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イソップ童話集/こうもりといたち

提供:Wikisource
あるとき、あそびまわっていたこうもりが、あやまって地べたにおちて、そこにいたいたちに、つかまってしまいました。
いたちは、こうもりが一生けんめい、命乞をするのをはねつけて、
「わしは鳥が大きらいだから、つかまえたら、みんな殺すことにしているのだ。」
と、云いました。すると、こうもりは、
「それではなおのこと助けて下さい。私は鳥ではありません。ねずみです。」
と、云って、あやうく命をたすかりました。
しばらくたって、又そのこうもりは地に落ちて、ほかのいたちにつかまりました。いたちは、
「いくら、さわいだってだめだ。おれはねずみとみたら、どんなことがあっても、のがしはしないから。」
と、どなりました。すると、こうもりは、
「まあよく見て下さい。私はねずみではありません、このとおり、空をとぶ鳥です。」
と、云って、つばさをひろげてみせて、ふたたび命をたすかりましたとさ。