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イソップ童話集/からすとみずがめ

提供:Wikisource
あるとき、一羽のからすが、のどがかわいて、くるしんでいました。
うんよく、一つのみずがめを見つけましたので、水をのもうと、くびをのばしましたが、あいにく、水が少いので、くちばしが、とどきません。
どうして見ても、一たらしの水ものめないで、からすは、そのみずがめをひっくりかえして、ちょっぴりでもいいからのみたいと、おもいましたが、からすの力では、その水がめは、どうしてもひっくりかえりません。
からすは、考えました。しばらくじっと考えこんでいましたが、やがて、ひとりうなずきながら、たちあがって、そのあたりにある小石を、あつめだしました。
ポトリポトリ、からすが小石をかめの中に、おとしこむたびに、かめの中の水は、だんだんと上の方へあがってきて、とうとうおしまいには、らくに、くちばしが、とどくようになりました。はら、一ぱいに、水をのんで、げんきになったからすは、たかいそらに、まい上り、いきおいよくとんでいきました。