研修等の活動を推進するための機能を備えた施設
 今後、文化・学術・研究の一層の振興のためには、国際的、学際的、業際的な交流がますます重要となるとともに、先端的な研究開発成果の普及と優れた人材の育成が必要である。このため、これら交流、研修等の活動を推進するための機能や、広く地域の文化・学術・研究の発展に寄与する機能を備えた施設の整備を図る。
[5] 文化・学術・研究を支援する情報提供施設
 文化・学術・研究活動の支援機能をナショナル・レベルで強化・拡充するため、電子図書館機能を駆使した新しい情報提供サービスを行う機関として、国立国会図書館関西館(仮称)の整備を推進する。
 また、職業に関する様々な情報や体験機会の提供等を行う職業総合情報拠点として、勤労体験プラザ(仮称)の整備を推進するとともに、今日の高度情報化及び文化・学術・研究活動に際し必要とされる情報の多様化に対応し、文化・学術・研究に関する情報を迅速に提供する情報提供施設の整備を図る。

第6章 文化学術研究交流施設の整備に関する基本的事項

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1 文化学術研究交流施設整備の目標

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 文化の発展、学術の振興並びに研究開発に係る交流及び共同研究を推進するとともに、国際的、学際的、業際的な共同研究を企画、支援するため、文化学術研究交流施設を整備・充実する。

2 文化学術研究交流施設を整備すべき文化学術研究地区

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 文化学術研究交流施設は、精華・西木津地区に、一を限り整備する。

3 文化学術研究交流施設の設置及び運営を目的とする株式会社

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 (1)内閣総理大臣は、関西文化学術研究都市建設促進法に基づき、文化学術研究交流施設の設置及び運営を目的とし、(2)に掲げる事業を的確に遂行するに足る経理的基礎及び能力を有すると認められる株式会社(以下「指定事業者」という。)を一を限り指定する。

 (2)指定事業者は、次に掲げる事業を行うものとする。

[1] 文化の発展、学術の振興並びに研究開発に係る交流及び共同研究を推進するための施設の建設及び運営
[2] 文化の発展、学術の振興並びに研究開発に係る交流を推進するために必要な事業
[3] 国際的、学際的、業際的な共同研究を企画、支援するために必要な事業
[4] 文化・学術・研究に関する普及・啓発のために必要な事業
[5] 文化・学術・研究活動に必要な情報を提供するために必要な事業
[6] 文化・学術・研究活動を支援するための施設の建設及び運営
[7] その他文化学術研究交流施設の目的を達成するために必要な事業

第7章 周辺地区の整備及び保全に関する基本的事項

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2 都市の機能

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 周辺地区においては、次のとおり整備、保全を図る。

(1)市街地等
 既に市街地を形成あるいは市街化が予定されている市街地の区域においては、文化学術研究地区との一体的な計画のもとに、良好な生活環境の形成に必要な道路、河川、公園、緑地、水道、下水道等の施設の整備を推進する。また、新たな開発に伴って必要となる駅周辺等の整備及び文化学術研究地区を支援する都市機能の整備を推進する。
(2)農業的利用区域
 優良な農用地が存在し、あるいは農用地として利用することが適当な農業的利用区域においては、農業者の意向を適切に把握しつつ、蚕食的な市街化の防止を図り、良好な生活環境を備えた都市近郊型農業地帯として整備、保全を図る。
(3)緑地区域及び森林
 緑地区域においては、本都市にふさわしい自然環境の保全とその活用を図ることとし、森林については、国土の保全、生活環境の保全・形成等の機能を高度に発揮させるため、整備・保全を図る。

第8章 公共施設、公益的施設、住宅施設、その他の施設の整備に関する基本的事項

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 防災性の向上、住民や研究者の利便性の向上、環境への負荷の低減及び自然との共生並びにパイロット・モデル都市の形成等に配慮しつつ、次の施設の整備を推進する。

1 公共施設及び公益的施設の整備

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(1)交通施設
[1] 広域交通施設
 関西国際空港、国土幹線軸、近畿圏の主要都市及び研究開発拠点等との連絡の強化を図るため、次のとおり所要の施設整備を推進する。
ア 道路
第二京阪道路、京奈和自動車道、一般国道163号等の整備を進めるとともに、隣接地域において近畿自動車道名古屋神戸線(第二名神高速道路)等の整備を推進する。また、学研都市連絡道路(仮称)、宇治木津線(仮称)の計画の具体化を図る。
 さらに、安全、快適な道路利用を促進するため、VICS(道路交通情報通信システム)等の整備を図る。
イ 鉄道
 京都、大阪及び奈良の各都心との連絡性の強化を図るため、近畿日本鉄道東大阪線生駒駅から近畿日本鉄道京都線高の原駅方面に向かう京阪奈新線について、輸送需要の動向等を踏まえた段階的整備を図るとともに、西日本旅客鉄道の片町線(学研都市線)と奈良線等既存路線の輸送力の増強を推進する。また、将来の輸送需要の動向等を勘案しつつ、片奈連絡線の整備について検討を進めるとともに、京阪奈新線の祝園付近への分岐線、木津方面への整備の必要性について検討を進める。
ウ 飛行場
 航空需要の動向等を勘案しつつ、航空ネットワークの形成について検討を進める。
[2] 地域交通施設等
 文化学術研究地区相互の連携、周辺地区の調和ある発展、及び都市と広域交通施設との接続を図るため、幹線道路、補助幹線道路の整備を推進するとともに、駅前広場の整備等鉄道駅を中心とする交通結節機能を強化する。
 また、輸送需要に対応してバス輸送網等の整備を推進するとともに、地域特性に応じた新交通システムの導入等について、検討を進める。
 さらに、道路の整備とあわせて電気、ガス、水道等の共同収容空間となる共同溝や、電線共同溝等の整備を推進するとともに、都市内の安全、円滑な道路交通を確保するため、交通安全施設等の整備を推進する。
(2)水資源開発施設
 都市建設に伴う水需要の増大に対処し、水資源の確保を図るため、ダム等の整備を推進する。
(3)水道及び下水道
ア 水道
 都市建設に伴う人口の増加及び文化学術研究施設等の立地による水需要に対処するため、水源の確保及び水道施設の整備を推進する。
イ 下水道
 都市建設に伴う人口の増加に対処するとともに、公共用水域の水質保全、浸水の防除等を図るため、木津川上流流域下水道等の流域下水道、公共下水道及び都市下水路等の整備を推進する。
(4)国土保全施設
 都市建設に伴う河川の流量増に対処するため、保水・遊水機能の維持増進等と併せて、周辺の自然環境や景観との調和に配慮しつつ、関連河川の河道改修等治水施設の整備を推進する。また、土砂災害を防止するための対策を講じる。
(5)公園、緑地等
 自然環境に配慮した総合公園の整備を推進するとともに、歴史的、文化的遺産や良好な自然環境を結ぶ緑のネットワークが形成されるよう、公園、緑地等の整備を推進する。また、文化学術研究地区の特性に応じ、本都市にふさわしい広場、沿道整備を推進する。
(6)廃棄物処理施設
 ごみ減量や資源リサイクルを進めるためのリサイクル関連施設や、ごみ処理施設、粗大ごみ処理施設等の整備を図る。
(7)教育施設、厚生施設及び行政サービス施設
 都市内の人口定着に対応して、学校等の教育施設、保育所、病院等の厚生施設及び警察施設、消防防災施設等の行政サービス施設の整備を推進する。
(8)文化施設及び商業施設
 文化学術研究地区に、その特性に応じセンター地区を整備し、文化施設、高次の商業施設の積極的な導入を図る。
(9)スポーツ・レクリエーション施設
 都市住民が健康で充実した生活を送れるよう、スポーツ・レクリエーション施設の整備を推進する。
(10)情報・通信基盤施設
 高度な文化・学術・研究等の活動、産・学・官等の交流活動を支援するとともに、高水準の都市生活を確保するため、本都市内及び本都市と他の地域を結ぶ情報・通信基盤施設の整備を推進し、高度な情報・通信体系を形成する。
(11)都市エネルギー供給施設
 文化・学術・研究等の活動、住民生活その他の都市活動に必要なエネルギー需要に対応するため、電気、ガス等の供給施設の整備を推進する。

2 住宅施設その他の施設の整備

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(1)住宅施設の整備
 文化学術研究地区内においては、文化・学術・研究等の活動を行う施設の整備とともに、良好な環境を有する住宅・宅地の整備を推進する。
 住宅・宅地は職住近接に配慮しながら、周辺の既存集落・市街地等と相互に補完しつつ、多様なライフスタイルを持つ人々による健全なコミュニティが形成されるよう配置する。また、国際化、高度情報化、高齢化の進展に対応した街づくりに配慮する。
(2)その他の施設の整備
 文化学術研究地区内においては、文化・学術・研究等の活動を行う施設の整備とともに、当該地区の特性に応じて文化・学術・研究の成果をいかす産業施設、文化・学術・研究活動を支援する産業施設の集積を図る。さらに、今後の都市活動の重層化、多様化に対応する新しい都市型産業施設の整備を図る。
 また、これらの施設の多様な立地意向に対応可能な導入形態を十分考慮する。

第9章 その他都市建設に関する基本的事項

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1 防災への配慮

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 国土保全施設、交通・通信基盤及び防災拠点施設の整備推進並びに公共施設、建物の耐震性の確保等により地震、風水害等の災害に強い都市の形成に配慮するとともに、広域的な連携のもとに災害応急体制の確立に配慮する。

2 環境の保全

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 都市の建設に当たっては、環境基本計画をはじめ環境保全に関する行政計画との整合を図るとともに必要に応じ環境影響評価を実施することなどにより、公害の防止はもとより、資源・エネルギー面での循環・効率化など環境への負荷の少ない循環を基調とした都市システムの構築及び自然環境の保全、自然とのふれあいの機会の確保など自然と人間とが共生した都市づくりを進めることにより持続的な発展が可能な都市の構築に配慮する。

3 文化財の保護

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 都市建設に当たっては、文化財の保護に十分配慮する。

4 地価等への配慮

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 国土利用計画法や、研究開発地区をはじめとする都市計画制度等の土地利用関係法令を適切に運用する等により適正な土地利用の確保を図るとともに土地の投機的取引や地価の高騰が生ずることがないよう配慮する。

5 良好な景観の形成

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 京阪奈丘陵及びその周辺の恵まれた歴史、文化、自然環境との調和を図るとともに、関係者の合意に基づき電線類の地中化、緑化及び沿道施設、建築物のデザイン誘導並びに個性豊かな街づくりを図る等により良好な都市景観の形成に配慮する。

別図

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(別図第4章1関係)

この著作物は、日本国著作権法10条2項又は13条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同法10条2項及び13条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 憲法その他の法令
  2. 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
  3. 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
  4. 上記いずれかのものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
  5. 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道

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