昭和四十九年条約第七号
千八百八十六年九月九日に署名され、千八百九十六年五月四日にパリで補足され、千九百八年十一月十三日にベルリンで改正され、千九百十四年三月二十日にベルヌで補足され、千九百二十八年六月二日にローマで改正され及び千九百四十八年六月二十六日にブラッセルで改正された文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約をここに公布する。
御 名 御 璽
昭和四十九年六月二十日
内閣総理大臣 田中 角榮
条約第七号
千八百八十六年九月九日に署名され、千八百九十六年五、月四日にパリで補足され、千九百八年十一月十三日にベルリンで改正され、千九百十四年三月二十日にベルヌで補足され、千九百二十八年六月二日にローマで改正され及び千九百四十八年六月二十六日にブラッセルで改正された文学的及び美術的著作物の保護に閥するベルヌ条約
オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、デンマーク、スペイン、フィンランド、フランス、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国、ギリシャ、ハンガリー、インド、アイルランド、アイスランド、イタリア、レバノン、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、モロッコ、モナコ、ノールウェー、ニュー・ジーランド、パキスタン、オランダ、ポーランド、ポルトガル、スウェーデン、スイス、シリア、チェッコスロヴァキア、テュニジア、南アフリカ連邦、ヴァチカン市国及びユーゴースラヴィアは、
文学的及び美術的著作物に関する著作者の権利をできる限り効果的かつ統一的に保護することをひとしく希望して、
千八百八十六年九月九日にベルヌで署名され、千八百九十六年五月四日にパリで補足され、千九百八年十一月十三日にベルリンで改正され、千九百十四年三月二十日にベルヌで補足され及び千九百二十八年六月二日にローマで改正された条約を改正し、かつ、補足することを決定した。よつて、下名の全権委員は、その全権委任状を示し、それが良好妥当であると認められた後、次のとおり協定した。
この条約が適用される国は、文学的及び美術的著作物に関する著作者の権利の保護のための同盟を形成する。
⑴ 「文学的及び美術的著作物」には、表現の方法又は形式のいかんを問わず、書籍、小冊子その他の文書、講演、演説、説教その、他これらと同性質の著作物、演劇用又は楽劇用の著作物、振付けが文書その他の方法で固定された舞踊及び無言劇の著作物、楽曲(歌詞を作うかどうかを問わない。)、映画の著作物及び映画に類似する方法で作られた著作物、素描、絵画、建築、彫刻、版画及び石版画の著作物、写真の著作物及び写真に類似する方法で作られた著作物、応用美術の著作物、図解及び地図並びに地理学、地形学、建築学その他の科学に関する図面、略図及び模型のような文芸、学術及び美術の範囲に属するすべての製作物な含む。
⑵ 文学的又は美術的著作物の翻訳、翻案、編曲等による改作物は、その原作物の著作者の権利を害することなく、原著作物として保護される。ただし、立法行政上及び司法上の公文書の翻訳物に与えられる保護は、同盟国の法令の定めるところによる。
⑶ 素材の選択又は配列によつて知的創作物を形成する百科辞典及び選集のような文学的又は美術的著作物の編集物は、その編集物の部分な構成する各箸作物の著作者の権利を害することなく、知的創作物として保護される。
⑷ 前記の著作物は、すべての同盟国において保護を受ける。この保護は、著作者及びその承継人のために与えられる。
⑸ 応用美術の著作物及び意匠に関する法令の適用範囲並びにそれらの著作物及び意匠の一保護の条件は、同盟国の法令の定めるところによる。本国において専ら意匠として保護される著作物については、他の同盟国において、その国において意匠に与えられる保護しか要求することができない。
⑴ 政治上の演説及び裁判手続においてされた陳述につき前条に定める保護の一部又は全部を排除する権能は、同盟国の立法に留保される。
⑵ 講演、演説、説教その他これらと同性質の著作物を新聞雑誌に掲載する場合の条件を定める権能も、また、同盟国の立法に留保される。
(削除)
⑴ いずれかの同盟国の国民である著作者は、発行されていない著作物又はいずれかの同盟国において最初に飛行された著作物につき、その著作物の本国以外の同盟国において、その国の法令が自国民に現在与えており又は将来与えることがある権利及びこの条約が特に与える権利を享有する。
⑵ ⑴の権利の享有及び行使には、いかなる方式の履行をも要しない。その享有及び行使は、著作物の本国における保護の存在にかかわらない。したがって、保護の範囲及び著作者の権利を保全するため著作者に保障される救済の方法は、この条約の規定によるほか、専ら、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。
⑶ 発行された著作物については、最初の発行の国をその著作物の本国とし、同一の保護期間を認める二以上の同盟国において同時に発行された著作物についても、同様とする。異なる保護期間を認める二以上の同盟国において同時に発行された著作物については、これらの国のうち法令の許与する保護期間が最も短い国をその著作物の本国とする。同盟に属しない国及びいずれかの同盟国において同時に発行された著作物については、その同盟国のみをその著作物の本国とする。最初の発行の国を含む二以上の国において、最初の発行の日から三十日以内に発行された著作物は、それらの国において同時に発行されたものとみなす。
⑷ この条から第六条までの規定の適用上、「発行された著作物」とは、複製物の作成方法のいかんを問わず、刊行された著作物であって、十分な数量の複製物が公衆に提供されたものをいう。演劇用若しくは楽劇用の著作物又は映画の著作物の上演、音楽の著作物の演奏、文学的著作物の朗読、文学的又は美術的著作物の伝達又は放送、美術の著作物の展示及び建築の著作物の建設は、発行を意味しない。
⑸ 発行されていない著作物については、その著作者が国民である国をその著作物の本国とする。ただし、建築の著作物又は不動産と一体となつている絵画的若しくは彫塑的美術の著作物については、その著作物が建設された同盟国又はそれが一体となつている建造物が所在する同盟国を著作物の本国とする。
いずれかの同盟国の国民であつて、他の同盟国において最初にその著作物を発行したものは、その国において、内国著作者と同一の権利を享有する。
⑴ いずれの同盟国の国民でもない著作者であつて、いずれかの同盟国において最初にその著作物を発行したものは、その国においては内国著作者と同一の権利を享有し、他の同盟国においてはこの条約が与える権利を享有する。
⑵ もつとも、同盟に属しない国がいずれかの同盟国の国民である著作者の著作物を十分に保護しない場合には、その同盟国は、最初の発行の時において当該同盟に属しない国の国民であつて、かつ、いずれの同盟国にも有効な住所を有していない著作者の著作物の保護を制限することができる。最初の発行の国がこの権能を行使する場合には、他の同盟国は、そのように特殊な取扱いを受ける著作物に対し、最初の発行の国において与えられる保護よりも厚い保護を与えることを要しない。
⑶ ⑵の規定に基づく制限は、その実施前にいずれかの同盟国において発行された著作物についてその著作者が既に取得した権利に影響を及ぼすものであつてはならない。
⑷ この条の規定に基づいて、著作者の権利の保護を制限する同盟国は、その旨を、その保護の制限の対象となる国及びその国民である著作者の権利に対する制限を明記した宣言書により、スイス連邦政府に通告する。スイス連邦政府は、その宣言をすべての同盟国に直ちに通報する。
⑴ 著作者は、生存中、その財産的権利とは別個に、この権利が移転された後においても、物の創作者であることを主張する権利及び著作物の変更、切除その他の改変又は著作物に対するその他の侵害で自己の名誉又は声望を害するおそれのあるものに対して異議を申し立てる権利を保有する。
⑵ ⑴の規定に基づいて著作者に認められる権利は、同盟国の法令が認める範囲内において、著作者の死後においても、少なくとも財産的権利が消滅するまで存続し、その法令により資格を与えられる人又は団体によつて行使される。この⑵に定める権利を行使する条件は、同盟国の法令の定めるところによる。
⑶ この条において認められる権利を保全するための救済の方法は、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。
⑴ この条約によつて許与される保護期間は、著作者の生存の間及びその死後五十年とする。
⑵ もつとも、同盟国が⑴に定める保護期間よりも長い保護期間側を許与する場合には、保護期間は、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。ただし、保護期間は、著作物の本国において定められる保護期間を越えることができ一ないものとする。
⑶ 映画の著作物、写真の著作物及び映画又は写真に類似する方法で作られた著作物並びに応用美術の著作物については、保護期間は、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。ただし、保護期間は、著作物の本国において定められる保護期間を趣えることができないものとする。
⑷ 無名又は変名の著作物についてはは、公表の後五十年とする。ただし、著作者の用いた変名がその著作者を示すことについて疑いがない場合には、保護期間は、⑴に定める保護期間とする。無名又は変名の著作物の著作者が第一文の期間内にその著作物の著作者であることを明らかにする場合には、適用される保護期間は、⑴に定める保護期間とする。
⑸ ⑶及び⑷に規定する著作物の範囲に属しない遺作については、相続人その他の承継人のための保護期間は、その著作者の死後五十年で満了する。
⑹ 著作者の死後の保護期間及び⑶から⑸までに定める保護期間は、著作者の死亡の時又は著作物の公表の時から始まる。ただし、これらの保護期間は、それらの事実が発生した年の翌年の一月一日から計算する。
著作物の共同著作者の共有に属する著作権の存続期間は、共同著作者のうち最後の生存者の死亡の日によつて計算する。
文学的及び美術的著作物の著作者でこの条約によつて保護されるものは、その著作物に関する権利の存続期間中、その著作物を翻訳し又はその翻訳を許諾する排他的権利を享有する。
⑴ いずれかの同盟国の新聞紙又は定期刊行物において公表された連載小説、短編小説その他目的のいかんを問わずすべての文芸、学術又は美術の著作物は、著作者の承諾なしには他の国において、複製することができない。
⑵ 経済上、政治上又は宗教上の時事問題を論議する記事は、その転載が明示的に禁止されていない場合には、新聞雑誌に転載することができる。ただし、そのの出所は、常に明示しなければならない。この義務の違反に対する制裁は、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。
⑶ この条約の保護は、単なる報道にすぎない時事の記事又は雑報については適用されない。
⑴ すべての同盟国において、新聞紙及び定期刊行物の記事からの短い引用は、新聞雑誌の要約の形で行うものであつても、適法とされる。
⑵ 教科用刊行物、学術的性質を有する刊行物又は抜粋編集物のために、その目的上正当な範囲内で、文学的又は美術的著作物から適法に抜粋な行うことについては、同盟国の法令又は同盟国間の現行の若しくは将来締結される特別の取極の定めるところによる。
⑶ 引用及び抜粋を行うに際しては、出所(著作者名が表示されているときは、これを含む。)を明示する。
写真、映画又は放送により時事の事件を報道する際に、文学的又は美術的著作物の小部分を記録し、複製し及び公に伝達する場合の条件については、同盟国の法令の定めるところによる。
⑴ 演劇用又は楽劇用の著作物及び音楽の著作物の著作者は、次条及び第十三条の規定によるもののほか、次の、ことを許諾する排他的権利を享有する。
(i) 著作物を公に上演し及び演奏すること。
(ii) 著作物の上演及び演奏を何らかの手段により公に伝達すること。
⑵ 演劇用又は楽劇用の著作物の著作者は、その著作物に関する権利の存続期間中、その著作物の翻訳物についても、⑴の権利を享有する。
⑶ 著作者は、この条の保護を受けるためには、著作物の公表の際に公の上演又は演奏を禁止することを要しない。
⑴ 文学的及び美術的著作物の著作者は、次のことを許諾する排他的権利を享有する。
(i) 著作物の放送すること又は記号、音若しくは影像を無線で送るその他の手段により著作物を公に伝達すること。
(ii) 放送された著作物を原放送機関以外の機関が有線又ば無線で公に伝達すること。
(iii) 放送された著作物を拡声機又は記号、音若しくは影像を伝えるその他の類似の器具を用いて公に伝達すること。
⑵ ⑴に定める権利を行使する条件は、同盟国の法令の定めるところによる。ただし、その条件は、これを定めた国においてのみ効力を有する。その条件は、著作者の人格権を害するものであつてはならず、また、協議が成立しないときに権限のある機関が定める公正な補償金を受ける著作者の権利を害するものであつてはならない。
⑶ ⑴の規定に基づいて与えられた許諾には、別段の定めがない限り、放送される著作物を音又は影像を固定する器具を用いて記録することの許諾を含まない。もつとも、放送機関が自己の手段により自己の放送のために行う一時的記録の制度は、同盟国の法令の定めるところによる。当該法令は、その一時的記録が資料として特別の性質を有することを理由として、これを公的な記録保存所に保存することを認めることができる。
文学的著作物の著作者は、その著作物の公の朗読を許諾する排他的権利を享有する。
文芸、学術又は美術の著作物の著作者は、その著作物の翻案、編曲その他の改作を許諾する排他的権利を享有する。
⑴ 音楽の著作物の著作者は、次のことを許諾する排他的権利を享有する。
(i) 音楽の、著作物を機械的に再生するための用具に録音すること。
(ii) このように録音された著作物を(i)の用具によつて公に演奏すること。
⑵ ⑴に定める権利の行使に関する留保及び条件は、各同盟国に関する限り、その国の法令で定めることができる。ただし、その留保及び条件は、これを定めた国においてのみ効力を有する。その留保及び条件は、協議が成立しないときに権限のある機関が定める公正な補償金を受ける著作者の権利を害するものであつてはならない。
⑶ ⑴の規定の効力は、
⑴ 文芸、学術又は美術の著作物の著作者は、次のことを許諾する排他的権利を享有する。
(i) 著作物を映画として翻案し及び複製すること並びにこのように翻案され又は複製された著作物を頒布すること。
(ii) このように翻案され又は複製された著作物を公に上演し及び演奏すること。
⑵ 映画の著作物は、翻案され又は複製された著作物の著作者の権利を害することなく、原著作物として保護される。
⑶ 文芸、学術又は美術の著作物を原作とする映画の作品を他の美術形式に翻案することは、その映画の作品の著作物の許諾の権利を害することなく、原作物の著作者の許諾を必要とする。
⑷ 文芸、学術又は美術の著作物を映画化する場合にあつては、前条⑵に規定する留保及び条件は、適用されない。
⑴ 美術の著作物の原作品並びに作家及び作曲家の原稿については、その著作者(その死後においては、国内法令が資格を与える人又は団体)は、著作者が最初にその原作品及び原稿を譲渡した後に行われるその原作品及び原稿の売買の利益にあずかる譲渡不能の権利を享有する。
⑵ ⑴に定める保護は、著作者が国民である国の法令がこの保護を認める場合に限り、かつ、この保護が要求される国の法令が認める範囲内でのみ、各同盟国において要求することができる。
⑶ 徴収の方法及び額は、各同盟国の法令の定めるところによる。
⑴ この条約によつて保護される文学的及び美術的著作物の著作者が、反証のない限り当該著作物の著作者と認められ、したがつて、その権利を侵害する者に対し同盟国の裁判所に訴えを提起することを認められるためには、その名が通常の方法により当該著作物に表示されていることで足りる。この⑴の規定は、著作者の用いた名が変名であつても、それがその著作者を示すことについて疑いがない限り、適用される。
⑵ 無名の著作物及び⑴に規定する変名の著作物以外の変名の著作物については、著作物にその名を表示されている発行者は、反証のない限り著作者を代表するものと認められ、この資格において、著作者の権利を保全し及び行使することができる。この⑵の規定は、著作者がその著作物の著作者であることを明らかにしてその資格を証明した時から、適用されなくなる。
⑴ 著作者の権利を侵害するすべての製作物は、当該著作物が法律上の保護を受ける同盟国の権限のある機関が差し押さえることができる。
⑵ ⑴の同盟国においては、当該著作物が保護を受けない国又は受けなくなつた国において作成された複製物をも差し押さえることができる。
⑶ 差押えは、各同盟国の法令に従つて行う。
この条約は、法令又は諸規程により、権限のある機関が必要と認める場合に、著作物又は製作物の頒布、上演又は展示を許可し、取り締まり又は禁止することとする各同盟国政府の権能を何ら害するものではない。
⑴ この条約は、その効力発生の時に本国において保護期間の満了により既に公共のものとなつた著作物以外のすべての著作物について適用される。
⑵ もつとも、従来認められていた保護期間の満了により保護が要求される同盟国において公共のものとなつた著作物は、その国において新たに保護されることはない。
⑶ 前記の原則の適用は、これに関する同盟国間の現行の又は将来締結される特別の条約の規定に従う。このような規定がない場合には、各国は、自国に関し、この原則の適用に関する方法を定める。
⑷ ⑴から⑶までの規定は、同盟への新たな加盟の場合及び保護が第七条の規定の適用により又は留保の放棄によつて拡張される場合にも適用される。
この条約は、同盟国の法令が定める一層寛大な規定の適用を求めることを妨げるものではない。
同盟国政府は、相互間で特別の取極を行う権利を留保する。ただし、その取極は、この条約が許与する権利よりも広い権利を著作者に与えるもの又はこの条約の規定に抵触する規定を有しないものでなければならない。この条件を溝たす現行の取極の規定は、引き続き適用される。
⑴ 「文学的及び美術的著作物保護国際同盟事務局」の名称で設立された国際事務局は、維持される。
⑵ 国際事務局は、スイス連邦政府の管理の下に置かれる。スイス連邦政府は、国際事務局の組織を定め、かつ、その事務を監督する。
⑶ 国際事務局の公用語は、フランス語とする。
⑴ 国際事務局は、文学的及び美術的著作物についての著作者の権利の保護に関する各種の情報を収集し、編集し及び公表する。国際事務局は、同盟にとつて共通の利益となる研究を行い、また、諸政府が提供する文書を参考資料として、同盟の目的に関係のある問題についてフランス語で定期刊行物を編集する。同盟国政府は、経験上必要と認められる場合には、国際事務局が他の一又は二以上の言語で別版を発行することを合意によつて許可する権利を留保する。
⑵ 国際事務局は、文学的及び美術的著作物の保護に関する問題について、いつでも、同盟国の要請に応じ、その順が必要とする特別の情報を提供する。
⑶ 国際事務局の事務局長は、その所管の事務について年次報告を作成し、これをすべての同盟国に送付する。
⑴ 国際事務局の経費は、同盟国が共同して負担する。この経費は、新たな決定がされるまでの間、年額十二万金フラン(注)を超えてはならない。この額は、必要な場合には、同盟国の全員一致又は次条に規定する会議の全会一致の決定によつて増額することができる。
(注) この貨幣単位は、量目二十一分の十グラムであつて純分千分の九百である百サンチームの金フランとする。
⑵ 同盟国及び将来同盟に加盟する国は、経費総額に対する各国の分担額を定めるために六等級に分けられ、次に定める単位数に比例して経費を負担する。
一等級 | 二十五単位 |
二等級 | 二〇単位 |
三等級 | 一五単位 |
四等級 | 一〇単位 |
五等級 | 五単位 |
六等級 | 三単位 |
⑶ ⑵の単位数にそれぞれ当該各等級の国の数を乗じて得た積の和で経費総額を除し、その商を一単位の経費額とする。
⑷ 各国は、その加盟の際に、⑵の等級のいずれに属することを欲するかを宣言しなければならない。もつとも、各国は、その後いつでも、他の等級に属することを欲する旨を宣言することができる。
⑸ スイス連邦政府は、国際事務局の予算を作成し、その支出を監督し、必要な立替えを行い、及び他のすべての同盟国政府に送付する年次計算書を作成する。
⑴ この条約は、同盟の制度を完全なものにするような改善を加えるため、改正に付することとができる。
⑵ このような問題及び他の点で同盟の発展に関係がある問題は、同盟国で順次に開催する会議において、同盟国の代表が審議する。会議が開催される国の政府は、国際事務局の協力な得て、会議の準備を行う。事務局長は、会議に出席し、討議に参加するが、投票権を有しない。
⑶ この条約のいかなる変更も、同盟を組織する国の全員一致の同意がない限り、同盟に対して、効力な有しない。
⑴ 同盟に属しない国でこの条約の目的とする権利について法律上の保護を確保するものは、その妖精により、同盟に加盟することができる。
⑵ 加盟は、書面によりスイス連邦政府に通告されるものとし、同政府は、これを他のすべての同盟国に通告する。
⑶ 加盟は、当然に、この条約のすべての条項の受託及びこの条約に定めるすべての利益の享受を伴うものとし、また、加盟する国が一属遅い日を指定しない限り、スイス連邦政府が他の同盟国に通告を発した日の後一箇月で効力か生ずる。もつとも、加盟する国は、その加盟に際し、当分の間は翻訳に関する第八条の規定に代えて、千八百九十六年にパリで改正された千八百八十六年の同盟条約第五条の規定を適用する意図を有する旨を通告することができる。この場合において、同条約第五条の規定は、その国の一又は二以上の言語への翻訳についてのみ適用されるものと当然に了解される。
⑴ いずれの同盟国も、その海外領域、植民地、保護領、信託統治地域又は自国が対外関係について責任を有するその他の領域についてこの条約を適用する旨を、書面によりいつでもスイス連邦政府に通告することができる。この場合には、この条約は、前条⑶の規定に従つて定められる日から、その通告において指定されたすべての領域について適用される。通告が行われない場合には、この条約は、それらの領域について適用されない。
⑵ いずれの同盟国も、⑴に規定する通告の対象となつた領域の全部又は一部についてこの条約が適用されなくなる旨を、書面によりいつでもスイス連邦政府に通告することができる。この場合には、この条約は、スイス連邦政府によるその通告の受領の後十二箇月で、その通告において指定された領域について適用されなくなる。
⑴ この条約は、同盟国相互の関係においては、千八百八十六年九月九日のベルヌ条約及びこれを順次に改正した諸条約に代わる。従来実施きれていた諸条約は、この条約を批准しない同盟国との関係においては、引き続き適用される。
⑵ この条約に署名した同盟国は、従前の留保の利益を引き続き維持することができる。ただし、批准書の寄託の時にその旨の宣言を行うことを条件とする。
⑶ 現に同盟に属する国でこの条約に署名しないものは、第二十五条に規定する方式によりいつでもこの条約に加入することができる。この場合において、その国は、⑵の規定による利益を受けることがでできる。
この条約の解釈又は適用に関する二以上の同盟国の間の紛争で交渉によつて解決されないものは、紛争当事国が他の解決方法について合意する場合を除くほか、国際司法裁判所による決定のために同裁判所に付託される。紛争を国際司法裁判所所に付託する国は、その旨を国際事務局に通報するものとし、国際事務局は、それを他の同盟国に通報する。
⑴ この条約は、批准されなければならない。批准書は、遅くとも千九百五十一年七月一日までにブラッセルにおいて寄託する。批准は、その日付及び附属するすべての宣言とともに、ベルギー政府によりスイス連邦政府に通報され、スイス連邦政府は、これを他の同盟国に通告する。
⑵ この条約は、これを批准した同盟国の間において、千九百五十一年七月一日の後一箇月で効力を生ずる。ただし、同日前にこの条約が少なくとも六の同盟国によつて批准されたときは、この条約は、これらの同盟国の間においては六番目の批准書の寄託がスイス連邦政府によりこれらの同盟国に通告された後一箇月で、また、その後に批准する同盟国についてはその批准書の寄託が通告された後一箇月で効力を生ずる。
⑶ 同盟に属しない国は、千九百五十一年七月一日前は、干九百二十八年六月二日にローマで署名された条約又はこの条約に加入することにより同盟に加盟することができる。千九百五十一年七月一日以後は、これらの国は、この条約にのみ加入することができる。千九百五十一年七月一日にこの条約を批准していない同盟国は第二十五条に規定する方式によりこの条約に加入することができる。この場合において、これらの同盟国は、第二十七条⑵の規定による利益を受けることができる。
⑴ この条約は、無期限に効力を有する。もつとも、いずれの同盟国も、スイス連邦政府にあてた書面による通告により、いつでもこの条約を廃棄する権利を有する。
⑵ この廃棄は、スイス連邦政府により他のすべての同盟国に通報され、同政府による廃棄通告の受領の後十二箇月で、廃棄を行つた国についてのみ効力を生ずる。この条約は、他の同盟国については、引き続き効力を有する。
⑶ いずれの同盟国も、その批准又は加入の日から五年の期間が満了するまでは、この条に定める廃棄の権利を行使することができない。
⑴ 第七条⑴に定める五十年の保護期間を自国の法令に採用する同盟国は、その旨を書面によりスイス連邦政府に通報し、同政府は、これを他のすべての同盟国に直ちに通報する。
会議の公式文書は、フランス語で作成し、これと同一の内容のものを英語で作成する。公式文書の解釈に相違がある場合には、常にフランス文による。同盟国又は同盟国群は、その選択する言語による公式文書の公定訳文な国際事務局との取決めにより国際事務局に作成させることができる。これらの公定訳文は、会議の公式文書に含めてフランス文及び英文とともに公表する。
以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。千九百四十八年六月二十六日にブラツセルで本書一通を作成した。本書は、ベルギー外務貿易省に寄託する。その認証謄本一通は、外交経路を通じて各同盟国に送付される。
オーストラリアのために
政府の承認を条件として
W・J・ディグナム
オーストリアのために
ドクター クルト・フリーベルゲル
ベルギーのために
J・キュイペール
アルベール・ギスラン
コピエテ・ド・ジブソン
J・アメル
マルセル・ヴァルキエ
P・レヒト
J・シュナイダー
C・デヴェルゼッガー
ブラジルのために
イルデフォンソ・マスカレニャス・ダ・シルヴァ
カナダのために
ヴィクトル・ドレ
W・P・J・オミアラ
デンマークのために
ベント・ファルケンスティエルネ
トルベン・ルント
スペインのために
R・ソリアーノ
フィンランドのために
ラグナー・ヌメリン
Y・J・ハクリーネン
フランスのために
J・ド・オートクロック
マルセル・プレザン
クロード・ベガン=ビルコック
ピュジェ
マルセル・ブーテ
M・ウェイス
グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国のために
ハロルド・ソーンダーズ
B・G・クルー
ギリシャのために
トリアンダフィラコス
マイケル・マンドゥディス
ハンガリーのために
Z・ヴィラグ
インドのために
R・S・マニ
アイルランドのために
エドワード・A・クレアリー
アイスランドのために
クリスチャン・アルベルツォン
イタリアのために
マッシモ・ピロッテ
アントニオ・ベンネッタ
レバノンのために
J・ハルフーシュ
リヒテンシュタインのために
プリニオ・ボラ
ハンス・モルフ
A・マルチョネリ
ルクセンブルグのために
ピエール・マジュリュス
ド・ラ・フォンテーヌ
モロッコのために
J・ド・オークロック
クロード・ベガン=ビルコック
モナコのために
M・ローズ
ノールウェーのためのに
C・F・スミット
ニュー・ジーランドのために
ハロルド・ソーンダーズ
パキスタンのために
A・F・M・K・ラーマン
オランダのために
H・C・ボーデンハウゼン
ポーランドのために
ポルトガルのために
ジュリオ・ダンタス
ジョゼ・ガリャルド
ヴァチカンのために
ルイ・ピカール
フエルナンド・ファン・ゲーテム
R・ヴァンドピュット
スウェーデンのために
ストゥーレ・ペトレン
スイスのために
プリニオ・ボラ
ハンス・モルフ
A・マルチョネリ
シリアのために
シャティラ
チェッコスロヴァキアのために
D・ラクシャーニ
カレル・ペトルゼルカ
J・プロハーズカ
テュニジアのために
J・ド・オートクロック
クロード・ベガン=ビルコット
南アフリカ連邦のために
J・クリスティ
ユーゴースラヴィアのために
(右条約の仏文)
この著作物は、日本国著作権法10条2項又は13条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同法10条2項及び13条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。
- 憲法その他の法令
- 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
- 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
- 上記いずれかのものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
- 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道
この著作物は、米国政府、又は他国の法律、命令、布告、又は勅令等(Edict of governmentも参照)であるため、ウィキメディアサーバの所在地である米国においてパブリックドメインの状態にあります。“Compendium of U.S. Copyright Office Practices”、第3版、2014年の第313.6(C)(2)条をご覧ください。このような文書には、“制定法、裁判の判決、行政の決定、国家の命令、又は類似する形式の政府の法令資料”が含まれます。