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退位礼正殿の儀を行われた件

提供:Wikisource


〇宮内庁告示第六号

 平成三十一年四月三十日午後五時、宮中において、退位礼正殿の儀を行われた。
 天皇陛下おことば及び内閣総理大臣の国民代表の辞は、次のとおりである。

おことば

 今日こんにちをもち、天皇としての務めを終えることになりました。
 ただ今、国民を代表して、安倍内閣総理大臣の述べられた言葉に、深く謝意を表します。
 即位から三十年、これまでの天皇としての務めを、国民への深い信頼と敬愛をもって行い得たことは、幸せなことでした。象徴としての私を受け入れ、支えてくれた国民に、心から感謝します。
 明日あすから始まる新しい令和の時代が、平和で実り多くあることを、皇后と共に心から願い、ここに我が国と世界の人々の安寧と幸せを祈ります。

内閣総理大臣の国民代表の辞

 謹んで申し上げます。
 天皇陛下におかれましては、皇室典範特例法の定めるところにより、本日をもちまして御退位されます。
 平成の三十年、『うちたいらかにそとる』との思いの下、私たちは天皇陛下と共に歩みを進めてまいりました。この間、天皇陛下は、国の安寧あんねいと国民の幸せを願われ、一つ一つの御公務を、心を込めてお務めになり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たしてこられました。
 我が国は、平和と繁栄を享受する一方で、相次ぐ大きな自然災害など、幾多の困難にも直面しました。そのような時、天皇陛下は、皇后陛下と御一緒に、国民に寄り添い、被災者の身近で励まされ、国民に明日への勇気と希望を与えてくださいました。
 本日ここに御退位の日を迎え、これまでの年月としつきを顧み、いかなる時も国民と苦楽を共にされた天皇陛下の御心みこころに思いを致し、深い敬愛と感謝の念を今一度新たにする次第であります。
 私たちは、これまでの天皇陛下の歩みを胸に刻みながら、平和で、希望に満ちあふれ、誇りある日本の輝かしい未来を創り上げていくため、更に最善の努力を尽くしてまいります。
 天皇皇后両陛下には、末永くおすこやかであらせられますことを願ってやみません。
 ここに、天皇皇后両陛下に心からの感謝を申し上げ、皇室の一層の御繁栄をお祈り申し上げます。

  令和元年五月二十二日

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