百詩篇補遺
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ミシェル・ノストラダムス師の予言集>百詩篇補遺
百詩篇補遺の範囲
[編集]現存最古の完全版(1568年)には収録されていなかった百詩篇が「百詩篇補遺」である。ここでは19世紀の注釈者アナトール・ル・ペルチエや20世紀の研究家エドガー・レオニが補遺として収録したものを採録した。初出ごとに分類の上、簡略な背景の説明を加えた。なお、以下の詩篇は、いずれもノストラダムス本人の作かどうかが疑わしいものである。
1561年頃に付け加えられた詩篇
[編集]百詩篇第7巻
[編集]73[1]
- 攻囲の援軍、戦利品と兵団
- 聖別式を変える、そして日曜説教の上を通過[2]。
- 捕虜と捕囚、三重の貸与をさえぎらない。
- より深きへ置かれ、持ち上げられ、王座に就けられる。
80[3]
- 自由な西方、ブリタニアの島々
- 認められた者は低きを通る、ついで高きを
- 悲しみに満足せず、反逆者、コルス、スコットランド人
- そして、暑い夜に膠によって反逆する。
82[4]
- 喧騒の駆け引きは稀だろう
- 途上での死、地方による叛乱
- バルバロイの旅からの帰還により
- 彼らはそのプロテスタントの入場を賞賛するだろう
83[5]
- 熱風、議会、涙と恐れ
- 夜にベッドで、武器なしに襲われる
- 抑圧の大惨禍
- 替えられた祝婚歌、涙につぐ涙
百詩篇第8巻
[編集]「以前に百詩篇第8巻として印刷された別の四行詩」[6]
1
- 何人かは協定に当惑するだろう。
- 住民達に許しが与えられないだろうから。
- なおも固執しようと強く思う者は期待する。
- だが大きな安堵が与えられることはないだろう。
2
- 何人かが来て、平和に関して語るだろう、
- 君主たちや非常に力のある領主達の間で。
- だがすぐには合意に至らないだろう。
- 彼らが他の者より従順であろうとしない限り。
3
- ああ何という激しさ!ああ何という哀れさ!
- それが多くの人々の間で起こるだろう。
- ゆえに友情などは見られなくなる。
- 狼たちが敏速に走り回るであろうから。
4
- 多くの人が話し合いを望むだろう、
- 彼らを戦わせるであろう大領主たちとの。
- (だが)領主達は何も聞こうとしない。
- ああ!神は地上に平和をもたらして下さらないのか。
5
- いくつかの救いが全方面から来るだろう、
- 抵抗を望む離れた人々により。
- 彼らは突然非常に慌ただしくなるだろう。
- だが彼らはその好機に助けてもらえないだろう。
6
底本と解説
[編集]- 底本
- Les Prophéties de M. Michel Nostradamus, la veuve de Nocolas Roffet, Paris, ca1588
- 解説
- 1561年頃にパリで出された海賊版に収録されていたとされる詩篇。1561年頃の版は現存しないので、それを比較的忠実に復刻したとされる版に基づいた。
- 第7巻には72番から83番までがあったが、1605年版の段階で出典を特定されていた詩篇は割愛された。残った上記の4篇についても、ノストラダムスの『1561年向けの暦』から流用されたことが明らかになっている(つまり内容は一応本物だが、第7巻の詩篇としては偽物である)。
- 第8巻は内容が散文的に過ぎるため、ユグノー戦争前夜である1561年頃の政治情勢を基にした贋作と見なす者もいる。ただし、具体的な出典や作者は特定されていない。
1594年に付け加えられた詩篇
[編集]百詩篇第6巻
[編集]100
百詩篇第11巻
[編集]91
97
百詩篇第12巻
[編集]4
- 火、炎、飢餓、秘密、激しい煙
- それは、失敗、強い衝突、信用の破棄を生むだろう。
- 歯を持って生まれた子。プロヴァンス全域に未来はない。
- 王国を逐われる。唾を吐くこと無しに怒らされる。
10
- 最強になる可能性を秘めた少年は堕落する。
- 間違った決断をした後
- 彼は自分を見失いながらも、再び光を取り戻す。
- そして、友達の助けを借りて、最高の城を建てるのです。
13
- ある国は最も大きいが、最も強くなることに失敗した。
- 慢心して穏やかな戦争を始めるだろう。
- それは恐怖の雲に包まれた至福の時に終わるだろう。
- そして何百万人もの死者が出るだろう。
24
36
52
55
- 陰惨な議会、不正なもの、奸悪なもの。
- 悪意を含んだ助言、法は裏切られるだろう。
- 動揺した人々、野蛮なもの、好戦的なもの。
- 都市 (ville) と同様に城塞都市 (bourg) でも、平和そのものが憎まれる。
56
- 王に対して王、大公に対して公爵。
- 彼らの間に憎悪、苛烈な不和。
- 全地方に猛威と熱狂が渦巻くだろう
- フランス、大戦と過酷な変化
57
- 瓦礫の中から出発した男は、星とその上に手を伸ばす。
- 彼の名字で実行されねばならないだろう,
- しかし、大災害に見舞われ、注いだ汗はすべて流れてしまう。
- 炎に包まれる
59
- 合意と和平は至るところで破棄される。
- 友情は不和により潰される。
- 根深い憎しみ、信仰そのものが堕落する。
- そして希望。調停なきマルセイユ。
62
- 戦争、討論。ブロワでは戦争と喧騒。
- 何人もの見張り、予期しえぬ承認。
- シャトー・トロンペット(Chasteau Trompette)[10]に入城する、侮辱。
- シャトー・デュ・アー(Chasteau du Ha)、それのせいで咎められるべき人々。
65
67
- この地を繁栄させた宝石が盗まれてから。
- 偉人たちの没落が始まっていた。
- しかし、滅亡の瀬戸際で剣が抜かれることになる。
- その剣は、この土地と人々を再び一つにするのだ。
69
71
- 大河と小川は凶事に対する障壁となるであろう。
- 鎮まらない怒りの古き炎。
- フランスを巡ってゆく。神託の如くに。
- 屋敷、荘園、宮殿、剃髪の宗派。
72
- 災い転じて福となす時。
- 出身国とは別の国に住む青年。
- 好奇心旺盛でありながら魂を求める、疑問のある名前で表現されています。
- 舌と音で出世し、同類の中で一番になる。
底本と解説
[編集]- 底本
- Jean-Aimé de Chavigny, La Premiere Face de Janus François, Les heritiers de Pierre Roussin, Lyon, 1594
- 解説
- 『予言集』では、1605年版で一括して組み込まれた。以降、第6巻100番と第12巻56番を除けば、17世紀に出された『予言集』のほとんどの版に収録された。
- ジャン=エメ・ド・シャヴィニーは、ノストラダムスの晩年に数年程度秘書をしていた人物だが、彼が初めて紹介したこれらの詩篇が本物かどうかは、未だにはっきりとした結論が出ていない。
1605年に付け加えられた詩篇
[編集]百詩篇第10巻
[編集]1568年以降に付け加えられた詩篇
- フォークが二本の柱に支えられ、
- 六つの半体と六つの開いたハサミを引き連れる時。
- 非常に強い君主であるヒキガエルの嗣子が
- そのときに全世界を彼の許に従えるだろう。
底本と解説
[編集]- 底本
- Les Prophéties de M. Michel Nostradamus, s.n., s.l., 1605
- 解説
- 1605年版『予言集』で百詩篇第10巻の最後に「1568年以降に付け加えられた詩篇 (Adiousté depuis limpression de 1568)」というタイトルを添えて収録された。1611年トロワ版や1627年以降にリヨンで出された版などでは、101というナンバーが付けられている。
- この謎詩は、16世紀に出回っていた戯れ歌に手を加えたものであることが指摘されている。
1627年頃に付け加えられた詩篇
[編集]百詩篇第7巻
[編集]43
- 人々は二頭の一角獣を見るであろう
- 一頭は衰えていて、もう一頭は堕落している
- そのとき、中心に世界、国境に柱
- 陽気な甥が逃げ出すだろう
44
- 大変に善良なるブールが
- 彼のうちに正義の徴を持っているとき
- その血統の中で、その名を持っているから
- 不正な逃亡によって、刑を宣告される
底本と解説
[編集]- 底本
- Les Prophéties de M. Michel Nostrdamus, Jean Huguetan / Claude de La Rivière, Lyon, 1644
- 1627年リヨン版が初出とされるが、1627年版の誤植の多さに考慮して、ここでは1644年リヨン版を用いた。
- 解説
- 来歴の不明な詩であり、現段階でノストラダムス本人の作と見なせる根拠はない。
注
[編集][ヘルプ]
- ↑ 本来は『1561年向けの暦』に収録されていた1561年2月向けの四行詩
- ↑ 現存する『1561年向けの暦』の断片では、通過 (passe) は平和 (pace) になっている。
- ↑ 本来は『1561年向けの暦』に収録されていた1561年9月向けの四行詩
- ↑ 本来は『1561年向けの暦』に収録されていた1561年11月向けの四行詩
- ↑ 本来は『1561年向けの暦』に収録されていた1561年12月向けの四行詩
- ↑ これは1605年版の『予言集』に収録された際のタイトル。
- ↑ Vienne はフランスの都市ヴィエンヌのほか、ヴィエンヌ川やオーストリアの首都ウィーンの意味もある。
- ↑ シャヴィニーの注に拠れば、オペード男爵ジャン・メニエ (Jean Meysnier, Baron d'Oppède) のこと。
- ↑ シャヴィニーの注に拠れば、老タンド公の代理人マンチ殿 (Le Sieur de Manthi, Lieutenant du vieil Comte de Tende) のこと。
- ↑ ボルドーの城塞名。シャトー・デュ・アーも同じ。
- ↑ サヴォワ (Savoye) を逆にしたもの。
- ↑ 元々途切れていたのか、シャヴィニーが省略したのかは不明。
翻訳に関して
[編集]- 翻訳はウィキソースユーザーのsumaruがおこなった。